#41転落への罠(舌奉仕奴隷への罠)-(後編)
                阿部譲二

4年前KK商事の営業に入社した男が接待の目的でSMクラブへ下見に行く。そこで同期の友人の罠に掛かりプロのS女性に自由を奪われ股間の一物を踏み潰され不能になる。彼の恋人は財産の提供と舌奉仕を条件に結婚してくれるが、その内、彼を罠に掛けた友人と浮気するようになり、彼は二人のセックスに舌で奉仕させられ果ては便器奴隷に落とされる。

 KK商事に勤める山田靖夫は、かねてから恋いこがれ
ていた同期入社の芹沢葉子と首尾良く結婚したが、その
式の直前に、取引先の接待の下見で訪れたSMクラブで
客と間違えられ、鞭で打たれた挙句、股間の一物を踏み
潰されて不能になってしまった。
 葉子の提案で、靖夫は、自分が相続した財産で買った
マンションを葉子の名義にすること、彼女の欲する時に
舌奉仕すること、浮気を認めることを条件に、お情けで
結婚して貰う。
 しかし葉子の性欲は異常に強く、連日顔面に跨がられ
て舌奉仕を強要される内に、靖夫は葉子に頭が上らなく
なり、毎日家事に追い使われる様になる。しかも、自分
の妻からお前≠ニ蔑まれ、妻に対しては奥様≠ニ呼
ばされ、敬語を使う様に馴らされて行く。
 折しも、かねてから予告のあった社内の組織変更で、
妻を含め同期の七人が全て主任に昇格したのに、彼のみ
は取り残されたばかりか、同期で妻の友人の神田真理子
の部下にされてしまったのである。
        ……………………         
「それでは、皆さんの新組織での活躍を祈って乾杯!」
 いつもの甲高い玉井三郎の音頭で、久し振りの同期会
の宴が始まった。
 八人のメンバーもいつも通りだが、前回、芹沢葉子と
の婚約で、全員の祝福を受けた山田靖夫の身には、この
四ケ月で余りにも多くのことが起り過ぎていた。
 男性機能の喪失、葉子とのお情け結婚≠サして、新
組織での屈辱的な配属……それ等は、彼から精気を奪い
前回とは見違える様な落込み振りだった。
「オイ、元気を出せよ。……主任に成れなかったぐらい
で、クヨクヨするな。……ソラ、ちゃんと代りに奥方が
昇格してるじゃないか!」
 玉井三郎はニヤニヤ笑いながら、向い側に離れて座っ
ている葉子の方へ顎をしゃくる。
 多分に酔いの回ったその口調には、競争相手の脱落を
揶揄する様な調子が含まれていた。
「それにさ、お前の新上司の神田真理子様は、同じ同期
会のメンバーときてる。……安心して遠慮無く目を掛け
て貰えるじゃないか。……ナア、神田女史よ!」
 玉井は、傍の神田真理子に同意を求める。
「玉井さん、もう酔ってるのね。……じゃあ、山田君に
言っとくけどね、公私混同は御免よ。……同じ同期会の
メンバーでも、職場では、これからは私が君の上司。…
…ちゃんと節度を守って貰うわよ」
 真理子の言葉に、玉井がすかさず悪乗りする。
「そうだ、その通り。……こゝでは同じテーブルに付い
ているが、会社では山田靖夫は、神田真理子の部下とし
て絶対服従だ。……オイ、彼女は思いのほか厳しいから
な、きっとコキ使われるぞ。……そうだ、週刊誌の漫画
に、上司の女性の生理用品を買いに行かされる男があっ
たな。……お前もそうなるんだ、覚悟しておけよ」
 冗談めかした意地の悪い玉井の言葉に、靖夫は耳まで
赤くなった。
 宴が終り、神田真理子と連れ立ってタクシーに乗る妻
の葉子の後から、慌てゝ靖夫も助手席に乗り込む。
「葉子、突然だけど、これからお二人の新居に伺っちゃ
いけない?……学生時代に返って、あなたと、ゆっくり
積る話をしたいんだけど……」
