0 050b#50転落の同窓会(後編)……Fall by Reunion
                 阿部譲二作

M商事の営業課長にK女子高からのクラス会の案内が届く。案内を持参した部下の女の顔に昔の憧れだった同級生の面影を見出だし、聞くと彼女の妹だった。当時貧しかった男は奨学金につられて女子高に入学。女の中のたった一人の男として注目され様々な虐めに会う。皆に痰唾や小水を飲まされた思い出の漏斗が妹に渡り、彼は再び女達の奴隷に落ちる。

 M商事に勤務する長瀬英夫は、三十歳の若さで業務課
長の椅子を射止めたが、彼には、誰にも言えない秘めた
汚辱の過去があった。
 貧しい境遇に育った長瀬は、経営難から政府の補助を
受けるべく男子生徒を募集し初めた、私立K女子高校に
入学して奨学金の特典を享受する。
 そして、女達の中のたった独りの男子生徒として通学
する彼に、最初の災厄が降り掛かった。
 授業中に突然激しい便意に襲われた長瀬は、遠く離れ
た男子用のトイレに行き着く前に、たまらず近くの女子
用トイレに飛び込んでしまう。
 休憩のベルと共にトイレに向かう女達の気配に、慌て
て奥の物置に隠れたが、直ぐ発見されて、卑しい覗き見
の汚名を着せられた。
 罰として、憧れの美人生徒会長、山崎裕子から、透明
プラスチックの漏斗を渡された長瀬は、毎日、昼休みに
なると女子トイレの前で、それをくわえて正座する。
 そして哀れにも痰壷男≠フ札を首に掛けさせられ、
女達の吐き込む唾や痰を飲まされたのだった。
 更に三年生の秋の修学旅行の時に、女達のわなに掛け
られ、女子用の部屋で寝込んでしまった長瀬は、破廉恥
行為の罪で、再び、二年前のあのプラスチック漏斗を渡
される。
 しかし、今度その漏斗に注がれたのは、女性達の小水
だったのである。
 同窓会の通知を前に、昔の思い出に耽る長瀬は、部下
の山崎和子が、実はかっての同窓生、生徒会長の山崎裕
子の妹であることを発見して愕然とした。
 しかも、彼女は姉に電話して、自分の課長が姉と同じ
K女子高校の卒業生であることを発見してしまう。
「でも、奇遇だわ。……長瀬課長が、姉のクラスメート
だったなんて……」
 改めて感じ入る和子に、長瀬は絶句したまゝだった。
「同窓会には是非出席して下さいね。……姉が、どうし
てもお渡ししたいものがあると言ってますから」
 姉の面影を残してはいるが、より近代的な美貌の持主
である和子には、また別な魅力がある。
 席に戻る彼女の後姿には、タイトスカートで包まれた
豊かなヒップが際立ち、独身の長瀬の心を騒がせた。
 それから約一ケ月後、K女子高校の同窓会場には、思
い悩んだ末にやっと足を運んだ長瀬英夫の姿があった。
 二度に亘って汚辱の思い出を長瀬に植え付けた、この
女子高校は、彼にとって、おぞましい場所でしかない。
 それにも拘わらず長瀬を惹き付けたのは、あの初恋
の人、山脇裕子≠ヨの今も変らぬ慕情であった。
 同期の卒業生ごとに割り当てられた教室へ一歩踏み入
れた長瀬に、ワーッという歓声が浴びせられる。
「やっぱり来たのね。長瀬君!」
「山脇さんの妹の上司なんですって?……信じられない
わぁ!」
 口々に話し掛ける嘗っての同窓生。
 その顔々には、十五年の年月がもたらす懐しさが溢れ
ている。
 そして、その中央には、昔に変らぬ美しさに輝く懐し
い山崎裕子の姿があった。
「どうも……お、お久し振りです。……か、和子さんに
は会社で色々……お世話になってます。……」
 長瀬の舌は、もつれっぱなしだった。
「本当! 私も妹に聞くまで思いもしなかったわ。……
全くの奇遇だわね」
 山崎裕子も、にこやかに応じる。
 ひとしきり、共通の話題である昔話に花が咲いた。
「そうそう、忘れてたわ。……長瀬君には、とっておき
の物があるのよ」
 裕子が、後ろに置いた紙袋から取りだしたのは、……
あのプラスチックの漏斗だったのである。
 しかも、彼が首に掛けさせられた痰壷男∞小便壷
男≠フ札まである。
 ドッと皆の間から笑いがはじけ、途端にムードが一変
した。
「そうだぁ……あの時は、長瀬君、哀れだったわねぇ」
「フフフ、あの味、未だ覚えてるぅ?」
 一同の表情に、蔑みを含んだニヤニヤ笑いが溢れた。
 そして、絶句する長瀬に追打ちが掛かる。
「随分前だもの。忘れてるに違いないわ。……どおぉ?
