屈辱の洗脳儀式(後篇)
(雑誌「女神の愛第6号」掲載作品として2013年12月脱稿) 阿部譲二作
人間失格
戦乱に巻き込まれたアラブの一角で、去勢手術を免れるため、山名順平が人間ではなく犬として認めてもらえるよう、村の夫婦たちのセックスの汁受けに落とされて一カ月が経った。
一方、政府勢とテロ集団の小競り合いは、未だ続いている。
でも、慣れるということは恐ろしいもので、夫婦の愛液を吸わされるというおぞましい体験を連日繰り返しているうちに、順平の心からは当初の狂わしいほどの屈辱感と口惜しさは次第に薄れ、みじめな自分を客観視する余裕さえ生まれて来たのである。
夫婦たちのセックスに奉仕させられるのは毎日夕食後になるので、少なくとも日中はその屈辱の奉仕からは解放される。
といっても、四つん這いを強いられ常に犬扱いをされるみじめさからは逃れられない。
しかも、元部下の結城理恵子からは、例の洗脳の儀式を毎日繰り返し強制させられていた。
毎晩、理恵子のベッド横の床で毛布にくるまって寝ている順平は、朝になると理恵子に首輪の紐をグイと引かれて眠りから覚める。
前夜の村の夫婦へのオーラル奉仕で疲れ切って泥睡していた彼の目に、ベッドの上から覗き込む理恵子の顔がぼんやりと映り、続いて彼女がカーッと痰を喉に溜める音が耳に入る。
慌てて正座して大きく開けた口の中に、ペーッと女の痰汁が吐き込まれるのである。
それを口腔に溜めたまま、順平は、首を伸ばして突き出された理恵子の尻割れに顔を埋める。
女の肛門に鼻を当てて臭気を胸一杯に吸い込みながら、口の中のドロッとした痰汁を味わって屈従を誓うのだった。
理恵子とその幼友達のナディアとの合作で案出されたこのおぞましい洗脳儀式は、朝の起床時と夕食前の二回にわたって毎日繰り返されていた。
とくに、夕食に集ったナディアの家族の目の前でこの儀式を強要される順平は、屈辱に震える。
しかも多くの場合、続いてナディアやその妹のライラにも同様の辱めを受け、食事が終わるまで、そのまま彼女らの巨尻に顔を敷かれながら異臭に、耐えなければならなかった。
洗脳の効果は明白だった。
一カ月経った今では、順平の理恵子やナディアに対する態度は劇的に変化している。
今では、彼女らに接する順平の態度は卑屈を極め、完全な屈従が身に付いていた。
彼女らの命令は絶対であり、彼女らの歓心を得るためには、どんな屈辱的な指示にも従う精神構造が定着しつつあったのである。
食事は、女たちの痰汁が朝食がわり。
ただ、昼過ぎに彼女らの残飯がたっぷり与えられるが、みじめにも台所の片隅で四つん這いのまま犬食いさせられる。
夕食は抜きで、代りにその夜の夫婦の愛液をいやというほど口にさせられた。
毎夜日替わりで村の希望者たちの股間を吸い続けさせられた結果、この一カ月ほどの間に順平が愛液を口にした夫婦の総数は30組を超えた。
若いカップルが多いので射精量も多く、しかも複数回のセックスが殆どなので、胃の腑は満杯になりゲップが出るほどだった。
さらに、それに時折ナディア夫妻とライラ夫妻の分が加わるのだから馬鹿にならない量で、夕食を抜いても空腹を満たすに十分だったのである。
しかし、一方では順平の知らない所で、彼の不幸を倍増するような展開が進行していた。
それは、最近になって反政府軍のアジトが村に設けられ、テロ組織のメンバーが出入りするようになったことに端を発している。
村の自警団の幹部であるナディアの夫は、反政府軍に協力することで村民の安全を計っていたが、政府軍のスパイには極度に神経質になっていた。
「順平、今日、お前にナディアから折り入って話があるそうよ。……そう、彼女も悩んでいるようだから、余り良い話ではなさそうね。」
理恵子から言われたのは、例の朝の儀式を終えた直後だった。
突然のことで、順平の胸は悪い予感にドキッとする。……そして、その懸念は不幸にも的中した。
それから数時間後、順平は、居間のソファーにくつろいだナディアと理恵子の前の床に曳き据えられていた。
ナディアが、諭すように順平に話し掛ける。
「昨夜、夫と話したんだがね……最近、この村でのお前の犬としてのプレゼンスが問題になってるんだよ」
「プ、プレゼンスって……」
「お前の存在ってこと。……そう、お前が人間を捨てて犬に成りきろうとしている努力は認めるよ。……でも、最近村に入り込んできているテロ組織の連中は、お前が政府軍のスパイじゃないかって疑っているらしいんだよ。」
「………………」
「私の夫はね、お前が毎晩やってる‘夫婦の汁受け奉仕’を説明して、お前が人間なら到底できないおぞましい行為を繰り返していると言えば十分だと思っていたんだけどね。……連中は、もっと人の目に触れる公開の場で生き恥を曝すのでなければ、大衆にお前の‘人間失格’を認知、というか、そう、公認されたことにならないと言っているそうよ。」
「………………」
「そこで、寝室の中だけじゃなくって、公衆の面前で皆に見て軽蔑してもらえるような新しいパーフォーマンスを、お前にやって貰うことになったってわけ。」
「あ、新しい……パーフォーマンス……って……」
「お前、私たちが宗教上の理由もあって、昼から夕刻にかけて毎日沐浴しているのを知ってるわね。……男や子供たちは河の水で済ます人が多いけど、人目を気にする婦人連中は、みんな村の公衆沐浴所を利用するの。……そら、村の中心にある、あの立派な屋内大衆浴場よ。男女別に入口まで分かれているところなんか、日本の昔のお風呂屋さんに似ているわね。……ただ浴槽代りに大きな水槽があって中心に噴水があるわ。そして更衣室からその沐浴室に入る前に大きなトイレを通るの。……みんなが沐浴前に用を足す習慣があるからよ。……そう、沐浴は礼拝の一環と見なされているから、みんなが聖なる水で汚れた身体を清めるの。」
「それでね、お前の役目は、皆が身体を洗う前に舌で汚れを吸い取るの。……そう、もちろん場所はみんなの股間よ。……ウフフッ、それも、一番汚れている、オ、シ、リ、の穴!」
ナディアは順平の反応を楽しむかのように、そのもっともおぞましい部分にアクセントを付けてわざとゆっくり発音した。
とたんに男の顔がショックの余りクシャッと歪む。
傍で見ていた理恵子がニヤニヤ笑いながら割って入った。
「なによ、涙なんか零しちゃって!……今だってお前は犬として、毎日、私たちのお尻の臭いを嗅いでるじゃないの。……痰汁の代りに糞滓を味わうだけの違いよ。……もっとも、ここでは皆トイレットペーパーは使わないんですって。……ウフッ、滓じゃなくって、きっと糊みたいにべっとり付いているかもね。」
揶揄するような二人の話しぶりだが、これが順平にとっては文字通り拒否できない宣告だったのである。
早速、翌日から特訓と称してナディアと理恵子の手で、いや、彼女らの尻で新しいパーフォーマンスの実地訓練が、まず自宅で始まったのだった。
朝食後、便器に跨った理恵子の前の床には、四つん這いでうなだれた順平が、身体を震わせながらその時を待っている。
