#35転落したダンス教師(奈落へのタンゴ)
阿部譲二
大学のダンス部員だった男が就職後、ダンスレッスン場の夜間教師の役を引き受ける。彼はそこで経営者の二人の娘と親密になり、姉娘と結婚の約束をする。ところが会社の専務から娘を嫁にと言われ出世のため承諾する。姉娘は別れ話を了承する条件として妹と二人で彼を一週間嬲り者にする。二十年後、妻を亡くし失職した男は再び二人娘の奴隷にされる。 |
街の黄ばんだ並木の葉をうすら寒い北風が
次々にむしり取って行く。
先日迄の抜けるような秋空がうその様に、
どんよりと曇った晩秋の日だった。
コートの襟をかき合わせながら、足早に雑
踏の中を縫って行く水谷宗一郎の胸の中も、
寒々と冷え切っている。
それは無理もなかった。……何しろ二十年
も勤めた会社が突然倒産して、彼は四十半ば
にして失業の浮目に会ったのである。
子供も無く、数年前に妻に先立たれて以来
ずっと独り暮しで、家族の重荷が無いのが、
せめてもの救いだった。
この歳になると、おいそれと雇ってくれる
所も無く、頼みの失業保険もそろそろ切れる
時期である。
それに、何しろ昨年の株の暴落で、貯金を
全て失ってしまったのが、この際、致命的な
痛手となっていた。
今日は遂に思い切って、昔出入りしていた
ダンスレッスン場に足を向けている。
彼も、嘗っては大学の社交ダンス部員で、
何度か対抗競技にも出場した腕前……いや、
足前だったのである。
実は、彼は大学を出て就職した後も、その
ダンスレッスン場とは縁が切れず、殆ど毎日
の様に通い詰めていた時期があった。
洋楽器店の二階に、当時としては珍らしい
チーク材の広いダンスフロアーが設けられ、
初心者は勿論、可成りレベルの高いレッスン
を受けることも出来る。
と言うのも、楽器店の持主であるこゝの経
営者が、英国で社交ダンスの修行をした経歴
のある人で、プロダンサーの協会の理事も務
めていた。
専属の男女ダンス教師も十人を越えたが、
何と言っても人気の的は、経営者の娘である
麗子・澄子の美人姉妹である。
二人共まだ高校生だったが、父親の許しを
得て、晩だけフロアーに現れ、初めの内は、
レコードの係りを務めたり、皆にお茶を配る
などしていた。
その内、二人が客のレッスンを受け持つ様
になると、パッと噂が広まって、可成り遠く
から通う客も出てきた程である。
二人共、揃って大柄なグラマーだったが、
姉の麗子が混血かと思わせる程エキゾチック
な顔立なのに、妹の澄子は瞳の大きい日本的
な美少女だった。
引き締ったウエストと量感のあるヒップ、
それに、スラリと伸びた形の良い足は二人に
共通してをり、プリーツのスカートを揺らせ
ながら踊る姿には、若さが満ち溢れている。
御多分に洩れず、二人の娘の魅力に引かれ
ていた水谷宗一郎は、店の手が足りないから
教師としてパートで来てくれないかとの経営
者の依頼を、それこそ二つ返事で引き受けた
のだった。
ここのダンスレッスン場では、客の男女を
問わず、ステップ自体を教えるのは主に男の
教師で、女性教師はただ男のリードについて
正確に踊るのが仕事である。
従って、女の教師は男客のどんなステップ
にもついて行けることを要求されるし、熟達
した女教師には、勢い可成りレベルの高い男
客がつくことになり勝ちだった。
踊っている女の身体が、男にとってまるで
空気の様に軽く感じられる様に、男のリード
を素早く読み取って身体を動かす……それが
出来る様になるには、可成りの年季と不断の
練習が必要である。
その為、女性教師は客のない時には、男の
教師を掴まえて、高度なステップを身体で覚
え込もうとする。
その結果、学生時代にコンペティション・
ダンスで鍛えた水谷宗一郎は、麗子・澄子の
姉妹とふんだんに踊る機会を持てた。
比較的背の低い水谷にとって、男性のスタ
イルで踊りが栄えるワルツやスローフォック
ストロットより、ダイナミックなアクセント
と切れ味が要求されるタンゴが得手だった。
元々女性と太股をピッタリ密着させて踊る
タンゴは、官能的な踊りとして定評がある。
そして、この踊りに限り、女性は軽いだけ
では駄目で、或程度体重を男性に預けながら
踊る必要があった。
若いしなやかな麗子と澄子の肉体を、太股
で味わいながら、複雑なアマルガメーション
つまり組合せステップを、切れの良い動きで
次々とこなして行く彼の踊りは、見た目にも
誠に華麗だった。
こうして二年余が経った頃、突然、二人の
父であるホールの経営者から、水谷宗一郎に
丁度二十一の誕生日を迎えたばかりの麗子を
嫁に貰ってくれないかとの話が持ち込まれた
のである。
かねてから、麗子の美貌に魅せられていた