思い出させて上げようか?」
 途端に、長瀬の背筋に冷たいものが走った。
「みんな、一寸待って!……今日は十五年ぶりの同窓会
よ。……長瀬君をいじめちゃ可哀そうだわ」
 山脇裕子の助け船に、ホッとしたものゝ、長瀬は裕子
の次の言葉で改めて奈落に落される。
「それに、今更、痰壷や小便壷でもないでしょう?……
私だったら長瀬君に、たっぷり舌で奉仕して貰うわ。…
…だって、私の主人ったら面倒くさがって滅多にしてく
れないんですもの」
 賛成!、賛成!と、あちこちで声が上がった。
 長瀬の顔が、真っ赤に紅潮する。
「山崎さんの言う通りだわ。……主人と愛し合ってる時
に舌で刺激して貰えたら最高ね。……どおお? 長瀬君
やってみない?……御褒美にラブジュースをたっぷり飲
ませて上げるわよ」
「そうよ。……ラブジュース壷≠ネんて、いかすじゃ
ない?……痰壷≠竍小便壷≠謔閧クっと高級よ!」
 途端に笑いの渦が巻き起る。
 昔と違ってすっかり成熟した女達の、幾分冗談めかし
た露骨なからかいには、どこか本音の響きが篭められて
いた。
 皆の目付きにも途端に蔑みの色が浮かび、昔そうだっ
た様に、ネチネチした言葉のいたぶりが集中する。
 屈辱に耳まで赤くなった長瀬は、いたたまれず、途中
で退席した。
やっぱり来なければよかった!
 ほぞをかむ思いで校門を出た長瀬英夫の目蓋に、何故
か、今は手の届かぬ人妻になった、あの山崎裕子の円熟
した姿態がくっきりと残っていた。
 その翌週のことである。
 昼食を済ませて戻って来た彼の机の上に、部下の山崎
和子からのメモが置いてあった。
 今日の夕刻に会いたいとあり、待ち合わせの喫茶店の
地図が添えてある。
 独身の長瀬は、これまで仕事中心で、女性とのデート
の経験が殆ど無かった。
 姉の裕子の面影を残す山崎和子の顔を思い浮かべ、急
に胸の高まりを覚える。
 先日、姉の友人と知って急に親しみを見せた彼女の態
度を思い浮かべると、希望で胸が膨らんだ。
 しかし、それから数時間後、場末の喫茶店で和子と向
かい合った長瀬は、コーヒーを一口啜った後、おもむろ
に彼女が取り出した品物を見て仰天した。
 例の漏斗と首に掛ける札だったのである。
 和子は、あわててその札を裏返しにする長瀬を、ニヤ
ニヤ笑いながら見守っている。
「大丈夫よ。誰も見てないわ。……フフフ、これお姉さ
んから、先日の忘れ物ですって……」
「………………」
「勿論、この品物の由来は、すっかり聞いたわ。……本
当に人って見掛けによらないものね。……真面目いって
んばりの長瀬課長が、実は、昔は姉達の嬲り者だったな
んて……ウフッ、面白いわぁ」
 穴があれば入りたい気分で、長瀬は赤くなって頂垂れ
たままである。
「実はもうひとつあるのよ。……ホラ、これ!……クッ
クックッ」
 含み笑いをしながら、和子が取り出したのは、真新し
い首に掛ける札だった。
 そこには、ラブジュース壷≠ニ書かれている。
 先日の同窓会での会話を思い出して、長瀬は、カーッ
と顔が火照った。
 人を見下す様に彼を耶愉する和子の態度は、最早、課
長に対する部下のものではなかった。
「姉はね、私に、長瀬課長を私と恋人の二人で舌奉仕に
使ったらどうかって言うのよ。……ラブジュースをたっ
ぷり飲ませながらね。フフフ……」
 それは、長瀬にとって、まるで頭をガンと殴られた様
なショックだった。
「そ、そんな馬鹿な!……それに、き、きみには恋人が
あるのか……」
「当り前じゃないの。……知らなかった?……それとも
ひよっとして、私が、あなたの恋人になるとでも思った
の?」
 長瀬の狼狽振りをジーッと見詰めながら、和子の態度
は次第に横柄になる。
「私の恋人は、あなたと仲の悪いあの経理課長の霧島さ
んよ。……それも、もう二年近くになるわ。……この頃
では、セックスもマンネリ気味で、何か刺激になるもの
が欲しかったの。……このアイディアを話したら、彼も
