屈辱と転落の青春 ― ニューヨークの罠 ―
雑誌「女神の愛」掲載作品として2012年2月末に脱稿 阿部譲二作
プロローグ
「じゃあ、健介さん、くれぐれもお身体に気を付けてね!ニューヨークの夏は暑いけど、冷房を入れたまゝうたた寝すると風邪をひくわよ」
「分かった。では行って来るよ。真佐子さんも元気でね。……なーに、二年なんてアッと言う間さ」
成田空港の出発ロビーを背にした二人は、出国ゲートの前で束の間の別れを惜しんだ。
「ニューヨークの宿舎にチェックインして落ち着いたら、直ぐにメールをちょうだい。付近の街の雰囲気も知らせてね」
「もちろん! 君が昔、高校時代を過ごした街だもの。きっと素晴らしい環境だよ」
「でも、マンハッタンは治安が悪いわ。夜の外出は控えてね」
「分ってる。無事マスターの学位を取って帰るさ。……そしたら、君のお父さんの許しを貰って、東京で目出度く君との結婚式だ。」
折しも繰り返される搭乗案内のアナウンスに追われるように、真佐子に手を振ってゲートをくぐる健介だった。
阪神の震災で家族を失い、遠縁を頼って東京の大学に学んでいた山崎健介が、母校の学園祭で、偶然、帰国子女の小笠原真佐子に出会ってから未だ一年にもならない。
道で人が振り返る程の美貌の真佐子に一目で恋心を抱いた健介は、交際を重ねるごとにその思いを募らせた。
しかし、女性との交際に不慣れなうえに、セックスの経験も無い。
デートの度に、真佐子のむせるような豊満な姿態に魅せられていたものの、遠慮がちに手を握ったり、腰に手を回すのがやっとだった。
短大に在学中の彼女より2歳年長の健介は、今春卒業したところ。
一時は就職を考えたものの、彼女が卒業するまでの間、9月から米国の大学院に留学して念願のMBA(経営学修士)の学位を取ることにしたのである。
小さいながらも企業経営者の真佐子の父も賛成してくれ、帰国後は自分の会社に将来の幹部として迎え入れてもよい、とまで言ってくれた。
フライトは順調で、エコノミー席は満杯近かった。
健介は、暗さを増した窓外に目をやって想いにふけった。
……昨日のことである。
彼女とは、出発を翌日に控えて最後のデートだった。
レストランで夕食の後、二人は人通りの少ない川添いの散歩道で、肩を寄せ合って歩いていた。
夏も盛りを過ぎていたが満天の星が美しく、二人の間にはロマンチックなムードが漂っていた。
おずおずと肩を抱いていた健介の手が彼女の腰に回り、やや震えながら女の豊かなヒップに触れた。
「いいのよ、健介さん。触りたかったら、遠慮せずにお触りなさい……私の、お、し、り、フフフ」
男の手が、びっくりしたようにピクッと動いた。
もともと勝気で、アメリカ育ちによくある、歯に衣きせぬストレートな物言いをする真佐子らしい口調だった。
彼女は、さっきからおどおどして煮え切れない健介の態度に、じれきっていたのだ。
「意気地無し! 最後の晩だっていうのに、私をホテルに誘おうともしないし、キスをしようともしないのね」
「ごめん。君の気持が分らなくて……ぼ、僕は自信が無かったんだ。君に嫌われるのが怖くてさ。……君以外には、付き合っていたガールフレンドもいなかったし、慣れてなくて……」
「アラッ、それじゃ健介さん、貴方、まだ童貞なのね!」
「そ、そういうことに……」
「じゃー、いきなりホテルは無理ね。キスぐらい許して上げてもいいけど、かえって思いが募って勉強の妨げになりそうね。……いいわ、それも二年間お預けよ。その代わり、明日、素敵なプレゼントを上げるわ」
甘い昨夜の想いに浸っていた健介は、チェックインの時に彼女から渡された紙包みを思い出した。
“飛行機に乗るまで開けないで。……恥ずかしいから”
と、そっと囁いた真佐子の声が耳もとによみがえった。
頭上のクロゼットから手荷物を下ろして赤いリボンの掛った紙包みを取り出す。
開くと、まず彼女の筆跡のメモが出てきた。
“健介さん、今頃は飛行機の中でしょうね。デートの度に私のお尻をこっそり盗み見ていた童貞の貴方に、私の体臭の沁み込んだ下着をプレゼントします。いつも、この匂いを嗅ぎながら、私の身体を想像してオナニーするのよ。他の女性と浮気なんかしたら、承知しないからね。愛してます。貴方の真佐子より”
「彼女は、ちゃんと気付いていたんだ……でも、いかにも真佐子らしい!」
健介は、心の中で呟くと、二重にパックされた包みの中をそっと覗いた。
シールの付いたポリ袋の中に、彼女のピンク色のパンティが見える。
思わず取り出して顔に当てたい衝動を抑え、周囲を気にしながら、あわてて包みを手荷物の奥に突っ込んだ。
ニューヨークの秋は短い。
というより、中西部から東海岸にかけて大陸性気候が支配しているため、例年、夏から一気に冬になる傾向がある。
だが、秋のセミスター(学期)が始る9月は、未だ盛夏の名残が残っていた。
ところで、山崎健介が留学を予定しているハドソン大学は、有名校と言うわけではないが、ここのMBAの学位取得者は米国でも高い評価を得ていて、大手企業から引っ張りだこだった。
従って競争も激しく、入学料や授業料も高い。
身寄りが無く資金の乏しい健介は、予め奨学金に応募して仮合格の通知を貰っていた。
仮合格と言うのは、いわば第一次試験に合格しているようなもので、現地での面接が最終選考のハードルとして残っていた。
しかし、昨年の入学者から、面接は形式的と聞いていたし、経済的に余裕が無い場合に備えて現地の日系旅行社に、パートのガイドとして採用して貰うことになっていた。
万一の場合は、半年ほど休学して旅行社のフルタイム従業員として勤務すれば、十分生活でき貯金もできる筈だった。
ハドソン大学のキャンパスは、ブロンクス地区がメーンだが、アドミニストレーション(管理部門)の事務所は、ビジネスの中心になっているマンハッタン地区にある。
大学院学生用のドーミトリー(寮)は、マンハッタン島から北に外れたホワイトプレイン空港近くにあるが、交通の便が良くないので人気が無い。
健介は、予め、マンハッタンの中部にあるYMCAの宿泊設備を選んでいた。
ここだと、メトロ(地下鉄)が使えるので交通も便利だし、旅行社も近い。
第一、宿泊費が安いのである。
ニューヨークのケネディ空港に無事到着した健介は、バスでマンハッタンに向かった。
時差の関係で、現地は未だ早朝である。
YMCAでのチェックインは、午後にならないと受け付けが始まらないので、健介はまず、そこから徒歩で20分ほどの距離にある旅行社を目指した。
日系大手の旅行社と言えばH.I.S.が有名だが、健介が採用して貰ったのは、その現地傍系会社である。
国連ビルの地下の売店の隣が事務所になっていて、10数人の従業員が働いていたが、その殆どが女性だった。
オフィスマネージャー(事務所長)の遠藤ケイコはアメリカ育ちの日系3世だそうで、未だ30代の若さである。
応接室に通された山崎健介は、心なし少し硬くなっていた。
「うちの社の東京事務所から、連絡を受取ったところなのよ。大学が本業でこちらはパートで、とのことらしいんですが、それに間違いありません?」
「ええ、勝手を言わせてもらえるなら、授業が4時に終わるので、5時頃からの勤務が理想です。でも、学校の方が忙しくなったら、こちらへ来る時間を減らして欲しいんです」
「ほんと、ずいぶん身勝手な話ね。それじゃ、ナイトツアーのガイドしかできないじゃないの。それも毎日あるってもんじゃないのよ。ここで働いているのは、バスの運転手二人を除いて全員女性なの。それも、亭主持ちが10名、独身は私を含めた残りの3名だけよ」
「僕でできることなら何でもやります。事務所の掃除でも使い走りでも……」
「そう言われてもね。……そうだ、あんた、マッサージできる?そら、お客さんの肩や腰を揉む仕事よ。日本人の旅行者のニーズがとても高いのよ。だから儲かるわよー」
「それは、やったことがなくって……第一、マッサージ師の免許が要るでしょう」
「それはいいの。力があってちょっと修行さえすれば、素人で十分。ここではアメリカ人のマッサージは、肌に油を付けて擦るだけなのよ。日本人には向かないので、何時も高いお金を払って韓国人のプロに頼むの。……あなたさえよかったら、その韓国人に弟子入りしてみない?」
「そ、それはいいですが……その韓国人の人は、目かなんかが悪いのですか?」
「プッ、笑っちゃうわね。目の悪い人があんまをやるっていうのは、昔の日本でのことでしょう。こちらは、そうね、日本でもあるでしょう、性感マッサージとか言うのよ。その韓国人プロも、私の友たちだけど30代の女性よ。もちろんセックスが売り物じゃなくて、求められれば太ももやお尻も揉むというだけ、至って真面目なものよ」
「ところで、ぶしつけなことを聞くけど、あなた、……あなたのセックス・ライフはどうなの?まさか、ゲイじゃないでしょうね」
「ま、まさか、……もちろんノーマルですよ。で、でも……」
「でも、どうなの?」
「日本に恋人が居るんです。未だ清い仲ですけど……」
「清いって、ずいぶん古風な言い方ね。……意味は分かるけど、……それじゃあ、キスまでっていうことね」
「そ、それも……まだ……」
「あきれたぁ。今時、それは恋人って言わないわよ」
「でも、すばらしい美人で、……私とは相思相愛で……」
「ごちそうさま。あなたって、まるで前世紀の遺物ね。フフフ。じゃあ、ひょっとして童貞だったりして」
「じ、実は、そうなんです」
「フーン、それはかえって厄介ね……若い男ってね、どうしても性欲の処理が必要なのよ。ここではその方法を間違えると、エイズをうつされたり、商売女に騙されたりして破滅するの。覚醒剤やヤクの誘惑に負けることもあるわ」
思いもかけない方に話が発展してしまったが、それからの話し合いで決まったのは、勤務時間は夕方5時から11時のパートタイムで、とりあえずナイトツアーのガイドとして9月から事務所に毎日詰めること、事務所の掃除や雑用をこなすこと、韓国人のプロを紹介するから早急にマッサージの修業を始めること、などだった。
その後、事務所の全員に紹介された。
特に、まだ独身だという二人の女性、どこか色っぽいマキと長身のエミが、これからは健介の指導を担当するとのことだった。
現地のハイスクールを出たばかりとかで、二人とも健介より年下である。
その後、YMCAに戻って無事チェックインを済ませ、ベッドと机のみの殺風景な部屋に落ち着いた健介は、玄関脇のラウンジにあるインターネットコーナーから、真佐子への最初のeメールを発信した。
“愛する真佐子へ。無事、ニューヨークに着いたよ。パートの仕事もうまく行きそうだ。明日からの週末は3連休だ。来週早々に大学の事務所で入学手続きを取るつもり、また報告するよ。これから君のプレゼントを抱いて君の体臭にまみれて寝るつもりだ。では、お休みなさい。君の健介より”
童貞喪失
アメリカの9月の第一月曜日はレイバーデイ(勤労記念日)で3連休になる。
時差ボケで寝過ごした健介は、下のカフェテリアで朝昼兼用の食事、いわゆるブランチを取った後、昨日、旅行社の事務所からアポイントをとってもらったプロのマッサージ師だという韓国女性に会いに出かけた。
アメリカでは、休日にビジネスのアポを取ることは普通無いが、彼女は土曜に自宅で営業しているとのことで、特別に会ってくれることになったのだ。
生まれて初めて経験するメトロや、写真でしか見たことのない摩天楼が林立するニューヨークの街並みに胸を躍らせながら、地図を頼りにやっとたどりついたのは、午後3時を過ぎていた。
閑静な住宅街の中にマッサージの文字と並んで、アキュ・パンクチャー(鍼治療)の看板が出た家だった。
一見、周囲の家と変わらない広い庭に囲まれた一戸建ての住宅だが、玄関脇に施療用の装備を備えた部屋が設けられていた。
白衣を着た若い女性が出迎え、ロビーでしばらく待たされた後で、応接室に通された。
23歳の健介より年上であることは確かだが、未だ30台らしく、なかなかの美人である。
韓国人といっても、同じアジア系なので、日本人と言っても分からないだろう。
それに、東京に住んでいたことがあるそうで、流暢な日本語を話す。
「私の名前はキム、未だ独身よ。……やっと、今日の診察が終わったわ。これからは私のお楽しみ時間、少しはくつろがせてね。……ところで、ケイコから聞いたけど、マッサージのレッスンを受けたいのですって?」
いきなり、くだけた口調で話しかけられた。
ヌメヌメとした唇が、妙に肉感的だった。
「はい。旅行社のパート社員に採用されたんですが、日本人観光客からマッサージの注文が多いと聞いたので……」
「そうね。でも、ライセンスを取るには、学生のパートじゃ無理ね。正式に資格を取って営業するとなると、組合もあって面倒なのよ。……だから、あなたの場合はヤミね。つまり、素人のまゝお客にサービスすることになるわ。あまり、お金にならないかも。でも、旅行社としては競争が激しいから、営業上必要かもね」
「で、レッスンを受ける場合の月謝のようなものは……」
「レッスン料ね。高いわよー。でも、お金が無かったら、別払いでもよくってよ」
「別払いって?……」
「お金じゃなくって身体で返すの、……つまり労務提供ね。例えば、ここで毎月一定時間働くとか……」
「そ、それでお願いします。ぜ、ぜひ……」
「分かったわ。ところで、そのハーブティー召し上がれ。……少し苦いけど、ハーブの香りがとてもいいの」
勧められるまゝに、英国風の絵模様のついたカップに注がれたハーブティーに口を付けた。
しばらくすると、自然に瞼が重くなってきた。
首がコクンと前に折れる。
「す、済みません。どうも時差が出たようで……」
「二階でしばらく休んで行ったら?どうせ、私は一人暮らしよ。ちっとも遠慮することは無いわ」
二階のゲスト用のベッドルームに案内されるや、健介は、上着を脱ぐとベッドの上に倒れ込み、そのまゝ昏睡に入った。
それから数時間が経ったようだ。
健介が目覚めた時は、もう窓の外に夕闇が立ち込めていた。
ハッと意識が戻り、起き上がろうとして、彼は自分の身体が拘束されているのに気付いた。
しかも、パンツまで脱がされて真っ裸である。
両手と両足がベッドの柱に紐で結ばれ、大の字に寝た状態で、身動きができなくなっていた。
記憶の底で、勧められたハーブティーが脳裏に浮かび、薬で眠らされて囚われの身となったのだと想像できた。
それにしても、いったい何故?誰がこんなことを。
そして、これから何が起るのだろうか?
