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阿部譲二のMのある風景―屈辱の周辺#2 言葉なぶり
言葉なぶり:
女性に馬鹿にされて屈辱を感じ性的に興奮する男性にとって、直接法では、言葉でストレートに罵倒される形が基本ですが、これは女性にとって、しばしば相手を傷つけ自分の怒りを発散するやり方になってしまいます。罵倒では無くて相手を言葉で嬲るには、冷静に相手を辱める言葉を選び、反応を見ながら相手の感情を弄ぶのが肝要です。その点、間接法が効果的だと思います。つまり、男に自分の口から自分を辱める言葉を言わせて笑い者にするのです。
昔、奇譚クラブで「二百字賛歌」と題するM小説を読んだことがあります。古本屋の独身の主人が住み込みの奉公人夫婦に奴隷にされるのですが、毎朝、夫婦の前で奥さんを称え自分を奴隷として扱って卑しめて欲しいとお願いする文言を、まるで「お経」を唱えるように暗唱させられるストーリーでした。
私の小説では#33「転落の殺意」(裏切りの奴隷教育)で、この言葉なぶりのシーンを取り上げてみました。以下、そのさわりを引用します:
「今日はね、お前の精神を卑しめて上げる。……私の言う通りにして、奴隷にふさわしい卑屈さと、屈従とを身に付けるんだよ」
夏子は、床の上に清治を正座させると、首の鎖をピンと張って左手に握り、おもむろに前のソファーに腰を下ろした。
右手には、昨日、首輪と一緒に買って来た黒いなめし革の鞭を握っている。
「いゝかい。これから私が質問するから、お前は、私の気に入る様な答を考えて返事をするのだよ。……うんと卑屈な、いやらしい答がお前の口から出る様になればいゝの。……気に入らなければ、この鞭で叩くからね。覚悟おし!」
夏子は、鞭を空中でヒゥーッと鳴らしてみせる。
それは清治にとって、身のけがよだつ様な威圧感があった。
「いゝかい。最初の質問だよ。……お前、おとといから、私のお尻の臭いを嗅がされてるね。……どんな気持だい?」
夏子は、鎖をぐっと曳いて、清治の答をうながす。
「臭くて……口惜しくって……」
途端に、鞭が清治の肩に飛んだ。
パシーッと派手な音がして、清治の全身に電撃が走った。
みるみる叩かれた個所が赤くみみず腫れになる。
清治にとって始めて味わう鞭の味だった。
痛みもさることながら、そのショックの大きさは、想像を越えるものがある。
「馬鹿! 誰が自分の思った通りを言えって言ったの? 私の気に入る答が言えなければ何度でも打つわよ」
夏子は手厳しく宣言した。
とにかく、鞭の威力は絶大で、清治は瞬時にして抵抗の気力を奪われ、夏子の顔色を窺う様になったのである。
「あの……臭いは……私の様な奴隷にふさわしいと、有難く嗅がせて戴きました」
「そう。それじゃあ、昨夜の私のアヌスの味は?」
「あ、あれは……さ、最初は少し苦かったのですが、……今にこの味をおいしいと思う様になりたいと……」
こゝで、鞭を振り上げかけた夏子の右手を見て、清治は慌てゝ言い直す。
「いや、じ、実は、あの味は私にピッタリでこれからも、ま、毎日舐めさせて戴きたいと思います」
言い終って、流石に恥かしさで、清治の顔が紅潮する。
「フーン、何だ。お前は私のアヌスの味が好きなのかい。……勿論、毎日舐めさせてやるよ。……でも、トイレに入った後、お前がトイレットペーパー代りに舌で舐め清めるのはどうだい?」
「そ、それは、何とか……ご、ご勘弁を」
ピシーッと鞭が彼の反対側の肩を襲う。
そして、続いて横なぐりに腹をえぐった。
その焼けつく様な痛みは、彼の理性を完全に奪ってしまう。
「ヒーッ……あ、あの……それは、ぜ、是非お願いします」
「何をお願いするんだい。もう一度、ちゃんと言って御覧」
「あ、あの、夏子様のトイレットペーパーとして、トイレの後の……アヌスを舐めさせて下さい」
強制されても、おじけを振るう様なおぞましい行為を、自分から進んで望む羽目になろうとは、……しかも、憎い女に対する屈従の証しとしてである。
流石に、無念さで咽喉が詰る思いだった。
「お前、随分汚ないことが好きなんだねぇ。……いゝよ。健が帰って来たら、もう一度その科白を繰り返して言うんだよ。……心配しなくても、断ったりしないよ。明日から早速、舐めさせてやるからね。ウフフフ」
夏子は、如何にも面白そうに笑った。
それから、約一時間、夏子の訓練が続く。
清治は、心の中を文字通りズタズタにされる思いで、屈辱的な答を次々と口にさせられた。
その晩、前夜同様、長時間、二人のセックスの慰み者にされた清治は、再びボロ布の様に床にへばり付いて眠った。
(完)