066-#66淫乱妻の贄
阿部譲二作
セックス好きの新妻がポルノ小説やSM雑誌を読んで色々な体位や性技を夫に要求する。遂にはこれも新婚の会社の同僚夫婦とスワッピングパーティに出掛けることになる。妻に仕込まれた舌技が好評で、彼はパーティの女達に舌奉仕専門の男と見なされ次々と使われる。その後、不況で失職した男はパーティ屋に雇われ舌奉仕や便器ショーの訓練を受ける。 |
「いってらっしゃい! 早く帰って来てね」
新妻の栄子の明るい声を背に、河本信男は
何時もの様に家を出た。
美人妻との新婚三ケ月の甘い生活に、文字
通り幸せ一杯の信男だったが、この所、何時
も、どこか気怠い疲れが残っている。
朝の通勤電車の中でも、生欠伸を噛み殺し
ながら朝刊に目を通す内に、ついウトウトと
してしまう此の頃だった。
理由は考えてみるまでもなく、慢性の寝不
足である。
それも、毎晩、栄子の執拗な要求で数回に
亘って繰返される夫婦の営みに起因している
ことは明らかだった。
寝室には、彼女が買い集めてきた性生活の
解説書が山と積まれている。中には、ポルノ
小説やSM雑誌まで含まれていた。
栄子は、毎日家事の合間に、そうした本を
読み耽り、セックスに関する過剰とも言える
知識を吸収する。
そして、信男が勤めから帰るのを待ちかね
た様に、晩になると、雑誌や本で読んだ色々
な体位や性技を彼に要求した。
始めの内は、信男も興味をそそられたが、
昼の仕事の疲れもあって、あまりに積極的な
栄子を、次第にもて余す様になって来た。
よく、男の理想の妻として昼は聖女の如
く、夜は娼婦の如き女≠ニ言われるが、栄子
の場合は少々極端である。
少女時代より毎晩オナニーを欠かしたこと
がないと告白した様に、栄子の性欲は人並以
上に強かったが、それよりセックスに対する
好奇心が並外れて旺盛だった。
本番だけでなく、長い前戯と後戯、それも
男の舌による愛撫を、繰り返し繰り返し求め
るのである。
しかも、一度頂点に達するだけでは決して
満足せず、あくまで貪欲に性のエクスタシー
を求め続けて、信男を寝かさない。
「ねえ、貴方、一度アニリングスをやってみ
て頂けない?」
「なんだい、そのアニリングってやつは」
或る晩、信男は栄子の突然の要求に、いさ
さか戸惑った。
「いやね、知らないの?……クニリングスが
クリトリスへの舌の愛撫で、一般的なんだけ
ど、アニリングスといえばアヌスへ舌で刺激
を与えることを言うの。……人によっては、
そこにも性感帯があるのよ」
「アヌスって言えば、尻の穴だろう?………
おかまじゃあるまいし、そんなとこに性感帯
があるものか。……第一、そんな不潔な所を
舌で舐めるなんて、考えもつかないさ!」
信男は、幾分憤然とした口調になる。
「アラ、今日は、ちゃんとお風呂にも入って
るし、ちっとも不潔じゃないわ。……第一、
貴方が好きなクニリングスだって、オシッコ
の穴を一緒に舐めてるじゃないの。……要は
愛情の問題よ。……愛してれば、お互い相手
の唾だって不潔と思わないでしょう?」
「別に……クニリングスだって、最初は興味
があったけど、今は、そんなに好きでやって
るわけじゃないさ」
「私への愛情で、して下さってると言いたい
んでしょう?……だったら、お願い。試しに
アニリングスもやってみて。……性感帯が無
いと判れば、二度と頼まないわ」
栄子は、ベッドの上で身体を逆にして信男
の方に背を向ける。
スベスベした女の豊満なヒップが、横向き
に寝た彼の目の前にこんもりと盛り上った。
両手で尻肉をかき分ける様に開くと、そこ
には、幾分盛り上ったピンクのアヌスが息付
いている。
「早く!……お願い」
栄子の声にせかされる様に、信男は、その
菊座に唇を寄せた。
どうしても頭に残る不潔感を押し殺しなが
ら、その括約筋の皺目に舌を這わせる。
同時に、彼女の腰がピクンと震えた。
「アッ、良いわ。……感じる!……もっと、
強く舐めて!」
栄子は腰を曲げる様にして尻を突き出す。
信男は止むをえず、菊座に吸い付く様にし
て、舌の腹で蕾全体を強く擦った。
「そう、そうよ。……いゝわぁ」
彼女の腰を震わせての反応には、演技とも
思えぬ真実味がある。
「今度は、舌の先を尖らせて、中に差し入れ
てみてぇ!」
栄子に言われるまゝに、括約筋の中心を舌
の先で突く。途端にピリッとした苦味が舌を
刺した。