雲のように疑問が次々と湧いた。
「やっと目が覚めた様ね。……フフフ、レディの前でそんな無様な格好を曝して、恥ずかしくない?……下にケイコも来ているわよ」
キムの声だった。
彼女が張本人だったのである。
それにケイコも共犯らしい。
「ど、どうして、こんなひどいことを……」
「あら、お前も同意したことよ。……マッサージのレッスン料として労務提供するって。レッスンは引き受けたから、料金を前払いして貰うのよ」
「労務提供って……毎月ここで働く事じゃ……」
「そうよ。でも、仕事の内容を勘違いしているようね。……未だマッサージ技術を習得してないのだから、お前にできることは、その身体を提供することしかないわね」
「か、身体をって……」
「そのお前の股の中心に付いてるものよ。……そして、そのお口と舌もね」
そこへ下から上がって来たケイコが加わった。
驚いたことに、旅行社の事務所で紹介されたマキとエミも一緒である。
ケイコが笑いながら口を挟む。
「今日、事務所に来た時、君、童貞だって言ってたでしょう?……あの時から計画してたのよ。その後、キムに電話した時、今日、チェリーをつまみ食いしようってなったの」
男のバージンを、アメリカでは俗にチェリーと言うらしい。
「マキとエミも、このところ忙しくってセックスしてないから、モヤモヤが溜まっているそうよ。……二人ともお前の指導員なんだから、いわば上司ね。上司にはいじめられるより可愛がってもらう方がいいでしょう?」
何ということだろう。
ここで、健介は4人の女性たちにレイプされるのだ。
「さ、今直ぐ、夕食前にここで一発やろう」
若いマキが提案する。
「シャワー無しで?……彼、可哀そう!……でも賛成!」
と、エミ。
「トップは若い二人に譲ってもいいわよ。だけど、未だ発射させないでね」
「でも、こいつ、我慢できるかなぁ」
「……ホラ、根元をこの紐で縛っておけばいいのよ。もちろん勃ってからね」
「じゃー、早速実行といきましょう」
マキとエミがベッドに上がり、まずマキが健介の顔を跨ぐ。
エミは、拡げられた男の股の間に腰を下ろして、恐怖のあまりぐったり萎えたまゝの一物を手に取っている。
「ホラ、私たち上司に、お前の童貞を捧げなさい!ソラ、私の臭い匂いで勃たせて上げるからね」
マキが、健介の男の鼻の上に股を宛がった。
パンティ越しにムッと女の性臭が匂う。
「こいつ、勃たないみたい。……ホラ、肩が震えているわよ」
「私たちが怖いのかしら?……それともインポ?」
「た、頼む。止めてくれ!……ぼ、ぼくには日本に恋人が居るんだ。……」
「分かったわ。恋人にバレるのが怖いんだ。……」
「心配要らないよ。……黙っててやるからね。」
マキとエミが口々に話し掛けたが、健介の股間に変化は無い。
ケイコが横から口を挟んだ。
「こいつ、きっと女のあそこを見たことが無いのよ。……じかに見せつけて、何ならねぶらせてやったらどうかしら?」
健介の鼻を擦るようにして、マキのパンティが脱ぎ捨てられた。
白い豊かな尻が、そして黒い陰りに覆われた肉襞が目の前に迫る。
生臭い臭気が鼻を突いた。
マキは、ベッドのヘッドボードを掴んで、尻を前後に揺すり、その股間を男の鼻に、そして唇に擦りつけた。
めくれた唇の中に、べっとりした女の恥垢が押し込まれる。
生まれて初めての経験で、それは、激しい屈辱感を伴って健介の脳裏を痺れさせた。
「勃った、勃った。成功よ。……インポじゃなくってよかった。……ちょっと、そこの紐を取って。……は、早くよ!」
エミが、健介の一物の根元を紐で括った。
「すごい、すごい!……ビンビンよ。それに大きいわ。……念のためにゴムをかぶせとくね。」
「分かったわ。……エミ、先に入れていいわよ。……私はこいつの舌で気分を出すわ……ホラ、お前、窒息したくなかったら、ちゃんと舌を出して舐めなさい」
マキの股間で鼻と口を覆われた健介は、息苦しさと、さらに呼吸を奪われる恐怖にパニックになっていた。
それに、年下の女性たちにレイプされるという余りの屈辱に、頭の中が真っ白になった。
思わず舌を出すと、マキは、尻を少し浮かせて呼吸を許してくれる。
コントロールされるがまゝに舌を動かすと、ねっとりした女の分秘液が口中に流れ込む。
催眠術に掛けられたかのように、健介は、命じられる通り、舌を女の肉襞に這わせ唇で汁を吸った。
「行くわよぉ……」
エミの声。……途端に健介の股間に圧力が掛る。
健介の一物の上にエミが腰を沈めたのだった。
初めて味わう女の膣への挿入感に、思わず声が出る。
二人の女にペニスと唇を同時に犯される屈辱に、健介は呻き続けた。
それは、無残としか言いようのない光景である。
ベッドの上に大の字に拘束された男の顔と股間に、同時に馬乗りになった二人の女。
そして、女たちの尻は跳ねるように踊り続け、ベッドのきしみ音が止むことはなかった。
女たちはやがて頂点にたちしたが、一物の根元を紐で括られた健介は、射精を許されないまゝ欲求不満を残して終わる。
しばらく間を置いて、マキとエミがその位置を交代して、再びレイプが始った。
貪欲な女たちのレイプが一時間を超えて終り、皆が汗にまみれた後も健介は解放されない。
今度は、熟年のケイコとキムが待ち構えているのだ。
性急な若い女たちと違って、ケイコとキムはスローペースだった。
二人は、交互に健介の舌を存分に楽しんでから挿入に移る。
男のペニスを咥えこんだ後の腰の動きもゆったりしていたが、その分、時間をたっぷり使ってのレイプだった。
全員が一応満足した後、女たちは、夕食をとりに階下のダイニングルームに移った。
しかし、健介の拘束はまだ解いてもらえなかった。
夕食後、第二ラウンドが予定されていたからである。
ただ、健介の一物の根元の紐が緩められ、上にタオルが掛けられる。
顔には、女たちのパンティがかぶせられた。
「私たちが食事をしている間に、好きなだけ射精していいわよ。……でも手を使っちゃダメ。後でもう一度楽しめなくなると困るわ。……私たちの匂いを嗅ぎながら、さっきの経験を思い出してイクのよ。フフフ……」と、ケイコ。
しばらくして女たちが戻り、健介にとって屈辱の性宴が再開された。
「プーッ、やっぱりウブな童貞だったのね。……見て、このタオル、ベトベトよ。……パンティも股の所を舐めた跡があるわ。フフフ」
男の股間を覆っていたタオルは、キムが思わず噴き出したほど濡れそぼっていた。
健介は、恥ずかしさに顔を赤らめる。
言われたように、女たちに嬲られ初めて犯された屈辱シーンが、バーチャル映像となって繰り返し脳裏に浮かび、女たちのパンティに込められた異臭の刺激と共に、健介の股間をいたく感じさせたのだった。
「君も気分が出てきたようだし、今夜はみんなでゆっくり可愛がって上げるわ。」
「朝まで何回できるかなぁ……た、の、し、みぃ」
上気して口々にしゃべる女たち。
レイバーデイを境に夏時間が終わったばかりのニューヨークの夜は、延々と続く。
しかし、アメリカでの健介の受難は、まだ始まったばかりだったのである。
スペッシャルサービス
連休明けの朝、マンハッタンにあるハドソン大学管理部の窓口は、手続きに押し寄せた学生たちで賑わっていた。
“入学手続きが終わった人で、奨学金の面接を受ける人は、奥の控室でお待ち下さい”
窓口の傍の張り紙には、英語だけでなく日本語も併記してある。
如何に日本人の応募者が多いかを物語っているかのようだった。
もちろん、健介もその一人だった。
アメリカの大学の奨学金は二通りある。
俗に言うスカラーシップは一般向けだが、市民権を持つアメリカ人の学生が優先されるし、大学院学生には適用されないことが多い。
海外からの留学生が利用するのは、主にいわゆる政府のグラント(助成金)を原資とするフェローシップ(研究補助金)制度だった。
欠点として毎年の政府予算の枠次第で受給者の数が増減する。
だから、最終決定にこぎつけるには、日本からの手続きだけでなく、現地での面接がどうしても必要なのだった。
控室は混雑していた。
応募者の数が思ったより多いので、健介は漠然とした不安を感じていた。
順番を待つ間、かなり待たされそうだった。
ベンチに座りながら待つ健介の脳裏には、どうしても二日前のあの屈辱の経験がこびりついている。
なにしろ、こともあろうに女性たちにレイプされたのである。
警察に言うどころか、恥ずかしくて人にも相談できない。
第一、この国では男性が女性をレイプするのは罪になるが、傷害でも受けたのでなければその逆は違法ではないらしく、結局、泣き寝入りせざるを得ないようなのだ。
そこが、彼女らのつけ目らしく、あれからも朝まで徹夜で、まるでセックス奴隷のように嬲られたのだった。
「ナンバー47……47、プリーズ」
スピーカーから流れるアナウンスに、健介はハッとして立ち上がった。
手元の待ち番号を確かめながら面接室に入る。
3人の担当者が正面のテーブルに着いていた。
一人は、軍服を着ている。
面接は15分ほどで終わった。
資格審査のために面接を受ける筈だったが、軍服の担当官から、今年はテロ対策のため軍の予算枠が取れず、フェローシップそのものが休止になったという説明に終始したのである。
健介は、悪い予感が的中し、肩を落としてすごすごと事務所を出た。
その足で勤務先の旅行社へ向かう。
入学金や授業料を払うためには、何とか前借でもしなければ、留学の計画そのものが消滅してしまうのだ。
旅行社の応接室で、所長の遠藤ケイコと向かい合った健介は、いきなり前借金の無心を切り出した。
ケイコは、一昨日のレイプの補償を求めていると一瞬、思ったらしいが、健介が、奨学金が突然取り消しになったこと、給料から毎月返済するつもりでいること、マッサージでも何でもお金になることは何でもすること、などを説明するとようやく納得した。
「わかったわ。……でもね。給料の前借はダメよ。前例が無いというより、そういう制度が無いの。それに金額だって、全然桁が違うわ。」
「何とかなりませんか?……ダメなら、僕はこのまゝ日本に帰らなくては……」
「そうね。方法が無いこともないわ。……収入の良い新しい仕事をやるのよ。……でも、君にできるかしら?」
「な、なんでもやります。……で、でも、一昨日のようなことをされるのなら……」
「馬鹿ね!……一昨日のことは純粋にプライベートなお楽しみよ。……でも、君にとっては似たり寄ったりかな。フフフ」
「やっぱり……」
「そうじゃないの。……この国ではね、男の売春も罪になるのよ。しかも、病気の危険性も高いわ。……私の考えてるのは、全く合法で前例もあるわ。もっとも、知ってる人は少ないけれどね……」
「それはね、日本人の新婚カップルへの特別サービスなの。……日本人の新婚旅行客が一番不自由するのは、ニューヨークのホテルには、高級なスィートを除いてはビデが付いていないこと。欧州なら常設の所が多いし、日本ではウォッシュレットが普及しているわ。……そこで何年か前に、新婚カップル向けのスペッシャル・ウォッシュレットサービスと名付けて、こっそり宣伝してみたの。すごい人気だったわ」
「あのー、サービスの内容がよく分からないんですけど……」
「新婚カップルはね。セックスの回数も多いし、中出しが殆どよ。……セックスする度に何回もお風呂に入ったりシャワーを浴びたりする人もいるけど、盛り上がった時には興ざめよね。そう、新婚さんは連続して何回もセックスすることが多いの。そして、シーツを汚して翌日気まずい思いをするのが悩みのたね!」
「それで……」
「トイレの横やベッドの床にウォッシュレット役の人が控えていて、女性の膣から精液を吸い出して清めるの。それが、スペッシャル・ウォッシュレットサービスよ。」
健介は仰天した。
「ま、まさか僕がその役を……」
「そうよ。あなた、今言ったじゃないの。……何でもするって……」
「……………………」
「一晩で500ドル払ってくれるのよ。……あなたの取り分は300ドル。いいえ400ドルでもいいわ。……どおお?やってみる気は無い?」
ケイコに畳み込むように迫られて、健介はようやく首を縦に振った。
日本の新婚カップルはおおむね健康で、エイズなど病気をうつされる心配が無いこと。寝室ではなくバスルームで控えているケースが殆どで、男性と顔を合わす機会が少ないこと。女性とも清めの時だけの接触で会話を交わす必要が無いことなどが、決め手となったようだ。
もちろん、収入の額が魅力だったのは間違いない。
それから一週間、健介は多忙な毎日だった。
大学の方の入学金と授業料の前払い分は、新企画の調査費の名目で会社に認められた予算で賄うことができた。
しかし、もちろん、所長の遠藤ケイコの提案を受け入れ、その屈辱的な仕事からの収入が得られしだい直ちに返済することが条件である。
泣く泣く引き受けたものの、健介の心は暗く気分は一向に晴れなかった。
学校の方は本格的な授業は未だで、午前中に終わったが、午後は旅行社の仕事で見習い業務からのスタートである。
まず始まったのがナイトツアーのガイドの研修で、観光案内担当のマキのヘルプ役として一緒にバスに乗り込み、日本人団体客の世話をしながら実務を覚える毎日だった。
「ねねぇ、スペッシャルサービスの案内パンフレットができたわよ。……目を通してね」
企画担当のエミが、ツァーから戻って事務所で一休みしている健介の席の隣に腰を下ろした。
マキもそうだが、このエミも先週末に健介をレイプした女である。
何となくバツが悪く、視線を避けるようにしていた健介だったが、エミはお構いなしでずけずけと言葉を掛けてきた。
所長の遠藤ケイコが言ったように、単なるプライベートなお楽しみと割り切っているらしい。
しかし、健介にとっては、彼の童貞を奪った初めての女性であり、女としてのそのムンムンとした色気を意識せざるをえなかった。
案内パンフレットは「マッサージ・サービス」と「ウォッシュレット・サービス」の項目に分かれており、一見、当りさわりのない内容である。