水谷に異論は無く、二人は公認の婚約者とし
て、ホールの外でもしばしば会う瀬を楽しむ
仲となった。
その頃、水谷の勤め先の会社では、好景気
に恵まれたこともあって業績が大幅に伸び、
人を増やすと同時に、徹底した組織の再編成
が行なわれた。
そして、彼も、早々と係長に昇進するチャ
ンスを掴んだのである。
すべてが順調で、水谷にとって世の中がバ
ラ色に見えたのも無理なかった。
しかし、波乱は、突然思い掛けない所から
やってくるものである。
或る日、珍しく担当部門の専務に呼ばれて
その執務室に赴いた彼は、専務にいきなり、
娘を貰ってくれないかと切り出されて、思わ
ず耳を疑ぐった。
会社の広告を流しているテレビ局の美人コ
ンテストで優勝したこともある、社内でも評
判の令嬢だったのである。
しかも、次期社長を噂されている切れ者の
専務の娘である。
実は私には婚約者が≠ニ咽喉まで出かゝ
った言葉を辛うじて飲み込んで、暫く考え
させて下さい≠ニ答えるのが精一杯だった。
それから一週間、迷いに迷ったが、彼は、
到々自分の名誉欲と野心を抑えることが出来
なかった。つまり、麗子を捨てゝ専務の申し
出を受ける決心をしたのである。
彼は、その頃、たまたまテレビの番組で、
日の当る場所≠ニ題する昔の名画を見る機
会があった。
モンゴメリ・クリフト扮する青年が、美し
いエリザベス・テーラーの社長令嬢と、貧し
い恋人との間で煩悶し、遂に恋人を殺した嫌
疑で死刑になると言う筋である。
スケールこそ違え、将に水谷宗一郎のシチ
ュエーションとそっくりである。
しかし、恋人を抹殺することなど思いも寄
らぬ小心な彼は、麗子の前で一切を告白し、
許しを乞うことにした。
身の縮む思いで、その話を切り出した水谷
の前で、余りのショックに目に一杯涙を溜め
た麗子は、これも私にも考えさせて≠ニ、
回答を保留した。
数日後、ダンスフロアーと同じ建物の上の
階にあるアパートに呼ばれた彼は、彼女の部
屋で麗子・澄子の姉妹と向かい合っていた。
父親は、所用で暫く旅行中とのことだった
が、妹の澄子がピッタリと傍に付き添ってい
るのが彼の予想外である。
明らかに思いあぐねた麗子が、澄子に相談
を持ち掛けたに相違なかった。
「私ね。宗一郎さんのお話を聞いて、最初は
たまらなく悲しかったわ」
麗子が、しんみりした調子で切り出した。
「でもね、段々腹が立って来たの。……そう
でしょう? あんまり勝手なんですもの。…
…自分が幸福になる為に他人を不幸にする、
そんなことが許されていゝのかしら?」
「……………」
たまり兼ねた様に、澄子が割って入る。
「私も、お姉さんと同じ意見よ。……私、お
姉さんに言ったの。そんな利己主義の塊りみ
たいな男に未練を残しなさんなってね。……
でも、お姉さんは、未だ貴方のことが思い切
れないんですって」
澄子は、一旦言葉を切って、ジィっと彼の
顔を眺め、言葉を続けた。
「そこで私に名案があるの。……私が、お姉
さんの前で貴方を思い切り辱しめるの。そし
て、貴方はお姉さんに愛想を尽かされるって
わけ。……どおお?」
「は、辱しめるって……い、一体……どんな
……?」
澄子の突拍子もない提案に、完全に度胆を
抜かれた水谷は、しどろもどろの口調で聞き
返した。
「それは未だ考えてないわ。……でも、お姉
さんに愛想を尽かされる程、みじめな目に合
わせて上げる。……それも今日だけじゃなく
って明日も、明後日もよ。……そう、旅行中
のお父さんが帰って来るまで、あと一週間あ
るの。その間、このアパートで、私が思う存
分嬲って上げるわ」
興奮気味の澄子の大きな目は、キラキラと
輝やき、上気した頬にボウっと赤味が射して
いる。それは、傍目にも思わずハッとする程
美しかった。
「も、もし……僕が、それを断わったら?」
彼女の剣幕に圧倒された水谷は、弱々しい
声で呟いた。
「勿論、貴方の会社の専務さんの所へ、恐れ
ながらと訴え出て、話を毀してしまうわ。…
…その時になって、又、もとの鞘に収まろう
としたって駄目よ。お姉さんも私も、裏切者
は決して許しませんからね」
「じ、じゃあ、もし僕が……君の言う通りに
したら?」
「その時は、専務さんの娘との結婚は許して
上げるわ。……でもね、お姉さんの愛想付か
しと、お仕置とを兼ねて、ウーンと卑しめる
から、その積りでね。……そう、貴方に、こ
んな目に合わされるなら、いっそ死んだ方が
ましだって思わせてみせるわ!」
それは、どう考えても、水谷宗一郎にとっ
て、誠に辛い選択だった。
一週間……そう、たった一週間、死んだ気
になって我慢すれば良いんだ。……その後に
は夢の様な生活が待っている!
