#42転落の日記帳(家畜への転落)-後半
                阿部譲二

卒業を翌年に控えた大学生がゼミで知り合った女性に惚れデートを申し込む。彼女には適当にあしらわれるが5回目のデート中に現れたラグビー部の男に彼女を奪われ仰向けに組み敷かれたまま顔の上で彼女を犯される。実は、これは馴れ合い芝居だったが、結合部への彼の舌の感覚が忘れられぬ女は彼を罠に掛け、二人のセックス奴隷に落としてしまう。

  高原家の茶の間は、それに続く食堂とキッチンを含めモダンな洋風に改造されている。
 古い武家屋敷の趣きのある外観はそのまゝに、この主要な生活空間のみを洋式に改造するこ
とで、伝統の香りを或程度保ちながら、若夫婦に似合った現代風のライフスタイルを可能にし
ていた。
 厚手のグレイの絨緞を敷き詰めた茶の間には、テレビが置かれ、その反対側の窓際に、北欧
製のハイバックのソファーセットが置かれている。
 クッションの効いたソファーの上に、身を投げる様にはずみを付けて腰を下ろした高原小夜
子は、手に持った鎖をツンと軽く引いた。
 傍らの床の上で、アーッと悲鳴に似た男の声。
 鎖の一方の端に、股間の一物を拘束された山田健作が痛さに顔をしかめながら、四つ這いの
まゝ小夜子の足元に引き寄せられる。
 紺のトレーナーに身を包み、顎が床に付かんばかりの低い位置から、犬に似た姿勢でオドオ
ドと小夜子の顔を窺う男の表情には、女主人の機嫌を損ねまいと懸命な、見るからに卑屈な色
が漂っていた。
 その健作の鼻先を、これ見よがしに大きく足を組んだ小夜子の素足がかすめ、その先に穿い
たスリッパが、彼の鼻先にコトンと落ちる。
「お舐め!……バカッ、スリッパじゃないよ。……私の足の裏を舐めるんだよ」
 小夜子の罵声に怯える様に、慌てゝ目の前の薄汚れた女の足の裏に唇を寄せる健作。
 そして、小夜子の蔑みの視線を受ける彼の胸を、流石に無念の思いがかすめる。
 ぼってりした男の舌が、小夜子の足指の付根を裏からまさぐる様に擦ると、彼女の背筋に快
感が走った。
 そのまゝソファーの背に身を沈めながら、小夜子は、書院から持参した健作の大学ノートを
拡げ、そこに記されている彼の日記を、ゆっくりと読み始めた。
               …………………………
△月X日
 今日は大変な日だった。
 こうして書いている今でも、数時間前の出来事で受けたショックで、俺は、この手が震える
思いだ。
 今朝、久し振りで高原小夜子さんからの手紙を受取った時は、嬉しさで飛び上らんばかりだ
った。
 三ケ月程前のあの日、………小夜子さんの目の前で、彼女の恋人の立花清治から小水を飲ま
され、果ては、俺の顔の上で二人がセックスするという、思い起すだにおぞましい、死に勝る
辱めを受けて以来、俺は、キッパリ小夜子さんのことは思い切ったつもりだ。
 でも、駄目だった。
 彼女の顔が、そして、あのグラマラスな身体が、目に付いて離れない。
 毎晩の様に、夢にみる始末なのだ。
 だから、彼女の手紙を拡げた時は、不安と同時に期待で胸が躍った。
 でも、その内容は、俺の願っていた、彼女との関係を昔に戻す様なものではなかった。
 ただ、以前、俺とのデートの時に彼女が捨てる様に頼んだ、あの紙袋の中身がもう一度欲し
ければ、せめてものお詫びのしるしに、更衣室の自分のロッカーに入れておくから、持って行
って自分を偲んで欲しいと言うのである。
 俺が、あの時、紙袋の中の小夜子さんのパンティーを捨てずに持ち帰って、オナニーに使っ
ていたことを、彼女がどうして知っているのか不思議だった。
 でも、あの時の悩ましい香りと味を思い出すと、居ても立ってもをられず、日が暮れると俺
の足は大学の女子ロッカー室へ向かっていた。