料金は、マッサージは時間あたり100ドル、ウォッシュレットは一晩貸し切りで500ドルとなっていた。
希望者は、係員との電話で具体的なサービス内容を相談の上、取り決めるとあった。
「実はね、所長に了解してもらって、昨日のツァー客にこのパンフレット渡してみたの。20組のカップルに配ってマッサージの申し込みが3件あったわ。それはマッサージ師のキムさんに連絡済みよ。……ところで、問題はウォッシュレット・サービスの方。もちろん君が担当するアレよ。……フフフ、赤くなったわね。……電話の問い合わせが12件もあったの。でも器具を貸し出すと勘違いしていた人が殆どで、人間が口で奉仕すると説明するとみんな引いてしまうの。でも、驚いたことに、2件だけは試してみたいと言ったのよ。両方とも新婚カップル。ただし、その内の1件は、奉仕する人に奥さんが会って気に入ったら頼むそうよ。つまり、面接に合格したら採用ということかしら……」
「そ、それは何時?」
「それが、今晩と明日の晩……8時から12時まで……面接付きの方は今晩よ」
健介は反射的に壁の時計を見上げた。もう6時を指している。
「で、でも。心の準備が……」
「馬鹿ね。何を準備するっていうの?……先週末、私たちが可愛がって上げた時だって不意打ちだったでしょう。……それに、今晩は、面接で断られるかもしれないのよ」
「わ、わかった。……行くよ。行くから場所を教えてくれ」
「ホテルの場所と部屋番号は、ここに書いておいたわ。……でも細かい注文があるの。奉仕の時は、このアイマスクをして奥さんの大切な所を見ない様にすること。……髭を念入りに剃って行くこと。……それから、夕食は抜きよ。フフフ、まずいお汁を何回も飲まされるんですもの。可哀そうに!」
それから2時間後、ホテルの一室で、健介は客のカップルと向き合っていた。
チェアーが2脚しかないので、健介は自ら床の上に座った。
ちょうど客に見下ろされる形だ。
客は、いかにも新婚らしい初々しいカップルで、女はなかなかの美人である。
「僕たちは、もう初夜は日本で済ませてきたので、ここでは、うんと楽しみたいんだ。……妻も、君なら合格らしいんで、よろしく頼むよ。」
「口でお汁を飲んでくれるなんて、あなたのような人は、普通じゃ出会えないわね。……私、こんなの初めての経験で、胸がドキドキするわ。……よろしくお願いね」
二人から交互に声を掛けられた後、健介は下着だけになり、アイマスクを付けて隣のバスルームの床に仰向けに寝た。
タイルが後頭部にヒヤリと冷たく、流石に胸が高鳴る。
30分も経たないうちに、バスルームのドアが開き、アイマスク越しに照明が点灯したことが分る。
二人の会話が、上から降るように耳に入った。
「あら、居るわよ。……可哀そうに、マスクで見えないのね。」
「折角だから、見せてやってもよかったな。……ホラ、早くしないと流れ出てきてこぼれるよ。……俺は見学してるから、吸って貰えよ」
「男の人の顔を跨ぐなんて初めて!……ほんとに、いいのかしら?……じゃあ、失礼しまーす」
アイマスク越しの淡い明かりが遮られ、プンと女性の生臭い股間の匂いがした。
とたんに、先週、女たちにレイプされた時の経験がよみがえる。
しかし、精液の臭いが鼻をツーンと刺したかと思うと、唇に女の股間が軽く触れた後、グッと膣口の肉襞が顔面に強く宛てがわれた。
半開きの唇が押し分けられ、ドロッとした粘液が健介の口中に流し込まれる。
その感触にハッとした健介は、慌てて膣口を吸った。
ビックリする程の量の精液、いや、正確に言えば女性の愛液とのミックスジュースが、健介の喉を刺激する。
チューッと音を立てて吸い、ごくりと喉を鳴らす。
「ホラ、あなた!……飲んでるわ。……チューチューいわせて、いやらしい音ね。……いったい、どんな味かしら?……世の中にはお金のために、こんなことまでする人もいるのね」
「ちゃんと奥まで掃除して貰えよ。……シーツを汚さないようにな。」
健介は、残渣を求めて舌で膣の中をまさぐる。
同時に女が下腹に力を入れたとみえ、残りの液が絞り出された。
その殆どが、健介の喉を通って胃の腑に収まる。
「ご苦労さま。……また、あとでお願いね」
女が股間を持ち上げ、二人が寝室に戻った後、これまで初めての経験に無我夢中だった健介は、ようやく我に返り、たった今自分のしたおぞましい行為を、漸く現実のものとして意識する。
とたんに、激しい屈辱感が込み上げてきた。
間もなく、再度の、そしてしばらくして三回目の掃除が要求された。
たっぷり時間をかけて愛し合ったらしく、膣の中に放出されていた精液の量はいずれも最初とあまり変わらない。
ようやく終わった気配がして、健介の耳に男がシャワーを浴びる音と、女が傍の便器で用を足している音が聞こえた。
「ごめんなさい。さっき、トイレットペーパーを寝室に持ち込んだまゝなの。……ちょっとついでに、ここも舐めてきれいにしてね」
声と同時に、今度は、排尿を済ませたばかりの女の股間が口に押し当てられた。
思わず、健介の舌が反射的に動く。
とたんに、初めて味わう女の尿が舌を刺した。
女の尻の下からムーッと呻き声が漏れたが、それは、抗議する暇も無い一瞬のでき事だった。
健介にとって屈辱以外の何ものでもなかった初体験のスペッシャルサービスは、こうしたハプニングもあって、深夜までの時間枠をフルに使い、ようやく終わった。
料金の500ドルを受取る時、健介は二人の前で床にひれ伏して礼を述べた。
遠藤ケイコのアドバイス、“日本人の自尊心をくすぐるには土下座が効果的よ。優越感を持たしておけば気前がよくなるものよ”を思い出したのである。
女の方が、ドアの所まで送りに来る。
にっこり笑って20ドル紙幣を差し出した。
「ご苦労さま。ハイ、これチップ、……と言うより、フフフ、トイレットペーパー代よ。……考えてみたら、失礼なことをしちゃったみたい。ごめんなさいね。」
翌日、旅行社に出勤した健介は、所長室で遠藤ケイコに昨夜の報告をしていた。
担当のエミも同席している。
「おかしいったらないわね。……20ドルでトイレットペーパーの代りをさせられたなんて……でも、これも商売よ。」
「でも、ぼ、ぼくは自尊心を傷つけられて……」
「ハイハイ、分かったわ。……日本の恋人に合わす顔がないんでしょう?」
「私たちにレイプされた時も、同じようなことを言ってたんじゃないの?フフフ」
遠藤ケイコとエミは、ニヤニヤと笑うだけで、真面目に取り合おうともしない。
「でも、エミちゃん。健介君がこんなに傷ついたんだから20ドルじゃ安過ぎるわ。せめて倍は取らなくっちゃ。……そう、宣伝パンフレットに直ぐ追加して頂戴、“トイレットペーパーサービスを利用した場合は、一割アップ”とね。」
「分かりました。……でも、健介君、今晩のお客はもっと手強いかもよ。さっきの電話でも、鞭を使ったSMプレイは可能かって聞かれたわ。もちろん断ったけど……」
エミの言葉に、込み上げる不安を隠せない健介だった。
その夜も、昨夜と同じホテルだった。
どうやら、日本人のツァー客が定宿にしている所らしい。
部屋番号を確かめノックする。
直ぐドアが開き、いきなり女の声がした。
「待ってたのよ。事務所に電話したら、もう出たって言われたわ。……さ、早く入って。」
昨夜と部屋のレイアウトが少し違っていて、面積も広めである。
チェアーの代りに、ゆったりしたソファーが置かれていた。
健介は、ためらわずにソファーに座った二人の前の床に正座した。
今夜の客はいかにも態度が横柄で、二人並んでソファーにもたれ脚を組んでいる。
女のスリッパの先が、健介の額に触れそうな近さだった。
よく見ると、夫婦とも30代のようで体格も大柄である。
初々しさよりも、熟年夫婦に近い落ち付きが目立った。
「私たち、先週結婚式を挙げたとこだけど、2年越しの付き合いで、お互いに充分経験済みなの。……でも、いつもゴムを使っていたので、お汁でベッドを汚したくないの。しっかりサービスしてね。」
女は、饒舌に一人で話し続ける。
夫の方は、黙ったまゝ煙草をくゆらせている。
「さっきね。お宅の事務所に電話して、もう一度担当の女の人に頼んでみたの。……鞭を使ったSMプレイは諦めるけど、せめて首輪を使わせてってね。……だって、他人に私たちの大事なところを舐めさせるのは抵抗があるわ。相手は人間じゃなくって、犬だと思いたいの。」
「君、今夜は、犬として俺たちに奉仕してくれるかな。……事務所の人も、本人が了承すれば問題ないと言ってるし、料金も一割上乗せするよ」
「あなた、ついでにトイレットペーパーサービスも申し込んどいたから、二割増しよ」
「いいじゃないか。日本じゃ、こんなサービスは見つからないぞ。……」
健介が承諾の旨を伝えると、女はトランクから犬の首輪を取りだした。
鎖の代りに、赤い革紐が付いている。
「裸になって、私たちの前で這いつくばるのよ。……そう、もちろんパンツも取って」
行きがかり上、きっぱり断る機会を逃した健介は、不本意ながら女の言うまゝ全裸になって四つん這いになった。
女の手で首輪が嵌められる。
ぐっと紐が曳かれ、そのまゝベッドルームを一周させられた。
「フフフ、もっと犬らしくするのよ。……そこにお座り……そら、チンチンしてごらん!……」
目がくらむような屈辱に上気しながら、健介は、両手を脇に付け手をだらりと下げて手先をぶらぶらさせる。
「いいわよ。……今度は吠えてごらん。そら、ワンでしょう」
「ワン、ワ、ワン……」
犬鳴きをする健介の顔は、恥ずかしさのあまり真っ赤になっていた。
それを見て、二人は、ソファーの上で身を捩るようにして笑い転げる。
「そら、犬。ここへ来て俺たちのを舐めるんだ。……そうそう、先に俺のを勃たせろ」
ズボンの前を開いた男は、首輪の紐をぐっと引く。
つんのめるように男の股間に顔を突っ込んだ健介の口に、半勃ちのペニスが突っ込まれた。
“こ、こんなサービスをさせられるなんて、き、聞いてない!”
心の中で呟いてみても手遅れだった。
男の竿が硬くなり、苦味を含む分秘液が出始めるまで舐めさせられた。
続いて、女の手が紐を引く。
男に隣り合ってソファーに腰掛けた女は、踵を健介の後頭部に掛けてぐいとばかり彼の顔を股間に引き寄せた。
「綺麗にするのよ。夫の大事なものが入るんだから。……ホラ、舌をもっと伸ばして穴の中に差し込んで。……そうそう、いいわよ」
「お前、まだシャワーを浴びてないんだぞ。……バターでも塗っておかなきゃ、本物の犬でも逃げだすぞ」
「大丈夫。ちゃんと舐めてるわ。……ホラ、それ、マンかすよ。……アーッ、こいつ、食べたわよ!……サイテーイ!」
余りの臭気に辟易しながら夢中で舌を動かしている内に、口に入った汚物まで、つい飲みこんでしまったのだ。
健介の目から悔し涙がこぼれる。
今さら吐き出すわけにもいかず、あらためて、そのねっとりとした恥垢を舌の上で味わう自分がつくづく情けなかった。
さんざん慰み者にされた後、アイマスクも不要と言われ、健介はベッド脇で待機させられた。
彼の舌をたっぷり使ったことが効果的な前戯になったとみえ、セックスそのものは性急に進行した。
二人は、ベッドの上で抱き合ってちょっと愛撫し合った後、すぐ挿入し10分ほどストロークを繰り返して射精に達してしまう。
「オイ、終わったぞ。……顔を俺たちの股の下に入れるんだ。……そうそう、もっと口を寄せて……さあ、抜くぞ。……ホラ、こぼさないように早く吸え!」
二人の股ぐらを往復して清めが終わると、女はトイレに行く。
「ホラ、トイレットサービスをしてこい。料金のうちだぞ!」
男に言われて、すごすごと四つん這いでトイレに行き、ドアの前で仰向けに寝る。
フラッシュ音がしてドアが開き、女が出てくるや健介の顔に跨った。
ぐにゃりとした肉襞が鼻に、引きしまった菊座が唇に押し当てられた。
舌一面に苦い糊が広がるのを感じ取って、健介は動転した。
大便を排便した後の女の肛門を舐めさせられたことに、気付いたのである。
“ム、ムーツ”
とくぐもった悲鳴を上げて悶えた。
びっくりしたとみえ、女は腰を上げて健介の顔を覗き込む。
「どうしたの?……トイレットペーパーサービスは初めてなの?」
「昨日初めて……でも、小の方だったので……」
「アラ、大の方は初めてなの。……でも、どちらもある筈でしょう?今さらいやだなんておかしいわ。……でも、ちゃんと舐め終わったんだから、今日はこれで勘弁して上げる」
料金を受取ってホテルを出た健介は、みじめさに打ちひしがれていた。
トイレットペーパーサービスが小の方だけと勝手に勘違いしたエミを恨むより、同様にうっかりしていた自分が呪わしかったのである。
翌日のケイコとエミへの報告は、昨日と違う雰囲気だった。
涙をポロポロ流して悔しがる健介を笑い飛ばすわけにもいかず、二人は、健介を口々に慰めた。
「本当にごめん。私もうっかりしたわ。……まさか健介君が、大の方を舐めさせられたとはね。……でも、第一、セックスの時に大の方をするなんて考えられるぅ?朝の内に済ます人が殆どだわ」
「でも、エミちゃん。……観光客っていうのはね、慣れない食事でお腹の調子が狂う人が案外多いのよ。……健介君、今回は全面的に私たちのミスよ。お詫びとして、今回の料金は全額君がとっていいわ。それから、このことは私たち3人の秘密。……もし健介君の日本の恋人にでも知られたら、きっと、一生キスして貰えなくなるわね。」
「そうなったら、健介君、可哀そう!……じょ、冗談よ、これは。……でも、よくうがいしておいてね。何だかあなたのお口、便器に見えてきたわ。フフフ」
若いエミも所長のケイコも、結局、謝罪は口先だけで、面白がっている気配さえあった。
「あ、忘れてたわ。……また、新規の申し込みよ」
「し、しばらく、堪忍してくれよ。……僕は、ショックで昨夜もよく眠れなかったんだ」