うなだれたまゝ心の中で呟いた彼は、意を
決して顔を上げた。
「じゃあ君の言う通りになるよ。……でも、
頼むから、乱暴したり、身体に傷をつけない
でくれないか?」
「アラッ、貴方、今から私達に注文をつける
気なの?……フフフ、でも、許してあげる。
……身体を傷付けない代りに、心の中をズタ
ズタに傷付けてやるわ」
澄子は、自分の言葉の反応を窺う様に、ジ
ッと男の顔を見詰めた。
心なしか、水谷の顔がスーッと青ざめる。
「じゃあ、今から始めるわ。……水谷さん、
この場で早速、裸になって頂戴」
「な、なんだって……いまからなんて、そ、
そりゃ、無茶だ!」
動転した水谷の抗議に取り合う気配も見せ
ず、澄子は冷たく顎をしゃくる。
隣りでは、麗子が黙ったまゝ醒めた顔で、
一部始終を眺めていた。
ろくに心の準備も出来ぬ間に、たゝみ込む
様な澄子の言葉である。
水谷は、気恥ずかしさを抑えながら、しぶ
しぶ衣服を脱ぎ、ブリーフひとつになった。
「それも、取るのよ。……男のストリップを
見せて御覧!」
二人の女の冷たい視線の中で、流石に彼の
手が震える。
ブリーフを取って全裸のまゝ、立ち竦む男
の身体に、女達の好奇の目が注がれた。
「もっと近くへおいで」
澄子は、水谷を招き寄せ、ソファーに座っ
たまゝ足を伸ばして、スリッパの爪先で、彼
の股間のものをまさぐる。
「おうおう、こんなに萎んじゃって……アラ
アラ、こうすると、少し宛大きくなってくる
わ。……マア、おかしい! クックックッ」
澄子のスリッパの先が、執拗に男の一物を
もてあそぶ内に、それは水谷の意志に反して
ムクムクと勃起しばじめる。
分れることにしたとは言え、仮にも婚約者
の目前で、その妹に足で股間をまさぐられる
屈辱に、水谷は思わず目が眩んだ。
夢中で、澄子の足を払い退け、股間を抑え
て、その場にうずくまる。
「アラッ、それじゃ約束違反よ。……でも、
無理ないわね。生まれて初めて、男の身で女
に嬲られるんですもんね。……いゝわ、もっ
と諦め易くしてあげるわ」
澄子は、立上がると、戸棚から荷造り用の
細紐を取り出し、彼の背後から声を掛けた。
「手を後ろに回しなさい。……いやでも、私
達の自由になる様に、手足を縛って上げる」
オズオズと背中に回された水谷の手首が、
澄子の手でしっかりと束縛され、続いて彼の
両足首が、〓の柄を使って、股を開いた形で
固定された。
「澄ちゃん、あんた、一体そんなことどこで
覚えたの?」
澄子の手際の良さに、呆れ顔の麗子が口を
挟む。
「こんなの常識よ。ホラ、本屋のSM雑誌を
見れば、幾らでもあるわ。……もっとも、殆
どの場合は、女が縛られている写真だけど、
この頃は、女上位で逆に男が征服されてるも
のだって結構あるわ」
澄子は更に、少し太めの紐を輪にして男の
頚に掛け、その端を手に握る。
「明日にでも、ちゃんとした犬の首輪を買っ
て来て嵌めてあげるけど、今日の所は、これ
で代用するわ」
彼女の手が、その紐の端をぐっと引くと、
床にへたり込んだまゝの水谷の身体は、バラ
ンスを失って、ぐらっと前に傾き、後ろ手に
縛られた両手首と裸の尻を上へ突出す様にし
て、澄子の足の前の床に倒れ込んだ。
辛うじて額を床に突いて身体を支えたもの
の、無様な格好を強制されて、口惜しさに、
カーッと顔が火照る。
ソファーに身を沈めて、高々と組んだ足の
先から、スリッパが振り落され、次の瞬間、
澄子の素足が男の顔の下に差し込まれた。
そのまゝ、足の甲でグイとこじる様に水谷
の顔を持上げると、今度は足裏をピッタリ彼
の顔面に押し当てたまゝ、命令する。
「さあ、私の足の裏をお舐め。……くすぐっ
たくない様に、舌に力を入れてしっかりと舐
めるんだよ。そして、汚れを清めるの。……
いいわね!」
催促する様に首の紐が引かれ、無念さに震
えながら、水谷は舌を澄子の薄汚れた足裏に
這わせる。
ピリッと刺す様な苦味が舌に拡がり、込み
上げる不潔感が舌の動きを鈍らせた。
それを察したかの様に、澄子の足の踵が、
彼の唇を押し開く様にして、ぐっと男の口中
にめり込む。
ピンと張られた首の紐で、顔を反らすこと
もかなわず、彼は澄子の踵を頬張った形で、
思わず呻き声を上げた。
クックックッと女の満足そうな含み笑いが
水谷の耳に響いて屈辱感を増幅する。
たっぷり足裏の汚れを味わせた後、澄子は
足を代えて、もう一度同じプロセスを繰り返
した。
「どう、堪能した? でも、まだ続きがある
のよ。……さあ、今度は姉さんの前に這いつ
くばって、足裏を舐めさせて下さいって、お
願いしなさい」
それは、再び水谷に屈辱の行為を強いるも
のだった。しかも、今度は自ら麗子に辱めを
乞わされるのである。
足元にひれ伏して、きれぎれの声で足舐め
を願う男の背を、麗子は複雑な気持で見下ろ