信男は慌てゝ彼女の尻から顔を離すと、洗
面所に駈け込み、何回も含嗽をする。
「どうしたの?……せっかく良い気持だった
のに……」
「君のおかげで、汚いものを舐めちゃったん
だ。……やはり、中には滓が残ってたよ」
タオルで顔を拭きながら、信男は、恨めし
げに答えた。
「アラ、御免なさい。……それじゃ、貴方、
私のウンコを舐めたってわけね。……ウフッ
どんな味だったの?」
栄子は、済まなさそうな顔をするどころか
ニヤニヤ笑いながら、信男の顔を見詰める。
「だれが、味なんか判るもんか!……もう御
免だぞ!」
憤然とする信男を無視する様に、栄子は、
まるでケロッとしている。
「やっぱり、私の思った通りだわ。……私の
性感帯はバックにもあるの。……ネ、ネエ、
今度はもっと奇麗にしておくから、又お願い
ね。いゝでしょう?」
返事をする代りに、信男は、クルッと栄子
に背を向けて目を閉じたのだった。
この事件以来、栄子はアニリングスの方は
諦めた様だったが、その代り、クニリングス
の要求は次第にエスカレートした。
即ち、本番よりも、寧ろ舌による愛撫で、
繰返し連続して頂点に達する方に、彼女の好
みが移って行ったのである。
もともと、永年オナニーで楽しんでいた性
癖の為に、膣よりクリトリス感覚の方が発達
していたのかも知れない。
「ウウン、もっと強く……もっと強く舐めて
よ!……ダメ、それじゃ。……もっと舌に力
を入れるのよ!」
気分が高まると、いつも、栄子は決まって
こう叫んだ。
或時、たまり兼ねた栄子が、信男の顔を股
間に挟んだまゝ一転して、彼の顔に跨がった
体位になる。
そして、仰向けに寝た男の顔の上で、腰を
激しく前後に揺すって、クリトリスの部分を
強く彼の鼻の頭に擦り付けた。
勢い、懸命に動かし続ける信男の舌は、自
然に栄子のアヌスを舐める結果に成る。
そしてものゝ二、三分も経っただろうか。
「ア、アーッ……いゝ、いゝわー!」
栄子が、びっくりする程大きな声で叫び、
背をのけ反らせて、何時になく深い陶酔に身
を委ねた。
それからというものは、この体位が、栄子
のフィニッシュに欠かせなくなる。
しかも、信男の顔に跨がる時間が、次第に
長引く様になって行った。
そしてその内、栄子は、前戯の時点から、
信男の顔を尻に敷く体位で、快楽をむさぼる
様になった。
かくて、連夜の様に栄子の尻に顔を敷かれ
る信男は、不思議なことに、精神的に栄子の
前に頭が上らなくなってしまった。
それと平行して、栄子の方は、夫に対する
態度が次第に横柄になる。
「貴方! 私に向かって、よく、そんな口を
きけるわね。……何さ、毎晩私のお尻の下で
私のおしもをペロペロ舐めてるくせに!」
栄子は、虫の居どころが悪いと、露骨な言
葉で信男を罵倒し辱めた。
信男の方も、栄子に対しては、どこか卑屈
なオドオドした態度が次第に身に付き、結婚
後一年もしない内に、文字通り、女房の尻に
敷かれた男の悲哀を噛みしめる様になった。
河本信男の勤めるN商事は、創業以来五十
年を数える老舗で、この所、業績も好調で、
大手に次ぐ位置を確保している。
企画部に籍を置いて既に六年になる河本信
男にとって、目前の主任のポストへのライバ
ルは、同じ職場の溝口謙一だった。
その溝口謙一も、河本信男同様、新婚の身
である。しかも、式を挙げたのが一週間違い
なら入社も同期だった。
「オイ、河本。……うちの女房が、先日お前
の奥さんと市場で会って、色々話をしたそう
だ。……それによると、お前、奥さんに毎晩
過剰サービスしているらしいな」
昼休み、食堂で、あたりに人気が途切れた
頃、溝口が声を掛けて来た。
栄子は、溝口夫人の玉枝とは昔からの知り
合で、住所も同じ地域である。市場で出合っ
ても一向不思議なかった。
「お蔭で、俺は大迷惑よ。……何しろ、俺に
もクンニしろって言うのさ。……女のあそこ
を舐めるなんて、冗談じゃないぜ」
突然の溝口の話に、河本信男はいさゝか戸
惑った。
「逆に、俺は女房に言ってやったんだ。……
お前こそ、俺の息子にフェラしろってな。…
…女房何て言ったと思う?……河本さんは、
奥さんの言いなりで、栄子さんのバックまで
舐めるそうだとよ。……俺も言い返したさ。
……そんなら、河本に舐めて貰えってな。…
…フフフッ」
溝口の持味である品の無いあけすけな言い