「いゝわ。真理子なら大歓迎よ。……今まで、お招きす
る機会が無くて御免なさい」
 かっては大学の同級生だった二人は、マンションの前
で車を降りると、後に従う靖夫を完全に無視して、睦ま
じげに腕を組んでエレベーターに向かう。
 そして、山田靖夫・葉子夫妻の新居に足を踏み入れた
神田真理子は、そのゆったりとした間取りに、思わず、
賛嘆の声を上げた。
 二十畳を越えるワンルーム形式の広い居間は、毛足の
長いシャギーカーペットが敷き詰めてあり、ダイニング
コーナーを経て、設備の整ったキッチンに通じている。
 バスルームは、玄関横の広いユーティリティルームの
奥と、マスターベッドルームの中の二ケ所にあり、居間
を挟んで反対側には、更にベッドルームが三室と、チー
ク材の書棚が一面に造り付けとなっている豪華な書斎が
配置されていた。
「これが、山田君の例の遺産で買ったマンションかぁ。
……大したものね!」
 神田真理子は、思わず溜息を付いた。
「でも、今では私の名義よ。……贈与税も、彼が遺産の
残りをはたいて全部負担したわ」
 葉子は、得意気である。
「所で、立ち入ったことを聞くけど、お二人のセックス
ライフはどうなってるの?……あの事故で、山田君は男
としての機能を失くしたという噂だけど……」
「それは事実よ。……でも、真理子、私がクリトリス派
だってことは覚えてるでしょう?」
 葉子は、意味ありげに微笑んだ。
「そう。……じゃあ、学生時代に私達がレズの関係だっ
たことも彼に打明けたの?」
「実は、そこまでは言ってないの。……でも、この男の
舌遣いは、悪いけど真理子より格段に上よ」
「そうかぁ……判ったわ。……でも、可哀そう! この
奥さんは、性には貪欲だから、靖夫君はきっと毎晩舌奉
仕を強要されてるんでしょう?……それも、きっと長時
間にわたってね」
「ウフッ、ご想像にまかせるわ。……それより、真理子
は一体どうなの? 貴女だってセックスには貪欲だった
筈よ。……もっとも、貴女の場合は男並に直ぐ達して、
直ぐ醒めるタイプだったわね」
「いやーね、未だ覚えてるの。……そう、私はあなたの
舌で直ぐに満足したわ。でも、あなたはしつこかった。
……そうだ、靖夫君の前で、昔の私達のシックスナイン
を再現してみない?」
 酔いに顔を火照らせた神田真理子が、ソフアーに寝そ
べりながら提案する。
「そうね。……でも、もっと名案があるわ。……私が仕
込んだこの男の舌技を、真理子に味わせてあげる!」
 これも酔いの回った葉子が、目の縁をボーッと色づか
せた艶めかしい表情で、傍らの靖夫を振り返った。
「アラアラ、あなたの大事な御主人をそんなことに使っ
ていいのかしら?」
「だ、い、じょうぶ。……こいつ、男の役目も果せずに
私のお尻の下で、舌を動かすだけの意気地無しよ。……
そうだ、来週から、こいつは貴女の部下じゃないの。…
…堂々と命令してやりなさいよ。コレ、お前、跪いて
私のおしもをお舐め!≠チてね。クックックッ」
 葉子は、笑いながら、屈辱で歪む靖夫の顔をジーッと
見詰める。
「そうね。……じゃあ、こゝでついでに、私から引導を
渡そうか」
 真理子は、ソファーの上に身を起し、意味ありげに呟
きながら座り直した。
「山田靖夫君。……こゝへ来て、私の前の床に正座しな
さい!……そう、それでいゝわ。フフフ、案外素直ね。
……それで、お前はね、本当は危ないころだったのよ。
……ソラ、あのSMクラブでの醜聞よ。あれが、社長の
耳に入ってね、社長は、直ぐ首にしろと言ったそうよ。
……でも、お前も葉子との結婚を控えてたし、私が人事
部長に頼み込んで首をつないで貰ったわ。そして、今度