していた。
強制されているとは言え、これが自分の婚
約者の姿かと思うと、情けなさより腹立たし
さが先に立った。
水谷の横腹に足を掛けてぐいと蹴ると、そ
の身体は簡単に横転し、仰向けになる。
ソファーに座ったまゝ、その顔の上に両足
を載せると、男の舌がまるで蛞蝓の様に足裏
を這った。思わず、ぐっと力をこめて男の顔
を踏みにじる。
ムーッと男のくぐもった声が洩れ、自分を
裏切った男に対する復讐の快感に似たフィー
リングが、麗子の心をかすめた。
麗子の足を舐め終って、ホッとしたのもつ
かの間である。
風呂場から汚れ物入れの篭を持って来た澄
子は、ニヤニヤ笑いながら、その中から特に
汚れのひどいパンティーを二枚取り出した。
「これがお姉さん、そして、これが私のパン
ティーよ。生理の前だから特に汚れがひどい
わ。……さあ、これからお前の口は洗濯機に
なって、このパンティーを清めるのよ。洗剤
はお前の唾、そして汚れはお前の舌で吸い出
されて、全部胃の中へ吸収されるってわけ。
……でもね、匂いと味を覚えることを忘れち
ゃ駄目よ。私達二人の違いが判る様になるま
で毎日やらせるからね。いゝわね!」
最初に澄子のパンティーが、これみよがし
に水谷の目の前で裏返される。
股間の当る部分がベットリと黄褐色に染ま
り、プンと異臭が漂った。
「口を開けて!……ナーニ、その恨めしそう
な目は。ウフフ、男の身で女のおしもの汚れ
を味わされるなんて、みじめの極みね」
澄子は、口を閉じたまゝ身を震わせる彼の
鼻を摘む。そして、たまらず開けた口の中へ
その汚れた部分を押し込んだ。
暫くして、諦めた水谷の口から、ペチャペ
チャと布地を舐めしゃぶる音が洩れる。
「ホーラ、舐めた。お姉さん、舐めたわ!」
澄子は、手を叩かんばかりである。
「アラー、あんな汚いもの舐めるなんて、こ
の人、どこかおかしいんじゃない?」
麗子も流石に呆れ顔だった。
「いけない! 匂いを嗅がすのを、すっかり
忘れてたわ」
澄子は傍らの麗子のパンティーを取り上げ
ると、それを水谷の頭から被せ、汚れた股間
の部分が丁度男の鼻を覆う様に調節する。
「これでいゝわ。……間違えちゃ駄目よ。匂
いはお姉さん、味は私のだからね。……でも
この格好、傑作ね。写真に撮って残しておき
ましょうよ」
パッとフラッシュが閃き、頭に被った麗子
のパンティーの足の部分から、辛うじて目を
覗かせている水谷の情けない姿が浮き上る。
汚れが、或程度落ちたところで、今度は麗
子のパンティーが口に押し込まれた。
「今度は、私の匂いを嗅がせなくっちゃね。
……そうだわ、特別に、じかに嗅がせて上げ
る!」
澄子は、麗子のパンティーを口に含んで、
しきりに両頬を動かしている男の肩を蹴り、
仰向けに転がすと、素早くその顔面に跨がっ
た。
忽ち、布地を通して、強烈な女の性臭が彼
の鼻を襲う。
「お前には、お尻の臭いがお似合ね」
澄子は尻をずらすと、アヌスの部分を男の
鼻孔に当てる。
男の暖かい鼻息が彼女の尻をくすぐり、そ
の刺激で括約筋が緩んだとみえ、やがてプス
ッと音がして、ガスがまともに水谷の鼻孔に
注入された。
脳髄が痺れる様な強烈な異臭に、彼は目に
火花が散り、思わず全身を震わせて呻く。
続いて一発、そしてまた一発と堰を切った
様にガスの注入が続き、その度に哀れにも、
彼は全身をピクッ、ピクッと硬直させる反応
を見せた。
「呆れたわぁ。……女におならをまともに嗅
がされる男なんて、初めて見たわ!」
麗子が、感に耐えた様に呟く。その口調に
は、強い軽蔑の響きが込められていた。
やがて尻を浮かした澄子は、彼の顔を跨い
だまゝその口から麗子のパンティーを引き出
して、しげしげと点検する。
「未だ完全とはいかないけど、赦して上げる
わ。……その代り、おならの後を舌で清めて
頂戴」
水谷の混乱した頭が、その意味を計り兼ね
ている間に、澄子はパンティーをずらして、
その尻丘を露出させ、再び腰を下して彼の顔
面に迫る。
そして、放屁でじっとり湿ったアヌスが、
男の唇を何度もにじる様に蹂躙した。
「ネ、ちょっと、澄ちゃん。この男、本当に
そこを舐めてるの?」
麗子が、質問しながら近付き、横手から覗
き込む。そして、水谷の唇と舌が、澄子の薄
茶色の括約筋に吸い付くさまを観察した。
「ヘエー、驚いたわ。まるで蛸みたい。……
ネ、ネエ、一体どんな感じ? この男、私の
も舐めるかしら?」
麗子も好奇心を刺激されたとみえる。
「勿論よ。もともと、この男はお姉さんの手
で……じゃなくて、お尻でお仕置されるのが
本筋だわ。……サー、交替しましょう」
澄子に代って、麗子が水谷の顔の上を跨ぐ
と、水谷は懸命に首を捩って、何とか麗子の
尻を避けようたした。
水谷にしてみれば、麗子の目の前で妹の澄