村の民家なので水洗設備が無く、女の排便の音と漂う異臭が順平の屈辱感を増幅した。
「ソラ、終わったわよ。……顔を寄せてぇ、……舌を突き出してぇ、……ダメダメ、もっと唇を使って汚れを包みこむようにしなきゃ、かえって汚れが広がっちゃうわ。……」
床に正座の姿勢でかしこまる順平の顔の直ぐ前に、女の尻割れが突きつけられている。
理恵子は順平の舌が届きやすいように、両手で豊かな尻肉を押し広げてくれていた。
しかし、それがかえって褐色の糊でべったり覆われた菊座を順平の目の前に露出させ、口を寄せる彼にとっては、おぞましさと屈辱感をさらにいっそう煽る結果になった。
「もっと強く吸い付くのよ。……そうそう、穴の周りの襞が綺麗になったら、こんどは舌の先を尖らせて中に差し入れなさい。……穴の奥の壁に付いてる糊状の糞も舌の先で拭い取ってね。……そうそう、お上手。ウフッ、お前、犬の素質あるわよ。……そこまで成り下がったんだから、口惜しいだろうがその味を忘れないようにね。……私の命令を受けた時には、いつもその味を思い出して素直に従いなさい。」
実際には15分ほどの時間だったろうが、口惜しさで頭がいっぱいの順平にとっては1時間にも感じられた。
初めて味わされる理恵子の排泄物は、舌の先から口腔全体に広がる。
ピリッと舌を刺す苦みと、何とも言えないしつこいえぐさが、順平の味覚を支配した。
それは自分が彼女に完全に征服され、完璧に支配される身にされてしまったという思いを脳裏に刻み込んだのである。
「ナディアが居間で待っているわよ。……彼女が訓練の主役なんだから、よくお願いして仕込んで貰いなさい!」
そして、ソファーにくつろぐナディアの前に這いつくばった順平は、屈辱の‘お願い’の言葉を喉から絞り出す。
「ど、どうか……ナディア様の、お、お尻の穴を清めさせて下さい。……お願いします。」
「お前、たった今、理恵子に舐めさせられたんだろう?……ついこの間まで部下だった女にも、そうやってお願いさせられたんだね。……口惜しかったかい?」
「く、くやしーぃ……いえ、今はくやしくても、我慢するようにします。」
「でもね、私には我慢しなくっていいよ。……無理やりお尻の穴を舐めさせられて、口惜しさで悶えるお前を見る方が楽しそうだもの。ウフフフ」
ナディアの嗜虐的な言い回しに、彼女の底意地の悪さがにじみ出ている。
首輪の紐を曳かれて食堂の奥にある広い家族用のトイレに連れ込まれた順平は、理恵子の場合と違って仰向けに床に寝かされた。
用を足し終えたナディアは、男の顔を大きく跨いでゆっくりと腰を下ろす。
眼の前に突き付けられた尻割れの中心に、褐色の糞糊が所々に付着した毒々しいピンク色の蕾みが息づいていた。
「舐める前に、汚れている場所をよく見て覚えておくんだよ。……それに、ホラ、臭いだろう?……今度は嗅ぐだけじゃなくって、味をたっぷり味わせてやる。……お前、さぞかし口惜しいだろうね。」
ナディアの濃い陰毛は、巨尻の割れ目全体に広がっている。
至近距離の視界に広がるそのグロテスクな眺めに、順平は身体の震えが止まらなかった。
「穴の周りから舐め始めなさい。そして、舌の先を伸ばして穴の中に入れる!……フフフ、お前ったら、みじめだねぇ。……」
ナディアは細かい指示の合間に蔑みの言葉を巧みに挟んで、男の屈辱感を刺激し続けた。
穴の内外だけでなく、陰毛に沁みついた糞滓も延々と吸い取らされ、終わったばかりの順平の目は悔し涙で真っ赤だった。
一週間に満たない訓練機関は、あっと言う間に過ぎた。
そして、いよいよ公衆沐浴場での本番に突入した。
その日、未だ日の高い昼下がり、犬として首輪の曳き紐を引かれながら、公道を四つん這いで進む順平の姿に好奇の視線が集まる。
妹のライラと連れだって沐浴場に向かうナディアは、途中、時々立ち止り、曳き紐を操っては犬真似を強いた。
例えば、股をくぐらせ、頭を足で小突くのである。
その度に予め言われていたように、順平はキャンキャンと犬鳴きをして、通行人の注目と嘲笑を誘った。
沐浴場は昼過ぎから夕方にかけて混雑する。
はち切れんばかりの巨尻に色彩豊かな腰布をまとった村の女たちが、次々と更衣室に吸い込まれて行く。
ナディアとライラは、更衣室から浴場に向かう広い廊下の柱に順平を繋ぐと、その後ろの壁に手書きの絵を貼った。
予め用意されたその画面には、人間の顔をした犬がチンチンの姿勢をとり、目の前に突き出された女の尻に舌を伸ばしている情景、その横には仰向けに押し倒された顔に女の尻が押し当てられている場面が、何れもユーモラスな漫画タッチで描かれている。
女の尻割れには付着した褐色の便が誇張して描かれ、犬の表情は順平の顔に似せてあった。
何のことはない、この人間犬にはこんなことをさせるんですよと、ひと目で分かる手引き用のイラストだったのである。
何事かと周囲に集まって来た沐浴客の女たちの前で、ナディアとライラのデモンストレーションが始まった。
ライラの尻割れに顔を寄せ舌を伸ばす順平の姿に、ドッと笑い声が湧く。
続いて、ナディアの巨尻に顔を敷かれ、肛門を唇に当てがわれた哀れな男の姿に、オーッとどよめきが広がった。
続いて、ナディアの勧めで、最前列で見ていた大柄な女が順平の顔を跨いで腰を下ろす。
男の唇を探して尻を揺する女。そこへ、ナディアの叱声が飛んだ。
「待ってないで、吸い付くのよ……ソレッ!」
すかさず、ライラが皆に通訳する。
急いで身をよじって、女の汚れた菊座に吸い付く順平。
その慌てようが、いかにも無様で、周囲の女たちの間に一斉に嘲笑が渦巻いた。
女たちの雑踏が最高潮に達する時間帯だったことに加え、ナディアとライラの演出が当たって、それからの順平の姿は哀れをとどめた。
好奇心を刺激された女たちは、次々と順平の顔を尻に敷き、汚れた肛門を舐めさせた。
笑いの混じった嬌声が続き、順平の舌と唇は完膚ないまでに女たちの汚れた菊座に蹂躙されたのである。
数時間後に、今度は理恵子も一緒に順平を引き取りに沐浴場を訪れたナディアとライラが見たのは、屈辱に打ちひしがれた男、いや人間犬の姿だった。
聞けば、30人を超える女たちに股間を舐め清めさせられたとのこと、傍の足洗い場で身体に付いた汚れは落としたものの、鼻孔から嗅がされた糞臭と、舌と唇を通じて擦り込まれた汚物の味は、激しい屈辱の念と共に順平の脳裏に深く刻み込まれたのだった。
公共の場で不特定多数の大衆から卑しめられるこのパーフォーマンスは、その日から順平の新しい日課として定着したが、かといって晩の夫婦への奉仕が免除されたわけではない。
依然として、夕食後にはナディア夫妻やライラ夫妻のセックスの道具にされ、続いて予約リスト順に村民の若夫婦たちに使われる日々が続いた。
しかも就寝前には理恵子のストレス解消に彼女の股間への舌奉仕を強いられ、その時間や頻度も日を追ってエスカレートしていった。
こうして、3カ月近くが過ぎた。