の人事移動を機に、私の部下に貰い受けたの。……でも
ね、表沙汰にはならないけど、お前は、社内で懲戒処分
を受けることになったのよ。……実はこれも、私が仕事
を通じて内々に懲戒することで、了解がついてるの」
「アラーッ、ちっとも知らなかったわ。……でも、真理
子は人事部長とできてるって噂を聞いたわ。そうなんで
しょう?」
「フフッ、只のセックス・フレンドよ。……週に一回、
昼休みに、彼のスペッシャルワゴンの中で、セックスに
耽るの。……アラ、これは葉子と私だけの秘密よ」
 二人は、靖夫をそっちのけで脇道に逸れる。    
「じゃあ、真理子は、懲戒の口実でこの男の舌を使いな
さいよ」
「まさか! 私のセックスは、あくまでプライベート。
……懲戒は、日常業務を通じて実行するわ」
「それなら、今はプライベート・タイムよ。……どうぞ
御遠慮無く!」
 葉子は、芝居っ気たっぷりに片手を靖夫の方へ差し延
べて、真理子を招く。
「じゃあ、遠慮無く、御主人の舌を頂こうかしら。……
その前に、一寸、シャワーを使わせてね」
「いゝの、シャワーなんか浴びなくても。……いつも、
ついでに汚れを清めさせてるから……フフフ」
「ヘーッ、靖夫君。……君ったら随分みじめな目に会わ
されてるのね。……自分の奥さんに、毎日、おしもの汚
れまで舐めさせられて……まるで、奴隷ね!」
 真理子は、瞳に軽蔑の色を浮べながら、立ち上って彼
をジッと見下ろす。                
 靖夫は、思わず身を固くして後ずさりした。
 それを見て、葉子が横から声を掛ける。
「駄目ね、そんなに身構えちゃ。……いゝわ、私がほぐ
して上げる」
 葉子の手が靖夫の髪に掛かり、ぐいと彼の上体を後へ
引き倒した。そのまゝ胸の上に跨がり、スカートの裾か
ら覗く男の顔を見下ろして、ニッと笑う。
 その次の瞬間には、葉子の腰が前進し、その股間が靖
夫の顔を捉えていた。
「これが、何時ものスタイルなのよ。……そう、顔面サ
ドル体位とでも言うのかしら」
 葉子は、喋りながら、スカートをたくし上げ、靖夫の
顔の上で器用にパンティーを脱いだ。
 そして、男の頬を尻丘の間にしっかりと挟み込むと、
ゆっくりと豊かな腰をグラインドさせる。
 しばらくすると、女の分秘液と男の唾液で潤滑された
肉の襞から、ピチャッピチャッと淫靡な音が洩れ、その
ピッチが次第に早くなった。
 葉子の腰が、靖夫の顔の上で前後に激しく揺れ、やが
て最初のエクスタシーが訪れる。
 傍らの真理子がホッと吐息を付いた。
「気持良さそうだこと。……きっと、昔より性感帯が成
熟したのね」
 真理子の呟きも耳に入らぬ態で、葉子は、うっとりと
快感の名残りに身を委ねている。
「お待ち遠様、交替するわ。……二回目ぐらいが、舌の
動きが最高になるの。……もっとも、五回目位になると
疲れて来て力が弱くなるけど、まだまだ大丈夫。八回ま
で連続奉仕させたこともあるのよ」
 葉子が説明しながら尻を上げると、クレバスから男の
顔面にかけて、透明な粘液が幾重にも糸を引いた。
「ワーッ、おつゆがすごいのね。……でも、こんな形で
女に奉仕させられる男の気持って、きっとみじめよ」
「いゝの。……お情けで結婚してやったんですもの。…
…男の役目が果せない罰に、もっともっと、みじめにし
てやる。……さあ、貴女の番よ」
 フワリと真理子のシルクのロングスカートが広がって
靖夫の顔を覆う。下から見上げる目に、とりわけ巨大に
映る女の尻が、急速に顔面に落下してきた。
 真理子は、トイレに跨がる要領でパンティーを降ろす
と、靖夫の顔をしっかりと尻に敷く。
 葉子の時とは、また異なった感触の肉塊が、プーンと