大賛成。……実は、彼は今頃、この近くのラブホテルで
部屋をとって私達を待ってるのよ」
 和子は、たたみかける様に話を運ぶ。
「ちょ、ちょっと待ってくれ。……そ、そんな役目は、
ま、まっぴら御免だ。……ぼ、ぼくはこれで失礼する」
 長瀬は、慌てゝ席を立つ。
 それを追い掛ける様に、和子の声。
「逃げるんじゃないの! 私の言うことが聞けないのな
ら、昔のことを社内中に広めるわよ。こっちには証拠写
真だってあるんだから。……何さ、女の小便壷にされて
たくせに!」
 軽蔑を含んだ鋭い声が長瀬の耳に突きささる。
 その具体的な彼女の脅迫は、生来小心な彼の肝を冷し
屈服させるに充分だった。
 それから間もなく、近くのラブホテルの一室で、和子
とその恋人の霧島課長の前で、屈辱に顔を歪めながら、
床に正座してかしこまる長瀬の姿があった。
 恋人達二人はベッドに腰掛け、テーブルの上に出前で
取り寄せた料理を並べて、夕食の最中である。
 その横で、足の痺れを気にしつゝ神妙に二人を見上げ
る長瀬の口に、和子が例の漏戸をくわえさせた。
「お前にも、私達のおさがりをやるから、残さずに食べ
るんだよ」
 クスクス笑いながら、和子は口の中で噛み砕いた筋肉
を、唾と共に漏戸の中へペッと吐き込む。
 続いて霧島が、ビールの余りで口の中で濯ぎ、漏戸の
中へ吐き出した。
 生暖かい二人の唾をたっぷり含んだ食べかすが、漏戸
を通して長瀬の咽喉に注がれる。
 それをいや応なしに飲み込まされる長瀬の目は、口惜
しさで真っ赤だった。
 食事を終えてコーヒーを飲みながら会話を楽しむ二人
は、もう完全に長瀬を無視しきっている。
 やがて煙草を片手に立ち上った和子が、長瀬の肩を跨
ぐ様にして漏戸を股間に挟み込んだ。
「お前にも、食後のお茶を上げるわ。……昔の姉さんの
味とじっくり較べてごらん!」
 パンティーをずらして股間を露出させた和子は、長瀬
が口にくわえた漏戸に、ゆっくりと放尿した。
 ゴクリゴクリと長瀬の咽喉が鳴る。
 同僚の霧島の目を気にしながら和子の小水を飲む長瀬
の目尻から、ツーと無念の涙が零れた。
「ちゃんと飲めるじゃないの。……姉さんの言った通り
だわ。お前は生まれながらの小便壷ね」
「全く呆れた奴だな。……こうゆうのを人間失格と言う
のさ。……今晩はひとつ、たっぷりと奉仕させて、二度
と対等の口がきけなくしてやろう」
「そうね。……この際、私達のしも奴隷に転落させて、
身分の差を思い知らせてやりましょうよ」
 霧島と和子は、ニヤニヤ笑いながら、じっと長瀬の反
応をうかがう。
 二人の前で懸命に侮辱に堪える長瀬の唇は、ワナワナ
と震えていた。
 テーブルを横へ片付け、キングサイズのベッドの裾に
腰掛けた二人は、その前で長瀬を四つ這いにさせる。
「お風呂に入る前に、お前にひとつ、しも奴隷にふさわ
しいレッスンをして上げるわ。……そう、二人でお前を
たっぷり卑しめるの。……お前は、私達に卑しめられな
がら、我が身の転落ぶりを脳裏に刻み込みなさい」
 和子は、膝を曲げ股を開きながら両足をベッドの上へ
あげる。スカートの裾が膝まで持ち上って、股間を包む
白いパンティーが、長瀬の目の前で花の様に開いた。
 和子は手を伸ばして長瀬の髪を掴み、彼の顔をグイッ
と自分の股間に引き付ける。
「しも奴隷のレッスン・ワンは、御主人のおしもの臭い
をよく覚えること。……ホラ、深呼吸して!」
 同時に和子の両手が、長瀬の後頭部を引き寄せ、彼の
顔面は彼女の股間にピッタリと密着した。
 ムーッとする異臭がパンティー越しに長瀬の鼻孔を襲
い、思わず頭がクラクラッとする。
「フフフッ、どおお?……自分が、どんなに卑しめられ
てるか判る?」
 たっぷり股間臭を嗅がせた後、和子は手を緩めると、
長瀬の目の前でパンティーをずらして、ピンクのアヌス
を覗かせる。
「レッスン・ツー……しも奴隷は御主人のボトムにキス
をして味を覚えること。……ソレ、そこに口付けして!