回しに、信男は些か辟易しながら、返事に窮
して沈黙したまゝである。
「でもな、暇を持て余している女房共にとっ
て、セックスは格好の話題さ。……お前の奥
さんも相当の好き者らしいから、そこでひと
つ提案があるんだ」
「………………」
「お前、本屋で交際雑誌を見たことがあるだ
ろう。……ソラ、ホームトークとか、オレン
ジピープルとか言ったたぐいの本さ」
「ウム……そりゃあな……」
信男は、栄子が何時も買ってくる寝室の雑
誌の中に、それらしい題名があったのを思い
出していた。
「あれに、色々なホームパーティーの紹介が
あるだろう。……そら、所謂スワッピングの
パーティーさ。……俺も、一度、女房を連れ
て行ったことがあるのさ」
「スワッピングって言えば、その……夫婦交
換じゃないか」
「その通り。……真面目なお前には無縁なも
のだろうが、そりゃあ刺激的なもんだぜ。…
…そこでだ、一度俺達夫婦と一緒に、二人で
参加してみないか? 女房達が喜ぶのは保証
付さ」
「………………」
「人生、色々経験しなくっちゃ、生きてる意
味が無いぞ。……それにスワップパーティー
は、知った者同志が何組か固まって参加した
方が、プレッシャーが少ないんだ。……そし
て、最初のラウンドは仲間内で済ませて、弾
みをつけるのさ」
「でも……家内が何と言うか……」
信男は一応言葉を濁したものゝ、その晩、
冗談めかして妻の栄子に話すと、彼女は大乗
気である。
「私も、実は、大いに興味があったの。……
でも貴方に言っても、どうせ駄目だと諦めて
いたのよ」
「でも、溝口夫人の玉枝さんに、僕達のこと
を喋るのはやめてくれよ。……夫婦のセック
スは二人だけのものさ」
「そんなこと言ってると、パーティーで腰を
抜かすわよ。……みんな、それは積極的なん
だから!」
とにかく、信男にとって、それは夢想だに
しない展開だった。
溝口夫婦と連れ立って、信男と栄子が初め
てスワップパーティーなるものに参加したの
は、それから約一ケ月後のことである。
溝口の友人からの紹介で、それは、個人の
マンションを舞台にした、一種のホームパー
ティーの形式をとっていた。
参加したのは、ホストのカップルを含めて
総勢八組と、手頃な人数である。
ここでのルールは、女性に選択の権利があ
り、男性はそれを断れないこと、連れて来た
パートナーと組みたかったらそれは最後にす
ること、原則としてコンドームを使用するこ
と等である。
交替で次々に風呂へ入り、ウイスキーの水
割りで乾杯すると、早速、組合わせの選択に
移った。
第一ラウンドでは、最初の申し合せ通り、
栄子は溝口謙一を、溝口夫人の玉枝は信男を
選んで、それぞれ別室に分れる。
大きなマンションで、部屋数は充分だが、
栄子と玉枝が入ったのは、十二畳の和室で、
間に衝立があって二つに仕切ってある。
それぞれに色鮮かな布団が敷いてあった。
「河本さん。……いえ、信男さんとお呼びし
て良いかしら?……貴方の特技については、
栄子さんから散々聞かされているの。今日は
たっぷりサービスして下さいね」
玉枝は、アルコールでボーッと目の縁を染
め、しどけない仕草で洋服を脱ぐ。
女としては大柄な方で、白い肉付の良い肌
が露わになると、意外にグラマーだった。
先に裸になって仰向けに寝た信男の横に、
寄り添う様にして身体を密着させた玉枝は、
上から覆い被さる様に抱き付き、信男の頚に
手を回してピッタリと頬を寄せる。
栄子とは又ひと味違った若い女の体臭が、
彼の男を刺激した。
思わず抱き締めて唇にキスしようとすると
玉枝は、スルリと逃げる。
「御免なさい。……唇は堪忍して。……その
代り、下の方をお願い!」
玉枝は、その豊満な乳房で信男の顔を擦る
様にして男の身体を這い上り、上体を起して
彼の胸に跨がった。
「栄子さんの時と同じ様にお願いね!」
太股の間から覗く信男の顔に、ニッと笑い
を投げ掛けると、玉枝は腰をにじらせて男の
顔をピッタリと股間に敷いた。
むせる様な女の臭いが、彼の鼻の奥まで泌
み通り、結婚以来の習性で反射的に舌が出て
動き始める。
しかし栄子と違って、玉枝の腰の動きは、
細かい律動に終始した。
「アー、気持良い!……オナニーよりずーっ
と良いわ。……今度はバックよ」
頂点に達した後、玉枝は、腰を前にずらし
てアヌスを男の唇に当てがった。
こ、これは堪忍してくれー!