子に嬲られるのですら、この上ない屈辱であ
るのに、まして、当の婚約者である麗子から
直接辱められる刺激には、到底、耐えられな
かったのである。
しかし、そんな水谷の屈折した心理は麗子
に通ずる筈がない。
「アラッ、澄子のなら舐めるのに、私のはい
やなの? そんなのは許せないわ!」
意地になった麗子は、彼の頭を両足で挟む
様にして顔を上向きに固定し、わざとゆっく
り尻を下ろした。
澄子より幾分ボリュームの多いポッテリし
た白いヒップが、太股のあたりにずらされた
パンティーからこぼれ、その割目から茶褐色
の蕾が覗いている。
流石に観念した彼の目尻から、無念の涙が
ツーっと頬に走った。
プンと異臭を放つ蕾が、チョンチョンと彼
の鼻をからかう様にこづき、震える唇に当て
がわれ、催促がましくグラインドする。
捨てばちな気持で水谷は、澄子より汚れが
ひどく、澱の様なものまで付着している麗子
の括約筋を、ひたすら舐め吸った。
これが、婚約解消を求めた男に対する女の
仕置なのか……その苦い味は、水谷の心に消
え去ることのない傷痕を刻んでいく。
「本当! くすぐったいかと思ったけど良い
気持だわ。……これなら、毎日トイレの後始
末をさせてもいゝわね」
自分の尻の下で、男の身体が驚きに震える
のを感じ取って、麗子はニンマリした。
その日の夕方、散々嬲り抜かれた水谷は、
依然縛られたまゝ、夕食のテーブルに付いて
いる二人の足元に、犬の様に繋がれている。
食べるものはおろか、飲物さえ与えられて
いない彼の咽喉は、カラカラに乾いていた。
「さあ、この食べ残しをこいつにやればいゝ
わ。……澄ちゃん、その辺に何か入れ物ない
かしら?」
麗子に言われて立上った澄子は、やがて物
置から白い琺瑯びきの容器を持ってきた。
「これ、どうかしら?」
「アラ、それ、おまるじゃないの。……でも
こいつにはお似合かもね」
二人の残飯が、そこに放り込まれる。
「お茶漬けにしてやりましょうか?」
「そうね、……もっといゝことがあるわ」
二人の女は、何やら小声で耳打ちし合った
後、麗子がその容器の上に跨がる。
ジャーっと排泄音が響き、小水が残飯の上
に勢い良く注がれた。
続いて澄子が、その上に飛沫を立てる。
「さあ、お前のお食事よ。一滴も残さずに全
部お腹に入れなさい!」
澄子は、床にへたり込んだまゝ顔色を変え
て尻込みする水谷の髪を掴む。そして、容器
の中にその頭を押し込むと、後頭部に足を掛
けてぐいと体重をのせた。
たまらず彼の顔は、容器の中の汚水に浸さ
れる。
「どうしても食べなければ、こうやって窒息
させるわよ。……そう、それでいゝわ。その
調子よ」
ピチャピチャと音を立てて、汚水漬けの残
飯が水谷の舌で掬われ、次々と胃に送り込ま
れて行く。
それを上から見詰めて、麗子が溜息を付い
た。
「浅間しいわねぇ。……男のくせに、こんな
こと迄するとは想像も出来なかったわ」
麗子の心の中にあった水谷の像が、ガラガ
ラと音を立てゝ転落して行く。それは澄子の
狙い通りとも言えた。
「男って利己的なのよ。こいつも、出世の為
ならどんなことでも我慢するわ。きっと、私
達の便器にだってなるわよ。……お姉さんは
こいつの出世欲の犠牲になるんですもの。ふ
たりでうんと辱めて、一生消えない傷をこい
つの心の中に作ってやりましょうよ!」
その晩、二人の寝室で、水谷は女のセック
スに舌で奉仕することを命じられた。
つまり、二人のオナニーの道具に使われる
のである。
先ず、麗子の股間に顔を挟まれた水谷は、
馬のたてがみよろしく、髪を麗子の手に掴ま
れ、女のクレバスにしっかりと顔を押し付け
られた。
舌の動きが少しでも緩むと、髪の毛が千切
れる程引かれる。
その内、ネバネバした分秘液が股間に溢れ
て彼の顔面を覆った。
気分の高まりと共に、麗子の太股が水谷の
両頬を締め付け、股間が上下してラビアが彼
の顔を擦る。
麗子が背を反らして頂点に達すると、待ち
兼ねていた澄子が、彼の首の紐を引いた。
姉の麗子と違って、澄子のセックスは奔放
そのものである。
彼の顔に跨がり、尻を揺すってクレバスを
男の鼻や唇に押し付けるかと思うと、俯けの
姿勢で後ろからアヌスを舐める様に命じる。
果ては、両足の踵を彼の後頭部に当てがい
顔を股間に押し付けたまゝ頂点を迎えた。
しかも、それだけでは満足しない。
暫くの間、アヌスを舐めさせておき、再び
波が寄せると、今度は彼の顔に跨がったまゝ
尻を揺すって快感のピークを楽しんだ。
翌朝、二人のベッドの間の床で、泥の様な
深い眠りに落ちていた水谷は、誰かに頭を足
蹴にされてハッと目覚める。
気が付くと縛られたまゝの両手首が痺れ、
昨夜の奉仕で舌の付根が腫れ上っていた。
「朝のティーを上げるわ。サ、口をお開け!
