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070#70奪われた恋女房
阿部譲二作
社長に呼ばれて突然「君の奥さんを俺にくれ」と言われて仰天した男、しかし間もなくそれが現実になった。父の負債を盾にとられ彼は愛妻の前で変態の演技を強いられる。社長秘書の奴隷にされた彼は屈辱のシーンをビデオに撮られ、それを見た妻に離婚される。新婚の社長と元の妻が抱き合う寝室で結合部を舐め汁を吸わされた男は妻の便器に落とされる |
「寺脇さん。さっきから社長がお待ちですよ」
社長秘書の松村恵子が、切り口上で冷たく言葉をかけた。
文書課の主任、寺脇靖男。5年前に入社し将来を嘱望されている若手である。
社長からの急な呼び出しで、出先から帰る早々社長室へ駆けつけたところだった。
松村恵子とは、入社して間もなく知り合ってしばらく交際した仲だが、寺脇が恵子に紹介された彼女の親友と三ヶ月前に突然結婚して以来、自尊心を傷つけられた彼女は、終始彼にとげとげしい態度をとっていた。
でも、美人である。しかも、社長の姪ときている。
きりっと整った目鼻立ちが、かえって冷たい印象を与えるが、切れ長な目と厚めの唇が個性的で、社内の男達の注目を集めていた。
文書課から秘書課に移ったのが一年前。
社長の威光を笠に着た、幾分、高慢な態度が反感を呼んで、婚期を遅らせている。
その松村恵子に先導されて社長室に入った。
広いスペースの一部に明るい褐色のマホガニーテーブルを囲んで同色の革張りのソファーとチェァが置かれていた。
奥の大きな事務机から立ち上がった長身の社長、加藤大輔が、ゆっくりとした歩みで近づいて来た。
急死した先代社長の父の後をついで社長に就任したのが二年前、中規模の商社に過ぎなかった会社を盛り立てて一部株式市場に上場するまでにこぎつけた経営手腕は並みのものではない。
最近、交通事故で妻を亡くすという不運に見舞われたが、もともと、その広い女性関係と好色ぶりはつとに有名だった。
年齢も、寺脇よりわずかに年長の若さで、ハンサムときている。女達がほっておくはずも無かったのである。
「まあ、掛けたまえ。……久しぶりだな」
「その節は、社長じきじきに仲人をして頂きまして。また、その後奥様はとんだことで」
「いや、まあ……ときに、君達、その後夫婦仲はどうかね。うまくいっとるんだろうな」
寺脇靖男が、姪の松村恵子の友人にあたる美香と首尾よく結ばれた結婚式の仲人がこの加藤大輔社長夫妻だったのである。
「ときに君ぃ。今日はちょっと言いにくい話をしなきゃならんのだ」
儀礼的なやり取りが一段落すると、社長は改まって口を切った。
「これを聞けば君は、きっと、びっくりするだろうと思うんだが……」
その口ごもりかたが、いかにも言い難そうだった。
怪訝な面持ちで耳を澄ます寺脇靖男は、次の社長の言葉で飛び上がったのである。
「君、……きみの奥さんを俺にくれんか」
「えっ、な、なんとおっしゃったので?」
「君の奥さんを、今すぐ離婚して俺にくれと言ったんだ。……俺も、家内を亡くして以来何かと不便だしな」
呆然とする寺脇に、社長の説明が続く。
「実は、君たちの仲人をやった時に君の奥さんにひと目ぼれしたのさ。……いや、いい加減な気持ちじゃない。真面目さ、大真面目だ。
君達が離婚したら、直ぐに結婚して、美香を俺の正妻にする。……実はこんな気持ちになったのは生まれて初めてなんだ」
寺脇靖男の心の中で、突然、驚きが怒りに代わった。
「冗談もほどほどにして下さい。この僕が、結婚したばかりの妻を離婚するなんて、そ、、そんな馬鹿な! 第一、美香がわたし捨てて貴男と結婚するわけが無いじゃないですか。
社長だからって、そんなむちゃくちゃなことが通ると思ってるんですか!」
怒鳴るように吐き捨てると、寺脇は席をけって立ち去ろうとした。
「待ちたまえ。これから俺の言うことを聞けば、きっと、君は美香の離婚に同意するさ。・・・…それに、美香が君を捨てて俺と結婚するようにしむけるのは、俺じゃなくって君の役割なんだ」
寺脇は、社長の言うことが理解できないまま、腰を浮かしたまま立ち止まった。
加藤社長の自信ありげな口調に、一抹の不安が心を曇らせる。
「寺脇大二郎と言うのは君の父親だな。・・・…寺脇証券の社長をしている・・・…」
「それがどうかしたのですか?」
「寺脇証券が莫大な負債で倒産寸前ということは知っているかな」
「な、何ですって!」
文字通り寝耳に水の話だった。
「負債総額は約8億円、その半分近くを占める不動産債権の保証人には君の名前がある」
小さな個人経営の証券会社の社長をしている父が、最近資金繰りに苦しんでいることは彼も気がついていた。
父のたっての要請で債権の一部に保証人の判を押したのも事実だった。
「君の父の負債が焦げ付き、それが明るみに出れば、特別背任罪で監獄行きだ。君も保証人になっている以上、借金が返せなければ、同じように監獄に入ることになる。それも、金額からすると十五年以上の刑期を勤めないと出られないぞ」