「でも、今度のは、カップルじゃないのよ。女性の団体客。それも、女子短大の卒業旅行グループで、みんなで20人よ。ウォッシュレット・サービスを希望ですって」
エミの説明に、所長の遠藤ケイコも不思議がった。
「だから、セックスのお汁の掃除じゃなくって、アナルのお掃除。それも、ちゃんとシャワーを浴びた後でのご奉仕よ。……ただし、アイマスクは必ず着用のことって」
「エミ、あなた、人間のお口を使うと言った?……それでも頼むと言うかしら?」
「若い男がアイマスクを付けて、情熱のアナルキッスをサービスしますって、売り込んだの。……引率の先生は、頭から“気持ち悪い”の一点張りだったけど、後からまた電話があって、試してみたいって。……ただし、生徒たちは希望者だけと言っていたから、半数くらいかな。料金は団体レートで人数に係わらず1000ドルぽっきり、時間は一人30分と言ってあるわ」
「フーン、10人として一人100ドルかぁ。女子大生って好奇心の塊みたいなものだし、思い出作りの線もあり得るわね。……健介君がオーケーなら、所長としては反対しないわ」
打ちのめされていた健介も、気持ちが動いた。
若い女性の清潔な秘所にキスするだけなら、カップルのまずい汁受けに使われるよりましだし、屈辱の度合いも軽そうだった。
それに、借金を早く返すことができれば、それだけ普通の生活に戻る時期も早くなるというものだった。
アニリングス
翌々日の午後、健介は、エミに付き添われて直接ホテルに赴いた。
人数が思ったより増え、引率の女教師を含めた12人になったので、開始時間が早まったのだ。
しかも、エミのアイディアで、事前に一時間程のパーティを設けて彼を全員に紹介するということになっていた。
ホテルまでエミと一緒に腕を組んで、有名なニューヨークの5番街を通った。
途中、公園のベンチで休んだ二人は、ちょっとしたデート気分だった。
つくづく見ると、エミは中々の美人でスタイルも良い。
しかし、先日、彼女にむりやりレイプされ、真っ先に童貞を奪われた健介にとっては複雑な心境だった。
「健介君。今日の段取りを一応説明しておくわ。……パーティはホテルのスィートルームで、アルコール飲み放題だけど、君は奉仕役だからお水だけ。私が、みんなに君を紹介するわ。ハドソン大学の名前は出さないけど、日本からの留学生ってことは話すわ。……それで、ひとつ、あなたに隠していたことがあるの。念の為に言うけど、これは所長も了解済みよ」
「それって、いったい……」
健介は心穏やかでない。
「君の一昨日の報告を聞いてひらめいたの。……みんなを笑わせて雰囲気を盛り上げるために、君にぜひやって貰いたいことがあるの」
「それはね、君に、これを付けてみんなの前で演技して欲しいの。」
エミがバッグから取り出したのは、犬の首輪だった。
曳き紐も付いている。
「君が、一昨日の夫婦の前で犬の真似をして笑わせたってお話し。……実は、後で所長と二人で大笑いしたの。パーティでは初対面のぎごちなさを溶かす、そう、アイスブレーキング役が必要よ。……みんなの笑い者になるのは君も辛いだろうけど、ひとつ頑張ってみて」
健介は茫然とした。
デート気分は消し飛んで、憂鬱な気分になる。
今さら断るわけにもいかず、無言のまゝホテルに着いた。
ホテル最上階の見晴らしのよいスィートルームのドアを開けると、ワーッと嬌声が湧く。
待ち構えていたツアー客の女子大生たちである。
パーティのふたが開くと、エミの狙いがまさに的中した。
全裸で首輪姿の健介が四つん這いになり、エミに曳かれてラウンジに入ると、一斉に歓声と拍手が起る。
エミに途中公園で拾って来た棒きれで尻を叩かれ、チンチンをさせられると爆笑が起った。
続いて、エミはニヤニヤ笑いながら、健介に犬鳴きを命じる。
情けない声で“ワ、ワン、ワン、ワン”と繰り返すと、女たちの笑いが渦巻いた。
この後のアナルキッス奉仕には参加せず、パーティだけ出席する者もいるので、総勢20名を超す若い女たちの人いきれで、会場はムンムンするほどだった。
盛り上がった女たちは、部屋の中をエミに曳き回される健介にチンチンと犬鳴きを繰り返させ、健介がその都度、屈辱のあまり表情を歪めるのを面白がった。
と、一人の女の足先が健介の股間にぶら下がる一物を何回もつつき、ついにそれが勃起すると、再びワーッという歓声が起る。
このちょっとした猥雑な雰囲気は、次の本番につながる格好のオリエンテーションとなった。
「ところで、この後のアナルキッスだけど、……私自身を含めてみんな、具体的にどうしたらいいのかわからないようだわ。……あなたが、ひとつ見本を見せて頂けないかしら?」
引率役の女教師からエミに突然のリクエストだった。
当惑するエミだったが、重ねて説得されてみると、断るわけにいかなくなった。
「みなさーん。ちょっと聞いて下さーい」
会場のざわめきを治めるように、エミは声を張り上げた。
「今、先生の方から、次の本番のやり方を私にデモンストレーションして欲しいとのリクエストがありました。……皆さんに好きなように楽しんで頂くつもりだったのですが、……ご依頼に応えて私の自己流ですが、この男にアニリングスをさせてみます」
このハプニングは健介にとっては大ショックである。
唇を震わせて抗議しようとしたが、動転していてまるで言葉にならなかった。
「最初に、こうやってパンティを付けたまゝ男の顔に跨りまーす。……失礼して本当にやってみますから、みなさんよく見ていて下さい。……上からこの男の目を見下ろして威圧しながら、鼻に皆さんのアスホールを宛てがいまーす。こうしてたっぷり臭いを嗅がすことでヒューミリエイトする(屈辱を与える)のです。これでこの男は、自分は征服された身だと諦めてあなたの言うまゝになります。……ここまで、いいですかぁー?……じゃあ次へ行きまーす。……こうして男の顔のすぐ上でパンティを脱ぎまーす。……女性の秘所を目の前に見せつけられて男性は興奮状態になる筈です。……ちょっと後ろの人はこいつの股の間をチェックしてみて下さい。……ビンビンに勃起しているでしょう?」
ワーッと女たちの歓声と笑い声。
「それから、男の顔の上に腰を下ろしまーす。……今度はアスホールを鼻でなく唇に宛てがうのです。……それから、皆さんの両手を尻肉に掛けて、割れ目を押し開くように広げます。……すると肛門の括約筋が開くので、尻を押し付けて男に合図します。合図が通じなかったら、言葉で命令しても結構です」
「どんな命令をしたらいいんですか?……」
「英語だったら、“キス マイアスホール”ですが、がらの悪い日本語でしたら“私のケツの穴をお舐め”でいいと思います。……それから、舐め方を指示します。……ちょっと私の好みでやってみます。……ホラ、お前、聞こえてる?……舌を出して、舌の先を穴の中に入れるのよ。……そう、もっと深く!……穴の中を舌でよく掃除して!……舌の先にうんこの滓が触るでしょう?それを舌先で溶かして吸って!……綺麗になったらもう一度舌先を穴の中に入れて!中の方をぐりぐり舐めまわすのよ。……ホラ、さぼるんじゃない。……そうそう、いいわよー」
エミはだんだん感じてきたとみえ、健介の舌を肛門の中に咥え込んだまゝ、尻をゆっくりとグラインドさせた。
目がトロンと潤み、口が半開きになる。
「羨ましーい。……私もやりたーい!」
周囲の数人から、嘆声が洩れる。
こうして、エミの迫力のあるデモンストレーションは成功裡に終り、その後は客の女たちの出番となった。
その前に、健介は顔を洗いに、エミに首輪を曳かれてバスルームに入る。
「ひ、ひどいじゃないか。……うんこの滓まで吸わせるなんて……」
二人だけになると、どうしても恨みがましい言葉が出た。
「でも、遅かれ早かれ、君はみんなに同じ目に会わされるのよ。……こないだのレイプも同じよ。……私は初体験をさせて上げただけ。指導料を貰いたいくらいだわ。……ホラ、私のケツの穴を舐めたくせに、えらそうに文句を言うんじゃないわよ!」
エミが先に帰り、ひとり残された四つん這いの健介を女たちが取り囲んだ。
肩先を蹴られて仰向けに転がった健介の顔に、女教師の股間が覆いかぶさる。
「一人30分だから、たっぷり時間はあるわ。……ホラ、うんとサービスするんだよ」
無念さに目を赤く腫らした健介の顔を、生臭い女たちの尻が次々と蹂躙して行った。
破局
こうして、旅行社での健介の屈辱に満ちた勤務が蓋を開けた。
次の週にも数組のカップルの客が付き、日を追うごとに口コミで広がったとみえ、健介は引っ張りだこになった。
それがかえって災いしたようだ。
借金の返済が順調に進んでいるにも関わらず、自由に休めないのだ。
所長の遠藤ケイコは、事務所の主要な収入源として、健介にこうした屈辱的なスペッシャルサービスを連日続けさせた。
さすがに健介の要望で週4回までにしてくれたが、その代わりマッサージ師のキムの家で月に一回、ケイコとキムへのセックス奉仕を要求された。
もうベッドに拘束されることはなかったが、健介は独身で欲求不満気味の二人に存分に性の玩具にされたのである。
観光ツァーガイドの指導役であるマキは、その後、キムの家での性宴に参加することはなかった。
しかし健介にとっては、エミ同様、レイプされた当の相手であるマキには頭が上がらない。
その後、キムから話を聞いて好奇心に駆られたマキは、健介にキム同様のアニリングスを要求した。
いったん断わったものの、皆にばらすと脅かされ、泣く泣くオフィスのトイレでマキの軍門に下るはめになった。
エミもマキもそれぞれ、ボーイフレンドがいて正常なセックスには不自由していないらしい。
しかし、アニリングスまでしてくれる男は滅多に居ないらしく、健介は彼女らにとっても便利な存在だった。
オフィスのトイレは、キッチンのさらに奥にあるシャワールームと隣り合っている。
男女兼用で車椅子の障害者用を兼ねているため、面積も広い。
健介がここでマキに使われたのを知って、エミも張り合うように健介をトイレに連れ込んで奉仕を強いるようになった。
ツァーの客を送って皆が帰った後にオフィスに戻って来ることが多いマキは、そこで未だ勤務している健介を見つけると、しばしば「ホラ!」とトイレの方に顎をしゃくり、ニヤニヤ笑ってこれ見よがしに尻を振って見せ、彼の奉仕を促した。
一方、企画担当のエミは、健介の客へのスペッシャルサービスの窓口なので、彼の日程を管理する立場だ。
彼女からの指示が頻繁に携帯電話で来るようになってからは、週に一回は必ず彼女のアレンジに対する“お礼”と称して奉仕を促した。
二人とも個性豊かな美人だが、気が強くて性欲旺盛な所は共通していて、健介に対する態度も目だって横柄になって来ている。
年下の気まぐれな二人の若い女に顎で使われた上に、その性欲の処理まで頻繁にさせられるのである。
思ってもみないみじめな立場だった。
週に最低一回、トイレの冷たいタイルに背を当てて仰向けに横たわり、コツコツとハイヒールの音が近づくのを待つ健介は、そのたびに屈辱の思いで肩が震え目の奥が熱くなっていた。
マキもエミも最初はアニリングス奉仕だけだったが、次第に物足りなくなって来たらしく、クンニリングス奉仕も要求するようになっていた。
ハドソン大学の方は授業が本格的になったが、健介は晩の副業の方が忙しく学業に身が入らない。
遂に、半年間の休学届けを出する羽目に至った。
恋しい真佐子ともメールで交信を続けていたが、自分が様々な屈辱にまみれている実情を知らせるわけにもいかず、当りさわりのない連絡に終始するようになり、頻度も少なくなってきて、遂にはプッツリと連絡が途絶えてしまった。
この時期に、健介にとってその一生を左右する不運なでき事が起きた。
健介の勤務する旅行社のスペッシャルサービスが、口コミもあって日本でも知られるようになったのである。
ニューヨークを訪れる日本人旅行者は、前もってインターネットで現地の情報を仕入れることが多い。
ウェブサイトに発表される多彩なブログやホームページには、現地の観光スポットの紹介や体験記事が写真と共に掲載されるケースが増えていた。
その中で、スペッシャルサービスの体験者からの写真入りの詳細報告が寄せられたのである。
そこに、女の尻に敷かれてその股間から顔を覗かせている男の顔のショットが含まれていた。
写真自体は、携帯電話のカメラでの隠し撮りで解像度の低いものだったが、大写しになっているのでそれが健介だと知人には容易に分かる。
しかも、金に困った日本人留学生の破廉恥なアルバイトと説明が付いていた。
これが真佐子の目に触れるのは、時間の問題だったのである。
召使いの身分
ここはニューヨーク郊外の高級住宅地。
多くの豪邸の中でも、ひときわ衆目を集めるロココ風の建物があった。
日本から進出している大手商社のニューヨーク支店長、宇佐美竜彦の住居である。
日本のような料亭の少ないアメリカでは、自宅接待の機会が多いので、ガーデンパーティのできる広い庭と、気のきいた召使いたちが不可欠だった。
3か月前に竜彦は日本に一時帰国し、結婚式を挙げた。
実は、相手は山崎健介の元恋人、小笠原真佐子である。
その輝くような美貌と若さに魅せられた竜彦は、小笠原家との商売上の取引を利用して圧力を掛け、強引に結婚を迫ったのである。
もちろん、真佐子がニューヨーク育ちの帰国子女で、英語に堪能だったことも魅力だった。
遂に、真佐子が10歳も年の離れた竜彦との結婚に踏み切ったのは、その後、音信不通になっていた健介のおぞましい画像をインターネットの画面で見たのが、最大の動機だった。
健介の裏切りを確信した真佐子は、彼への想いを断ち切って、竜彦を選んだのだ。
結婚式の後、夫と一緒に渡米した彼女は、そのまゝ竜彦の邸宅の女主人となっていた。
結婚前、竜彦にはひとつ心配があった。
調査会社から入手した真佐子の交友関係の資料の中に、元恋人として、ハドソン大学に留学中の山崎健介の名前があったからである。