じかに飲ますからこぼしちゃ駄目よ」
澄子の声である。
続いて、顔面が柔肉にピッタリと覆われ、
催促されるまゝに開けた口の中に、ポタポタ
と滴下した汚水が、次第に量を増してくる。
ゴクリゴクリと飲み下す後から、絶えるこ
となく注入される汚水は、臭みの強い塩辛い
味である。
漸くはっきりと目覚めた脳裏に、漸く、今
自分が女の便器代りに使われている事実が写
し出された。
激しい屈辱感が胸を掻きむしり、情けなさ
に目蓋がジーンと熱くなる。
しかし、それと無関係に、彼の口と咽喉は
女の小水を機械的に飲み下していた。
「終ったわ。跡を舌と唇で清めるのよ」
催眠術に掛かった様に、澄子の命令通り、
舌でクレバスを拭い、唇で残り水滴をチュー
っと音を立てゝ吸い取る。
そこには、女に嬲り抜かれて、自分の意志
を失なった哀れな男の姿があった。
「サー、今度は私よ。飲みながら味をよく比
較して御覧」
澄子に代って、今度は麗子の尻が彼の顔面
に据えられた。
同じ屈辱の繰返しである。
それも、婚約者の麗子からの辱めとなると
一層身にこたえた。
こうして、一週間の間、二人の女の手で、
際限無い様々な屈辱が、これでもかこれでも
かと水谷に加えられ、彼を狂気の一歩手前迄
追いやったのである。
漸く許されてアパートの戸を出る前に、彼
は二人から交互に唾の洗礼を受けた。
特に、軽蔑を露わにした麗子は、彼の顔面
に繰返し唾を吐き掛け、一週間のお仕置の締
め括りとしたのだった。
二十年後、初冬の薄ら寒い街を、思い出の
ダンスホールに向かって足を運ぶ水谷の脳裏
に、こうした昔の苦い思い出が、あぶり出し
を見る様にくっきりと浮かび上って来た。
本来なら、彼にとって二度と足を向ける場
所ではない。
しかし、最近の度重なる不運が、彼を捨鉢
な気分にさせていた。
それに、あの、たった一週間の悪夢の様な
記憶を除けば、かのダンスホールは彼の青春
を彩った、懐しの場所だったのである。
二十年も経てば、人の記憶も薄れ、気持
も変る。……現に俺だって、あの広告を見る
迄は、あのダンスホールのことなんか、思い
出さなかった筈なんだ! それに、経営者だ
って代が変ってるだろうし、麗子や澄子もど
こかに嫁に行って居なくなってるさ=@
彼は、心の中で、自分に言い聞かせる様に
呟いていた。
実は昨日、新聞の求人広告を、すがる様な
気持で丹念に眺めていた時である。
太いゴシック調の活字で社交ダンス教師
募集≠フ文字が目に飛び込んで来た。
見ると、あの懐しいダンスレッスン場が、
求人元となっている。
迷った末、一度訪問して見ようと決心した
次第だった。
見覚えのある建物の前に来て、彼は一瞬、
とまどった。一階の楽器屋がなくなって、喫
茶店になっていたのである。
しかし、二階のダンスフロアは昔のまゝだ
った。いや、すっかり改装されて、昔より立
派な近代的なダンスレッスン場に生れ変って
いたと言った方が良い。
恐る恐る二階に上り、受付けで求人広告に
応募して来た旨を告げた。
履歴書を渡した後、暫く応接間で一人で待
たされる。
間もなく、コツコツとヒールの音が近付き
ドアが開いて、濃いブルーのサングラスをか
けた中年の女性が姿を見せた。
「水谷さん。随分お久し振りね……」
聞き覚えのある声が、彼の耳を打つ。
サングラスを外して、向かいのソファーに
腰を掛けた女性は、まぎれもなく、あの麗子
だった。
若い頃より顎のあたりがふっくらしたが、
あのエキゾチックな美しさは相変らずで、か
えって妖しい魅力を加えている。
流石に、昔のあの腰のあたりが引き締った
グラマラスなスタイルは失われているが、豊
満な中年の魅力がそれに代っていた。
「ア、アノー。……あなたは今でもこちらに
……」
「そう。このレッスン場は、父から私と澄子
が引継いだの。名前も今ではダンススタジオ
と呼ぶのよ。下の楽器店は改装して喫茶店に
したわ。……私は、二年前に夫を亡くしてか
らは、もっぱら、こゝの経営に専念している
けど、澄子はプロのダンサーと結婚して、今
でも、夫婦でミュージカルの舞台に立ってる
わ。……でも、あと一ケ月程して今の公演が
終れば、引退してこゝを手伝ってくれること
になっているの。……ところで、この水谷さ
んの履歴書によると、貴方は会社が倒産して
失業中とあるけど、例の専務のお嬢さんだっ
た奥さんはお元気なの?」
「それが、数年前に亡くなって……子供も居
ないんで、今はひとり暮しさ」