寺脇靖男の顔からスーッと血の気が引いた。
足の力が抜けて、ソファーに腰を落とす。
「俺は証券取引所の監査委員会のメンバーだ。
昨日の定例会議で寺脇証券の問題が取り上げられて調査に乗り出すことになったのさ」
「そ、それで、……」
「俺の集めた情報では、今月末、つまり明後日には寺脇証券は不渡りを出し倒産する。債権者は直ぐに社長の寺脇大二郎を告発するだろう。君は参考人として召喚され、保証人の共同責任が明るみに出て破産、監獄行きさ」
「そ、そんな。……僕は何も悪いことをしたわけじゃない」
「おいおい、資本主義社会ではな、このくらい大きな借金ともなると、個人の責任になる。返せなきゃ破産して監獄へ入るんだ」
「…………」
「君が、俺の言う通り美香を離婚して俺に差し出せば、俺の信用で倒産を免れることが出来て、君も、君のお父さんも助かるんだ。分かったかな」
あまりの事に茫然として言葉を失ったままの寺脇は、やっとの思いで顔を上げた。
「で、電話を掛けさせてください」
それから約三十分、父の大二郎と連絡をとって現状の詳細を確かめた彼は、土気色の顔でソファに戻った。
「どうだ、俺の言った通りだろう」
社長の加藤大輔の言葉に力無く頷く。
「美香と離婚しろ。そして、彼女が俺と結婚する手助けをするんだ」
唇を噛み締めながら、寺脇は黙って頭を垂れた。無残な敗北の姿である。
加藤はデスクに戻ってインターホンのボタンを押す。直ぐに秘書の松村恵子が入ってきた。
「終わったよ、筋書き通りだ。……彼は承知した。……後は、君の出番さ」
「まあ、可哀そう。新婚の奥さんを取り上げるなんて、叔父様もずいぶんむごい事をなさるのね」
「何言ってるんだ。俺に協力して一切の計画を立てたのは君じゃないか」
あっけにとられて二人を見上げる寺脇に、恵子が冷たい笑みを返す。
「さあ、それじゃ、ズボンを脱いで!」
恵子の言葉に仰天する寺脇。
「これ、なんだか分かる?」
女の手には、ストラップのついた小さな革の筒状のものが握られている。
「ペニスサックよ。……そう、男の貞操帯と言ったほうが分かりやすいわね。君は、もう奥さんとセックス出来なくなるのよ」
「お前の奥さんは、もうすぐ俺の妻になるんだ。もう、お前の自由にはさせない。……そのぐらいのことは分かるだろう」
「さ、ブリーフも取って。……そう、いいわ。……さ、そこへ四つん這いになるのよ」
何と言うことだろう。最愛の妻を取り上げられ、セックスまで禁じられる。
それも、昔交際していた松村恵子の手で股間にサックを嵌められるのである。
社長室の床に犬のように四つん這いになり、ぶざまにも裸の下半身を二人の前にさらけ出しながら、寺脇靖男は屈辱で目を真っ赤にしていた。
「このサックはね。先に小さな穴が開いているからおしっこは出せるわよ。……でも、セックスは出来ないし、このストラップを鍵で固定するから、自分では外せないのよ」
恵子の冷たい指が靖男の股間の一物をまさぐり、革のサックを手際よく嵌めると、カチッと音をたててロックする。
「さ、次は撮影よ。……このカメラで色々なシーンを撮ってあげるわ。……そお、奥さんに愛想を着かされるような恥ずかしい場面をね。……でも、それだけじゃないのよ。きみはここに用意した原稿を読んで録音するの。とってもエッチな内容よ。クックックッ」
「それをな。お前の奥さんの所へ送るのさ。……びっくりするぞぉ。そしてお前をうんと軽蔑するさ」
それから、約三時間にわたって寺脇靖男が社長室で受けた気も狂うほどの屈辱は、彼の人格を蹂躙し、二度と立ち直れないようおぞましい経験を心に深く刻み込んだのだった。
しかも、最愛の妻を奪われるというショックに加えて、妻に軽蔑され愛想をつかされるように自ら演技させられるのである。
社長の加藤が構えたカメラの前で、松村恵子から受けた数々の辱め、そして、彼の顔の上にまたがった恵子から飲まされた小水の味、
録音された恥ずかしいせりふの数々、それらは彼の目を悔しさで真っ赤にし、涙もかれるほどの無念さを脳裏に焼き付けたのである。
夕刻になってようやく開放され社長室を出た寺脇靖男は、よろめく足を踏みしめながら席に戻った。
股間に嵌められたペニスサックの違和感が、この数時間の悪夢が現実のものであることを示している。
その日の仕事もそこそこに帰宅した寺脇を、妻の美香の明るい笑顔が出迎えた。
「お帰りなさい。疲れたでしょう。……今日の夕食はご馳走よ。あなたの好きなお刺身を買ったの。先にお風呂になさったら」
キラキラ光る大きな瞳と濃い目の眉が整った顔立ちに個性的な輝きを添え、頬のふっくらとした丸みが、松村恵子よりも暖かい雰囲気をかもし出している。
しかし、夫の寺村靖男の恋心を煽り、社長の加藤大輔を魅了したその美貌に加えて、美香は日本人離れした素晴らしいボディラインを持っていた。
豊かな胸からくびれた腰、その下に広がる形良いヒップの厚みと量感は、男の心を狂わせ欲情させるに充分である。
「ウン、そうする。でも、美香、今日はひときわ綺麗だな」
「今日、美容院で髪をセットしたのよ。良くお分かりになったわね」