ニューヨークで竜彦は、地元の探偵事務所に依頼して健介の現状を調べ、すべてを知った。
インターネットのウェブサイトに健介の恥辱にまみれた画像を流し、それが真佐子の目に入るようにしたのも、実は、竜彦の画策だったのである。
健介の情報を引き続き入手し、監視するために竜彦が打った次の手は、同じ職場で働くマキとエミの引き抜きである。
召使いを日本人で固めたいとの真佐子の意向に乗じて、健介の弱みを握っている二人を宇佐美家のメイドとして採用したのだった。
それだけでは無い。
新婚の妻を伴ってニューヨークに戻った竜彦は、FBIの友人を利用して健介にテロの連絡係の濡れ衣を着せ、短期間だったが、警察に拘留して投獄の恐怖を味あわせた。
ニュースでその事件を知った真佐子の驚きは、一通りではない。
彼女のたっての願いを受け入れ、宇佐美家の召使いとして監視下に置くとの条件で、竜彦が身元保証人になって健介を救い出すという筋書きでことを運び、真佐子だけでなく、健介にも恩を売ることに成功したのである。
健介が、遠藤ケイコに伴われて宇佐美家を訪れたのは、レイバーデイ連休の初日だった。
成田での真佐子との別れから、ちょうど一年が過ぎようとしている。
恋人の真佐子が結婚したことを知って、絶望の淵に沈んだ健介だった。
しかも、恐ろしいテロ容疑から救ってもらったとはいえ、恋しい真佐子が夫と暮らす家で、それも、召使いとして働くことには強い抵抗を覚えていた。
応接室で待たされている間に、かっては、旅行社で一緒に働いていたマキとエミがお茶を運びがてら顔を見せた。
所長のケイコに懐かしげに挨拶したマキとエミは、ニヤニヤ笑いながら、口々に健介に話しかける。
「健介の恋人って、ここの奥様だったのね。……君が操を立てようとしたのも、むりないわ。……すーごい美人だものね」
「偶然、インターネットの画像を見られて、捨てられたんだって?」
「昔の恋人に召使いとして仕えるなんて、複雑ね。どんな気持かしら?」
「でも、これからは、また、私たちと同じ職場になるのね。不思議なご縁だこと……」
そこへ主人の竜彦が顔を出した。
入れ替わりに、エミとマキはキッチンに下がる。
「所長のケイコです。……うちの社員の山崎健介が、色々とお世話になります」
「いや、先日は、そちらの社員を、二人もうちのメイドに譲って頂いて助かりましたよ。……しかも、今度は、山崎君まで引き抜くことになって、そちらも補充が大変でしょう。」
「まあ、誰に密告されたか分かりませんが、テロの連絡係の容疑を掛けられたなんて、びっくりしましたわ。……でも、濡れ衣を晴らして頂いて、彼も感謝していますわ。」
「911事件以来、アメリカはテロというだけで過剰反応するんですよ。……山崎君が、たまたま妻の真佐子の知り合いだったので、彼女の頼みで私が動いたんだが、完全に容疑が晴れたわけじゃない。……保護観察中ということで、うちで預かることにしたんです。さもないと、中近東のテロ容疑者拘置所に送られるところだったんですよ」
「それを救って頂いたんですから、大感謝ですわ。……ホラ、山崎君、あなたの口からもお礼をしたら?」
「ど、どうも有難うございました。大変感謝しています。」
「お礼なら妻の真佐子に言ってくれ。……彼女も今日、君に会うのをとても楽しみにしていたんだがね、生憎、お父さんが急病とかで一時帰国することになって、昨日東京に向かったんだ。」
「………………」
「それで、この家での君の仕事だが、メイドと同じ召使いとして家事を手伝ってもらうことでどうだろう。……聞いたところでは大学の方は休学しているそうだしな。」
「そ、それは、真佐子さんも、……ご、ご承知の上で……」
「急なことで、真佐子とはゆっくり話し合う時間が無かったんだ。でも、今晩あたり電話がある筈だから、伝えておくよ。……もちろん、君が了承すればの話だがね」
「わ、私には、とくに異存はありませんが……」
「じゃあ、決まりだ。……真佐子は一カ月もしたら帰って来ると思うから、それまでにこの家の仕事に十分慣れて欲しいな。真佐子がびっくりする程な。アハハハ」
竜彦の口調は、どこといって不自然なところはないが、どこか空々しかった。
「ところで、この家の家事は古くからチーフメイド、日本式に言えば女中がしらとして勤めている永沼道代と言う女が、一切を取り仕切っている。……今は外出しているらしいが、後でよく話を聞くんだ。さしずめ君の教育掛りという役割だからな。……彼女は、立場上厳しい所もあるが、根はよい人間だよ。……歳は30を過ぎたとこだが一年前に、この家の専属運転手をしている永沼洋介と結婚して、ガレージと同じ建物の中に住んでいる。だから、この家の召使いは君を入れて5人だ。客の出入りが多いし、建物や庭も広いから人手は十分とは言えない。パーティなんかの時には、近所の家のメイドたちに応援して貰ったり、派遣会社に頼んだりしてどうにか凌ぐんだ。」
遠藤ケイコが先に帰ることで席を立つと、竜彦も書斎に引き揚げた。
永沼道代が買物から戻るまで、キッチンに移動した健介は、この家でも先輩格となったエミとマキから色々と話を聞いた。
「道代さん、美人じゃないけど、あれで中々グラマーよ。もっとも口は悪いけど……」
「ほんとに底意地が悪いわよぉ。……健介君、きっといじめられるわ」
「彼女、食事は私たちとは別。運転手のご主人とガレージの上の部屋で済ませてるわ」
「子供が欲しいって、ご主人とせっせと励んでるわ。そうね、週に3回ってところかな」
予備知識を仕込んだところで、本人が買物から帰って来た。
挨拶もそこそこに、早速トレーニングが始まった。
「あなたが、山崎健介さんね。旦那様から伺ってるわ。……今日からこの家で働いてもらうわね。私たちは同じ召使いだから、お互いに“さん”づけで呼んでもいいけれど、あなたは若いんだから“君”付で呼ばせてもらうわ。……もちろん、旦那様と奥様は私たちと身分が違うのだから、ちゃんと敬語を使うのよ。……色々と覚えて貰うことが多いから、これから忙しくなるわよ」
広壮な宇佐美家の邸宅は、一階にリビング、書斎、応接室、食堂、宴会場、キッチンなどがあり、二階には夫婦の寝室、幾つかの来客用の寝室やプレイルームなどがある。
メイド用の部屋やユーティリティルームは、半地下のベースメント(地下室)に設けられていた。
健介に割り当てられたのは、召使いたちの部屋が並ぶ廊下の突き当たりにある一室で、物置代わりに使われていた部屋である。
3畳ほどの空間で、ベッドを置くとそれだけで一杯になる。
道代の教育トレーニングは、早速翌日から本格化した。
皿洗いから家内外の掃除、庭や芝生の手入れに水やり、門からのドライブウェイの清掃など、事細かに教え込まれた。
再会
約一カ月後、日本の父の入院で急遽帰国していた真佐子が帰って来る日が、明日に迫っていた。
もう健介には手の届かない存在になってしまった真佐子だが、久し振りの対面に、胸がときめいた。
その夜、突然、健介は、真佐子の夫の宇佐美竜彦に書斎に呼ばれた。
「今日は、妻に内緒でお前に話しがある。……電話で何回も話したんだが、どうも真佐子が、まだお前に特別な感情を抱いているような気がするんだ。……いや、もちろん、昔のような恋人としてではなく、親近感というか、そうだな、ペットを可愛がる感覚に似ているかもしれないな。……でも、それが何かの拍子で、昔のような恋人感覚に変るのを俺は心配している。だから、お前に協力して貰って、真佐子が愛想を尽かして、うんとお前を軽蔑し蔑むように芝居をしてほしいんだ。……もちろんそれが本心からだと真佐子に信じさせるのが肝心なところだ。その代償に、今後は俺が責任を持って君をテロ容疑から守ってやる……そこで、俺の考えだがな……」
それから竜彦が自分のアイディアとして説明した内容は、健介を仰天させた。
声を震わせて拒絶する彼を、竜彦はテロ容疑の恐怖をちらつかせながら、強引に説得した。
長時間の話し合いの後、泣く泣く承知した健介の眼は悔しさと絶望で真っ赤になっていた。
翌日、夫と腕を組んで久し振りに我が家の敷居を跨いだ真佐子は、内玄関で召使いたちの出迎えを受けた。
そこでひときわ真佐子の目を引いたのは、玄関の床に平蜘蛛のように平伏している健介の姿だった。
「ホラ、ここにいるぜ。……お前を裏切った山崎健介という男さ。」
竜彦が、顎をしゃくる。
真佐子が、歩み寄って健介の前に立った。
「上を向いて、顔を見せて御覧なさい。」
真佐子の声が頭上から凛と響いた。
健介は目の前の茶色のハイヒールからスカートの裾へ、そして首を一杯に上向かせて懐かしい恋人の顔に視線を移す。
心に刻んでいた輝くばかりの美貌がそこにあった。
上から見下ろす真佐子の眼差しにも、懐かしさが溢れている。
「お、お久しぶりです。……奥様と旦那様のおかげで、収容所へ送られずに済みました。」
「ウフッ、その格好は何? お礼もいいけど、それじゃあ、まるでヒキガエルよ。……ねえ、あなた、健介さんはゲストルームにお泊めしているの?」
「いや、ここでは本人のたっての希望で、召使いとして働いて貰っているよ」
「アラ、健介さん、それでいいの?……それじゃあ、あなた、メイド並みに扱われるのよ」
健介は、どう答えてよいか当惑して、竜彦の顔を見上げた。
「電話で話した時は、貴女はインターネットの写真の件は許してもよいと言っていたが、この男は信頼を裏切って申し訳ない、罰として召使いとしてこき使ってくれ、と言い張るんだ。……そうだな、健介君」
“は、話しが違う!”健介は心の中で叫んだが、ここで竜彦に逆らうこともできず、黙って頷いた。
「へぇー、罰かぁ。……そうね、あれは私に対する裏切り行為だものね。それも、私の一生を左右した重大な裏切りね。……考えてみれば、健介君は罰を受けて当然かも……」
「召使いの身分に落して貰って、真佐子に、一生顎でこき使って貰いたいそうだ。」
「そう、みじめなこと。……どうぞ、お好きなように。フフフ」
真佐子の態度が、急に冷たくなった。
彼女が気替えのため二階に上がったのを見て、竜彦は健介を従えてリビングルームに落ち着く。
道代も呼ばれて同席した。
口を切ったのは竜彦だった。
「この家での健介君の身分の事だがな、さっき聞いたように、我々夫婦の召使いということだ。だから、メイドたちとは対等に話しても、私たち夫婦には敬語を使って貰うし、命令には服従して貰う。……それと、これからは、召使いの身分が身に付くように、道代にとっくり礼儀を仕込んで貰うことにする」
「旦那様、健介君に礼儀を仕込むって、いったいどうすればよいのですか?……」
「道代も知っての通り、こいつは、昔、真佐子の恋人だった男だ。真佐子のことを未だ諦めきれないでいることは俺も気付いているさ。……実は、こいつには直接話して納得させたんだが、真佐子が、こいつを下に見て、軽蔑するようにして欲しいんだ。」
「分かりましたわ。……奥様が、健介君は身分違いの男だとお思いになるように、うんと卑屈な態度を取らせればよいのでしょう。……奥様が、犬でも見るように健介君を見下ろすようになれば成功ですわね」
初夏の陽だまりがまぶしく照る午後のことである。
真佐子が日本から戻ってもう一カ月になる。
竜彦の提案で先週から真佐子の毎日一時間の日課になった多少異様なシーンが、宇佐美家の居間で進行していた。
リクライニングの付いたシングルソファーにもたれて本を読んでいる彼女の前の床に、犬のように四つん這いになった健介の姿があった。
その背中には、無造作に投げ出された真佐子の足が載っている。
そう、健介は真佐子の足置き台にされているのだ。
この家の主婦である真佐子と、召使いである健介の身分の差を二人に認識させるための儀式として、実は、竜彦の意を受けた道代が考え出したことだった。
「奥様、少し、お話させて頂いてよろしゅうございますか?」
おずおずとした健介の声。
しかも、その口調には、すでに召使いとしての卑屈さがみなぎっている。
「いいわよ……でも、お前の声を聞くのは久しぶりね」
一方、真佐子の声には、召使いに対する横柄さが満ちている。
実は、今や竜彦の前では、健介は、一切真佐子に話しかけることは許されていないのである。
それだけではない。
二人の前では、何時も土下座し、真佐子の言うあのヒキガエルのように這いつくばり、頭を上げてまともに真佐子の顔を見ることも禁じられていた。
「旦那さまから、私のお願いをお聞きになりましたか?」
「いいえ、でも明日には出張から帰って来るから、聞いといてもいいわよ。……でも、それなら今言ったら?」
「それが、とても言い難い内容でして……」
「もったいぶるんじゃないわよ。……何よ、召使いのくせに」
「奥様は、一年前に成田空港で私に下さったプレゼントを、覚えていらっしゃいますか?」
「もちろんよ。お前は、あれでたっぷり楽しんだ様ね……でも、とっても臭かったでしょう。フフフ」
真佐子のからかうような声。
「でも、素晴らしかった。布がボロボロになるまで何回も舐めました」
「お前、匂いを嗅いだだけじゃなくって、味まであじわったのね。汚いわー。でも、そんなに気に入ったの。……それで、また私におねだりしたいの?」
「それもありますけど……旦那様は、奥様と毎週金曜日にセックスをなさると伺いました。……それも、ゴムを使わずに中出しだと……」
「そうよ、私たち子供が欲しいもの、……でもいやーね、そんなことまでお前に言うなんて。あの人ったら!」
「そこで考えたのですけど……わ、わたしに、お手伝いさせて……頂けないかと……」
「お手伝いって、いったい何のこと?」
「あ、あのー、終わったあとを、し、舌で清めさせて頂ければ……」
「何ですって?……まさか、私の股の間から、うちの人のお汁を吸うって言うんじゃないでしょうね」
「……じ、実は、そうなんです。……旦那様も、よい考えだって褒めて下さいました」