 うちの大学は、月極めでロッカーの割当てを受けることが出来る。
 勿論有料で、俺も一度借りたことがある。 女子ロッカーの場所は知っていたが、勿論入っ
たこともなかった。
 各自のロッカーの扉に鍵が付いているので、ロッカー室そのものには誰でも入れる様になっ
ている。
 俺は、懐中電灯を片手に、人気の無い女子ロッカーにそっと忍び込んだ。
 端から名札を確認しながら中程まで進んで、漸く高原小夜子の名前を探し当てた時には、胸
の動悸がひときわ高まった。
 扉を開けると、華かな色彩の衣類が目に入った。
 上の棚に、丸めた色物のパンティーを見付け、手に取ると計三枚もある。
 ムーッと女の香りが鼻を突き、俺は思わずそれ等を顔に押し当てゝ大きく息を吸い込んだ。
 饐えた強烈な臭気に頭がクラクラッとした途端、パッと部屋の電気が付き、同時に、写真の
フラッシュの閃光が俺の目を奪った。
 そして突然目の前に、小夜子さんが、二人の女友達を伴なって姿を現わした時には、俺は文
字通り仰天した。
 さらに、彼女がパンティー泥棒を掴まえたわ!≠ニ叫んだ時には、二度びっくりした。
 驚いたことに、三人は俺の腕を取って、警察へ連れて行こうとする。
 聞けば、最近、頻々として女子ロッカー荒しが横行し、下着や金品を盗まれる被害が続出し
ていたとのことだった。
 俺はその場で床に土下座して赦しを乞い、小夜子さんが俺の身柄を預ることで、警察行きは
勘弁して貰った。
 今にして思えば、俺は、まんまと彼女の罠に掛かったのだ。……でも、先方に証拠写真と、
証人が揃っている現状では、俺が何を言っても通りはしまい。
 明日から暫くの間、彼女のもとで根性を叩き直す≠スめの仕置を受けることを条件に、今
夜は帰して貰ったが、一体俺の運命はこれからどうなるのだろうか?
               …………………………
 小夜子は、ニヤリと笑みを浮かべ、手を伸ばして今度は、自分の日記帳を拡げた。
同時に足を組替えて、もう一方の足裏を健作の舌に委ねる。
△月X日
 あゝおかしい! 笑いが止まらないとは、こんな場合を言うのね。
 こうして書いていても、女子ロッカー室で、目をパチクリして立竦んでいる山田健作の顔が
目に浮かぶわ。
 私達が隠れて見張ってるのにも気付かず、健作ったら私のパンティーを顔に当てゝクンクン
嗅いでる。
 そのうち、以前のデートの時の様に、汚れた所を口の中でクチャクチャ味わい出す気配だっ
た。
 電気を点けて、写真を撮ったタイミングもピッタリ。
 気味が悪い程、筋書通りいったわ。
 でも、警察へ行こうと嚇かしたら、床に頭を擦り付けて謝まるじゃない。
 本当に意気地無しの男ね。
 でも、明日からが楽しみだわ。
 お仕置と言う口実で、この男を私の奴隷に仕込んでやる。
 そして、……フフフ、私と清治さんとのセックスの慰みものとして使ってやるわ。
               …………………………
 小夜子は、こゝで、足元で懸命に自分の足裏に舌を這わせている健作に目を移した。
 時間を掛けて仕込まれたとは言え、犬そっくりの浅ましい姿である。
「……もう、いゝわ」
 小夜子は、言葉と同時に、足で男の顔を蹴る。
 後ろへのけ反って、無様に転がる健作だった。
 立上って、バスルームから戻って来た小夜子は、手に持った汚れものを健作に突き付ける。
 小夜子の花柄のパンティーと、夫のブリーフの汚れた部分が、彼女の手で健作の口に押し込
まれた。
「何時もの様に、お前の口の中で奇麗に洗濯しなさい。……二人のおしもの味を、ミックスで
味わうのよ。……フフフッ、ソラ、顔を上げて!」
 健作の額の中央に、ペッと彼女の唾が飛ぶ。
 小夜子の蔑みの視線を受けて、顔を歪めながら、口をモグモグ動かす健作。