にっこり微笑む美香を思わず抱き寄せた靖男は、衝動的に唇を重ねた。
この、この魅惑的な妻を社長に奪われる。……その切ない思いが一瞬、胸をかきむしったのである。
「あなた、どうなさったの? フフフ、それ以上は晩まで御預けよ。……そのかわり今夜はウンと愛してあげるわ」
股間に走る痛みが寺脇を忌まわしい現実に引き戻した。革のサックが無慈悲にも彼の勃起を妨げている。
その晩、気分が優れないと口実を設けて速めに床に着いた靖男は、風呂から上がってベッドルームの鏡台に向かっている、しどけない下着姿の妻を盗み見て、股間を抑えながらひそかに涙を流したのだった。
翌日、出社した寺脇靖男は再び社長室に呼び出された。しかし、そこには社長の加藤大輔の代わりに社長秘書の松村恵子がいた。
「社長は出張中よ。……昨日のように、そこに四つん這いになりなさい」
ソファに身体を沈めながら、恵子は顎で目の前の床を指す。
「どうしたの! 昨日のここでの醜態を忘れたの? フン、私のお尻の汚れをペロペロ舐めたくせに!」
ためらっていた靖男は、昨日の屈辱を思い出して顔を赤らめる。力無く床に手をついた彼の頭の上に女のハイヒールが載せられた。
「これからは私の前ではいつもこの姿勢よ。いっそ、みなの前でこうして生き恥をかかせてやろうかしら。フフフ」
「…………」
「さあ、まず点検よ。お尻をこちらに向けて
ズボンを下ろすのよ。パンツもね」
四つん這いのまま恵子に向けて尻を露出させる。その股間に恵子の足が延びると、靴の先が彼の一物をまさぐった。さすがに屈辱で目頭が熱くなる。
「よし、サックはちゃんと付いてるわ。奥さんと最後のセックスも出来なくって、さぞ残念だったでしょうね。フフフ。……ところでお前に言っておくことがあるの。今朝ね、お前の家の郵便受けに昨日とった録音テープと写真を入れておいたわ。……今頃お前の奥さんが見て仰天しているころよ。今日の夕方、お前が帰宅したら早速問い詰められるわ。……それで、お前の台詞だけど、分かっているわね。……すべては事実で、お前はどうしようもない変態だということを告白するのよ」
「…………」
「ホラ、この袋の中には私の汚れたパンティが入っているわ。これを鞄に入れて帰るのよ。
写真と一緒に入れといたメモに、お前がしつこく頼んだので私が恵んでやったものが入っていると書いといたわ。奥さんにはその通りに答えるのよ。……それでね。その場で奥さんにもパンティをお願いするの。そして、奥さんの目の前で私のと奥さんのとを嗅ぎ比べるの、いえ、舐め比べる方が良いわね。……その後は臨機応変に演技していいけど、奥さんにウンと軽蔑してもらうように仕向けることだけは忘れないでね。……奥さんがお前に愛想をつかして、仲人だった社長の所へ相談に行くように仕向けることが、お前のお父さんへの融資の条件なんだからね」
靖男は、土壇場に追い詰められた自分に絶望して悔し涙にくれたものの、反抗する自由が無いことも良く分かっていた。
その日、帰宅する彼の足取りは鉛のように重かった。
家のドアを開けて険しい顔の美香と向き合った瞬間から、彼は自分の人格をおとしめる演技を強制されたのである。
「それじゃ、この録音テープの声はやっぱりあなた自身なのね。そしてこのたくさんの写真は、あなたが自発的に松村恵子さんに頼んでプレイした時のものだって言うのね」
「そ、そうなんだ。……実を言うと、僕は変態だったんだ。……だから、恵子さんに嫌われても、付きまとって、お願いして奴隷にしてもらって、この写真にあるようなことを繰り返していたんだ」
「いやらしいわ! おしっこまで飲むなんて。
それにこの録音テープ、なに? お尻の穴を舐めさせてくださいですって? あなた、それでも正気? ……それに、あなたの鞄の中の彼女のパンティ、それも、今日頼んでもらってきたっていうのね」
「そうさ。君のパンティと汚れの臭いや味を比べて見たいんだ」
「私のとですって? あなたって最低ね。……私の汚れた下着なら洗濯機の中に入ってるわ。 なんなら、私の前で実行してみたら?」
怒りに頬を紅潮させる美香の前に跪いた靖男は、情けなさを通り越して、もうやけくそだった。
床にへたりこんだまま、二人のパンティを顔に押し当て、股間の汚れを嗅ぎ比べ、舌を出して舐め、口の中でしゃぶって見せる。
美香の表情が軽蔑でゆがみ、いきなり足を上げて靖男の頭を蹴った。
パンティを口にくわえたまま無様に後ろへ転がる彼の目は涙で潤んでいた。
最愛の妻に軽蔑され愛想をつかされる演技が、こんなに情けなく辛いものだとは思ってもみなかったのである。
その日のうちに美香は実家に帰ってしまい、靖男は自宅に一人取り残される身になった。
翌朝、松村恵子に呼ばれ、社長室の隣に設けられた彼女の机の前で四つん這いになって
昨日の報告をさせられた。
「フーン。奥さんは実家に帰ったの。……まあ、無理ないわね。それじゃ、お前は一人になったのね。……分かったわ、今夜から私のアパートへいらっしゃい。私の奴隷として仕込んであげるからね」