異様な臭いと共に顔面を圧し、反射的に出した舌先に、
ピリッと苦みが走った。
「そこ、そこをもっと強く。……そう、その調子よ」
 呼吸を辛うじて確保しながら、真理子の指示のまゝに
舌を動かす。
 その内、気分が高まって来たとみえ、強い臭気の粘液
が溢れ、葉子の時と同様、尻が前後に揺れ始めた。
 洗濯板に布地を擦り付ける調子で、クレバスが靖夫の
鼻を、舌を、そして唇を、繰返し繰返し蹂躙する。
 それは、葉子の場合より激しい動きではあったが、時
間は却って短かく、ものの十五分程度でクライマックス
を迎えた。
「よかったわぁ。……毎日、この舌を使えるなんて、葉
子が羨ましいわ」
 真理子は、尚も鈍く動き続ける男の舌に余韻を楽しみ
ながら、横で見守る葉子を振り返る。
「アラ、貴女だって、毎日、会社でこの男を使う立場で
しょう。……息抜きに、空いている応接室を利用して、
時々、舌奉仕させればいゝのよ。……家庭では私の専用
だけど、職場では、この男を上司の貴女の自由にさせて
あげるわ」
「ウフフ、そうね。……それも悪くないわね。……でも
私も、時々じゃなくて、毎日使う様になるかもね」
 二人の会話は、真理子の尻の下でなおも奉仕を続ける
靖夫の耳に筒抜けである。
 これからは、家庭と職場で、毎日、二人の女に屈従を
強いられるのかと思うと、靖夫は、胸を掻きむしられる
様な無念の思いに駈られるのだった。
 その翌週、いよいよ新職制の発足とあって、社内は、
朝から騒然とした空気に包まれていた。
 机の配置替が午前中に終り、午後になると新しい主任
グループ毎に、それぞれ仕事の打合わせが始まった。
 営業部に誕生した十二のグループの中で、神田真理子
のチームは婦人繊維雑貨が担当である。ひらたく言えば
女性用の下着の仕入れと卸しを扱うのだった。
 真理子の下には、山田靖夫の外に、四人の若い高校卒
の女子社員が配属されたが、その内二人は、この四月に
入社したての新人である。
「いゝこと。私達のグループは婦人下着が専門よ。商品
知識の不足な人は勤まらないわ。……そこの山田靖夫君
は、男性だから当然無理ね。暫く、お茶汲みでもやりな
がら勉強して頂戴。……彼の指導役は、新人のお二人に
お願いするわ。ビシビシ、鍛えてやってね」
 真理子の言葉に、靖夫は耳を疑ぐった。
 女の子達の間からは、クスクスと笑いが洩れる。
「あのぉ……お茶汲みなんか、新人の女の子の役目じゃ
ないですか。……それに、女の下着を勉強しろと急に言
われたって……」
 靖夫の抗議は、口に出してみると案外弱々しく響く。
「何を言ってるの。商品知識の無い見習いが、お茶汲み
をさせられるのは当然よ。……それと、君は当分の間、
毎日、ここにいる皆のパンティーを洗濯して、そのデザ
インや汚れ方などを勉強するの。いゝわね」
 真理子は、有無を言わせない口調できめつける。
「机はその一番隅のを使うのよ。……それから、お前は
見習いなんだから、全員に敬語を使うこと。……そして
指導役の二人の命令には、絶対服従よ」
 これが、あの懲戒か!=@靖夫の胸に、ぐっと熱い
ものが込み上げ、口惜しさで思わず目がかすんだ。
 そして、その日の午後、早速お茶汲みをやらされる。
「山田君、そのお茶の入れ方は何?……もっと、お茶の
葉を減らしなさい。本当にバカみたい!」
「動作もノロね。……そんなグズだから、お茶汲みに落
とされたんでしょう。……情けないやつね」
 新人の二人の女の子は、面白がって彼をいたぶる。
 無念さに目を真赤にしてお茶を配る靖夫の手が、ブル
ブル震えていた。
 定時になって帰ろうとする靖夫は、真理子に呼び止め