信男は思わず心の中で叫んでいた。勿論、
声にはならない。
玉枝の尻が催促する様に顔の上でプルッと
揺れると、諦めた信男の舌が局所を這う。
汚れが完全に取れてないとみえ、苦い味が
舌に泌みた。
途端に、不潔感がグッとこみ上げるが、今
更、舌の動きを止める訳にはいかない。
おぞましさを堪えながら、唇と舌でアニリ
ングスを継続した。
その時、隣から衝立越しに、栄子の快感に
溢れた叫び声が、信男の耳に達する。
溝口と妻の栄子との濃密なセックスの模様
が脳裏に浮んで、信男は、カーッと激しい嫉
妬に駈られた。
思わず、舌に力が入る。
その時、玉枝が両手を自分の尻丘に掛け、
信男の顔面の上で肉付きのよい尻割れを左右
に押し開いた。
信男の舌先は、弾みで、開かれたアヌスに
すっぽりと吸い込まれる。
ねっとりした粘膜の中に、舌の腹まで埋没
した途端に、直腸に付着していた糊状の汚物
が口中に滑り込んで、ピリッとした苦味を彼
の咽喉の奥まで広げた。
思わずウッ≠ニ呻いて背をのけ反らせる
が、これが却って玉枝の全体重を顎で受ける
結果となり、口中に溜った汚液をゴクリと飲
み込んでしまう。
余りの情けなさ、おぞましさに、目頭が熱
くなり涙が溢れた。
「こちらは、どおお?……アラ、玉枝さん、
やってるじゃない!」
「イヤー、玉枝よ。……お前、男の顔を尻に
敷くなんて、生まれて初めて経験だろう。…
…どうだ、しっかり舐めて貰ってるか?」
栄子と溝口の声である。
どうやら、ひと区切り付けて、こちらの様
子を見に来たらしい。
「勿論よ。河本さんの御主人に大サービスし
て貰ってるの。……バックの穴の中まで、舌
を入れて貰ったわ」
玉枝は満足げに応じる。
栄子の顔がスーッと固くなった。
「アラアラ、私には、あんなに嫌がったくせ
に。……少しサービス過剰じゃないかしら。
……玉枝さん、私と交替してくれる?」
その言葉で腰を上げた玉枝に代って、栄子
がすかさず、その濡れた股間を信男の顔面に
当てがった。
「あのね、さっき肝腎なところでコンドーム
が外れてしまったの。……だから、こゝには
溝口さんのジュースがたっぷり入ってるわ。
……丁度いゝわ。貴方の口で、後始末をして
頂戴。……フフフ、玉枝さんばかりにサービ
スした罰よ!」
何と言うことだろうか。
妻の栄子と溝口とのセックスの後始末を、
当の溝口夫妻の見ている前で、口でさせられ
るとは!
信男の唇にピッタリ当てがわれた栄子の膣
口より、とめどなく流れ出る男の精液は、彼
の咽喉を焼き、その屈辱は彼の心をズタズタ
にした。
しかも、溝口とその妻の玉枝は、その淫靡
な光景に刺激され、すぐ傍らで正常位のセッ
クスに入る。
そして、今度は栄子に代って玉枝が、再び
信男の顔面に尻を据えて、セックスの後始末
を強いたのだった。
最初のラウンドを終えた一同は、裸のまゝ
居間に集まって、思い思いの飲物を手にしな
がら、歓談する。
雰囲気もぐっとくだけて、あちこちで卑猥
な冗談が飛びかった。
「ところで、そろそろ第二ラウンドの組合せ
に入って下さい。……しかしその前に、主催
側からお願いがあります。……それは、この
場で皆さんの中の有志から、今しがた味わっ
た経験についての、うんとエッチなコメント
を述べて頂いて、気分を盛り上げて貰いたい
と思います」
ホストの奇抜な提案に、一同は、幾分ため
らったものゝ、その内、ひとりが卑猥な表現
でユーモラスに感想を述べると、あちこちで
爆笑が起った。
それでふっ切れた様に、次々と大胆な発言
が飛び出す。
酔の回った玉枝が、自分の番で、先程の体
験を洗いざらい喋ると、あちこちでホーッと
感嘆の声が上った。
それを聞く信男は、顔を真赤にして恥入り
穴があれば入りたい心境である。
玉枝の体験談が効いたとみえ、第二ラウン
ドでの女性からの選択では、信男がトップで
指名された。
今度の相手は、玄人風の三十がらみの太っ
た女性である。
部屋に入るなり、レスリングよろしく組敷
かれ、股間に顔を挟まれた。
両手で馬のたて髪を握る様に、彼の頭髪を
鷲掴みにした女は、彼の唇を繰返し股間に擦
り付ける。
「もっと舌を使って!……そう、そうよ……
ウフッ、あんた、まるで犬そっくりね。……
アラ、怒ったの?……じゃあ、豚よ……豚男
さん。こんどはお尻を舐めとくれ。クックッ
クッ……」
頭から馬鹿にし切った口調で、女は彼を嘲
弄しながら、舌奉仕を強いる。