靖男にとって、それはダブルパンチとも言うべき無慈悲な宣告だった。
勿論、反抗すれば社長からの融資も無くなるだろうし、あの恥ずかしい写真やテープも公開されるかもしれない。
しかし、それ以上に一昨日、社長室で受けた徹底した辱めを通じて、精神的に恵子に完全に征服された靖男は、もう彼女の意思に従う従順な負け犬になっていたのである。
「それじゃ、今から人事課に休職届を提出してくるのよ。期間は、そうね。とりあえず一年、理由は一身上の都合とでもしておくのね。
……まさか、社長秘書の奴隷として調教されるためとは書けないものね。フフフ」
「で、でも、仕事の方は?」
「社長から話しといてもらうから心配しなくてもいいのよ。これも、私が立てた筋書きのうちなんだから。社長も承認済みよ」
まるで蜘蛛の網にかかった昆虫さながら、
彼がもがけばもがくほど深く彼女の罠に落ちていく、そんな靖男の立場だった。
その日の夜から、寺脇靖男は恵子の奴隷として彼女のアパートに飼われる身となったのである。
素裸にされ首輪を嵌められた靖男は犬のように四つん這いにされ、寝室のベッドに鎖で繋がれた。しかも夜間、恵子が寝ている間は用心のため手錠を掛けられる。
股間のサックには細い鎖が付けられ、靖男が少しでも命令に従わぬと、恵子は容赦なくその鎖を引いて彼を苦しめた。
足舐めから始まる夜の儀式は、ベッドの上での恵子の股間への舌奉仕に移ると一段と熱が入る。靖男は女の性の貪欲さに翻弄され、
毎夜、舌の付け根が腫れるほど長時間の奉仕を要求された。
少しでも舌の力を抜くと、サックの鎖が引かれ、股間に激痛が走る。
一つの波が終わっても彼女は満足しない。
中休みの間、膝を立てて彼の顔にアヌスを押し付けいわゆるアニリングスを要求した。
女の尻の括約筋に舌を這わせる作業は、男にとって屈辱のきわみである。しかも、恵子はわざとトイレの後をよく拭かないで男に清めを強いた。それも、尻割れを両手で広げて舌の先を穴の中に差し入れさせるのである。
そして、髪をわし掴みにして彼の頭を引き上げてバギナを舌にあてがい、再び次の波を求めて腰をうねらすのだった。
水分は一切与えられず、代わりに彼女の小水をすべて飲まされる。食事は彼女の残飯に小水を掛けたものを四つん這いのまま犬食いさせられた。
「私ね。お前が、私の紹介した美香と結婚した時、悔しくて夜も眠れなかったわ。お前が好きだったからじゃないの。お前が私を無視して美香に乗り換えたのが許せなかったの。だから、叔父の加藤が美香を欲しがった時、お前の身辺を調査したの。……そして、寺脇証券の経営が苦しいことを掴んで叔父に報告した。……叔父は直ぐ動いたわ。株式市場の裏から寺脇証券を破産に追い込むことぐらいたやすかった筈よ」
恵子の股に首を挟まれて舌奉仕を続ける靖男の耳に、恵子の解説は空しく響いた。
もうすべては終わっていたのである。
恵子の奴隷として毎日を送る靖男にとって
希望の光はどこにも見えなかった。
でも、日中は一息つけた。ベッドに鎖でつながれたまま身体を床に横たえて休息が取れたのである。
しかし、恵子が会社から帰ってくると、そこには地獄が待っていた。
しかし、さらに深い地獄が靖男を待ち受けていたのである。
恵子のアパートに飼われてから約一ヶ月がたった。その間に事態は大きく進展する。
実家に帰っていた美香に、加藤大輔が仲人として連絡をとり、離婚の手続きを進めるかたわら、傷心の美香との親密度を深めていったのである。
週末の夜、靖男の顔に跨ってアニリングスをさせながらテレビ番組に見入っていた恵子に電話があった。
靖男の耳に入る会話の模様から察すると、相手は社長の加藤に違いない。
「分かったわ。叔父様もずいぶんうまくやったものね。いいわ。離婚の書類を受け取り次第、彼に署名させて送り返すわ。……彼が今どうしてるかですって? フフフ、ご想像に任せるわ。でも、そこに美香がいるのだったら電話口に出して。……私から、彼の現状を説明するから」
「あ、美香?……お久しぶり。……貴女の旦那様、いえ、昔の夫と言った方がいいわね。彼、今ここにいるのよ。……そう、私の奴隷にしてくれって聞かないの。……それで、今何してるかですって?……彼の顔、いま私のお尻の下よ。この音、聞こえる?」
恵子は受話器を股間に近づけながら、靖男の顔面で尻をゆすって舌奉仕を続けさせた。
ピチャ、ピチャ、ピチャと、淫靡な舌の音が受話器を通して美香の耳に伝わる。
「フフフ、彼に話してみる?……もっとも、彼の舌は作業中だから聞くだけになると思うけど・…・・」
そして、恵子は尻の下の靖男の耳に受話器を押し当てた。
「あなた、聞いてる? いやらしい音立てて! そんなに恵子のお尻がおいしいの?・…・・でもいいわ。あなたがあなたなら、私は私。お互いに干渉しないようにしましょう。……ところで、いくつか大事な話しがあるわ。まず、私、加藤社長のプロポーズを受けることにしたの。そう、三ヵ月後に式を挙げるわ。それで、あなたとの離婚手続きの書類を送るから判を押してね。……次にね。私、いま加藤さんとホテルの部屋にいるの。彼のシャワーが終わったら、私は彼とセックスするの。……私達が抱き合ってるシーンを想像しながら恵子のお尻を味わうといいわ。 フフフ、へ、ん、た、い、さん!」