そして、こう着気味だった内戦も政府側の譲歩があって、漸く休戦協定が結ばれる日が来たのである。
これまでのテロ組織が、今後は野党として政権に協力する代りに、すべての人質や捕虜が解放されることになった。
これまで妨害電波が飛び交って携帯も無線も使えなかった戦場が、やっと正常な交信が可能な状態に戻り、首都のダマスカス空港も近く復旧される見通しとのことである。
「ちょっと、聞いて、順平。……とうとう戦争が終わったわ。……そしてさっき、私の携帯が通じるようになって日本の本社と連絡がついたのよ。」
沐浴場での午後のパーフォーマンスを終え、憔悴して帰宅した順平の耳に、理恵子の明るい声が飛び込んで来た。
とたんに、順平の心にも目の眩むような喜びが突き上げてきた。
“助かった。……これで、生きて日本に帰れるんだ!”との思いが込み上げる。
「これでお前も、テロに人質にされる心配が無くなったわけね。……ウフッ、ということは……そう、今晩のお勤めも止めていいのよ。もっともお前が続けたいと言うなら別だけどぉ。……フフフ」
「も、もちろん、勘弁して下さい。……ど、どうかお願いします。」
これでやっと犬の生活も終りだと思うと、順平の声が喜びに震えた。
「でも忘れないでね。お前と私の関係は変わらないのよ。……それに、ナディアとライラはお前の命の恩人なんだからね。……お礼奉公のつもりで晩のご奉仕は続けなさい。」
“そうだった。……でも、もうちょっとの我慢で済むんだ。”順平は心に呟く。
「そ、それで、日本への帰国のフライトは……」
「来週初めのチャーター便に乗れることになったわ。後5日間の辛抱よ。……それから、この後、ナディアとライラにお礼を言いに行くけど、お礼の台詞はこれから私が考えて教えるから、その通り言うのよ。間違えないでね。」
「あのぅ……さっき言われたお礼奉公のご奉仕のことですけど……」
「そう、向こうも遠慮があるだろうから、今度は、お前の方からお願いするの。……あと数日ですけど、お二人のご夫婦のセックスに毎晩奉仕させて下さいってね。……いいこと、これは上司としてのお前への業務命令よ。」
その日の夕食には、久し振りで順平も同席を許された。
台所の隅で残飯を犬食いさせられる日々が終ったのである。
しかし、犬扱いに慣れたナディアやライラ等の家族との距離が、一気に縮んだわけではない。
屈辱の日々の間に育まれた卑屈さが順平の態度に沁みつき、汚辱にまみれた男に対する無遠慮な軽蔑の視線は相変わらずだった。
それは、食後に順平がナディアとライラに感謝の言葉を述べた時にも、はっきり目に見える形をとった。
「それで、お前は、出発の前夜まで私たち夫婦への奉仕を続けたいと言うんだね。」
食堂に続くリビングのソファーに座ったナディアは、目の前の床に平伏している順平の頭を足先で軽く蹴りながら、からかうような口調で問いかける。
「ご、ご夫婦のお汁の味が……わ、忘れられなくなったものですから……」
「お前、以前は、腐った野菜スープのような味だって言ってたじゃない?……」
傍に座ったライラが口を挟む。
「そ、それが、この三カ月で……中毒になったようで……そ、それに、……も、もうひとつお願いが……」
そこで、すかさず理恵子が割って入る。
「それがね、こいつ、この一カ月の間毎日、女性の尻の穴を舐め清めているうちに、すっかりその部分に興味をもってしまったらしいのよ。……そりゃあ、最初の内は、涙を流して口惜しがっていたわ。……でも、こいつ自分でも気付かなかったようだけど、実は根っからの‘お尻フェチ’だったのよ。……ホラ、以前こいつに洗濯前のパンティを舐めさせたことがあったでしょう。……その時にも、お尻の汚れの部分をチューチュー吸って興奮していたわ。」
ナディアとライラは顔を見合わせる。
「ということは、私たち夫婦のセックスに奉仕するさい、お尻の穴も舐めさせてほしいということかしら?……ウフッ、いやらしいったらないわね。」
二人の軽蔑のまなざしにうなだれる順平。
彼にとっては、濡れ衣を着せられるに等しい理恵子のいじめだった。
否定することを禁じられている口惜しさが、ぐっと順平の胸に込み上げる。
「いいわ。夫たちは嫌がるかもしれないけど、私たちはOKよ。……二人共、バックも感じる方だから、穴の奥まで舌を差し入れてちょうだいね。……それに、前の方のお汁も零さないようにね。フフフ」
それからの数日は、当然ながら、彼女ら二組の夫婦への奉仕がぐっとエスカレートした。
これ迄は、セックス後の跡掃除と短時間のクンニだけだったのが、前戯や本番中の舌奉仕、それも、アニリングスまで加わったのである。
それが順平の希望だと信じた彼女らは、蔑みを露わにして彼を嬲り抜いたのだった。
歓迎されない帰還者
5日後、結城理恵子と山名順平は、無事、政府の用意したチャーター便で帰国の途に付いていた。
機内は今回の戦乱のとばっちりで、反体制側の捕虜になっていた日本企業の男性社員たちが大半を占めていて、どの顔にも憔悴の色が濃い。
しかし、いずれも命拾いしたとの思いで、一種の高揚感さえ漲っていて、見知らぬ同志でも体験談に花が咲いていた。
捕虜を免れた二人にも、周囲の会話がいやでも耳に入る。
とくに順平は、人質としての悲惨な体験話を聞くにつけ、犬としての屈辱に甘んじた我が身と比較して複雑な思いだった。
くつろいでいた隣席の理恵子が、声をかけて来た。
「順平、お前に未だ言って無かったけど、私が本社に連絡した時にね、お前のことを聞かれたの。……無事だって答えたら、びっくりしてたわ。……なんでも死亡した日本人のリストに誤ってお前の名前が載っていたらしいの。まさか女装して脱出したとは誰も思わないから、捕虜の名簿にも人質のリストにも名前の無い行方不明の日本人男性は、皆死亡と判断されたようよ。……」
「し、死亡ですって?」
「そう、一カ月前に社葬があって、現地社員で亡くなった人たちと一緒に、告別式まで済ませたんですって。」
「………………」
「経緯を話したら分かってくれたけど、帰国したらすぐに詳しい事情を聴取したいそうよ。」
「事情聴取……ですか……」
「そう、お前が犬としての生活を送っていたことも、隠しておくわけにはいかないかもね。……フフフ」
順平の気分は、いっぺんに落ち込んでしまった。
早朝に成田空港に降り立った二人は、会社の担当者の出迎えを受けた。
驚いたことに、理恵子の夫である結城行彦の顔も見える。
新妻の身を案じての出迎えであることは容易に想像出来たが、彼はたまたま社命で短期の海外出張のため理恵子と入れ違いに、この後直ぐに出国するとのことだった。
「よっぽど出張を断ろうと思ったんだが10日ほどだと言うし、君の顔を見てから、という我儘も聞いて貰って、数日出発を遅らして君を待っていたんだ。」
「そう、……今晩、再会を祝して一緒に御馳走を食べて、……それから、ウフフッ、久し振りでたっぷり楽しもうと思っていたのに、残念だわ。」