情けなさに顔を歪めながら舌を使う信男に
は、最早、男としての誇りのかけらすら残っ
ていなかった。
結局、正常なセックスは許されず、舌奉仕
専門の男と見做された信男は、好奇心に駈ら
れた女達に、次々と使われたのだった。
その日を境に、溝口夫妻の信男に対する態
度が一変する。
味をしめた玉枝の要求で、週に一回、信男
は栄子に連れられて、溝口家を訪れた。
そこで、夫婦交換ならぬ4Pプレーが繰り
広げられるのだった。
内容は、先日のスワップパーティーでの、
第一ラウンドの再現である。
つまり、女達は交互に溝口とセックスし、
信男は、その前戯と後始末を舌でやらされる
のである。
それにしても、溝口謙一の精力絶倫振りは
目を見張るばかりだった。
持物自体が、信男の倍はあろうかと思われ
る巨根だし、持続力も抜群、それに精液の量
の多さは特筆ものだった。
時間を掛ければ、玉枝と栄子に、それぞれ
三回宛、連続して計六回のセックスが可能な
のである。
プレーの最後には、きまって女達の前で、
溝口は信男に自分の巨根をくわえさせ、清め
を強いる。
それは、みじめな行為に恥入る己が姿を、
女達の軽蔑の視線に曝し、屈従の思いを信男
の頭に刻み込む一種の儀式であった。
一方、スワップパーティーの興奮が忘れら
れない栄子は、交際雑誌をみては、信男に同
類のパーティーへの参加をねだった。
しかし、前回の経験に懲りた信男は、中々
首を縦に振らない。
或る晩、例の如く、栄子が信男の顔に跨が
り、舌奉仕を受けていた時のことだった。
何度目かの頂点を迎えた後、栄子は腰を前
へずらし、信男の唇をアヌスで覆う。
あのスワップパーティーで玉枝に奉仕させ
られて以来、信男は、栄子の要求を拒絶出来
なくなっていた。
おぞましさを堪えて、舌と唇で菊座を刺激
すると、栄子の官能は高まり、心は優越感で
満たされる。
この瞬間、栄子は、信男にどんな命令でも
従わせる自信に溢れ、一方、信男は、栄子の
意志に屈従する被征服者の心境となる。
「ねえ、私、溝口さん夫妻と明日、スワップ
パーティーに行くことにしたの。……勿論、
ピルを飲んで行くから、妊娠は大丈夫。……
そう、勿論、貴方はあてにしてないわ。……
明日の私のパートナーは溝口さんの友達よ。
うんと楽しんでくるつもり。……お土産には
ね、ウフフッ、膣一杯に男のジュースを入れ
て来て、貴方に飲ませて上げる!……どお?
口惜しい? クックックッ……何か言いたい
ことがあったら、聞いて上げるわよ。……で
もね、今、自分が何をさせられてるか良く考
えて物を言うことね」
栄子の尻の下からは、くぐもった言葉にな
らない呻きが洩れた。
「アラ、お尻の下からじゃ無理なのね。諦め
なさい。……そして、しっかり舐めるの!」
栄子は、笑みを浮べながら、催促する様に
尻を揺するのだった。
それからというものは、まるで熱病にでも
かゝった様に、栄子のスワップパーティー狂
いが続き、溝口に紹介されたパートナーと、
最低月に二回は出掛ける様になった。
一方、家庭での地位の失落とともに、会社
でも、すっかり覇気を失った信男は、成績も
急速に低下し、期末の人事移動で主任に昇格
した溝口の部下にされてしまう。
しかも、それから数ケ月後、市況の悪化に
伴なって経営規模の縮小を打ち出した会社側
は、組合に人員整理の同意を取り付け、成績
不良の信男は、あっけなく首になってしまっ
たのである。
「貴方は私を扶養する義務があるのよ。……
失業保険が切れるまでに、次の仕事を探して
頂戴。……今の貴方には、仕事の選り好みし
ている余裕はなくってよ」
栄子にせかされて、あちこち飛び回ってみ
たものゝ、ろくな勤め先しか無い。
そこへ、例の溝口が耳寄りな話を持ち込ん
で来た。
「お前、昔、皆で一緒にスワップパーティー
へ行った時、お前の舌奉仕が人気を集めたこ
とを覚えているだろう。……先日、俺の友人
で、手広くパーティーの主催をやっている男
に、その話をしてみたんだ。……すると、そ
いつが是非雇ってみたいと言うんだな。……
収入も可成り良いし、第一、お前の特技が活
かせる仕事だ。……ひとつ考えてみろよ」
溝口の勧めを無下に断われぬ程、信男は追
い詰められていた。
「じゃあ、この前のパーティーの時みたいに
舌で……」
「そうさ、でも今度は金が稼げるんだ。……
それに、お前のは自己流だから、ちゃんと再