 その目が、口惜し涙と額から垂れて来た女の唾液で、ボーッと曇った。
 健作は、口中に押し込まれた二人の下穿きを、唾で湿し、歯で軽く噛んで汚れを絞り出す。
 その音が、クチャックチャッとあたりに響くのを聞きながら、小夜子は、再び視線を健作の
日記に戻した。
               …………………………
◇月○日
 俺は、どうやら小夜子さんに、すっかり洗脳されてしまったらしい。
 パンティー泥棒の汚名を着せられ、彼女のお仕置≠受ける様になって、もう一ケ月が過
ぎた。
 以前なら、とても考えられない様な辱めを連日受けながら、気が狂うことも無く、こうして
冷静に日記を付けている自分が、情けなく、不思議にさえ思える。
 明日からは夏休みに入るので、これまでの様に彼女のアパートに通うのを止めて、ひとり暮
しの彼女の許に、住み込みの態勢をとる様に言われた。
 聞けば、小夜子さんは、立花清治と婚約したとかで、半年後に式を挙げるまで、近々彼女の
アパートで同棲を始めるらしい。
 それにしても、二人のセックス好きには驚いた。
 週に二回、午後の講義が休みの時に、真っ昼間から、彼女のアパートで延々とセックスに耽
るのだ。
 それに終始付き合される俺はたまったものじゃない。
 それも俺自身の満足は一切封じられた、みじめ極まる奴隷としてだから、情けない限りだ。
 これも、彼女の言うお仕置≠フひとつとして強制されるのだから、反抗は出来ない。
 二人の結合部を舌で舐め続けるのも辛いが、終った後を舌で清める作業は、もっとおぞまし
い。
 あの、生臭いネバネバした咽喉に泌みるジュースを、二人の股間から直かに吸わされ時の気
持は、何とも言えずみじめなものだ。
 それも、時間を掛けて、最低三回は繰返される。
 その間、小夜子さんは、俺を片時も休ませてはくれない。……絶えず俺の顔を股間に敷いて
舌奉仕を続ける様に強いるのだ。
 終った後は、舌の付根が痺れ唇が腫れ上がってしまっている。
 小夜子さんの奴隷にされた悲哀を、つくづくと感じると共に、何でも彼女の言いなりになる
自分に腹が立ってならない。
               …………………………
◇月○日
 明日から夏休み。
 どうやら私の計画は、九分通り成功したようね。
 私の願った通り、とうとう健作は私達二人のセックス奴隷に成り下ったわ。
 あとは、もう一息! あの男の人間性を剥奪して、身も心も家畜にしてやる。
 私って、生れつき残酷なのかしら?
 そう言えば昔から、私、弱い者を見ると徹底的にいじめたくなる性分だった。
 明日からは、あの意気地無しをこのアパートで飼ってやる。
 そして、四六時中、辱め抜いてやるわ。
 人間って、極限まで嬲られると、気力を無くして腑抜け同然になるそうだけど、健作もそう
してみせる。
 だって、あいつは素質充分だもの。
 清治さんとのセックスの合間に、トイレに行って、わざと拭かずに戻り、健作の顔に跨がっ
てやったら、あいつ、ペロペロ舐めるじゃない。
 生まれついての奴隷だわ。
 でも、時々口惜しがって涙を流すところは、未だ可愛げがあるわね。
 嬲って嬲って、口惜しがらせて、また嬲る。
 何だか、私、ゾクゾクしてきたわ。
               …………………………
 小夜子の足元で続いていた、クチャックチャッという音が何時の間にか止んでいた。
「終ったの?……終ったら、ちゃんと報告しなきゃ駄目じゃないの。……こいつったら!」
 小夜子は、邪険に健作の額を蹴る。
 再び仰向けに転がった健作は、懸命に起き上ると、口に含んだまゝの夫婦の下穿きを小夜子
に差し出す。
 と言っても、手を使うことは許されてないので、四つ這いのまゝ、顔ごと小夜子の方へ突き
出すのである。