夫婦の熱い会話を洩れ聞きながら、順平は自らの婚約者、あの懐かしい木村幸子の面影を無意識に追っている自分に気付いていた。
その後、順平と理恵子は一緒に都内の病院に立寄って健康チェックを受ける。
精密検査の結果、幸い異常が無かったので二人はそのまま本社に直行し、人事部の会議室で個別に事情聴取を受けることになった。
結城理恵子が先に聴取に応じている間、山名順平は庶務課に向かった。
勿論、婚約者の木村幸子に会って無事を知らせるためである。
久し振りの再会に胸が躍った。
「木村幸子さんは休暇中のようですよ。このところ、ずっと顔を見せていませんね。」
庶務課の若い男性社員のにべない答えに当惑していると、顔見知りの女子社員に声を掛けられた。
「山名さん、山名さんじゃありません?……あなた、生きていたの?」
「も、もちろんさ!……このとおり元気さ。」
「内戦に巻き込まれて死亡したって聞いたわ。……先月の合同慰霊祭で、犠牲者たちを悼む会社主催の告別式まであったのよ。……黒いリボンを掛けた貴方の顔写真も一緒に飾ってあったわよ。」
「ご、誤報だよ。……連絡が取れなかったので、死亡したと勘違いされたんだ。」
「そんな!……そうだとしたら、ひどい話ね。」
「木村幸子さんは?……休暇中だそうだけど……」
「彼女は退職して、今、新婚旅行中。……同じ庶務課の広岡宏一さんと、先週結婚したばかりよ。」
「そ、そんな!……そんな馬鹿な!」
「……山名さん、ひょっとしたら、あなた幸子と結婚の約束でもしてた?」
「………………」
「そうかぁ、彼女ったら、婚約者が突然事故で亡くなったって、ひどい落ち込みようだったのよ。……あなたがその当事者だったとしたら、全てつじつまが合うわ。……でも、お気の毒さま!……彼女に好意を持っていた広岡さんが慰め役になっているうちに、意気投合してゴールインしたってわけ。……あなた、とんびに油揚げをさらわれたのよ。」
順平はショックのあまり、茫然として立ちすくんだ。
人事部へ戻ると、ちょうど聴取の終わった理恵子と入れ違いに会議室に呼ばれた。
同席の女性秘書に記録を取らせながら、人事担当の役員が次々と質問を投げかけて来る。
「いやー、君も随分苦労したらしいな。……ことの次第は、いま結城理恵子主任から詳しく聞かせて貰ったよ。……女装して難を逃れたのはよいが、村人に犬として飼われていたそうじゃないか。」
「い、命が危なかったので……やむをえず……」
「いいかね。君の方の事情はさておき、我々は会社の体面を守る立場なんだ。……うちの社員が命惜しさに毎日アラブ女のケツの穴を舐めていたなんて、噂が広まったら世間のもの笑いさ。……この件は君からは絶対に口外しないようにな。」
「わかりました。」
「ところで、君への懲罰人事だが……会社の方針に反して“世界の自然環境を守る会”に入会して会社を批判したかどで、係長からヒラに降格になった件は承知しているな。」
「辞令は受け取りました。私が脱会手続きを他人任せにしたための届け出ミスによるもので、申し訳ありません。……降格は止むをえませんが、結城理恵子主任の部下になるのだけは勘弁して頂けませんか?」
「昔部下だった彼女に顎で使われる辛さは分かるが、それを味わって反省するのが懲罰の趣旨というものだから、変更は出来ないよ。……それに、今回の事件で君は会社の体面を傷つけるような恥知らずな行為を取ったんだから、もっと厳しい処置を覚悟するんだな。……今しがた結城理恵子主任にもよく言っておいたよ。怪我さえさせなければ、どんな懲罰でも会社は黙認するから、うんと懲らしめてやって欲しいってな。」
「………………」
理恵子が、順平の‘犬の生活’をあからさまに報告したのは疑いなかったが、そこまで追い込まれた状況が全く理解されていないのは、残念だった。
しかも、会社の体面にこだわって、どうやらこれからの彼への懲罰が強化されるらしいのである。
婚約者の木村幸子を失ったうえに、職場では降格されて昔の部下である結城理恵子から虐められる……まさに踏んだり蹴ったりだった。
数日後、地方の工場勤務だった山名順平が、もと居た本社の環境施設係に転勤して最初の日を迎えた。
以前に在籍していた古巣だったが、環境業務の拡大でメンバーも5人から8人に増えていた。
しかし男性は2名に減り、その二人も海外に長期出張中なので主任の理恵子を含めて女性ばかり、唯一の男性である順平を入れて6人の職場である。
早速、係の全員が、職場の壁際に置かれた会議机の周囲に集められた。
「皆さん、今回工場現場から転勤になった山名順平君を紹介します。……といっても2年前までここの主任だったから、昨年入社した落合京子さん以外は、皆顔見知りだわね。」
「結城主任、質問していいですか?……山名さんはヒラに降格されたとのことですが、完全に私たちの同僚になったんですか?……それとも先輩として私たちに命令する立場ですか?」
「会社の階級では新入社員扱いと言いたいところですが、もう一つ下の派遣社員並みとなるので、皆さん全員が彼に対しては上司となります。……しかし、この男は会社に立て突いて懲罰として降格されたので、身分も皆さんよりずっと低く設定します。……そう、‘奴隷扱い’とでも言ったら分かり易いかしら?……もちろん皆さんはこいつを呼び捨てにして、うんとこき使って……そうね、いびってやって頂題。フフフ」
「それと、口答えしたり、直ぐに命令に従わなかった時は罰を与えます。……落ち度が無くても皆さんの気分次第で、好きなようにお仕置きしてもいいのよ。……私自身、昔ローマで身分の差を脳裏に刻み込ませるために奴隷に施したという、いわゆるローマ式懲罰が好みなの。」
「ローマ式ですって?……結城主任、私たちに見せて頂けません?」
「いいわ、この3カ月毎日続けているのよ。……それと、シリアの村に隠れていた時はね。……アラブ式を併用してたの。……ホラ、順平、ポーズを取って!……忘れたの?……そら、お前の得意なチンチンよ!」
それは、順平にとって残酷な命令だった。
女性社員たちの前で、犬真似をして生き恥を曝すのである。
しかし、この数カ月、理恵子に徹底的に屈従を強いられた順平は、彼女の命令に逆らえない精神状態に洗脳されてしまっていた。
つまり、彼女の前に立つと、叩き込まれた‘身分の差’をいやでも意識させられ、彼女の機嫌を損ねまいと自然に態度が卑屈になるのだ。
周囲の目を気にしながら、順平は彼女の前に跪き口を大きく開いた。
同時に、肘を折り両手首を前にだらりと垂らす。
これが、シリア滞在中に彼女から繰り返し仕込まれたチンチンのポーズだった。
すかさず、里恵子がカーッと喉を鳴らして溜めた痰汁が、順平の口中にペッと吐き込まれる。
以前のナディアの家族の面前での場合と同様に、どよめきが周囲に湧き上がった。
しかし、かって順平の下で働いていた女子社員たちの嬌声には、元の上司に対する同情ではなく、転落して屈辱にまみれた男に対する軽蔑のメッセージが込められていた。