られ、一瞬、悪い予感に顔が青ざめる。
 そして、恐れていた通り、近くの応接室に連れ込まれ
て、彼女に舌奉仕を強要された。
 それからの日々は、彼にとってまるで茨の道だった。
 彼の指導役の女の子達は、すっかり彼を見くびって、
横柄な態度で彼を呼びつけ、文字通り彼を顎で使う。
 おまけに、早速、勉強のためとの名目で、毎日汚れた
パンティーの山が彼に当てがわれ、女子トイレの隅で連
日洗濯に専念する彼の姿は、皆の笑いものになった。
 一方、真理子は、これも毎日の様に、昼時か定時前に
必ず、彼を空いている部屋に連れ込んで、その顔を股間
に敷き舌奉仕を楽しむ。
 ところが、或日の昼過ぎのことだった。
 昼休みの外出から帰った真理子が、打合せと称して、
靖夫を資料室に呼びつけ、ドアをロックして、何時もの
様に、床に仰向けに寝た彼の顔面に尻を降ろす。
 その股間には、ちり紙が挟まれいて、プンと異様な臭
いがした。
「口を開けるのよ。……奇麗に掃除しなさい!」
 真理子は、紙を取り除きながら局部を彼の口に押し付
ける。途端に、栓が抜かれた様に、生臭いドロッとした
粘液が彼の口中に流れ込んだ。
「今お前の口にしているものが何か判る?……フフフ、
そう、男の精液よ。……今しがた彼氏とセックスしてき
たところ。……お前は、人並のことが出来ない身体なん
だから、せめて後始末でもして身の程を知るといゝわ。
クックックッ」
 後から後から流れ出るその粘液は、靖夫の咽喉を焼き
胃を穢していく。そして彼の心を狂おしい屈辱で満たし
たのだった。
 職場で、そして家庭で、連日女達にしいたげられる靖
夫の態度が、めっきり卑屈なオドオドしたものになるの
に、そう時間は掛からなかった。
 一ケ月もすると、パンティーの洗い方が悪いと怒られ
るや、入社して間もない女の子の足元の床に、進んで額
を擦り付ける様になったし、真理子のセックスの後始末
も、彼女の歓心を得ようと積極的に舌を差し入れて吸い
取る程の変りようである。
 明らかに、極度の女性恐怖症に捉われた哀れな姿が、
そこにあった。
 こうして、完全に屈従の生活にのめり込んだ靖夫の身
に、早くも半年の月日が流れた。
 家庭での、靖夫と葉子との関係に大きな変化が現われ
たのは、その頃のことである。
 この頃になると、葉子の主任としての仕事が次第に忙
しくなり、毎日の帰宅が靖夫より遅くなっていた。
 それも、酔って帰ることが暫々で、玄関に出迎えた彼
に絡んで、平手打ちを食わせることもある。
 ある夜のこと、酒気を帯びて帰宅した葉子は、玄関で
靴を脱ぐなり、いきなり靖夫の顔に跨がった。
 ノーパンの股間がベットリ濡れ、靖夫の舌先が膣の緊
縮を柔げた途端、そこからドッとおびただしい粘液が、
彼の口中に流れ込んだのである。
 それは、疑いも無く、真理子から毎週味わされている
男の精液の味であった。
「フフフ、判る? 今、玉井さんの車で送って貰って、
外の空地で、彼とカーセックスして来たの。……そう、
お前との約束で浮気は公認よ。……でも、玉井さんと私
は結婚することにしたから、浮気とは言えないわね。…
…コラッ、舌を休めるんじゃないの!……お前、自分は
どうなるのか心配なんだろう?……大丈夫、捨てはしな
いよ。ただ、夫の地位は玉井さんに譲って、お前は私の
男めかけ……いや、舌めかけに成ってもらうからね」
 葉子の言葉に、その尻の下で舌を動かし続ける靖夫の
全身が、ワナワナと震える。
 無理もない。名だけの夫の座とは言え、それを、昔の
ライバルの玉井に奪われ、舌奉仕専門の男めかけに落さ
れるのである。
 これは夢だ。……夢であってくれ!