あの懐かしい由香の声は靖男の耳に、これ以上ない残酷な宣告を届けたのである。
一瞬、ショックで靖男の舌の動きが止まる。しかし、恵子の尻が無慈悲にグイとばかり彼の顔を擦って催促する。
思わずウーッと呻きながら舌の動きを再開したが、頭の中で由香の言葉を反芻すると、無念さ、悔しさに嗚咽が漏れた。
その翌週、夕食を終えたばかりの恵子は、加藤社長からの電話に出ていた。
その足元では靖男が四つん這いになって残飯を犬食いしている。
「……でも、叔父様。それはいくらなんでも彼が可哀そうよ。何も、そこまでしなくっても……そう、それほど言うなら仕方ないわね。勿論、私も協力するわよ。……」
電話を切った恵子は、ベッドに腰掛けて靖男に足先を差し伸べる。残飯を平らげた彼の舌が擦るように女の足裏を這った。
「いまの電話聞いてた? 加藤はね、明日からお前を自宅で調教したいんだって。美香と式を挙げるまでの三ヶ月の間にお前を夫婦のしも奴隷に仕込むんだそうよ」
「夫婦の……し、しも奴隷! それは、ひょっとすると社長と美香の……」
「そうよ。可哀想だけど、お前は二人のしも奴隷として使われるのよ。……お前も、自分の奥さんを取り上げられた上に、その奥さんのおしもを、奴隷として毎日毎晩舐めさせられるんだから哀れなものね」
「そ、そんなむごい!……」
「それだけじゃないの。叔父様の家には今、住み込みの女中が三人居るわ。お前は、毎日その女中達の嬲り者になるのよ。……それも、お前から彼女達に色々と恥ずかしいお願いをして、卑しめてもらうの。……その筋書きは叔父さまが自分で立てるんですって」
恵子の口から聞かされた、靖男がこれから受けるであろう数々の屈辱を思い起こすと、彼の頭の中には、惨めな暗い思いが渦巻き、情けなさで気も狂わんばかりだった。
「あ、忘れてたわ。……今朝、叔父様から小包が届いてるの。一つは、お前の離婚の書類、もう一つはこれよ」
恵子は、ジップロックのついた透明の袋を靖男に見せた。中に白い布のようなものが入っている。
「これはね、美香のパンティよ。……、ソラ、ぐっしょり濡れているのが分かるでしょう。……ちょっと匂いをかいでごらん」
靖男の鼻に近付けられた袋の口からは、
プンと鼻を突く刺激臭が漂った。
「匂う? これ、何だと思う?……実は美香と叔父さまのセックスのおつゆよ。……この前のお前への電話の後で、三回もセックスしたそうよ。その後、美香の膣から流れ出した大量のおつゆをこのパンティで拭いたんですって。……それで、美香からお前に言伝てがあるの。フフフ、この、おつゆがたっぷり付いたパンティをお前にプレゼントするから、しっかり味わいなさいだって。お前も、随分馬鹿にされたものね」
最愛の美香が社長とセックス! 予告されたこととはいえ、それは靖男にとってとどめの一撃だった。ベッドの上で二人が絡み合うシーンが頭の中でぐるぐると回る。
「口をあけて! もっと大きく!」
恵子の声で開けた口中に、べっとりと濡れたパンティが押し込まれた。
「フフフ、どんな気分? 美香のあそこに叔父さまのものが挿入されているところを想像して味わいなさい。……いずれ、そのシーンがお前の目の前で毎晩実現するのだからね」
クチャッ、クチャッと音を立てて、美香のパンティを噛みおつゆを吸い、味わう。
饐えた匂いと強い酸味に、男と女の結合部のイメージが、そして肉棒の挿入された美香の股間の匂いが重なった。
ポロポロ涙を流しながら、その屈辱の行為を続ける靖男の顔を、恵子が覗き込む。
「そう、それでいいのよ。ザーメンと女の淫液のカクテル。……それが、しも奴隷のご馳走よ。フフフ、お前にお似合いね」
その翌日、靖男は恵子に連れられて、社長の加藤大輔邸の豪壮な門をくぐった。
車が二台並んで通れる広さの道が、広大な敷地を縦断し、料亭と見まがう瀟洒な和式の本館へと通じている。手入れの行き届いた付属のテニスコートや屋外プールが緑の木立に囲まれ、リゾート感覚の別天地だった。
今でこそ叔父の秘書として勤務し、独立してアパートで暮らしているが、高校を卒業し、 郷里を離れて東京の大学へ進学した当時、恵子は学生時代をこの叔父の邸宅で過ごしており、本館の入り口で出迎える使用人達に会釈しただけで、どんどんと勝手知った邸内へと進んだ。
社長の加藤はたまたま出張中だったが、予め打ち合わせてあったと見え、応接室のソファにくつろいだ恵子と靖男は、早速、邸内の使用人たちを取り仕切る執事役の中年の女性、川崎静江と面談に入る。
三人の内働きの若い女中を束ねる彼女は、さしずめ女中頭と言ったところで、年の頃は三十台半ば、丸顔の平凡な女だが、どこか底意地の悪い印象を与え、通いの運転手に庭師、それに警備会社から派遣の男達にも一目置かれていた。
「それじゃ、すべて叔父様から聞いているのね。……この男のことも、そして、この男がここで、女中たちに受ける訓練のことも」