「主任、こいつ、キモーイッ!」
「チンチン姿がおかしい!……でも、ホント、お似合いだわ。……」
周囲のざわめきが尾を曳く中で、理恵子はくるりと背を向けて男の顔の前に豊かな尻を突き出す。
スカート越しに、その割れ目に鼻を突っ込む順平。
クンクンと鼻を鳴らして女の尻臭を嗅ぐ姿に、今度はワーッと笑い声が湧いた。
「皆さん、見ての通り、こいつは私のお尻を嗅ぎながら、口の中の痰汁を味わっているのよ。……これで、いやでも身分の差が実感できるってわけ。」
たっぷり皆の面前で辱められた後、順平は理恵子から今日からの仕事の指示を受ける。
「私は会議が多いから、お前の仕事のトレーニングは落合京子ちゃんに任せることにしたわ。……そう、彼女がお前の直接の上司ってわけ。……お前には馴染みのない新人だけど、テキパキした性格だからいじめっ子の資格十分、たっぷりしごいてくれるわよ。……それから、分かっているだろうけど、ちゃんと敬語を使うこと、そして彼女の命令には絶対服従よ。」
「そ、それで、仕事の内容は?……それから、机はどれを使えば……」
順平の声には不安が溢れている。
「……そうね。お前にふさわしい仕事がいいわね。……そう、お茶汲みとトイレ掃除から始めたら?フフフ……それから、お前には机なんか無いのよ。暇な時には部屋の隅に立ってらっしゃい。」
その直ぐ後、落合京子の机の脇で、直立姿勢を取って緊張している順平の姿があった。
丸顔のグラマーでなかなかの美人だが、どこか底意地の悪そうな雰囲気がある。
「落合京子様、これからはどうか宜しくお願いします。……」
「いいわ。……そうね、まず、お前の呼び名を決めて上げる。……お前の得意技から取るのはどうかしら?……なーにぃー、自分のことなのにポカンとして。……さっきのチンチンよ。そう、お前の呼び名はチン。……良い名前でしょう?……お礼は?」
「………………」
「フーン、感激して物も言えないんだ。……でも、それって私の命令を聞かないってことよ。そういう時、私は遠慮なしに罰を与えるわ。……そら、チン、そこに土下座して!」
高卒の若い女に頭ごなしに命令され、順平は口惜しさに身が震えた。
それでも、言われた通り彼女の足元に土下座する。
すると、女の靴がその後頭部を踏みつけ、ぐいぐいと踏みにじった。
額が床に押し付けられ、彼女の足の動きにつれて左右に揺れる。
「お、お許し下さい、京子様。……すてきな、な、名前をどうも、あ、有難うございます。」
切れ切れに絞り出した屈従の言葉だった。
女は足の動きを止め、つま先を額の下に差し入れると男の顔をぐっとこじ上げる。
順平は床に跪いたまま顔を上げた。
「あらあら、チン、お前ったら顔が汚れてるわよ。……それも、額と鼻の頭だけがまだらに黒くなってるわ。……いいわ、私がお化粧して上げるから、じっとしてて!」
京子は身を屈めて顔を寄せると、男の顔にペッと大量の唾を吐きかけた。
そして、額からダラダラ垂れる唾液を踏みつけるように、ローヒールの靴の裏で男の顔面を擦る。汚れがまんべんなく顔一面に広がった。
「ウフッ、……唇は、こっちの足の靴底で黒くして上げる。」
京子は足を替え、汚れた靴の裏を順平の口に押し当てた。
唇がひしゃげて、ザラザラした埃が口内に擦り込まれる。
不潔感が込み上げ、思わず顔を引き気味になる。
「逃げちゃダメ!……そうだ、お化粧のお礼に靴の底を綺麗にしなさい。……そう、舌を出して!……靴の裏をペロペロ舐めるのよ。……そうそう、その味を忘れないようにね!」
四つん這いで女の靴裏を舐めるみじめな姿に、周囲の社員たちの視線が集まり、クスクス笑いが広がった。
こうして、順平はスタート時より、社員たち全員からあからさまな軽蔑を受ける身になったのである。
「チン、お茶がぬるいわよ!」
「至急この書類のコピーをお願い。お前に言ってるのよ。チン!……ソレ、走って!」
「チン、掃除の時間だわ。……女子トイレからよ。そら、キョロキョロしないの!」
あちこちから声が掛る。
殆どが揶揄するような声音だった。
昔の部下の女性たちに面白半分、顎でこき使われるのである。
それに、京子が、ことごとにクレームをつけて順平をいたぶった。
口惜しさに目を赤くする毎日が続いた。
犬の誓約書
順平が、新しい職場での屈辱に満ちた仕事に漸く慣れた……と、いっても、諦めて順応するようになった頃には、数週間が過ぎていた。
週明けの月曜日、出勤早々順平は主任の結城理恵子に呼ばれた。
「チン、お前にニュースがあるわ。……お前の婚約者だった木村幸子さんだけど……」
「か、彼女は結婚して退職したのでは……」
「その通りよ。……実は、先々週、彼女が新婚旅行から帰って来たと聞いたので、連絡して、レストランで一緒に夕食を食べながら色々と話したの。」
「……彼女、てっきりお前が死んだと思って結婚したけど、お前に悪かったと思っているらしいのよ。……もちろん、手遅れだけどね。」
「………………」
「それで、お詫び方々、お前を新居に招待したいんですって。……その時、ご主人にも紹介して、しこりが残らないようにじっくりお話がしたいそうよ。」
「そ、それは……」
「実は、私も主人と一緒にその場に招待されたの。……急な話だけど、今週の金曜日。仕事が終わってから、彼女の家で夕食を取りながら懇談しましょうって。」
順平の思いは複雑だった。
彼の死亡を真に受けて、婚約者の幸子が留守中に結婚してしまったことには、まだ諦められない気持ちと共に、その間の詳しい事情を知りたい思いが渦巻いていた。……出来れば幸子と二人だけで会いたい、でも彼女が結婚してしまった以上、彼女の主人が立ち合うのを拒否することは出来ない。……でも、その場に上司の結城理恵子夫妻が同席するのは不自然ではないだろうか?……しかし、幸子がそれを望んでいるとしたら、……拒否すれば幸子に会う機会が遠のくことになるかもしれない。
順平は、伏し目がちに理恵子の顔を伺いながら答える。
「幸子さんとはぜひ会って話したいけど、主任やご主人の結城行彦さんの前では……」
「お前、ひょっとしたら、私の主人が例のお前の退会届を握りつぶしたことを、そして、それが原因で降格されたことを恨んでるんじゃないの?……でも、事情が変ったのよ。……今や会社は、お前がシリアでの破廉恥な行為で世間の笑い物になることを、恐れているのよ。……それを外部のメディアに知られないように出来るのは私だけ。……だから、お前は、私に服従するしかないの。分かった?」
有無を言わせぬ理恵子の言葉には、これ以上逆らえなかった。
その週の金曜日の夕方、順平は指定された時刻に、都内の高級住宅街にある豪華マンションを訪れていた。
幸子の結婚相手の広岡宏一は、資産家の息子で、新居も親からの融資で購入したものらしい。
ドアチャイムの音にも高級感が溢れていた。
「アラ、いらっしゃい。……順平さん、お久し振り。……」
出迎えた幸子の顔は晴れ晴れとしていて、動揺の影は無い。