「子供が居ないのは、私も澄子も同様よ。…
…もっとも、澄子の方は、舞台のために子供
を諦めた様だけど……」
麗子の態度は、いかにも屈託が無く、昔の
ことを根に持っている様子も見えない。
やゝホッとした思いで、水谷はオズオズと
就職の件に話を移してみた。
「そうね、うちは男の教師の数が、極端に少
なくなったんで、出来れば働いてもらいたい
けど……貴方、今でも昔みたいに踊れるかし
ら?」
「そりゃ、昔並にはとてもやれないけど、初
心者に教える位なら……」
「それが、こゝは今では、将来プロダンサー
を目指す人達が増えて、可成、レベルが高く
なっているのよ。……いゝわ、これから私が
テストしてみるわ」
麗子は、水谷を伴って、レッスン開始前で
未だ人気の無いダンスフロアーに入った。
「ダンス靴は、その棚に並んでいるから、足
に合うのを選んで頂戴。……サー、用意はい
いかしら?」
水谷は上着を脱いで、麗子の腰をホールド
する。曲は、懐しいタンゴだった。
「貴方のオハコだった、あのステップをやっ
てみてね。……そら、ダブルリバース・ター
ンから、そのまゝスエィして、ランジに入る
組合せよ。覚えているでしょう?」
言われるまでもなく、水谷がそれを忘れる
筈はなかった。
華麗なダブルリバース、つまり逆二重回転
から、フェンシングのランジつまり突きの型
で女性を床スレスレまで倒してから、グッと
抱き起す、競技会用のアマルガメーションで
ある。
水谷は、思わずブルッと身震いして、曲の
きっかけを待った。
メロディーの何度目かのスタカット、その
頭を捉えて、プログレッシブ・シャッセから
スタートし、充分スピードが乗ったところで
ダブルリバース回転に入る。
昔の彼は、その回転のスピンの鋭さと速さ
に定評があった。
所が、どうしたことか腰が充分入らぬ内に
回転が始まり、バランスを失なってよろけて
しまう。再度やり直しても同様だった。
「駄目ねぇ。……貴方、CBMが全然きいて
ないから、回れないのよ」
麗子に指摘されるまでもなく、CBM、つ
まりコントラリー・ボディー・ムーブメント
訳せば、上半身の逆ひねりが不足しているの
である。
運動不足のまゝ中年を迎えた彼の腰は、贅
肉が付き、昔のゼンマイの様なバネをすっか
り失っている。
「それに、シャッセで肩が揺れるわ。タンゴ
では、両肩に水を入れたコップを乗せている
気持で踊るんだって、何時も言ってたじゃな
いの。……一体どうしたのよ」
「し、しばらく踊ってないので、……れ、練
習すれば、きっと……」
麗子の追求に、狼狽した水谷はしどろもど
ろである。
「要するに、貴方も歳をとったのよ。もう、
ダンス教師は勤まらないわ。……でも、こゝ
で何か仕事が欲しいのなら、昔のよしみで、
雑用係として雇って上げてもいゝわよ」
麗子の言葉は、すっかりしょげ返っていた
水谷にとって、渡りに船だった。
「そりゃあ有難い。雑用係でもいゝ、何でも
するから、雇ってくれないか。……実は、失
業保険も切れるし、どこにも職が無いもんだ
から、今いるアパートも立退きを迫られてる
んだ」
「フーン……貴方、そんなに落ちぶれたの。
でも、雇ってあげる。……よかったら、この
上の、私のいる所に余分の部屋があるから、
そこに寝泊りしてもいゝわよ」
麗子の言葉に、急に軽蔑の響きがこもる。
「有難い。本当に恩にきるよ」
水谷は、ホッとして、肩の荷が下りた思い
だった。
「でも、これから貴方は私の雇い人だから、
言葉を改めて頂戴。……いくら昔のなじみだ
と言っても、皆の手前もあるわ。……私のこ
とは、奥様、……貴方のことは、お前と呼び
すてにするからね」
その翌日、ダンスフロアーの上の階にある
麗子の住居へ引越して来た水谷に、トイレの
隣りの物置が与えられた。
不満そうな水谷の頭から、麗子の声。
「この部屋に不服は言わせないよ。……お前
は、雑用係だって言うことを忘れないでね。
トイレやダンスフロアーの掃除、それに下の
喫茶店の下働きがお前の仕事。……だから、
こんな部屋でも、もったいない位だよ。……
身の程を知ることね」
昨日と打って変った麗子の邪険な声の調子
に、水谷は改めて、嘗っての婚約者に顎で使
われる身の情けなさを噛みしめていた。
それから一ケ月。
麗子に追い使われ、ガミガミ小言を言われ
て過す内に、彼女と水谷の間には、自然に女
主人と使用人の関係が確立して行った。
昔、婚約者同志だった頃の思い出、そして
婚約を取り消して貰うために甘受した、あの