「ええ、でもちょっと信じられないような話しで、……この男の方が、そのぉ、とんでもない変態だなんて……」
「人は見かけによらないものよ。……じゃあ、ここで見せてあげるわ。女中達をここに集めてちょうだい」
三人の若い女中たちが呼ばれて応接間に揃うと、恵子は靖男の方に向き直った。
「さ、いつもやっているように、私にお願いしなさい。……サア、どうしたの? 恥ずかしいの?」
ここへ来る前に、恵子に言い含められた靖男には、与えられた台詞を言うしかなかった。
「け、恵子様の、……お、お尻の匂いを、……どうか、嗅がせてください。……お、お願いします」
恥ずかしさで顔が真っ赤に染まっている。
「まあ、またなの? 今朝、トイレの後で嗅がせてやったばかりじゃないの。……ホラ、お嗅ぎ!」
立ち上がって背中を向けた恵子のスカートの裾に、四つん這いになった靖男が首を突っ込んだ。そのまま、女の尻割れに顔を押し当て、クンクンと大きく鼻を鳴らす。
「アラアラ、あきれたわ。……まるで盛りのついた犬ね。……まあいやらしい! フフフ」
川崎静江の蔑みをこめた含み笑いに、今まで息を殺して見ていた女中達が、プーッと噴き出した。それが、直ぐに遠慮のないゲラゲラ笑いに変わる。
「ホラ、お前、皆に笑われてるのよ。……少しは恥と言うものを知ったらどうなの。……ホラ、後はパンティを嗅がしてあげるから、その位にしなさい」
スカートから首を出してうずくまる靖男に、ふわりと恵子のパンティが投げられた。
その、少し黄ばんだ股間の部分を顔に当てて夢中で鼻を鳴らす男の姿に、再び女達の笑いが浴びせられた。
「皆さん。この男の正体が分かったでしょう。……でも、面白いことに、こいつは私のだけじゃなくて自分の奥さんのパンティも嗅ぐのよ。……つまり、女なら誰でも良いってわけ。
だから、ここで暫く預かって貰っている間、毎日、皆のパンティを恵んでやって欲しいの」
ここで、背後から聞こえるクチャ、クチャという音に、皆が振り返った。
「アラーッ、この男、パンティを食べてるぅ」
女中の一人が素っ頓狂な声を上げる。
「いやだ。こいつ、汚れを舐めてるのよ。……なんて浅ましい!」
川崎静江が吐き出すように言った。
「あ、あのぉ、……恵子様、……いえ、どなたでも良いですから、……あの、お尻の穴を、……舐めさせて下さい。お、お願いします」
靖男の言葉に、ドッと笑いが爆発した。
「ほんと。こいつは、女なら誰でも良いらしいわ。……でも、お尻の穴を舐めるなんて、フン、最低!」
もう一人の女中が、蔑み笑いを浮かべながら、鼻を鳴らした。
「オー、そうかそうか。お前は、傍に女性がいると見境がつかなくなるんだね。……ホラ、何時ものように舐めさせてやるから、床に寝てごらん」
恵子の声に、のろのろと床に仰向けに寝た靖男の顔の上に女の尻がかぶさった。
直ぐに、今度は恵子の尻の下でピチャッ、ピチャッと舌の音がする。
「なんていやらしいんだろう! この男ったら、正真正銘の変態なんだわ」
「旦那様から話しは聞いてたけど、これじゃ奥さんに離婚されるはずね」
「ここで預かったら、あしたから毎日、私達がこうやって舐めさせる役なのね。……いやだ。私、お尻がムズムズしてきたわ」
女中達が口々にしゃべり出した。
「恵子様、よく分かりました。私達が責任を持ってこいつを預かりますわ。……でも、お話しを聞いていた、ペニスサックの鍵は?」
女中頭役の川崎静江が、好奇心をむき出しにして尋ねた。
「そうそう、忘れる所だったわ。……ホラ、お前、舐めるのはもうその程度にして、みんなにサックを見て貰いなさい。……フフフ、あの、恥ずかしい男性用の貞操帯をね」
恵子に言われるままに、下半身裸になって四つん這いになった靖男の股間に女達の視線が集まった。
「これがペニスサックかぁ。始めて見たわ。……でも、哀れねぇ。こんなものでセックスを禁じられるなんて」
女中の一人が嘆声を上げる。そして、もう一人がサックに付いた鎖をツンツンと引くと
それは、前後にブラブラ揺れた。
靖男は屈辱に身をよじるが、そのものは、彼の意思と関係なく、急激に硬さを増す。
「面白いわー。私、こうして毎日おもちゃにしてやろうっと」
サックの鍵が恵子から静江に手渡され、靖男の身柄が女中達に引き渡された。
「じゃあ、ここでしっかり嬲ってもらうのよ」
恵子は帰り支度をしながら、靖男に別れを告げ、声を潜めながら、
「リハーサル通りね、今日は合格よ。……
お前が、ここでちゃんと変態の演技をしている限り、手形の保証は続けてあげるからね。……でも、約束を破ると、フフフ、お前たち親子は破滅するのよ。よく覚えておくのね」
それからの三ヶ月間は、靖男にとって毎日が、それこそ気の遠くなるような屈辱の連続だった。
女中達の束ねをする静江が、加藤社長の意向を受けて靖男の監視役を務めているため、彼の「演技」は一切手抜きできない。
朝、昼、晩と、少なくとも一日に三回は、女中達の前に這いつくばって、皆に尻舐めを懇願するのである。最初は気味悪がって尻込みした女達も、多額の特別手当が出るとあっては協力せざるを得ない。