普段着のままだが、順平を魅了した抜群のスタイル、整った顔立ちとそこに浮かぶ生き生きとした笑みは、以前と変わっていなかった。
「みんなお揃いよ。……理恵子さんのシリアでの経験話で盛り上がっているところ。……あなたのことも色々聞いたわよ。ウフッ」
幸子の意味ありげな笑いで、順平は、理恵子が彼の恥辱を洗いざらい披露していることを直感して、思わず顔が赤らんだ。
招じ入れられたのは、台所とカウンターで仕切られた広々としたリビング・ダイニングルームである。
シャンデリアで照らされた食卓を囲んで、結城行彦、理恵子夫妻、そしてホスト役の広岡宏一がビールのジョッキを傾けていた。
「何してんの?……席に付いて。……さ、早く!」
雰囲気に押されて部屋の入り口で立ち止まっている順平に、理恵子が声を掛けた。
順平は食卓に近付き空席を眼で探したが、椅子が4つしか無い。
「ダメよ。……その椅子には幸子さんが座るの。……お前は、そ、こ。……床の上に直接座るのよ。……それと背広やYシャツは脱いで、下着だけになりなさい。」
理恵子の命令調の指示には、職場におけると同様、逆らい難い厳しさがあった。順平はしぶしぶ衣服を脱ぐ。
「幸子さんはね、私の話を聞くまでお前のことを本気で心配してたのよ。……そう、結果的には婚約者に裏切られたわけだから、そのショックに打ちひしがれて当然よね。……でも、それは普通の人間に対する場合で、お前には当てはまらないの。」
「じゃあ、ぼ、僕は、普通の人間じゃないとでも……」
「そうよ。……お前はシリアでいったん人間の資格を捨てて犬になった身よ。しかも、日本では職場で降格されて私や女子社員たちの嬲り者になってるわ。……そんな汚辱にまみれたお前に、幸子さんの夫になる資格があるとでも思っているの?」
順平は思わず項垂れた。
理恵子の言葉が、針の様にチクチクと心を刺したのである。
皆と同様、順平に冷たい視線を浴びせていた幸子の夫の広岡宏一がそこへ割って入った。
「俺もこの男を誤解してたよ。……運命のいたずらで、婚約者を俺に取られた気の毒な男と思って、慰めてやろうと考えていたが、聞けば、命惜しさに毎日アラブ女のケツの穴まで舐めていたとはな。……どうせ俺が居なかったら、すべてを隠し通して幸子の夫に収まろうとしてたに違いないさ!」
理恵子の夫の結城行彦が、口を開いた。
「そこで、お前の来る前に話し合って、皆の同意を得て決めたことがあるんだ。……理恵子、そこの誓約書の原稿を取ってくれ。……そう、こいつにサインをさせるのに、さっき作ったやつさ。」
結城行彦から手渡された紙に目を通した順平は、思わず瞠目した。そこには、……‘山名順平は、汚辱にまみれ、すでに人間の資格を失っていたことを隠していた罰に、これからは、結城行彦・理恵子夫妻、並びに広岡宏一・幸子夫妻に犬として扱われ、訓練を受けることを誓います。’……とあった。理恵子が口を添える。
「お前のサインはその下でいいわ。……先日も言ったでしょう。お前は私に服従するしかないのよ。……さっさと署名して!」
シリアで去勢を避けるために、ナディアたちの前で人間を捨てて犬になると誓った悪夢の再現である。
しかし、シリアでは内戦が終わるまでとの前提があった。
「でも、期限は?……いつまで我慢すれば……」
「馬鹿ね。それは私たちが決めることよ。……でも安心なさい。このことは会社には報告しないわ。あくまでも、私たちとお前のプライベートな関係よ。」
理恵子の‘プライベートな関係’と言う表現で、順平は内心ホッとした。
少なくとも、シリアでのように公衆の面前で辱められる事は無いと取れたからである。
フーッと大きくため息をついて、順平は差し出された誓約書に思い切ってサインした。
さすがに口惜しさで目がうるむ。
食卓から見下ろす二組の夫婦の前で、床の上に正座して誓いの言葉を再度口に出して言わされた時、順平は改めてその内容を実感した。
遅まきながら、やるせない屈辱感がぐっと込み上げて来たのである。
「じゃあ、幸子さん、お願いするわ。……私がシリアから持ち帰った例のものを、こいつに着けてやって!」
そして、幸子の手に握られた物を見て、順平の身体がピクリと震えた。
かって、シリアでナディアから理恵子に手渡された、赤い曳き紐付きの犬の首輪がそこにあった。
理恵子が順平に向かって黙って顎をしゃくる。
彼女の意図を察して順平は、すごすごと四つん這いで幸子の椅子に近付き女の膝の間に頭を差し伸べた。
幸子の手が動き、首輪が首筋にひんやりと触れる。
かっての婚約者に、犬と見下げられ、首輪まで嵌められるみじめさに胸が詰まった。
「ちゃんと訓練して、犬として可愛がってやるから、心配しなくてもいいよ。」
ぞんざいに声を掛ける幸子の態度も、もう今までと違っていた。
そこで、幸子が中座して料理を取りに行っている間、理恵子が言葉を継ぐ。
「実はね、お前が人間の資格を失ってまで、幸子さんのために童貞を守ったこと、私から報告して上げたのよ。……今となっては却って裏目にでたけど、彼女、お前を憐れんでプレゼントをくれるそうよ。」
‘プレゼント’の一言に引っ掛かるものを感じた順平だったが、その謎は直ぐ解けた。
席に戻った幸子は何やら手に持っていて、それを彼の目の前に拡げて見せる。
「ホラ、お前が人間を捨てる前にリクエストしていた、臭い付きの私のパンティ。……昨夜から穿いていたのを、たった今わざわざ脱いで来てやったのよ。……犬になったお前にふさわしいプレゼントでしょう?……ソラ、皆の前で臭いをよく嗅ぐのよ!」
幸子は、いきなり股間の汚れが付いた部分を彼の顔に押し付けた。
ムーッする女の性臭を胸一杯吸わされて、順平の股間が熱くなった。
「せっかく幸子さんに首輪姿にして貰ったんだから、ついでに職場で好評のお前の得意のポーズをみんなに見て頂きなさい。」
ぐっと口惜しさをこらえて、順平は食卓の前でしゃがみ込み、幸子のパンティを咥えたまま例のチンチンをした。
両手を曲げて前にだらりと下げ、同時に尻を上下左右に振ってみせる。
その珍妙さに食卓の皆が笑い転げた。
不思議なことに、今や笑われることに慣れた順平の心には、屈辱すら心地よく感じる倒錯した感性が芽生えてきていたのである。
「この特技で職場ではチンと呼ばれているのよ。……ついでに、こいつの下半身にぶら下がっている、役立たずのチンチンも点検しましょう。」
理恵子は床に延びた曳き紐を手にし、ぐいと引く。食卓を背に前のめりに四つん這いになった順平のブリーフが、皆の視線の中、彼女の手で一気に引き下げられた。
「ふーん、これが私のあそこに入る筈だったものね。」
幸子は横からしげしげと覗き込みながら、椅子から足を伸ばしスリッパの先で順平の尻の間の一物を後ろからチョンチョンと小突く。
それはみるみる容積を増した。
「ウフッ、さすが童貞だわ。感度抜群っていうところね。……でも、遅かったわ。私の大事な所には夫の宏一さんのものが入ってしまったのよ。……残念だわね。お気の毒さま!