麗子と澄子から受けた一週間の辱めの記憶。
……それ等は、二人の間では、すっかり忘れ
去られたかの様に、おくびにも出なかったの
である。
しかし、遂にその状態が大きく転回する日
がやって来た。
ミュージカルの舞台の最後の公演を終え、
澄子夫妻がこのダンススタジオに戻って来た
のである。
スタジオのビルの最上階、つまり麗子の住
居の上の四階が、澄子夫妻のすまいに当てら
れた。
「水谷さん、又会ったわね。……お姉さんか
らの手紙で聞いてたけど、随分落ちぶれたも
んね。……今じゃ、昔、婚約者だった女の使
用人なんですものね」
顔を会わせるや、澄子はズケズケと言葉を
浴びせた。
「水谷さん……じゃなくて、お前は、昔のあ
の一週間のこと、覚えているかい? フフフ
あの時の写真が、今でもとってあるんだよ。
……欲しかったらお前にやるから、今晩、私
の所へおいで。もし、来なかったら皆に公開
するよ」
澄子は、ニヤニヤ笑いながら続ける。
その晩、言われるまゝに四階の澄子の住居
を訪れた水谷は、澄子の夫に紹介された。
しかし、それはあくまで、使用人が主人の
家族にお目通りする様式だった。
「お前が水谷か。写真を見たぜ。……澄子の
ケツの穴を舐めてる所さ。それに澄子や、当
時お前の婚約者だった姉さんに、ションベン
まで飲まされたんだそうだな。……その意気
地無しのツラを見せてみな。アハハハ」
挨拶もそこそこに、澄子の夫から、突然、
無遠慮な言葉が浴びせられた。
真赤になって俯く水谷の背後に回った澄子
が、いきなり水谷の両腕を羽交占めにする。
慌てゝ振り解こうとする彼の肩を、澄子の
夫が、前から抱きかゝえる様にして抑えた。
カチッと背後で金属音がして、水谷の手首
に冷い金具がくい込む。続いて両足首も拘束
された。
両手、両足に澄子の手で、手錠を嵌められ
たのである。
完全に身体の自由を奪われた水谷は、茫然
として二人の前にへたり込む。
「どおお? 昔のあの一週間を思い出した?
ウフフッ、実は麗子姉さんと相談したのよ。
あの時のお仕置の続きをやろうって。……で
も、今度は、私達夫婦が先にお前を仕込むこ
とにしたの。……たっぷり嬲って従順になっ
てから、お姉さんに引き渡すわ」
澄子の言葉は、水谷にとって、将に晴天の
霹靂だった。
今や二十年前の、あの悪夢が再現するので
ある。それも、今度は澄子の夫まで加わって
のお仕置≠ナある。
「や、やめてくれ! ど、どうか堪忍して…
…お仕置なら、む、昔とっくに終った筈だ!
た、頼む!」
悲鳴に似たその声は、恐怖で震えていた。
「お姉さんの人生は、お前のせいで滅茶悔茶
になったのよ。たった一週間のお仕置で済ん
だと思ったら大違い!……これから、お前は
一生掛かって償いをするのよ。……お姉さん
は夫を亡くして、その女盛りのセックスを慰
める舌奴隷が要るわ。それに、おトイレが近
くなったから便器奴隷もね。……私達は、先
ず、お前を夫婦のセックスの慰み物として仕
込んでやる。……うんと辱めて、反抗する気
力を無くし、一生奴隷に甘んじる様にしてや
るわ。ウフフフ」
澄子の宣言は、直ぐ実行に移された。
仰向けに寝かされた水谷の胸の上に、先ず
澄子の夫が前向きに跨がり、ぐにゃりとした
男根を水谷の口に当てがう。
そして水谷は、哀れにも舌と唇で、男のも
のへのフェラチオを強制された。
それが固い怒張となると、今度は澄子が、
夫と向き合って水谷の顔面に尻を据える。
そして、尻を揺すってクレバスへの舌奉仕
を要求した。
やがて、水谷の顔の上で二人が結合し、身
体を前後に揺らす。
同時に、澄子は尻の下の水谷に命じて、夫
との結合部を舐めさせたのである。
その内、二人は、彼の顔の上で頂点を迎え
る。そして、暫くして結合を解いた澄子の局
部から、夥しい分秘液が溢れ出し、水谷の口
中に流入した。
澄子の尻の下に顔を敷かれたまゝ、その夫
婦のミックスジュースを、ゴクリゴクリ飲み
込む水谷の意識には、これからの長い転落の
生活を予告する映像が、走馬灯の様に写し出
され、極度の屈辱にその脳髄まで痺れて行く
のだった。
〔完〕
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1989年2月スピリッツ2月号
(スレイブ通信32号に再掲載)
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2010/08/09