「呆れたぁ。男の人っていやらしいことを考えるのね……ほんと、いやらしいを通り越して気持ち悪いわ」
「で、でも、私は、この一年間、旅行社のサービスとして、何組もの新婚カップルの後始末をしてきたんです。……それで、こぼさずにとても上手に吸い尽くすって、皆さんにほめられて……」
「じゃー、あのインターネットの写真は、お前が女の股に顔を当てているだけじゃなくって、セックスのお汁を吸っているところだったのね」
なじるような真佐子の口調には、激しい軽蔑の色がはっきりと出ていた。
「見るんじゃなくって、匂いと味が大好きで……それに、私にとって真佐子さんのは、特別なんです。」
「それで私のパンティをボロボロにしたんだ。いやらしい!……私、そんな変態と結婚するとこだったんだわ!」
「シーツが汚れない様に、ち、ちゃんと吸い出しますので、ど、どうか……」
「もう止めて!……明日、主人と相談するわ」
セックス奴隷
翌晩、健介は、夕食後、二人のくつろぐリビングルームに呼ばれた。
「まだ頭が高いわよ!……今晩は、お前の顔を見たくないの。そのまゝ聞きなさい」
二人の前に平蜘蛛のようにひれ伏した健介の後頭部を、真佐子のスリッパが踏みつけた。
絨毯の上に、顔面がぐっと押し付けられる。
「今、主人と一時間以上も話し合ったの。……昨日のお前のいやらしいお願いね。あれ、聞き届けることにしたわ。……でも、召使いのお前の言うことを聞いて上げるんだから、私たちにも新しい注文、というか命令があるわ。……私は、そこまでしなくてもと思うんだけど、竜彦さんがお前のこの家での身分を、どうしても、もっと低いものにしたいと言い張るの。……可哀想だけど、言う通りにするのよ」
真佐子の声に、憐みがにじんだ。
「まず、週に一回の私たち夫婦のセックスの後の清めは、願い通りお前にさせて上げる。……でも、追加があるの。……おつゆだけじゃなくって、その時に私たち二人のオシッコを飲むの。……何よ、びっくりして。そう、お前のお口が私たちのトイレになるのよ。……それから、セックスの前に私たちが気分を出せるように、舌で刺激して頂戴。……考えてみれば、私たち、前戯抜きでいきなり本番のことが多かったから、お前が舌で奉仕してくれれば助かるわ。」
「……でも、お前も、かっては、私の恋人だった男よ。……自分の恋人が他の男とセックスするところを見せつけられた上、後始末までさせられるのよ。……それでもいいの?」
「け、けっこうです。……というより光栄です。ど、どうも有難うございます」
「呆れたぁ、オシッコも飲まされるのよ。……これほどの変態だとは思わなかったわ。……いいわ、そんな変態なのを隠して私と結婚しようとした罰よ。これからは私たち夫婦のセックス奴隷にして、一生、辱めてやる!」
怒りをこめて健介の後頭部を踏みつけている真佐子の足に力が入り、彼の顔面をさらに絨毯に擦りつけた。
一方、竜彦に強制され言い含められたこととはいえ、心にもない応答をさせられて、真佐子にこれほど軽蔑される悔しさに、思わず健介の肩が震えた。
それから数日後の金曜日、真佐子を同伴して宴席に出ている竜彦から、メイド頭の道代に電話があった。
予定通り健介を用意させておくようにとの指示である。
今晩から、健介が夫婦のセックス奉仕に使われることが、道代には事前にこっそり伝えられていたのである。
「お帰りが9時頃になるとのお電話でね、君にシャワーを浴びて準備しておく様にとのことだったわ。……それから、今夜はこれを嵌めるのよ。旦那様に言われてさっき私が買って来たの。ちょっとサイズを合わせてみるわね。」
道代は、キッチンの買い物駕籠から、犬の首輪を取り出した。
「これを着けたら、お二人の寝室では四つん這いで歩くようにって……」
たまたまそこへ、二階の掃除を終えたエミとマキが通りかかり、その様子を目にして寄って来る。
「健介君、道代さんから聞いたわよ。……いよいよ今晩だね。」
エミが声を掛ける。
道代から情報が漏れていたのだ。
「首輪を嵌められるんだぁ……みじめ!……でも、君にふさわしい晴れ姿ね」
とマキ。
健介の心の中では情けなさがつのる。
エミがリハーサルをしては、というので、廊下の鏡の前でポーズを取らされた。
「君の得意のチンチンしてみて。……そうそう、奥様もきっと大笑いね」
「でも、分からないものね。自分から、元恋人のセックス奴隷を志願するなんてね。」
「私は、分かるような気がするわ。恋しい人が他の男に抱かれるのを見て、つのる思いを断ち切りたいのでしょう?……まあ、一種のショック療法ね」
マキは健介に同情的だったが、竜彦に強制されて自分の意志を偽っている健介の心境は複雑だった。
二階の夫婦の寝室、いわゆるマスター・ベッドルームは、びっくりするほどの広さである。
天蓋付きのダブルベッドが中央に置かれ、窓際には豪華なソファーセットと化粧用のドレッサーが並んでいる。
もちろん、広い専用のバスルームも続き部屋として設けられていた。
チーフメイドの道代は、首輪を嵌めた全裸の健介をベッドの脚に繋いだ。
「奥様には、たっぷり愛想尽かしをして頂くんだよ。……君から積極的にうんといやらしい振る舞いをして、軽蔑して頂けるように努力しなさい」
道代からのアドバイスが耳に残った。
切ない想いに胸が一杯になる。
しばらくして夫妻が帰宅したとみえ、階下に二人の声がする。
緊張で健介の胸が高鳴った。
宴会で飲んだワインの酔いのせいか、二人とも気分が高揚しているとみえ、声が高い。
“どうせ堕ちるのなら、せ、せめて最初だけでも真佐子さんの手で……”
健介が心の中で念じた甲斐もなく、先に姿を見せたのは竜彦の方だった。
酔いがかなり回っているとみえ、寝室に入って四つん這いの健介を見るなり、
「オイ、しょんべんだ……こっちへ来い!」
早速、首紐を曳かれて、トイレへと引きずるように連れ込まれた。
便座に浅く腰かけた竜彦は、前にひざまずいた健介の髪を握ってぐいと股間に引き寄せた。
プンと異臭を放つ一物が、健介の口の中にねじ込むように挿入された。
途端に、喉の奥に尿が注がれる。
ゴクゴクと音を立てて懸命に飲み続ける健介を見下ろしながら、竜彦は、大きく欠伸をした。
「さっそく飲まされているのね……まあ、哀れだこと!」
直ぐ後ろで真佐子の声がした。
傍でじっと見下ろしている気配だ。
「終わったぞ。……続けて飲ますかい?」
「量が多いから、二人分続いては可哀そうよ。……それに、フフフ、これから私たちのジュースをたっぷり飲ませるんだしね……」
その後、直ぐに衣服をかなぐり捨てた二人は、シャワーも浴びずにベッドに横になり、お互いの足を絡め合いながら抱き合った。
ベッドの裾からそれを見る健介の目に、真佐子の白い裸身が眩しかった。
健介が覚えている真佐子の身体の細めのラインより、ぐっと女らしさを増している。
下から見るせいか、ヒップが大きく張り出してみえ、男の目には震い付きたいほど魅力的だった。
二人の足が悶えるように絡み合い、唇を吸い合う音が、ピチャッピチャッと淫靡に響く。
それを、食い入るように眺める健介の胸は、切なさで一杯だった。
ひとしきり愛撫を続けた後、二人は首を上げて健介の顔を見下ろす。
「オイ、見ろよ。……こいつ、まるで、お預けをくった犬みたいだぜ」
健介は、ここぞとばかりに、エミに仕込まれたチンチンをして見せる。
プーッと真佐子が噴き出した。
予期したこととはいえ、大笑いする二人に、改めて恥ずかしさで顔が赤くなる。
「お前、ほんとによくお似合いよ。……そう言えば一年前のデートでも、キスはお預けだったわね。フフフ」
「お預けが長過ぎて、御馳走は全部俺が頂いたよ。……オイ、お前にはお余りをやろう。ここへ上がって俺たちのケツの穴を舐めろ。……そこが、唇だと思ってディープキスをするんだぞ。」
再び向き合って唇を重ねる二人。
その股間に健介の顔が近づく。
と、真佐子の手が伸びて健介の髪を掴み、その顔に自分の尻割れを押し付けた。
シャワーを浴びてないせいか、プーンと異臭がする。
昔貰った真佐子のパンティの臭いを懐かしく思い出しながら、健介は思い切って真佐子の菊座に吸い付いた。
エミに仕込まれたアニリングスの要領で、舌先を肛門に差し入れる。
上の方で唇を吸い合う音に混じって、真佐子が“ウウーン”と呻く。
感じて貰えた嬉しさに、健介は懸命に舌を動かした。
「お前、上手ね。感じちゃったわ。……主人の方もお願い。……アラッ、そんな顔して……男のはイヤだとは言わせないわよ。……お前は、私たち夫婦のセックス奴隷なんだからね」
竜彦に嘲笑され、真佐子に笑われながら男の肛門を舐めるのは、本当に辛い、初めての経験だった。
「何時まで、舐めてるの?……私、オシッコするわよ!」
真佐子に足蹴にされて、ベッドから落ちた健介。
その顔に真佐子が跨った。
女の陰毛が鼻をくすぐる。
と、真佐子が尻を上げて健介の顔を覗き込んだ。
上気した美貌にきらきら輝く大きな瞳、それは昔健介が目の奥に焼き付けた懐かしい恋人としての真佐子の顔だった。
その時、彼女の眼に一瞬浮かんだ深い憐憫の色を、健介は見逃さなかった。
再び、彼女の股間が視野一杯に広がる。
「口を大きく開けて……こぼさないで全部飲むのよ。」
そして、声を低めて健介の耳に囁いた。
「さようなら、私の恋人だった健介さん。」
それは、かって、二人の間に育まれた恋愛感情に、永遠の別れを告げる儀式だった。
ぐっと込み上げるものを抑えて、健介は口を一杯に開いた。
涙がツーッと目尻に流れる。
同時に、女の股間から水流が注がれた。
縮めた舌先に注ぎかけられた細い流れはたちまち太く迸って、口腔内に満ちてゆく。
息を止めてぐっと飲み込むと、喉元を越えて胃へと送り込まれる。
一気飲みの要領で何とか飲み終え、チューッと滴を吸い取る。
恋人に便器に落とされた屈辱を噛みしめ、茫然と床に横たわる健介。
それを尻目に、真佐子は再びベッドの竜彦に抱かれ、愛撫が再開した。
「オイ、今度は、俺たちの道具を舐めてきれいにするんだ。……そうそう、俺のをちゃんと勃たせろ。……彼女の方も舌で刺激してやれ。……入れる準備が整ったらちゃんと報告をするんだぞ」
悔しさを胸に畳み込んで、健介は二人の股間に首を埋める。
竜彦の一物が硬さを増し、真佐子のバギナが十分潤ったのを確かめて、喉から声を絞り出した。
「旦那様、奥様、用意ができています。……どうか、ゆっくりお楽しみ下さい」
挿入の瞬間、真佐子がウッと呻いた。
同時に、健介も心の中でアッと叫ぶ。
二人の身体が激しくうねり、真佐子の足が、そして白い尻がくねって踊った。
それは、健介にとって永遠とも思われるように長い切ない時間だった。
漸く頂点に達したとみえ、竜彦の腰が痙攣する。
同時に真佐子の股間がヒクヒクと震えた。
その後、二人は結合したまゝ静かに愛撫し合う。
夫婦の固い絆を見せつけられたような気がして、健介は失ったものの大きさに打ちひしがれていた。
「さぁー、お前の出番だ。……しっかり吸って清めるんだぞ。」
旅行社に勤務していた時の、新婚夫婦へのスペッシャルサービスの経験が役に立った。
健介は、素早く二人の股間に首を差し入れ、結合部に口を寄せる。
挿入が解かれた瞬間、溢れ出した粘液を零さぬようにズズーッと吸いこんだ。
すかさず、道彦の一物が口中に差し込まれ、茶箋で湯掻くように口腔をかき回す。
最後には、真佐子の粘液にまみれた股間が健介の顔面を敷き、その唇に膣口が宛てがわれた。
舌先を挿入すると、ドロッとした生臭い精液の塊が健介の喉を焼いた。
見ず知らずの新婚夫婦の場合は冷静に自分を客観視できた健介も、恋人のセックスの後始末となると話は別である。
どうしても、嫉妬と羨望が先に立ち、屈辱感が増幅されてしまうのだった。
二人は、シャワーを浴びた後、再び抱き合う。
今度は、最初のようにスムースにいかなかった。
健介が懸命に舐めても、中年の竜彦の一物が固くなるのにかなり時間が掛った。
二人がことを終え、健介の再度の清めを受けた後、眠りに付いたのは深夜過ぎだった。
飲尿特訓
その翌日の週末は、雨模様だった。
竜彦は、ゴルフの予定をキャンセルして家で過ごすことにしたが、真佐子は、近所の夫人たちと前から約束していたショッピングに出掛けた。
健介は、昨夜の興奮から未だ醒めやらずで、好奇心に駆られたメイドたちに質問攻めに会っても、気の無い返事ばかりで心ここにあらずの状態だった。
「オイ、寝室の掃除は誰がやったんだ。」
突然、竜彦の声が響いた。
「未だです。……旦那様も奥様も遅いお目覚めでしたから……」
道代が答える。
「それならいいが、ちょっと、これを見てみなさい」
竜彦が、道代を伴って寝室に入る。
しばらくして、道代と入れ替わりに健介が呼ばれた。
「これは、いったい何だ?」
健介は言われた個所を見る。
絨毯の上に淡い染みが広がっていた。
プーンと微かに小水の臭いがする。
明らかに、昨夜真佐子に飲まされた尿の名残だった。
全量を零さずに飲み干したつもりだったが、やはり漏れていたのだ。
「真佐子のを飲んだ時に、お前が零したんだな」
竜彦のダメ押しに健介は黙って頷き、平謝りに謝ったが簡単には許して貰えない。
「俺たちは、これからお前を毎週使うんだ。ちゃんと飲めるように練習しておけ」
「わ、わかりました。……じゃあ、水道の蛇口でやってみます」
「それじゃ、ダメだ。……実物で実習するんだ。……そうは言っても、真佐子に頼むわけにもいかないしな。……そうだ、真佐子には内緒で、うちのメイドたちに練習台になって貰え。3人に特訓して貰って一週間で絶対零さない様になるんだ」
「で、でも、口が裂けたってそんなことを頼むわけにいきません。……仮に頼んでも、きっと断られますよ。……それに、第一、メイドたちにうんと笑われて、馬鹿にされるのがおちです……」
「それは、お前の頼み方次第さ。……交換条件を出して交渉するんだ。……例えば、お礼に毎日マッサージをサービスするとか。……もっと頭を使え! いいか、俺の命令は絶対だぞ」