教育までしてくれるんだそうだ」
「再教育だって?」
信男の胸に、不安の影がかすめたが、その
話を聞いた栄子は大乗気である。
倒々、パーティーの主催者と面接までさせ
られてしまった。
「私が今扱ってるのは、三十組以上の、所謂
ビッグパーティーばかりなんです。……この
サイズになると、合間にゲームを入れたり、
余興を企画したり、結構手間を掛けないと、
お客が集まらないんですよ」
溝口に似て、見るからにやりてと思える精
悍な感じの男である。
要は、一ケ月の教育、つまりトレーニング
を終えた後、週に最低三回、パーティーに出
演して貰うことになると言うのだった。
信男が多少気懸りだったのは、教育期間中
は身柄を拘束され、二十四時間缶詰めになる
点だった。
「こちらも、金を掛けて教育するんだ。……
途中で辛くなって逃げ出されちゃ、上ったり
ですよ。……だから、一旦契約したら、何が
何でも一ケ月は死んだ気になって我慢して貰
う。……そのためには、自由を拘束させて貰
うのが条件です。その代り、給料は三ケ月分
前渡しします。……どうですか?」
ためらいながらも、信男が契約書に承諾の
印を押すと、早速、約束通りの金額の小切手
が支給され、トレーニングを受ける場所の地
図が渡された。
一旦、家へ帰って小切手を栄子に渡し、身
の回りのものをトランクに詰め、地図の場所
へ赴いたのは、もう夕闇が迫る頃である。
思ったより賑やかな町中のビルで、地下が
大きなナイトクラブになっていた。
一階が貸店舗、二・三階が貸事務所になっ
てをり、それより上が、バルコニーの付いた
マンションになっている。
最上階の一室が、目的の場所だった。
パレス企画と書かれた札の下のブザーを押
すと、カチャッと音がしてロックが外され、
三十がらみの女が顔を覗かせる。
目を隈取った派手な化粧と、ケバケバしい
衣装から、一目で水商売の女と知れた。
中へ招じ入れられてみると、案外広いのに
驚いたが、どうも二区画分のスペースをつな
げてある模様で、部屋数が可成り多い。
「そう、貴方が、あのパーティー屋さんから
聞いてた人ね。……でも、思ったより若いし
何だか可哀そうみたい」
女は、玄関横の応接コーナーで信男と向い
合うと、しげしげと彼の顔を見詰めた。
「可哀そうって……それは、一体………」
怪訝な表情の信男。
「だって貴方は、こゝでスワップパーティー
の慰み者としての訓練を受けるのよ。………
勿論、そこまで身を落す覚悟は出来てるんで
しょうけどね」
「それは、覚悟と言う程のものではないけど
……これ迄も、パーティーで舌の使い方を褒
められたこともあるし……」
「それはパーティー屋さんから聞いてるわ。
……エート、それで……バックを舐めたり、
セックスの後に残ってる男のジュースを飲ん
だり出来るんですって?」
「それは……最初は無理矢理に……その内に
何とか慣れて、出来るようになって……」
信男は、次第に口ごもり、目を伏せた。
恥かしさで首まで真赤になっている。
「そう、じゃあ素質があるのね。……それな
ら、遠慮無く仕込んであげるわ」
女は、立ち上ると奥の部屋へ彼を導いた。
燃える様な赤い絨緞の色が、先ず彼の目を
奪う。そして、奥の壁には大きな水車の様な
円盤が取り付けられ、天井からは鎖を巻いた
滑車が下り、横の壁には色々な太さのロープ
や革鞭が掛けられていた。
「こゝは見ての通り、SMルームよ。このフ
ロアには、これと同じ様な部屋があと三つあ
るの。その外にラウンジや娯楽室もあるわ。
……SM雑誌には、M男性専門の女王様クラ
ブとして広告を出してるの。……でもね、こ
こは普通のSMクラブとは、少し違うのよ。
……実は、こゝと地下のナイトクラブとは、
部屋の中にある直通のエレベーターで繋がっ
ていて、ナイトクラブで働いている女の子達
が、こゝへ休憩に来るの。……その中には、
このSMクラブのお客さん達を相手にプレイ
する女王様も混ってるってわけ。……だから
彼女等は、SMのお客さんが少ない時は、主
に、地下のナイトクラブで働くことになるの
よ」
女は、自分が、このSMクラブの責任者で
君代と呼ばれていると付け加えながら、信男
に衣服を脱ぐ様に伝える。
パンツひとつになった信男の後に回った君
代は、革手錠で彼の両腕を後手に拘束する。
そして、アッと言う間に彼のパンツを引き
下げ、全裸にすると、両足首に短かい鎖で結