 靖夫は、心の中で狂おしく叫んでいた。
 しかし、現実は、あくまで靖夫に厳しかった。
 それから、約一ケ月経った夜、マンションの夫婦の寝
室で、哀れにも革紐で手足の自由を奪われ、首輪まで嵌
められた靖夫の姿があった。
 床に引き据えられた靖夫の前には、あの憎い玉井三郎
が葉子と抱き合っている。
「オイ、お前は、これから葉子の舌めかけ……イヤ、俺
達二人の舌奴隷に成るんだ。……ところで、面白いこと
を聞かせてやろう。……あのSMクラブでお前のキンタ
マを踏み潰した女は、俺の昔のガールフレンドさ。……
あの夜、俺が、あのクラブのママに頼んでお前に罠を掛
けたんだ。眠り薬入りのカクテルで正体を無くしたお前
を、俺達三人で裸にして吊るしたってわけさ。……どう
だ、面白いだろう」
 やはり、やはり罠だったんだ!……畜生、玉井の奴
め、葉子に横恋慕しやがって……
 カーッと頭に血が上り、靖夫は、思わず自由を奪われ
た身体を震わせて身もだえした。
「アラアラ、この男、口惜しがってるわ。……でも、無
理も無いわね。貴方の罠に掛かって、こゝまで転落した
んですものね。……ちょっぴり可哀そう!」
 しかし、葉子の揶揄する様な口振りには、同情のかけ
らも無い。
「玉井さんと私はね、お前が恨み心を捨てゝ、諦めて私
達の舌奴隷に成り切れる様に、お前を洗脳するすること
にしたの。……ソラ、あのSMクラブの女性ね。彼女が
明日、お前を引き取りに来るのよ。……そして、私達が
結婚式を挙げて、新婚旅行から帰って来るまで約一ケ月
の間、お前を預って教育してくれるの」
「その後は、俺が説明してやろう。……彼女の経験では
人間性をとことん奪われた男は、恨みも希望も無くして
ひたすら屈従に生きるそうだ。……要するに腑抜けに成
るってことだな。……その為には、精神面を徹底的に辱
めて洗脳するんだそうだ」
 玉井は、そこでニヤリと笑って話を続けた。
「お前は、一ケ月の間、あのSMクラブで豚として飼わ
れるのさ。……あそこに勤めている女達は、皆S専門の
女王様役で、男をいたぶることにかけちゃプロだ。……
豚ってことは、女達の排泄物を全て口にさせられるって
ことで、彼女は、お前を一ケ月で完全な人間便器に仕込
んでみせると保証したんだ」
 靖夫の顔は驚愕で歪み、ショックの余り口からは悲痛
な呻き声が洩れる。
 そんな靖夫を軽蔑し切った目で見下ろしながら、葉子
が嘲笑を浴びせた。
「フフフ、判った? 新婚旅行から帰ったら、お前は私
の専用便器になるのよ。……真理子やその部下達にも、
お前の変り果てた姿を見せて、時々、便器として使わせ
てやるわ。クックックッ」
 底無しの転落の罠に掛かった靖夫は、抗らう気力も無
くし、首輪を引かれるまゝに、抱き合った二人の股間に
舌を這わせるのだった。
(完)
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1990年3月スピリッツ3,4月号
(スレイブ通信41号に再掲載)
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2010/08/18