思いもよらない展開だった。
一晩思い悩んだが良い考えも浮かばない。
意を決して、日曜の朝食後、健介はキッチンの床に正座して、3人のメイドたちの前に手を突いた。
「実は、君たちに、お、お願いが……あるんだ」
「何よ、改まって……私たちに、お願いですって?」
チーフの道代が、いぶかしげに聞く。
「その……旦那様と奥様に、毎週金曜日にご奉仕する件だけど……」
「知ってるわ。……健介君、先週、お二人のセックススレイブにされたんだ。……」
「そ、その時、奥様にお小水を飲まされて……零してしまって……」
「アララ、オシッコまで飲んだの。……さすが、スレイブね。フフフ」
「それで、旦那様に練習をしておけと言われて……それで、君たちに、協力を……」
健介の顔が恥ずかしさに赤らむ。
「まさか、健介君、私たちに練習台になってオシッコを飲ませてくれって言うんじゃないでしょうね?」
「…………………」
「やっぱりそうなのね。あなたって最低ね。……私はノーよ。」
それまで黙っていた後の二人、エミとマキも同調する。
「でも、旦那様が、奥様に内緒で君たちに頼んでみろと……そのかわり、交換条件として、何でも……」
「それって、交換条件にあなたが何でもするってことね。……それなら、考えてみてもいいわ。……フフフ、オシッコを飲ませたら、何でもするのね……」
深々と頭を下げる健介を見下ろす3人の表情に、三者三様の蔑みの笑みが浮かぶ。
それは、さながらネズミを嬲る猫に似ていた。
その後、3人からそれぞれの交換条件が伝えられた。
予想通り、それは健介にとってまことに屈辱的なものである。
まづ、道代は自分たち夫婦のセックスへのオーラル奉仕を求めた。
「私たち、どうしても子供が欲しいの。君が旦那様と奥様のセックス奴隷として使われると聞いて羨ましかったわ。……夫にこっそり話したら、そんな奴隷がいたら私たちももっと子作りに励めるねって、興奮してたわ。……でも、雲の上の方々並みに君を使うことができないのはわかってる。……せめて、月に一回でもいいから真似ごとをしてみたいの。」
エミとマキは、二人で話し合った結論だといって、彼女らの要求を伝えてきた。
「私たち、ボーイフレンドとのデートの機会が減って、いつもモヤモヤしてるの。……旅行社のトイレで自由に君を使っていた時みたいに、週に一回は君の舌で私たちをスッキリさせてちょうだい」
事実上、健介には選択の余地は与えられていなかった。
泣く泣く承諾した後、早速3人による合同トレーニングが始った。
最初に、道代が健介の顔を跨いだ。
スカートの裾から、フリルの付いた白いパンティが、なまめかしく見える。
「君が零した原因だけど、最初の部分はちゃんと口に入ったと言ってたわね。……じゃあ君にとって量が多過ぎて口から溢れたと考えられるわ。しかも、そのしばらく前に旦那様に直接飲まされたって言うから、きっとそれが胃に未だ残っていて奥様の分がスムースに喉を通らなかったようね。」
「じゃあ、今度からもっと間を空けて貰うように頼んでみるよ。」
「きみぃ、奴隷の分際で何を言ってるの?……君の方でちゃんと続けて飲めるように修行するのよ。……これで決まったわ。第一段階は続けてちゃんと飲めるようにすること。それも、お二人の量が多かった時に備えて、私たち3人分を全部一度に飲めるようにするのが目標よ。……それから方向だけど、どっち向き?」
「毛が僕の鼻に当ったから、頭の方を向いてたと思うよ。」
「それじゃ今日は、最初は頭向き。次は足の方を向くわよ。」
道代の腰がスーッと降り、その股間が健介の視界に広がる。
パンティが顔を擦るようにして下げられ、陰りを帯びたデルタが鼻孔に当った。
プーンと生臭い匂いがする。
「見とれてるんじゃないわよ。ボヤボヤしてないで、さ、口を開けて!……高さはこの位でいいかしら?……」
道代は、健介にいちいち確かめながら尻の位置を定めた。
突然、予告なしに尿流が健介の舌を打ったかと思うと口腔内ではじける。
それは、真佐子のものより太く激しい流れだった。
危うくむせ込むところだったが、なんとか喉を開いて受け入れ、一瞬ホッとする。
噎せさえしなければ、できるだけ喉の奥で流れを受け止めると口腔への逆流が少ないことを悟った。
後は、ビールの一気飲みの要領でゴクゴク飲み干すだけである。
「飲んでるぅ、飲んでる!……おいしいか?」
「道代さんの便器にされて、健介君可哀そう……」
傍からエミとマキが交互に揶揄する。
健介の顔がカッと火照った。
道代が終わると、言われるまゝに滴を吸い取る。
次はエミが跨った。
そして最後はマキだった。
マキが出しかけると、健介は苦しそうにもがいた。
マキは慌ててストップする。
二人分の尿で一杯になった胃の腑が、これ以上は受け付けないのだ。
「零すとこだったじゃない。女は途中で留められない人が多いんだよ。……私のが飲めなかった罰を与えて上げる。フフフ……」
マキは尻を少し前にずらして圧力を掛ける。
彼の鼻孔が女の肛門に埋まったとたん、マキが下腹に力を入れた。
プスッとガスが注入される。
ウーッと健介の呻き声。
それを押し消すように、プスッと二発目の音が低く響いた。
しばらくそのまゝでたっぷり余香を嗅がせてから、マキが腰を上げた。
屈辱に眼を充血させた健介の顔を、皆がニヤニヤ笑いながら覗き込む。
とたんに、臭いゲップが込み上げた。
ワーッと女たちの笑いがはじける。
こうして始まったトレーニングは、著しい効果を上げた。
三日目には、健介は3人の尿を続けて余裕で飲み干したし、その翌日は、味の濃い全員の朝尿をすべて飲んで見せた。
その結果、次の金曜日の2回目の奉仕の時には、竜彦と真佐子の二人分を続けて飲み干すことができた。
普通なら面目を施したとも言えるのだが、“便器らしくなってきたわね”と真佐子にかえって蔑まれ、切ない思いだった。
一方、メイドたちに無理して頼んだ付けは確実にめぐって来た。
道代夫妻には、早速たっぷり奉仕させられたし、エミとマキには、その股間に顔を敷かれて、彼女らをいわゆる“スッキリ”させるための屈辱の舌奉仕を強制されたのである。
吸い出し奉仕
ニューヨークでは、冬が長く春が遠い。
宇佐美家でちょっとしたハプニングが起った。
普通だったら何と言うことも無いアクシデントだったが、これが、健介を奈落の底に転落させるきっかけとなったのだ。
と、言うのは、冬によくある水道管の凍結事故が、宇佐美家宅でも発生したのだ。
そこで、問題が起った。
それも、見方によっては重大な問題だった。
宇佐美家では、真佐子が女主人となったのを機に、屋内の全トイレにウォッシュレット設備を取り付けた。
日本でこの便宜を当り前のものとして享受していた真佐子にとって、この設備の無いトイレは、受け入れ難いものとなっていたのである。
アメリカでは文化の違いもあって、ウォッシュレットを備えているのは、最新の高級ホテルくらいのもので、一般家庭には未だ普及していない。
宇佐美家で日本から取り寄せた部品の取り付け工事が進むにつれ、問題が出た。
日本仕様のため、アメリカの水道の標準水圧ではうまく作動しないのである。
大容量の水圧ポンプを追加設置したが、もともと古い家だったせいもあって、水道の配管自体が、その高めの水圧に耐えきれなかったのである。
当然、水漏れが発生し、その都度修理してこと無きを得てきたが、冬になるとそうはいかない。
水漏れが原因となって凍結が起り、広範囲にわたる水道管破裂を引き起こしたのである。
補助水管を設け、ポンプの水圧を下げて当面は対応できたものの、根本的な修理は凍結の心配が無くなる初夏になる。
突然、それまでウォッシュレットは使用できない。
宇佐美家にはちょっとしたパニックが起った。
アメリカ生活に慣れた竜彦やメイドたちは一向に慌てなかったが、ウォシュレットに頼り切っていた真佐子が問題だった。
エミが、何気なく旅行社でのウォッシュレット・サービスの話を竜彦にしてしまったのが、健介にとっては不運だった。
竜彦に口説かれて、と言うより強制されて、健介が真佐子専用の人間ウォッシュレットを志願させられるまで、余り時間は掛らなかった。
あくまで、自分の意志でお願いする形を固く言いわたされた健介は、その晩眠れず、眼を泣き腫らして朝を迎えた。
翌日、窓から雪の見えるリビングで、真佐子の足置きを勤める健介は、意を決して真佐子に話し掛けた。
それは、彼にとって、さらなる汚辱にまみれることになる苦渋の決断の結果だった。
「お、奥様。お話しても、よろしぅございますか?」
「突然、何? お前は私の許可なしには、口がきけないはずでしょう?」
「で、ですから、こうして、お願いしております……」
「そう、じゃあ、特別に許すわ……話してごらん。でも、こうして下を向いたまゝ話すのよ。私の顔を見たいでしょうが、金曜日のご奉仕までお預けよ。」
真佐子の足がスリッパのまゝ、健介の後頭部を抑えた。
「奥様、ウォッシュレットのことでございますが、……故障して当分使えないと伺いました。」
「そうよ。とっても不便。……お前が直せたらいいのにね。」
「旅行社に勤めていた時に、私は、ウォッシュレット・サービスというのをやっておりました。」
「アラ、携帯用のウォシュレットでもあるの?」
「いえ、私が、……口で……」
「そうそう、お前が新婚カップルのセックスのお汁を吸ってた、というのがそれね。……何度聞いてもいやらしいわ……でも、今では、お前は私たち夫婦のお汁専用だわね」
「結果的にはカップルのお汁がメーンでしたけど、トイレットペーパー役も時々……」
「いやーね……それで……」
「それで、故障したウォッシュレットの代りに、私の舌を使って頂けないかと……」
「何ですって?……お前、自分の言ってることが、分ってるの?……私がウォッシュレットで毎日主に洗っているのは、前よりも後ろの方、お尻の穴よ。」
「お、奥様のお尻は、わ、私にはとても魅力があって……」
「そうだ、お前はデートの時に、私のお尻ばかりチラチラ見ていたわね。でも、普通の男は女のお尻を触りたいのよ。それを、お尻の穴が好きだなんて、変態よ!」
「そ、そうなんです。私は、へ、変態なので……でも、金曜日のご奉仕の時は、お二人のお尻の穴にキスさせて頂いております」
「あれは、私たち夫婦のキスのお相伴をさせているのよ。唇の代りにお尻の穴を宛てがわれた自分の情けなさが、骨身にこたえるようにね。そして、身分の差を思い知るようにお前を卑しめて上げているのよ」
「………………」
「でも、ウォッシュレットは別よ。その代りをお前がするということは、ウンコの付いた私のお尻の穴をお前が舐め清めるということ。……それでもいいの?」
「わ、私は奥様が好きです。気が狂う程好きなのです。……それなのに、同じ家に居て、お顔もなかなか拝めない。漸く、週に一回、お二人へのご奉仕の時に、やっとお肌に触れることができますが……」
「でも、お前に触れることのできるのは、私の下半身。それも、舌と唇でご奉仕するときだけ。その上、オシッコを飲まされ卑しめられる。……これ以上無い屈辱だわね。」
「でも、毎日奥様の肌に触れ、お声を聞き、お顔を拝みたい。……例えそれが、お尻の穴のウンコを舐めながらでも、それが、昔の真佐子さんのものであるかぎり、甘んじて屈辱に浸かって生きてみたいのです」
「呆れたわねぇ。でも、お前が私に恋焦がれていることは、よく分かったわ。……もう私は、お前を男として愛することはできないのだから、せめて、望み通りウォッシュレットの代りをさせて上げる。……でも、勘違いしちゃダメよ。お前がこれから毎日見るのは、私のお尻の穴、それもウンコ付きのね。そこを拝んで私に感謝するのよ。フフフ」
揶揄するような真佐子の口調には、激しい侮蔑の感情が露わになっていた。
その次の朝、早めに出勤する竜彦を送り出した後、真佐子は、道代に命じて健介を寝室のバスルームで待機させた。
便意を覚えて彼女が二階に上がったのは、それから間もなくのことである。
寝室のトイレの前で、例のヒキガエルスタイルで平伏している健介を見下ろして、真佐子は微かな笑みを浮かべた。
竜彦と接吻しながら健介に“お余り”と称して尻穴を吸わせた時の感覚が、よみがえったのである。
洋式の便器の横でパンティを脱ぐと、その股間の汚れを確かめ、タイルの床に額を擦りつけている男の顔の下に、足先でそれを押し込んだ。
真佐子の足裏が、健介の頭をぐっと踏みつける。
「私が用を足している間、その匂いをよく嗅いで、昔の私のプレゼントを思い出すのよ。」
以前、健介に成田空港で贈られた真佐子のパンティの匂いに比べ、それは遥かに濃厚な臭いがした。
それは、もう、成熟した女の生臭い饐えた香りである。
むさぼるように鼻息を立てて匂いを嗅ぐ男を見下ろしながら、用を足す真佐子。
彼女は、心の中で呟いた。
“あさましい奴。……昨日は、ちょっと可哀そうだと思ったけど、こいつ、私のお尻を清めさせるのにふさわしい見下げ果てた男だわ。”
「終わったわよ。ホラ、そこに仰向けに寝て。眼をつぶって。……ちゃんと清めたらご褒美に私の顔を拝ませて上げるわ。」
男の足の方を向いて、その顔を跨いだ真佐子は、尿孔を健介の唇に宛てがった。
「眼を開けていいわよ。未だ少し残ってる分を、ついでに飲みなさい。汚れたお尻を嗅ぎながらね。……分かっていると思うけど、お前の目の前のそこを清めるのが、今日のお仕事よ。」
健介は慌てて口を開けた。
ついでに小水も飲まされるとは、思っていなかったのである。
しかし、眼の前に広がる豊満な尻の谷間は、べっとりと褐色の糊で覆われている。
プーンと、糞臭が鼻を突いた。
真佐子の小水を口で受けながら、見上げる眼に映る女の汚れた股間は、彼を威圧した。
何しろ慣れない経験である。
果たして、吐き気を抑えてちゃんと舐め清めることができるだろうか?