……しかし、お前の役割も未だ残ってるわ。今晩ね、夫とセックスした後、宏一さんが出したお汁を私のあそこからお前に直接吸わせて上げる。……そう、お前はここに泊って私たちが楽しんだ跡の後始末役をするのよ。……犬になったお前にふさわしい訓練だと思わない?」
幸子に続いて理恵子も足指を男の一物に絡めた。
萎えかけたそれは、また元気を取り戻す。
「これをちょん切ると言われて、お前は人間を捨てたんだっけ。……でも、今となっては無用の長物ね。一度犬にされた男とセックスする女なんて居ないだろうしね。……その代り、遠慮なくお口を汁受けに使って貰えてよ。……そう、実は、私たちも今晩こちらに泊めて頂くの。幸子さん夫婦の後で、私たちのジュースも吸わせて上げる。……つまり、ダブルヘッダーってところね。私たち二組のカップルのお汁の味を比べられるなんて、滅多に無い機会よ。」
「………………」
転落の一夜
女たちに嬲られて股間を膨らませている順平を、それまで嘲りの目で見下ろしていた広岡宏一が、ハッと我に返ってビールのジョッキを握る。
「そうだ、せっかくの料理が冷めちゃうぞ。……折角だから全員で乾杯しようぜ」
「貴方、ちょっと待って。……良いアイディアが有るわ。」
幸子は、思い立ったように立ち上がると、そのまま洗面所に向かった。
数分の後、戻って来た彼女の手には大量の黄色の液体が入ったプラスチックの屎瓶が握られている。
「ハイ、これ、私のおしっこ!……乾杯用に犬に飲ませようと思って、今出して来たばかりよ。」
いささか酔いのまわった理恵子の夫の結城行彦が、思わず卓を叩く。
「こりゃあ良い!……元婚約者の小便をその夫の前で飲まされるなんて、犬に転落した男にふさわしい儀式だ。……理恵子、その後でお前のも飲ませてやれよ。」
「いいわ。……このさい、全員のを順番に飲ませてやりましょうよ。……自分の婚約者を寝取った男の小水を飲まされるなんて、こいつ、どんな顔をするか見てみたいわ。」
「じゃあ、用意は良いな!……山名順平、またの名チンの犬への転落を記念して……乾ぱーい!」
結城行彦の音頭で、一同がジョッキを上げた。
下半身裸にむかれ、一人床にへたり込んでいる順平の手には、幸子の尿を満たした屎瓶が握られている。
ブルブル震える手でそれを口元に近づけると、プーンとアンモニアの臭いがした。
皆の視線を痛いほど感じながら、順平は思い切ってその汚水を咽喉に注ぐ。
半ば自棄気味に、ゴクリゴクリと喉仏を上下させ夢中で飲み干した。
「キャアーッ……こいつ、私のオシッコ、ほんとに飲んだわ。……きもーい!」
幸子は呆れ顔である。
しかし、順平にとっては、今夜予定されている転落への序曲でしかない。
しばらく時間を置いて、今度は理恵子が空の屎瓶を手にトイレに立つ。
一同に囃されながら、生温かい女の汚水が再度順平の胃の腑を満たした。
やがて後に控えた男たちの番になって、広岡宏一が、突然、思いもかけない発言をした。
「俺は屎瓶を使うのは止めた。……直接飲ませて、泣きっ面を見てやりたくなったんだ!」
彼は、茫然とする順平を股間に跪かせ、その顔の前でおもむろにジッパーを下ろした。
「オイ、首を伸ばしてくわえるんだ。……そうだ、よくしゃぶってみろ。これが今晩、お前が憧れていた幸子様のあそこに入るんだ。お前は、彼女にここから出る汁を吸わされるのさ。……その前に、今の内に俺がお前の口を便器として汚しといてやるから、有難く思え!」
順平の口の中で容積を増したそれが、咽喉を塞いだ。
さすがに悔し涙が順平の頬を伝う。
チョロチョロと男の汚水が注がれた。
噎せないように咽喉を拡げ、それを胃に送りこむ順平。
飲み終わったその口から、絞り出すような嗚咽が漏れた。
「マア、哀れなこと!……これで、この男は私の夫に一生頭が上がらないわね!……」
幸子が感に堪えぬ面持ちで呟いた。
そして理恵子が言葉を繋ぐ。
「最後は私の夫よ。……実はうちの人ったら、結婚してからセックスの度ごとに私にオーラル愛撫をせがむの。でも、それって潔癖性の私にはとても無理。……そこで、今のシーンを見て思い付いたんだけど、チンの口を使うのはどうかしら?」
「賛せーい!……私もホモっ気が無い男が無理やりフェラさせられるところ、見てみたいわ!」
理恵子の提案にさっそく幸子が悪乗りする。
順平は二人の女たちに首輪の紐を曳かれて、食卓用の椅子に座った結城行彦の前に正座させられた。
屈辱に震える順平の鼻の頭にぐにゃりとした行彦の一物の先が触れる。
湿った先端からプーンと尿臭が鼻孔を突いた。
「口を開けて!……夫のものをくわえなさい。……ただし歯を立てちゃダメよ!」
理恵子の手が後ろから順平の頭髪を掴み、その顔面をぐっと行彦の股間に押し付けた。
口内に含んだ肉塊が硬さを増し、喉の奥に触れる。理恵子が今度は髪を後ろに引くと、肉棒の先端が舌の上に戻った。
と、思う間もなく再び押し付けられる。
今度は硬さを増した一物の先が、喉の奥まで押し込まれた。
思わず吐き気を催したが、懸命にこらえる。
女の手の動きにつれて順平の首がリズミカルに前後に揺れ、その舌と唇で行彦の奴張をマッサージする結果になった。
「おい、良い気持ちになって来たぞ。……下の方はこいつに任せて、俺たちは上の方で楽しむとしようや。」
理恵子は男の髪から手を離し、順平の首を跨ぐ姿勢で夫と唇を合わせた。
「さぼるんじゃないのよ。……もっと首を振って!」
後頭部を挟みこんだ女の股間が、手の動きに代って奴張をくわえた順平の首の動きを巧みにコントロールした。
上の方から二人が唇を吸い合う音が聞こえ、情けなさが倍加する。
眼の眩むような屈辱の時間が延々と続いた後、肉棒の動きが急に激しさを増した。
それは順平の口の中で痙攣し、喉の奥に多量の精液を放出して果てた。
「どうだ、汁受けにされた感想は?……ご主人様のその味を忘れないようにな。」
「あなた、見て!こいつ、目が真っ赤よ。……口惜しくって味どころじゃなかったようよ。……セックスの後始末をさせるのも悪くないけど、私が生理の時には、こういう使い方も便利だわね。……ところで、あなた、忘れものよ。」
「そうだ、忘れてた。続きにションベンも飲ませてやろう。……ホラ、出るぞ!」
噎せそうになりながら、慌ててゴクリゴクリと咽喉を鳴らす順平。
夕食の最後を飾るこの一連のプレイで、座の空気がどことなく淫靡なムードに変わった。
結局、順平は四人の小水以外は、何も口に出来なかったことになる。
それは、胃の中に食べ物が入ると、続いて予定されているセックスプレイで二組の夫婦の多量の愛液を吸い取るのに差し支えるとの理由からだった。
「さあ、デザートはパスして早速本番といこうや。……俺たちもお預けをくってモヤモヤして来たぜ。」
広岡宏一の一声で、舞台は食堂を離れ寝室に移る。
玄関の反対側に夫婦用と来客用のベッドルームが並び、その間にどちらからも利用できる広々としたトイレ付きのバスルームが設けてあった。
順平は、幸子夫婦のセックスの後始末を終えたら、バスルームを抜けて客用寝室で今度は理恵子夫妻のジュースを吸う様に言い渡される。
まさに理恵子の言うダブルヘッダーだった。
思いもかけず屈辱の一夜を過ごすことになった順平の脳裏に、あの悪夢のようなシリアでの経験が蘇ってきた。
毎晩のようにナディア夫妻とライラ夫妻、そして村の若夫婦たちの股間を吸わされていた地獄のような日々である。