最初の数日こそ、パンティのまま靖男の顔に跨って尻臭を嗅がすだけだった女中達も、一人が思い切ってパンティをずらし、アヌスを舐めさせると、すぐに後の二人もそれにならった。
一週間も経たぬうちに、女中達は平気で靖男の顔を尻に敷き、たっぷり臭いを嗅がせたあと、パンティをずらしてアヌスで繰り返し彼の唇を蹂躙するようになった。
静江は、今や恵子に代わって靖男の女主人である。毎朝、彼に割り当てられた女中部屋の隣の物置で目覚めると、真っ先に静江の個室へ直行し、彼女にあの屈辱の「お願い」をさせられるのである。
その後で、朝の仕事に取り掛かっている女中たちの一人一人の前に這いつくばって、散々嘲られながら「お願い」を繰り返し、女達の尻の下に顔を敷かれた。昼も夜もその繰り返しである。女達はその屈辱の行為を「お勤め」と呼び、むしろ催促するようにさえなった。
そして、何時の間にか女達から与えられた彼の呼び名は……「変態」。この蔑みをこめた呼び名が繰り返されるたびに、靖男は情けなさに胸が詰まった。
一ヶ月ほどしたある日、静江の部屋で夜の「お勤め」をしていた時である。
靖男の顔の上で細かく尻をゆすっていた静江が決心したように腰を移動して膣口を彼の唇にあてがった。
「旦那様のお許しが出たから、今日からお前はここも舐めるのよ。……舌の先を中に入れて、そうそう、……お前上手よ。そうか、恵子様にもこうやって使われていたんだっけ」
やがて静江の尻が靖男の顔の上でゆっくりと前後にスライドして、クリトリスがグチャッ、グチャッと間欠的に舌に押し付けられる。
本能的に舌が反応して、懸命に女の肉芽を舌の腹で擦り返す自分が流石に情けなかった。
かなり長時間続いた後、尻の動きが激しくなり、果てた後も静江は靖男の顔に座ったままである。今度は再び尻の穴を唇にあてがい男の舌先を楽しみながら、じっくりと余韻を味わうのだった。
翌日から、示し合わせたように女中達も、靖男の夕方の「お勤め」の後、決まって男の舌をオナニーに使うようになったのである。
三ヶ月が経ち、久しぶりで靖男はこの家の主人である加藤に呼ばれて、ソファの前の床で平伏していた。
「どうだ、女達のケツの穴の味は? それに毎晩、女達のオナニーに使われているそうじゃないか。ハハハ、お前がそうやっておとなしく女達のおもちゃになっている限り、寺脇証券の債務保証を続けてやる。良いな。……
ところで、俺と美香の結婚式が明日なんだ。どうだ、羨ましいか? その後、新婚旅行で一緒に海外を回って三週間後にここへ帰ってくる。その時から、美香はこの家の女主人になるんだ。……お前は、女中たちのしも奴隷として美香に挨拶するんだぞ。その時の台詞は恵子に任せてあるが、ウンと美香に蔑まれるように仕組んでやる。いいか。フフフ」
とうとうその時が来るのである。
愛妻の美香を奪われたうえに、その美香の前で恥ずかしい演技を強制される。予期していたと言え、それは、靖男の心をズタズタにする残酷な運命だった。
加藤社長と美香の結婚式の日の夕方、加藤邸を訪れた恵子が靖男を呼びつけた。
「二人は披露宴を終えて、さっき新婚旅行に旅立ったわ。幸せ一杯って雰囲気だったわ。……さあ、これからお前の特訓よ。まず、この家の女主人になる美香への御挨拶。それから、これから先、三年間でお前が自ら望んで身を落とすステップをしっかり頭に入れておくこと。分かったわね」
「さ、さん年間! そんなに長くこの家で……でも、そんな約束は……」
「確かに約束はしてないわ。でも、叔父様の債務保証が要らなくなるまで、お前は私達の言いなりよ。……何年掛かるかしら、お前の父親が8億円の負債を返却するのにね。フフフ、十年は堅いとこね」
「…………」
「さあ、諦めるのよ。ここにシナリオがあるわ。……でもね、この内容を決めたのは叔父様よ。私は、幾らなんでもこれじゃ、お前が可哀想だって主張したんだけどね。叔父様は美香がお前に同情して、よりが戻ることを心配してるのよ」
シナリオの目次を見て、靖男は仰天した。
最初の年には「夫婦のセックスの慰み者にされる」ことから始まり、「三ヶ月目には毎日美香の小水を全量飲まされる」、六ヶ月目には「美香の完全な便器になる」とある。
「びっくりした? でも、これは全部、お前が自分から美香にお願いして叶えてもらうのよ。……この六ヶ月目はちょっと残酷だと思うけど、叔父様は女中達に言い含めて、前もってお前に稽古させるつもりよ」
二年目は「便器及びセックス奴隷として外部の夫婦達への貸し出し」三年目は「ナイトクラブのSMショーへ出演」とあった。
靖男は、もうショックで目も空ろである。
しかし、破滅から逃れるためには、どうもがいても、このシナリオに沿って自発的に演技するしかなかった。
やがて、新婚旅行から二人が帰ってきたその日、玄関わきで出迎えた女中達の後ろに、四つん這いの靖男の姿があった。
何も知らされてなかったと見え、その靖男の姿に、美香は目を丸くした。
「靖男さん、あなた、そこで何をしてるの?