 丁度、犬が、くわえて来た品物を主人に差し出す格好にそっくりだった。
 その時、突然、表のチャイムが鳴る。
 軽やかな足取りで、玄関に向かった小夜子は、間もなく、華やいだ話声と共に、三人の近所
の夫人連を伴って戻って来た。
 何れも、健作にも顔馴染みの、未だ子供の無い若い主婦達である。
 主人を送り出して、家の片付けが済むと、彼女等は、市場に買物に行くまでの時間を持てあ
ます毎日だった。
 勢い、どこかの家に集まって、お喋りに花を咲かせることが多い。
 小夜子の家にも、これまで何度か訪問したことのある連中だった。
 先日は、お茶を運んで来た健作を、小夜子は、この家で飼っている自分の奴隷≠ニ言って
紹介した。
 夫人連の好奇の視線を浴びて、その時は早々に引っ込んだ健作だったが、今日は不意をつか
れて、すでに逃げ場を失ってしまっている。
 しかも、股間に鎖を付けられ、下穿きを口に入れた無様な格好だった。
 恥ずかしさに顔を赤らめて、床にうずくまる健作を囲んで、ドヤドヤと、周りのソファーに
勢いよく腰を下した女達は、集団で鼠をいたぶる猫に似ていた。
 皿に盛ったチョコレートを摘んで談笑しながら、誰かが、彼の股間の鎖を引く。
 ウーッと呻いて、引かれた方へ、四つ這いでよろめく健作の姿に、ドーッと笑いが弾けた。
 小夜子が、笑いながら、彼の口中の下穿きをズルズルと引き出す。
 唾で濡れたその部分を、拡げて点検する彼女に、皆の視線が集まった。
「アラッ、それ、パンティーじゃないの。……それに、ブリーフも!……判った!……お股の
汚れを奴隷に清めさせていたって訳ね」
「流石、忠実な奴隷ね。……御主人達のものなら、汚れも気にならないってところね」
「私、違うと思うな。……奴隷は、命令に逆らえないものよ。……どおお、小夜子さんに強制
されて、いやいや口にしてるんでしょう?」
 三人は、口々に意見を述べる。
「その通りよ。……奴隷は、私の命令に絶対服従。……だから、これも、嫌がるのを無理矢理
に舐めさせたのよ」
 小夜子は、おもむろに肯定した。
「マー、可哀そう。……でも、小夜子さんの命令なら、何でもきくってとこが興味あるわ。…
…ネ、ネエ、貴女が言えば、この奴隷、私達のパンティーだって舐めるかしら?」
「勿論よ。……何だったら、証明させるわ。……コレ、ケン、お前、奥様方にお願いなさい。
……パンティーを清めさせて下さいってね。フフフ」
 人前で生恥を曝すとは、このことだろうか。
 女達の前の床に手を付いて、恥ずかしい願いをさせられる健作の顔は、屈辱で真っ赤に色付
いていた。
「ホラ、上げるわよ。……その代り、私達の目の前で舐めなさい!」
 ひとりが、腰を上げてパンティーをずらし、足首から抜くと、ポンと彼の前の床に放る。
 あとの二人もそれに倣った。
「始めに臭いを嗅ぎなさい。……ちゃんと嗅ぎ分けられる様に、臭いを比較して覚えるのよ」
 小夜子の命令が続く。
 健作は、床に落ちた三つのパンティーに交互に鼻を寄せ、クンクンと臭いを嗅ぐ。
「ヤダー、まるで犬そっくりじゃない!」
「こんな情けない男も、この世に居るのね」
 周りから、女達の軽蔑の言葉が浴びせられる。
 やがて、クチャクチャと音を立てゝ、彼の口中でパンティーの、汚れた股間の部分の清めが
始まる。
 少し時間を置いては、口中に溜った汚れた唾をゴクリと飲み下した。
「アラ、きたない。……本当に、舐めるだけじゃなくって、味までみるのね。この犬は!」
 一同は、流石に呆れて健作の顔を見下ろした。
「人間、一旦、奴隷に落されて、毎日辱め抜かれると、こうなるのよ。……身も心もすっかり
卑しくなって……そう、もう二度と元へは戻れないわ」
 小夜子は、健作に言い聞かせる様に呟く。
「そうだ、みんな、ついでにこゝで奴隷の挨拶を受けてみない?……フフフ……こら、ケン、