しかし、あの時は内戦さえ終われば、恋しい幸子の許へ戻れる、そして守り通してきた童貞を彼女に捧げる、との強い思いが彼の支えだった。
しかし、事態は急変してしまった。
今度は、いまや人妻となった当の幸子と元部下だった理恵子の二人に犬と蔑まれ、それぞれの夫とのセックスを見せ付けられた上、ジュースや小水まで吸わされるのである。
その気の狂うようなみじめさと屈辱感に耐えるためには、順平は頭を空にして犬に成りきるしか無かった。
そうした強い一種の自己暗示が精神異常に陥るリスクを避ける効果があることを、順平はシリアでの辛い経験から身を持って学んでいた。
しかし不幸なことに、幸子や理恵子にとって、そうした態度は‘変態’と映り、かえって軽蔑を深め、遠慮なく邪険な扱いをする結果になった。
ダブルベッドの上で抱き合う幸子夫妻、その裾で跪きチンチンしながら命令を待つ順平。
絵に書いたような屈辱の舞台で、幸子が夫と唇を合わせながら声を掛ける。
「お前も私にキスしたいでしょう。……お情けに許して上げるわ。でもお前のキスする場所は唇じゃないのよ。……もっとお前にふさわしいところ、そう、お尻の穴よ。……それも条件があるわ。私が済んだら夫の穴にもキスすること。いいわね!」
首輪の曳き紐が引かれ、ベッドの上につんのめった順平の顔に、幸子の豊満な尻割れが宛がわれた。
「馬鹿、舐めるんじゃない!……吸い付くのよ。……ソラ、舌の先を穴の奥に入れて……そうそう、そこをよく味わうのよ。……」
「オイ、変態!……次は俺の番だ。……しっかり舐めて、お前の恋しい幸子様のと味を比べるんだぞ。……これからは俺たち夫婦に会う度に、挨拶代わりにケツの穴を舐めさせるからな。」
やがて、二人はセックスに移る。
再びチンチンのポーズに戻った順平の目の前で二人の裸身が抱き合い、激しく腰をくねらせる。
股間を熱くして羨望の視線を投げかける順平の前で、頂点が来た。
下半身の痙攣が終わって二人が余韻に浸った後が、彼の出番である。
「ホラ、後始末だ。……俺が抜く時零してシーツを汚さないようにな。」
順平は仰向きになって顔を二人の結合部の下に差し入れ、舌を伸ばす。
未だ硬さの残る肉棒が女の膣口から引き抜かれると、白濁した汁がみるみるうちに溢れ出した。
そこへ唇を当てチューッと吸い取ると、今度は肉棒を口に含んで清める。
次には身を起した幸子の股間が順平の顔を覆い、膣口が唇に押し付けられと同時に肛門が鼻孔を塞いだ。
「私のお尻の穴の臭いを嗅ぎながら残りのジュースを飲むのよ。……そして自分の惨めさをよく噛みしめなさい。」
二人がシャワーを浴びている間に、順平は四つん這いのままバスルームを抜けて、客用の寝室に移る。
そこでは、すでに理恵子が全裸で夫と抱き合っていた。
「遅いわよー。……私たちの下半身の間に首を差し入れて、結合部を舌で刺激するのよ。……そうそう、もっと強く舐めて頂戴。」
たっぷり前戯に時間を掛けた理恵子夫妻が果て、結合が解けると直ぐに女の太ももが順平の首を挟みこむ。
懸命にその股間を吸う順平。
「もっと舌を使って!……私をもう一度良い気持ちにさせるのよ。……そうよ、その調子。」
長時間の挿入で敏感になっている女陰は、貪欲に順平の舌と唇を蹂躙した。
「挿入は夫しかさせないけど、お前には犬としてその後始末とオーラル奉仕を許して上げる。……私たち、生理の時はキスだけで挿入しないけど、お前には舌奉仕させるからね。」
「おいおい、お前が生理の時の澱物なんか、こいつ、口に出来るかな?……第一、臭いがきついだろうしな。」
「大丈夫。私が仕込んでやるわ。……あなた、こいつが犬なのを忘れちゃダメよ。……人間にとってどんなに屈辱的なことでも、こいつには受け入れるように訓練してやる」
夫婦の会話はいやでも順平の耳に入る。
これからの屈従の日々が思いやられ、舌を動かしながら自然に涙が零れた。
その後、再び幸子夫婦の寝室に戻った順平は、二回目の後始末を命じられる。
菊座からの糞臭を嗅がされながらの後始末でたっぷり屈辱感に浸った後、再度、理恵子夫妻の許を訪れた。
そこでは夫の行彦はすでに眠りに落ちていたが、欲情に火が着いた理恵子がそのまま解放してくれる筈がない。
再び股間に首を挟まれて延々と舌奉仕を強いられた。
一夜明けて翌日は週末の土曜日、二組の夫婦は朝昼兼用のブランチの食卓を囲んでいた。
首輪のままの順平は、下着姿で床に手を突いた姿勢でかしこまっている。
一同は深夜にわたった性宴の疲れも見せず、理恵子のシリアでのスリル満点の脱出劇を中心に、話題が弾んでいた。
理恵子が持ち帰った手書きの絵、例の沐浴場の壁に貼られた人間の顔をした犬の絵に、皆の笑いが弾ける。
早速、幸子夫妻が口々に感想を述べた。
「似てるわー、顔がこいつにそっくり。……チンチンしながらアラブ女の尻を舐めるなんて、全くお似合いね。……でもこいつ、本当にこんなことまでしたの?」
「もう一つの絵の方が強烈だぜ。……顔に跨られて、尻に着いた糞を舐めさせられてるなんて、……そうだ、幸子、お前もやってみたらどうだ。」
「そうね。昨夜は臭いをたっぷり嗅がせてやったから、今朝はお味を覚えさせようか?……ねえ、お前、後でアラブ女のと比べてどうか、みんなに感想を聞かせるのよ。」
話の急展開ぶりに、屈辱よりも戸惑いを隠せない順平だった。
少し間をおいてトイレに立った幸子が戻って来ると、猶予なく首輪が引かれる。
「さ、わざわざ拭かないで来てやったからね。……穴の中まで舌を入れて綺麗にして頂戴。いいわね。」
肩を蹴られて床に横転した順平の顔に幸子の股間が迫る。
プーンと糞臭が鼻を突いた。
屈従に馴らされた身ではあったが、さすがにためらい心が湧く。
だが迷う暇を与えず、幸子の菊座が唇に押し付けられた。
べっとりとした糊状の便が舌先に触れるや、ようやく諦めに達した順平は、唇で粘膜を包みこむ。
吸うにつれ苦い糞汁が舌一面に広がった。
舌先を尖らすようにして女の肛門に差し入れると、便の残渣が口中に落ちて来た。
「いいわ、その調子よ。……はい、そこでチューチュー吸って!……そう、私ってそこも感じるわ。暫く続けてみてね。」
半ば自棄気味に音を立てて幸子の肛門を吸う順平。
見守る一同から軽蔑のクスクス笑いが洩れる。
「理恵子、お前もやってみろよ。……元婚約者と元カノの味比べも乙なもんだぞ。」
夫の結城行彦がけしかけた。
頷いてトイレに立つ理恵子。
暫くして座に戻って来た理恵子は何故か浮かぬ顔である。
夫にわけを聞かれた彼女は当惑気に答えた。
「出ないのよ。……これで三日もお通じが無いの。……出そうなんだけど、……塊が出口に詰まっている感じよ。」
「それじゃあ、こいつに出口を舌で刺激させたら?……何なら、口で吸い出させたらどうだい?」
「それって、こいつを便器にするってこと?」
「こいつを人間と思わなくていいって君も言ってたじゃないか。……だが、いきなり食べさせたら吐き出してしまうぞ。最初は口の中に溜めることを仕込めばいいさ。」
「そうね、こいつは既に私の痰壺なんだから、糞壺に落としてもいいかぁ……ウフッ、幸子にはトイレットペーパーにされたんだから、それと五十歩百歩ね。」
未だに延々と幸子の尻の下で肛門を吸わされ続けている順平には、傍らの理恵子夫婦の会話が自然に耳に入る。
理恵子の糞壺にされる屈辱が避けられぬ運命と悟って、背筋に悪寒を覚えるほどの屈辱感に全身を震わせる順平だった。
(完)