その、恐怖に似た感情が込み上げると、それまでの情けなさや、おぞましさが消し飛ぶ思いだ。
その前に一度放尿を済ませていたので、健介が飲まされた量は少なめだったが、それだけに十分味わう余裕があった。
その生臭い味を、しっかりと頭に刻み込む。
真佐子が腰を上げ、頭の方を向いて健介の顔を跨ぎ直す。
汚れた肛門が、今度は、健介の唇に宛てがわれた。
思い切って、舌と唇で汚れを吸い取った。
何とも表現し難い臭みと苦みの混じった味が、口の中に広がる。
「穴の奥まで舌を入れて……そう、舌の先で中をかき回すようにして、清めなさい。……ホラ、それと同時に唇で穴の周囲を吸うの。……そう、ディープキッスの要領よ。……でも、残念ながら、お相手は私のおしも。悔しい?……ソラ、私の顔を見ていいわ。……アラ、お前、眼が真っ赤よ。なんてみじめな顔!」
上から見下ろす真佐子の美貌に、うっとりする健介。
しかし、彼女の表情は高慢さに満ち、その視線は蔑みをたたえていた。
女は、いったん強制的に処女を奪われると、却ってセックスにのめり込むと言う。
健介も、真佐子に屈辱に満ちた体験の洗礼を受けて以来、毎朝のウォッシュレット奉仕に意識がのめり込んで行った。
だが、飲尿を含め、真佐子の排泄への奉仕に慣れてきたとはいえ、排泄物そのものの味にはどうしても抵抗が残る。
それを察した真佐子は、しばらく経ってから更に思い切った辱めを実行に移した。
「お前、とても上手になったわよ。……本物のウォッシュレットより気持ちがいいわ。このまゝズーッと使ってやるから感謝しなさい。……でも、私、もうひとつお前にやって欲しいことがあるのよ。……お前も気付いたかもしれないけど、私、便が出難い時があるの。きっと、出口に引掛かっているのね。……お前、それを吸い出してくれない?」
それは、健介が仰天するような頼み、いや、いまや彼女の命令だった。
これまでの心優しい真佐子の口から出た言葉とは、どうしても思えないほどだ。
一方、真佐子の心理にも変化が起きていた。
自分の尿を飲み、尻の汚れを舐める健介を見慣れると、昔の恋人に対する優しい思いは次第に失せ、何でも言うことを聞く自分の崇拝者、いや、奴隷として見るようになってきたのである。
しかも、屈辱を与えられ度に涙目になる男の顔が面白く、嬲り抜いてみたい衝動に駆られる時さえあった。
“便を吸い出せ”という命令も、そういったいたずら心が嵩じたものだったのである。
しかし、眼を赤くしながらも命令に従う意思を示した健介に、内心驚きながらも、本当に実行して泣きっ面を見てみたい、というサジスティックな興味が先に立った。
「お前は、プライドという感覚を無くしてしまったのね。……というより私が奪ったのかも。……恋人だった女に、お尻の穴から便を吸い出せと命令されても、お前は悔しくないの?……いいわ、返事は要らない。早速やってもらうからね。」
翌朝、真佐子は最初に小水を飲ませた後、便器に戻らず、そのまゝ健介の口に肛門をピッタリと宛てがった。
「さあ、舌を差し入れて刺激しながら唇で吸うのよ。……アラ、心配しなくてもいいわ。出そうになったら直ぐ便器に戻るわ。」
真佐子の下腹に力が入り、かすかにいきみ声が漏れる。
……しばらくして、健介の唇の上で突然、肛門がヒクヒクと震えた。
ハッとする間もなく、大量のガスと共に、固い塊がコロッと健介の口中に転がり込んだ。
「アラーッ、ご免なさい!……ちょっと出ちゃったわ。……お前、便器の中に吐きだしてらっしゃい。……何を、もたもたしてんの?……次が出るわよ。……それともお前、食べてみたいの?フフフ」
余りのことにショックで打ちのめされ、身体が一瞬硬直したものの、健介は慌てて便器の中にその塊を吐き出した。
代って真佐子が便座に座る。
ひときわ高い排泄音が響いた。
「ご苦労さん。成功ね。……口の中に少しもらしたのはお前のせいよ。ちゃんと吸い方をコントロールしなくちゃダメじゃない。……さあ、後は、何時ものように後始末するのよ」
それは、健介に新たなおぞましい習性が追加されたということだった。
以後、真佐子はその“吸い出し”奉仕を頻繁に健介に命じたからである。
スピットゲーム
真佐子が来てから宇佐美家が主宰する、初めてのパーティの日が近づいた。
竜彦の会社の日本人従業員の家族が主体で、それに真佐子のショッピング仲間が加わったごく気の置けないメンバーで、12組のカップルが参加した。
その余興として竜彦が思い付いたのが、人間ドッグショーである。
ヒントは、夫婦の寝室で健介が演じた犬真似だった。
早速、エミがその担当に指名された。
犬になるのはもちろん健介で、エミが鞭を振るう調教師に扮して、皆の笑いを誘う趣向だった。
もちろん、健介には拒絶する選択は無い。
以前に、女子大生のグループのパーティで犬真似をさせられて、散々笑われた経験がエミから竜彦に伝わっていたのだ。
「チンチンと犬鳴きだけじゃ、場が持たないわね。犬って臭覚が売り物なんだから、パンティの匂い当てなんてどうかしら?……健介が目隠しして、私たちの匂いを嗅ぎ分けるってのはどう? 未だ一週間以上あるから特訓すれば大丈夫。奥様のは毎朝のご奉仕の時に散々嗅がされているようだから、後は道代さん、マキちゃん、それに私のを嗅ぎ分ければいいのよ。……もうひとつ。締めに皆が参加する面白いゲームを私たちで計画して、賞品を出すの。……そうね、それまでの流れの延長で、健介君が絡んで、皆に笑われる趣向を考えましょう。」
担当に指名されたエミは、大張りきりである。
“また、僕が笑い者にされるんだ。不公平じゃないか!”と心の中で叫んでも声に出す勇気はもう無かった。
今の健介は、この家ではそれほど無視され、下に見られていたのである。
真佐子に大笑いされて健介は大いに傷ついたが、残念なことにエミの提案はすんなりと承認され、屈辱的な特訓が始まった。
メイドたちの色とりどりの汚れたパンティが、室内乾燥用のラックに並べて吊るされる。
それに、真佐子のショーツと竜彦のブリーフが追加された。
男ものの追加は、竜彦の意を汲んだ道代のアイディアである。
ラックの高さが低めなので、匂いを嗅ぐには、どうしても四つん這いになる必要があった。
真面目に嗅いでいるかどうかを監視するために、そのラックはメイドたちが頻繁に出入りするキッチンに置かれた。
ただ朝だけは主人夫婦が朝食を取りながら見張れるように、ブレックファストルームの隅に移動される。
それを、エミに初めて見せられた時、真佐子は顔をしかめた。
「臭いわぁ……主人のが一番ひどいわ。フフフ。……それと、これ、道代のですって?……股の所に澱ものがべったり付いてるじゃない。そう、生理中かぁ。……」
そのまゝ朝食に掛る夫妻の目の前で、四つん這いになってラックの汚れた下穿きに鼻を寄せる健介は、さすがに恥ずかしさが先に立った。
半ば自棄になって汚れに鼻を埋めると、ツーンと異臭が鼻孔を刺す。
その臭い匂いを、スースーと音を立てながら吸いこみ、記憶に刻むのである。
背後で食事を取りながら見守る二人から、時々クスクスと蔑み笑いが漏れ、健介は悔しさに顔が赤くなった。
パーティ本番の当日、客は12組のカップルに達し、宇佐美家の宴会場は大賑わいである。
皆が顔なじみの仲なので、和気あいあいの雰囲気だった。
食事が終わりに近づきデザートが出た頃に、余興のショーが始まった。
真っ赤なレザーのスパンコール姿で登場したエミが、ハイビートな音楽に乗って身をくねらせる。
途中でマキから細身の鞭が手渡され、ひとしきり、あたりを空打ちして見せた。
そして、首輪を嵌められた全裸の健介が、マキに曳かれて四つん這いで入場する。
一斉に、拍手が起った。
首紐を渡されたエミは、テーブルの間を縫うように健介を曳き回した。
途中で、男の裸の尻に鞭音が派手に鳴った。
思わず、ヒーッと、か細い悲鳴が上がる。
その情けない声に、ドッと笑いが湧いた。
センターテーブルの前のスペースで立ち止まったエミは、鞭を鳴らしながら掛け声をかけた。
エミの振り付けで、ひそかに練習を重ねていたチンチン踊りの始まりだった。
両腕を曲げ、脇を固めて手首をだらりと垂らし、チンチンのポーズを取る。
同時に、音楽のリズムに合わせて、手を振り尻を左右にくねらせながら、しゃがんだ姿勢のまま、よたよたとステップを踏む。
その珍妙な踊りに、爆笑が巻き起こった。
続く犬鳴きも好評だった。
中でも、尻を鞭打たれて「キャンキャン」と悲鳴を上げる無様な姿に、直ぐ傍の女性客が噴き出し、それが全員の笑いに変った。
その後に続く“パンティ匂い当て”の犬芸では、数名の女客から穿いてきたパンティを出品して貰ったので、真佐子夫婦やメイドたちの分に混ぜてテストに加えられることになった。
健介にはアイマスクが付けられ、四つん這いのまゝ待機させられる。
篭に入った下穿きの股の汚れた部分が、ひとつひとつエミの手で健介の鼻に押し付けられ、その都度、それが誰のものか答えるのだった。
客のものでなければ、名前まで言わされる。
「マキ様、……痛っつ。……いえ、違いました……道代様のものでした……」
間違いそうになると、エミの鞭が背中に鳴る。
言い直して、漸くこと無きを得た。
「……お、奥様のでーす」
今度は、自信たっぷりの声。
慣れ親しんだ女主人の匂いを、間違える筈がなかった。
言い直しはあったものの、大過なく全員の分を嗅ぎ分けて終了した。
多くの客から、失笑や嘲笑が絶え間なく浴びせられ、いかに恥ずかしい芸を披露しているかを、健介に思い知らせた。
最後のイベントは、客が参加するゲームである。
担当のエミが、説明に立った。
「これから皆さんにやって頂くのは、スピット・ゲームというものです。……昔のアメリカ先住民時代からのもので、どこまで遠く唾を飛ばせるかを競うものですが、今日はその正確さをポイントにします。……唾も、飛ばすのではなく、上から落として頂きます。この犬を床に仰向けに寝かせておきますから、その口の中を目標にして下さい。」
客の間に、ちょっとしたざわめきが起った。
「いいんですかぁ?……この男、じゃなかった、この犬に私たちの唾を受けさせて。……それじゃあ、この犬の口を痰壺にするってことじゃありません?」
エミの傍の女性が質問した。
エミがニヤニヤ笑いながら答える。
「実は、この犬には普段から私たちの排泄物を口で受けさせているんです。旦那さまや奥様を含めて、私たちの下半身でもう散々汚してありますから、痰壺にされてどうと言うことはありません」
「フフフ、それじゃ、こいつの口はすでに便器として使われているから、痰壺兼用にしてもかまわないってこと?」
「仰るとおりですわ。……ホラ、お前も、そうですって犬鳴きしてごらん」
「ウウーッ、ワンワン」
再び、爆笑が巻き起こる。
「そこで、もうひとつお知らせがあります。……このゲームにはカップルの代表として、ご婦人に参加頂きますが、優勝されたカップルには賞品の代りに、この犬を一週間無料で貸出し致します。実は、ここの御夫婦が明日から一週間旅行に出かけられるのでその間の貸出しということです。……十分仕込んでありますから、お二人でお好きなようにお使い下さい。」
「お好きなようにって、……例えば、便器にしてもいいってこと?」
「はい、そうです。……でも、こいつの舌と唇は、オーラルセックス用に訓練してありますし、ウォッシュレットとしても使えますから、お二人の寝室で、ゆっくり夜の慰みものにされるといいかと思います。……それから、これは、奥様の許可を頂ければ、の話しなのですが……」
ここで、エミは真佐子の顔をそっと窺がう。
真佐子が頷くのを待って、説明に戻った。
「お二人の、それも特に女性の方の中には、きっと便秘気味の方もおられると思います。……この犬は奥様のお仕込みで、今や“吸い出し奉仕”のエキスパートです。」
「何ですの?……その“吸い出し奉仕”なるものは?」
「文字通り、出難くなっているものを吸い出す奉仕です」
「何ですって?……吸い出すって、口で?……まさか、……お尻の穴から?」
エミが大きく頷くと、会場全体がざわめいた。
「気持ち悪ーい。……でも、本当なら、私、試してみたいわ。」
「私も、同感!……」
「私も……」
一斉に共感を示す囁きが広がった。
俄然このゲームに関心が集まり、熱気がこもる。
と、言うことは、ゲーム自体への好奇心だけでなく、この破廉恥な“奉仕”に関心が集まったことを意味していた。
最初は、客の中で希望者だけとしていたが、結局、女性全員が参加することになった。
12名の女性が列を作る。
床に寝た健介は、仰向けになって待つように言われ、傍には、エミが審判役として付き添う。
ゲーム参加者は健介の胸を跨いで立ち、腰を曲げない様に注意しつつ男の顔を見下ろして、口に溜めた唾を落とすのである。
勝負は簡単で、唾が男の口を外すと即失格になる。
口の中に入れば、列に残って次の番を待つ。
最後まで残った者が、優勝するのだ。
最初の一巡は、様子見のための練習ということになった。
最初の女が位置に付くと、エミが健介の頭を軽く蹴る。
口を大きく開けろと言う合図だった。
ペッと言う音と共に唾の塊が落ちて来る。
それは、健介の上唇と鼻孔の間に落下した。
「アウト!」
とエミが声を出して判定を下す。
「さ、ぼんやりしてないで、舌を伸ばして吸い取るのよ」
急かされるまゝに、健介は舌の先で鼻の下に掛った唾を拭い吸いこむ。
次の女の唾は、開いた口の真ん中に落ちた。
舌の奥にねっとりした唾の衝撃を感じ、屈辱感がぐっと込み上げる。
「ストライク!」
とエミの声。
三人目の唾は吐き出す勢いで方向が狂い、健介の額の上に落ちた。
慌てて手で拭い舌でそれを舐め取る。
こうして最初の一巡を終えてみると、意外に難しく、ストライクは3人に一人の割である。
次は、本番と言う時に参加者から申し出があった。
「唾だと、溜めるのに時間も掛るし、第一口離れが悪いわ。……この犬さんには気の毒だけど、痰が混じってもいいかしら?」
何気ない言い方だったが、それは健介にとって残酷な提案だった。
痰混じりの唾を口の中に入れられ、それを飲みこまされることで、彼の屈辱は一段とエスカレートする。
だが、彼の意志とは無関係に、エミはニヤニヤ笑いながらOKした。
本番となって、参加者は俄然慎重になる。
最初の女が、ズズーッと鼻を啜りカーッと痰汁を喉に溜め、口に含んだ。
その一連の所作に、女が如何に彼を無視し軽蔑しているかが現れていて、健介の目に悔し涙が溢れる。
その塊は、たまたま狙い通りポタッと彼の舌の奥を直撃した。
びっくりするほど大量の生臭い塩味を帯びた痰汁が、口中に広がる。
列に並んだ女たちから、ワーッと歓声が上がった。
エミのストライクのコールが皆の嘲笑に消されて遠くに聞こえたが、健介は涙で目を潤ませながらゴクンとねっとりした痰汁を飲み込んだ。
唾液にまぶされた粘っこい痰だと、力を込めて吐き出さなくても口からスルリと滑り落ちるので、命中率が格段に向上することが分り、全員がそれに習った。
結果は大幅に改善され、3人に二人がストライクである。
第二ラウンドには、実に8人が残った。
結局、勝負が着いたのは、第6ラウンドに入ってからだった。
優勝したのは、日本から赴任してきて間が無い若夫婦だった。
夫は、竜彦の部下に当たる。
ゲームが終わって宴が果て全員が帰途に着く時に、この夫婦は、健介の受け渡しの段取りをエミと話し合うため、最後まで残っていた。
健介の首紐を曳いて、真佐子に挨拶に来た妻の方は、夫の上司夫人の機嫌を損じないよう、最大限に気を使っていた。
「奥様、大切な犬を一週間も貸して頂くことになって、本当に有難うございます」
「いいえ、どうせその間は旅行で、私たちが使わないのですもの。……とにかく、優勝、おめでとう」
「でも、本当に便器として使っていいんですの?……私、こちらの食事に未だ慣れてなくて、便秘気味なので助かります。……それに、この国ではウォッシュレットが使えないので、主人とのセックスの後、不自由してましたの。」
「便秘の悩みには、吸い出し奉仕が有効よ。……遠慮せずに、こいつの口の中に出してやりなさい。セックスの後始末には、その舌が役に立つわ。……実は、こいつ、私が今の主人と結婚する前の恋人だったの。……私を裏切った罰として、この家に引き取って便器に落してやったのよ。」
「そうだったんですか?……こんな美人の奥様を裏切るなんて許せませんわ。私の手で、いえ、フフッ、お尻で、たっぷり罰を与えてやりますわ」
女に首紐を曳かれ、床に四つん這いのまゝ二人の会話を聞く健介は、胸が潰れるような思いだった。
耳に入った女の言葉で、反射的に彼女の尻を見上げる。
そこには日本人離れした逞しいヒップが、彼を威圧するかのように聳えていた。
先ほど、この女から繰り返し何回も飲まされた痰汁の味が思い出される。
そして、これから口にさせられるであろうこの女の排泄物の味を想像して、めくるめく屈辱と激しい転落感に苛まれるのだった。
(完)
阿部譲二作