奥様方にお前の得意の御挨拶をなさい。……どうしたの? 何時も私にしてる様にやればいゝ
のよ。クックックッ」
 小夜子に言われて、顔を真っ赤にした健作は、身体を震わせながら、女達の足元ににじり寄
った。
「ど、奴隷の御挨拶をさせて下さい。……そのぉ、皆様の、あのぉ、アヌスにキスを……お、
お願いします」
 彼の声は、屈辱でわなないている。
「キャーッ、こいつ、これでも正気?」
「ホント、奴隷って、人間じゃないみたい!」
 流石に尻ごみする女達。
「いゝわ。……見本を見せて上げる」
 小夜子は、ソファーの上へ足を持ち上げ、両足を折って立て膝をした。
 たくし上ったスカートの裾から、ノーパンティーの股間がこぼれ、天然の繊維の下にピンク
に色づいたアヌスが顔を覗かせる。
「ホラ、何時もの様に、奴隷のキスをしなさい!」
 健作の表情が恥ずかしさと、無念さで歪んだ。
 四つ這いの膝を引きずる様にしてソファーへ近付き、小夜子の太股の間に顔を差し入れる。
 ペチャッペチャッと舌の音に続いて、チューッと唇がアヌスに吸い付く淫靡な音が響いた。
「フーッ、全く、良く仕込だものね」
 幾分、ねたましい気持さえ混った声が、周囲の女達から掛かる。
 この光景を見て、皆の気持がふっ切れたとみえ、女達は、次々と嬌声を上げながら、健作の
奴隷の挨拶≠受けた。
 中には、近付いて来る健作の髪を鷲掴みにして、自分の股間に彼の顔を押し付ける者まで居
る。
「ネ、ネエ、この奴隷の舌で楽しんじゃいけない?」
 誰からともなく、健作の舌でオナニーの快楽をむさぼる提案が出て、一同は寝室へ移った。
 ひとり残った小夜子は、所在無さをまぎらすかの様に、ソファーの上に寝そべって、チョコ
レートを摘みながら再び読み掛けの日記を拡げる。
               …………………………
◎月X日
 転落の淵の深さが、これ程深いものとは、今まで想像もしなかった。
 もう、俺は駄目だ!
 人間としての誇りを奪われて、小夜子さんのアパートで、家畜の様に飼われる様になってか
ら、二ケ月が経つ。
 近く小夜子さんと結婚する立花清治は、頻繁にこのアパートを訪れ、俺は二人のセックス奴
隷として、その度に、たっぷり凌辱されている。
 最初は、いざとなったら、何時でも逃げ出せると甘く考えていたが、小夜子さんも抜目がな
い。
 彼女の手で、俺の股間の一物には鍵付のリングが嵌められ、おまけに彼女が留守の時には、
必ず手錠を掛けられる始末だ。
 これじゃ、自由を奪われた囚人、と言うより文字通り家畜としての扱いである。
 しかも、俺の股間のリングには鎖が付いていて、それをグイと引かれると、急所の痛みで気
が遠くなる。
 どんな屈辱的な命令にでも、従わざるを得ない立場になってしまったのだ。
 小夜子さんが立花清治と結婚したら、郊外の庭付の家に移るそうだが、俺もそこで飼われる
らしい。
 ところで、今日、俺は、小夜子さんから、あらためて人間性剥奪の宣言を受けた。
 何のことか判らず、キョトンとしている俺に、小夜子さんは笑いながら解説してくれた。
 要するに、人間だったら、とても出来ない様な事を毎日させられて、人間としての誇りや意
識を剥奪されるのだそうだ。
 それでもはっきり理解出来ずに、とまどっている俺を突然組敷いた小夜子さんは、俺の顔に
跨がって、口を開けろと命令した。
 てっきり、何時もの舌奉仕だと思っていた俺は、彼女が俺に小水を飲ませると宣言した時に
は、心臓が飛び出す程びっくりした。
 口を固く閉して抵抗する俺の股間に、その時、焼ける様な痛みが走った。
 小夜子さんが、例の鎖を引いたのだ。
 結局、俺は口惜し涙を流しながら、生れて始めて女の小水を飲まされたのだった。