ばれた輪を嵌め、トンと背を強く押した。
信男は、思わず足がもつれ、前のめりに絨
緞の上に倒れる。
「こっちへおいで!」
君代は、部屋の隅に置かれた背の高い肘掛
け付の椅子に座り、高飛車に命令した。
信男は身を起すと、両足膝を使ってにじり
ながら君代の前に進む。
「パーティー屋から頼まれたのはね、お前を
スワップパーティーの慰み者として仕込むこ
と。……具体的に言うと、その第一は、女性
のあらゆる排泄物や汚れに対して、不潔感な
しに、舌と唇でそれを味わうことが出来る様
に馴らすことよ」
「排泄物って……そ、それは約束が違う!…
…ぼ、ぼくは、あくまで舌奉仕のテクニック
を勉強するために……」
「それは、第二の目的よ。……お前が使われ
るパーティーは、人数が多いから、ひとりひ
とりお風呂に入るわけにいかないのよ。……
だから、お前の舐めるところには色んな汚れ
が付いてると思わなくっちゃね。大小の排泄
物の外に生理の汚れや、ラブジュースの澱も
あるわ。……それを全部、不潔感無しに舐め
清めることが要求されるの。……お前、さっ
き、女のバックを舐めたり、男のジュースを
飲んだりしたと言ったじゃないか。……ここ
では、それをもっと徹底して馴らすだけよ」
君代の説明に、信男の顔色が変り、身体が
ワナワナと震えた。
「ちょっと、考えさせてくれ。……又、明日
出直して来るから……」
「ダメよ。諦めなさい。……人間の排泄物は
別に毒じゃないのよ。一ケ月も、こゝで修行
すれば、馴れて何とも思わなくなるわ」
その瞬間から、信男の、限りない転落が始
まったのである。
なおも、身もだえしながら抗議する彼の頚
には、鎖付の犬の首輪が穿められ、口にはゴ
ム製の猿轡が嵌められる。
そこから、首の鎖を曳かれて、ホステス達
のたむろするラウンジに入った。
両腕を後手に拘束された不自由な身体で、
両膝立ちのまゝ、交互に膝を前に出し、にじ
る様に進むのである。
一寸、首の鎖を強く引かれると、その都度
みじめな格好で前につんのめった。
丁度夕食時で、十人余りのホステス達が、
思い思いの場所でソファーや椅子に腰掛け、
店屋ものの出前をとって食べているところで
ある。
「みんな、これが、こないだ言っていた男だ
よ。……一応、トレーニング料も貰ってるか
ら、皆で仕込んでやって頂戴。……さし当り
トイレットペーパー代りに跡を口で清めさせ
ること、そして、舌は自由に皆のお楽しみに
使っていゝわ。……そうそう、食事は皆の残
飯の上にに、皆でたっぷり唾を掛けて食べさ
せてやってね」
そして、君代は、信男を振り返る。
「さあ、お前は、みんなに御挨拶するのよ。
……そうね、出来たら足でも舐めさせて貰い
なさい。フフフ」
女達は、足元に膝でにじり寄る信男を、ま
るで足にじゃれ付く犬か猫の様に見下ろし、
その顔面に足裏を掛けて辱めた。
何人かのストッキングを穿いていない女達
は、そのまゝ足先で信男の唇を割り、汚れた
足裏を舌で清めさせる。
若い女達に、こんな形ちで嬲られるのは、
信男も初めての経験だった。
諦めたとは言え、その度に無念さが込み上
げ、身体が震える。
ひとわたり全員への挨拶が終った頃、突然
グイと鎖を引かれた。
「さ、御用だわよ。……こっちへおいで!」
ラウンジの、廊下を隔てた反対側に、広い
バスルームがある。
スペースを贅沢に使った設計で、トイレも
普通の倍の広さだった。
女に連れられて、便器の前のタイル張りの
床にへたり込んだ信男は、ニヤニヤ笑いなが
ら彼を見下ろす女の視線に身を曝す。
やがて、派手な音を立てゝ用を足し終った
女は、彼の肩を蹴って仰向けに寝かすと、彼
の顔面に汚れた股間を据えた。
濃い目の陰毛が信男の鼻をくすぐり、プン
と饐えた性臭が鼻孔をつく。
唇に濡れた秘肉が触れ、止むを得ず舌を出
して舐めると、ねっとりした恥垢が舌先にま
つわり、酸味を口中に広げた。
流石におぞましさで、背筋にゾクッと冷た
いものが走る。
続いて、女の尻が前に動いて、アヌスが彼
の唇を捉えた。
じっとりと汚れで湿ったそれは、限りなく
彼の不潔感をそそった。
初めて妻の栄子にアニリングスを要求され
た時のこと、溝口の妻の玉枝に舌先を穢され
た時のことが、脳裏にフラッシュバックして
無念さを増幅する。
唇を突き出す様にして菊座をくるみ、舌を
尖らせて皺の間の汚れを吸い取った。
深い諦めが、彼の屈辱的な行為を機械的に
引き出して行く。