汚れを味わうのよ。ホラ、ホラ、ホラァ」
 和子の手が、長瀬の頭をグラグラ揺すって、その唇を
自分のアヌスへ押し当てながら、にじり付ける。
 彼の口中には、おぞましい汚れがたっぷり擦り込まれ
たのだった。
 次に、霧島がズボンを脱いで、ブリーフ越しに長瀬に
異臭を嗅がせる。
 続いてのアヌス・キスには、流石に長瀬も抵抗を感じ
て、しばし躊躇した。
 しかし、後から和子の手が長瀬の唇を霧島のアヌスと
無理矢理にドッキングさせる。
 仲の悪い同僚にまで、おぞましい屈服を強いられた彼
は、泣くに泣けなかった。
 二人が風呂の中でたわむれている間、彼は、哀れにも
和子のパンティーと霧島のブリーフの股間を舐め清めさ
せられている。
 湯から上った二人は、早速、ベッドの上で裸のまゝで
抱き合い、濃厚なキスを交し始めた。
 同時に、和子に命令された長瀬は、彼女の股間に頭を
挟まれ、懸命に舌奉仕を開始する。
 やがて、気分が高潮して来た和子は、長瀬の顔を尻に
敷いたまま、股を開いて霧島の勃起した一物を、潤んだ
クレバスに受け入れた。
 ピストン運動する男のものに押し分けられて揺れる肉
襞が、彼の目の前にクローズアップし、その周囲からは
ねっとりした分秘液がにじみ出る。
舐めて! 結合部を舐め続けるのよ!
 叱咤する様な和子の声。
 長瀬は、我に返って舌を動かした。
 二人のセックスの道具に使われる我身の情けなさが、
今更の様に身に泌みる。
 やがて、二人が頂点に達した後、更におぞましい作業
が彼を待っていた。
 予じめ和子にピルを飲ませていたとみえ、霧島は直接
多量の精液を女の膣に注入している。
 和子の淫液と混じったそのラブジュースを、彼女の膣
から吸い取るのが長瀬に与えられた役割だった。
 ベッドの傍の床で改めて和子の尻に顔を敷かれた長瀬
の口は、女の膣からジワジワと流れ出すラブジュースを
受ける壷と化している。
 その酸味の強いねっとりとした味は、長瀬の舌を刺し
転落の意識をはっきりと心に植え付けた。
 それから数日後の日曜日。
 山脇裕子の家では、時ならぬ同窓会が開かれていた。
 先日のK女子高校の同窓会で集まった、同じクラスの
メンバーが、約二十人、再度集合したのである。
 そこには、妹の和子に伴われていやいや出席した長瀬
英夫の姿があった。
 茶菓子を前にした一同の前で、長瀬英夫は和子に強制
され、自分の口から彼女のラブジュース壷≠ノされた
汚辱の体験を報告させられていた。
 恥ずかしさで顔を真っ赤にしてポツポツと語る長瀬の
話に、爆笑につぐ爆笑がわく。
 話し終った時には、彼に対する一同の蔑みは最高潮に
達していた。
 期せずして一同の間から、和子と霧島が長瀬にしたと
同じしも奴隷のレッスン≠彼に与えようとの声が湧
き起った。
 流石に顔色を変えて尻込みする長瀬は、皆の手で強制
的に、次々と顔を女達の股間に押し付けられ、アヌス・
キスを強いられる。
 その後で例の漏戸が持ち出され、それをくわえてベソ
をかく長瀬の哀れな顔が皆の笑いものになった。
 勿論、彼女等は、昔の様に次々とその中に自分達の唾
や小水を注ぎ込む。
 その内に、女達は順番に長瀬の顔を尻に敷いて、舌奉
仕を強制し始めた。
 最早、長瀬英夫は、女達にとって単なる同窓生ではな
くなっていた。……彼は、彼女等の共通のしも奴隷
に転落させられたのである。
 山脇裕子宅での同窓会が漸く終りに近付いた時、長瀬
は裕子から、時間割表≠渡された。
 それは高校時代の授業の時間割表に似せてあったが、
内容は、長瀬のしも奴隷奉仕スケジュール≠示した
ものだった。
 つまり、彼の会社での勤務時間を除いて、すべての彼
の余暇が、同窓会のメンバーへの舌奉仕に割り当てられ
ている。
 それに依ると、金曜と土曜の夜はそれぞれ和子と裕子
の姉妹が抑え、オールナイトの註釈がついていた。
 その他の日も、すべて埋められており、日曜日は終日
裕子宅に有志が集まって長瀬に奉仕させるとある。
「その内、お前は会社を止めて、この家で飼われること
になるんだよ。……勿論、私達のフルタイムのしも奴隷
としてね。フフフ」
 かっての憧れの女性だった山崎裕子の口から、彼の転
落の運命を宣言され、長瀬の脳裏にはめくるめく倒錯の
思いが渦巻くのだった。
(完)

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1991年10月スピリッツ10,11月号
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2011/02/24