 その苦みを帯びた塩辛い味が、俺がもう人間失格の身だと言うことを、具体的に教えてくれ
たのである。
 小夜子さんは、夕方アパートに来た立花清治の前で、もう一度、俺にその屈辱を強いた。
 そして、このおぞましい経験を、脳裏に刻むと同時に日記にしるす様、命令したのだった。
 転落の日記……そう、これは、俺の、人間から家畜への転落の日々をしるした屈辱の記録な
のだ。
               …………………………
 それから暫くして、満たされた表情の近所の婦人連と小夜子が買物に外出した後、昼下りの
茶の間では、今まで散々女達に嬲られた健作が、手錠を嵌められたまゝ、絨緞の上で暫しの休
息をとっていた。
 腹這いになってうずくまるその姿は、まるで犬そっくりで、股間から伸びた鎖が机の足に固
定されている。
 その時、目の前の絨緞の上に転がったチョコレートを見付けた健作は、首を伸ばすと、覆い
被さる様にしてそれを口に入れた。
 もう随分長いこと、彼は残飯以外は口に入れたことが無い。
 それも、小夜子や清治の唾がたっぷり掛かったものを食べさせられるのである。
 家畜として飼われる日々に慣れた我身を振り返って、感慨にふける健作の目に、涙が浮かん
だ。
 その時、裏のドアが開き、買物篭を手にした小夜子が姿を見せる。
 コートを脱いで、茶の間の健作に近付いた小夜子は、彼の手錠を外し、股間の鎖を手にする
と、ソファーに腰を下ろした。
「一寸、ケン、こちらを向いて御覧!……なに? その口の回りに付いているのは?」
 小夜子は、目敏く健作の口の縁に付いたチョコレートに気付くと、厳しい口調で咎めた。
「そう。お前、人間並にチョコレートを食べたのね。……うんときつい罰を受けるのは覚悟し
てるでしょうね」
 小夜子に睨まれた健作の身体が、細かく震えている。
「でも、その前に、トイレの御用よ。……ソラ、仰向けにおなり!」
 健作の顔に跨がった小夜子は、男の口にクレバスを押し付けると、股の筋肉を弛緩させる。
 健作の咽喉が上下に揺れ、可成の量の小水が彼の胃の腑へ送り込まれた。
「さ、いゝわ。……エート、お前、私のお水を飲むのはこれで何回目?」
 健作の舌での後始末を受けた後、彼の胸の上に腰を下ろした小夜子は、彼の顔を見下ろしな
がら質問する。
「あ、あの、これで、千七百二十回になります」
「フーン、随分長いこと私のトイレにされてるのね。……実はね、二千回記念にと思ってたん
だけど、今日の不始末の罰に、あのことを繰り上げることにするわ」
 不審げな表情の健作を見下ろしながら、小夜子はニッと笑う。
「さっきのチョコーレートは人間の食物。……家畜のお前には、その身分にふさわしいチョコ
レートを上げるわ……ホラ、口を開けて!……フフフ、よく味わうのよ」
 小夜子は、腰を前にずらして、健作の顔面に尻を移すと、ぐっと重みを掛けながら、ウッと
いきむ。
 健作の口中に、小夜子のアヌスから、ネットリした彼女のチョコレートが落下した。
 アアーッと声にならない呻きを上げて、小夜子の尻の下で身もだえしてもがく健作。
 しかし、女の尻は微動だにせず、彼の舌に絡む生暖かい汚物は次第にその量を増した。
 ゴクリと健作の咽喉が動くと共に、最初の汚物が唾と一緒に飲み込まれて行く。
 そして、同時に、小夜子の豊満な尻の下で、健作の頬にドッと口惜し涙が溢れ、全身におこ
りに似た震えが、繰返し繰返し走るのだった。
(完)
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1990年5月スピリッツ5,6月号
(スレイブ通信40号に再掲載)
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2010/08/18