恵子さんのところじゃなかったの?」
「…………」
「さすがの恵子も、こいつには手を焼いて、ここで引き取ったんだ。なにしろお前に捨てられてから、狂ったように女の尻を追いかけるようになってな、ホラ、見てごらん」
夫の加藤大輔が顎をしゃくると、靖男は、いきなり、女中頭の静江のスカートに首を突っ込んだ。彼女がクスクス笑いながら、股を開くと、靖男の頭がその股間に入る。
「こうして、毎日、女達の尻を嗅ぐのさ。そのあとは尻の穴を舐めるそうだ。……一種の色情狂だな」
夫の説明に、美香の表情に、激しい蔑みの色が浮かんだ。
「な、なんて、浅ましい!」
吐き出すように、一言残して家に入る。
その夜、夫婦の寝室に呼ばれた靖男は、無言のまま、素裸でベッドの裾に侍っている。
広いキングサイズのダブルベッドに腰をかけたネグリジェ姿の美香が、靖男の四つん這いの股間からのぞく例のサックを珍しそうにジロジロ眺め、薄笑いを浮かべながら足の先で無遠慮にそれをつつく。
咎めるような男の視線を、上から冷たく押し返すと、もう一方の足で靖男の頭を軽く蹴った。その一連のしぐさには、いまや靖男を軽蔑しきった態度が現れている。
「どうだ、昔の夫を足元に侍らして、その目の前で、俺とセックスをする気分は?」
部屋着を羽織っただけでベッドに近付いた加藤が、揶揄するような調子で声を掛けた。
「こいつ、自分から望んでここに居るのよ。私達のおしもを舐めたいんですって。……こんなひどい変態だとは思わなかったわ。……ねえ、あなた、こいつの舌、私達の慰み物ににして使ってやろうか?」
「美香のしも奴隷にしてうんと嬲ってやれよ。変態だというのを隠して、お前と結婚したのだから、罰を受けるのが当然さ。……俺達のセックスの度にこいつの口を汁受けにするんだ。……汁だけじゃなくって、こいつ小便も飲ませてくれって言ってるそうだ。美香の便器にしてやるといい」
「私と結婚した罰に便器かぁ、哀れねぇ。……ねえ、お前、それでいいの? 私達のセックスの慰み物だけじゃなくって私の便器にされてもいいの? それも、永久によ!」
美香の言葉には、もう昔の夫に対する思いやりのかけらも見られなかった。
その揶揄するような声音に蔑みをこめて、
猫がねずみを嬲って楽しむ残酷さがあらわになっていた。
美香の手が靖男の髪を鷲掴みにして、その顔を自分の股間へ挟むと同時に、加藤が美香の身体の上にかぶさってくる。
二人のセックス奴隷としての靖男の生活がこうして始まったのだった。
(完)
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1999年11月クィーンズ倶楽部創刊号
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新装なった本誌の門出に
阿部譲二
お前は奴隷。
跪いて足をお舐め。
四つん這いになって犬鳴きなさい。
仰向けに寝て私のお尻を顔で受けるの。
そして私のアヌスに奴隷のキスを。
お前は奴隷。
ベッドの裾から潜っておいで。
お前の舌は私の道具。
私に天国の夢を見せて頂戴。
そして私の股間の蜜を吸うの。
お前は奴隷。
床に寝て口をお開け。
零さないように小水をお飲み。
その後はアヌスに口を当てなさい。
そして私の便器になるの。
女性に陵辱され、奴隷にされ、便器にされる男達。そのめくるめく転落の悲哀を快感として受け止めるのがマゾヒストです。
この人生の秘めたる楽しみのために、今後も、M小説を書き続け、読者の皆さんへプレゼントして行きたいと思います。
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2010/11/23