それは、彼の人間性の喪失であり、精神の
屈従を決定的にするものでもあった。
こうして、信男は女達に次々とトイレット
ペーパーとして使われた。
地下のナイトクラブの女達は総勢で三十名
を越える。それが、交替でラウンジに上って
来ては休憩するのである。
信男は、それこそ間断無く、女達の股間の
汚れを清めさせられることになった。
ナイトクラブが午前一時に閉店し、大部分
の女達が帰った後、信男はやっと一息入れる
ことを許され、把手の取れた鍋に盛られた残
飯を夕食として与えられた。
女達の唾でべっとり粥状に穢された残飯に
後手に拘束された不自由な身体を曲げて、顔
を寄せる。
フト、横の鏡に映る我身の情け無い姿が目
に入り、彼は思わず涙を零した。
このナイトクラブでは、終電車を逃した者
や、翌日が非番に当る女達は、ラウンジの隣
りの十畳の和室に、自由に泊ってよいことに
なっている。
この晩も、六人の女が和室で枕を並べた。
そして信男は、哀れにも、彼女等の夜の慰
み者にされるのである。
首の鎖を引かれるまゝに、信男は、女達の
股間に次々と顔を挟まれ、長時間の舌奉仕を
強制された。
こうして、二週間が過ぎた頃、信男は最早
全く自分の意志を無くし、完全に女達の股間
に征服された、奴隷としての生活に甘んじる
様になっていた。
君代が、彼を更に深い転落の淵に突き落す
宣告を持って来たのが、丁度この頃である。
「ねえ、お前、可哀そうだけど、悪い報せが
あるのよ。……お前の奥さんが、パーティー
屋の男と話し合って、お前の残りの二週間の
トレーニング内容に、一寸した追加をするこ
とになったの。……実は、最近のパーティー
では、SMショーが人気を集めていて、そこ
でのクライマックスが、人間便器なの。……
そう、M男が女の便器になって、排泄物を口
にする、あのショーよ。……お前の奥さんは
パーティー屋の男に頼まれて、お前が、その
役をやれる様に仕込んでもよいって、同意し
たのよ。……それだけじゃないわ。お前の奥
さんは、お前の実印を使って離婚届けを出し
たんですって。そして、何時もパーティーに
一緒に行く男と、昨日結婚したそうよ」
君代の言葉は、信男にとって将に驚天動地
のニュースである。
彼の目はショックの余り焦点が定まらず、
唇がワナワナと震えて言葉が出なかった。
妻の栄子が、外の男と結婚したばかりか、
彼のトレーニング内容に、女の便器になる修
行を付け加えたと言うのである。
しかし、身体の自由を奪われ、一切の抵抗
を封じられた信男には、それに逆らうすべが
なかった。
そして、彼にとって、将に地獄の二週間が
過ぎた。
毎日、朝から晩まで、女達が入れ代り立ち
代り、彼の口中に排泄する汚物を、何とか胃
に収める修行が課せらたのだった。
そして、その最後の日。
彼の目の前に、妻の栄子とその新しい夫が
姿を見せたのである。
その傍には、かっての同僚である溝口と、
その妻の玉枝の姿もあった。
四人は、自由を奪われた信男の哀れな姿を
見下ろして、一斉に冷笑を浴びせる。
栄子が、信男の首の鎖を引いて、自分の足
元に平伏させた。
「貴方、情けない姿になったわね。……でも
姿だけじゃなくて、その身体の中も穢れに染
まった筈ね。……お前の革手錠と足枷は当分
そのまゝにして、今日から、お前を私達の家
で便器奴隷として飼ってやるわ。……勿論、
SMショーにも出演させるわよ」
「ウッ……ウウーッ……」
信男の口から、きれぎれの嗚咽が洩れた。
「でも、今、ここで、私と玉枝さんが、お前
の便器としての修行の結果を試して上げる。
……フフフ、私の新しい夫や溝口さんの前で
私達の便器にされる屈辱を、たっぷり味わい
なさい。……ホラ、この男の顔見て! クッ
クックッ」
そして、栄子の尻が信男の顔を覆い、汚水
が、そして続いて汚物が、次々に彼の口中に
排泄される。
咽喉を上下させて、必死にそれを胃に送り
込む信男は、栄子とその夫の便器奴隷として
の、これからの地獄の生活を脳裏に浮かべ、
全身の血が逆流する様な口惜しさに、身を震
わせるのだった。
(完)
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1990年4月スレイブ通信15号
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2011/01/30