#15パンティの罠(仕掛けられた罠)
                阿部譲二

郷里から上京して東京の大学に通う学生が、散歩中にとある家の中庭にピンク色のパンティが干されているのを見かけ、衝動に駆られて盗んでしまう。しかし、それはその家の娘と下宿人の学生が仕組んだ罠だった。捕らえられてその家に連れ込まれた彼は、警察に突き出すと脅かされ二人の奴隷として辱められる。果ては女にウオシュレット代わり使われる。

  私は、今年ちょうど三十才になる独身の地方公務員です。
 東京の大学……といっても二流の私立大学ですが……を卒業した後、故郷に帰って現在の職
についてから、早いものでもう八年になります。
 田舎のことですから、三十才で未だ独身というのは珍しく、周りからは、少々変り者扱いを
されているようです。
 と言っても、縁談が全くなかったわけではなく、ある時期には東京の学校出と言うことで、
それこそ降る様に、次々と話が持ち込まれたものでした。
 それを断わり続けているうちに、周囲も呆れ果てゝ、いつしか変人と見られ、話もばったり
来なくなってしまいました。
 でも、それも別に、私が女嫌いだったからではありません。
 実は、私には学生時代に、東京で忘れられない女性がいたのです。
 忘れられないと言っても、必ずしも普通に言う好きだったとか、愛していたとか言うんでは
ないんです
 逆にその人には、さんざんいたぶられ、嬲りものにされ、私の性格が一変するような目に遇
わされたのです。
 今思い出しても、キリキリ歯ぎしりする程口惜しい目に遇わされながら、その女性が忘れら
れないとは、我ながら情けないと思う一方、不思議でたまりませんでした。
 きっと、あまりにもひどい嬲られ方をしたものですから、精神状態までおかしくなったのか
と思ったものです。
 ところが、郷里に帰って間もなく、どの女性に遇っても、いつの間にかその女性にいじめら
れる場面を想像して興奮している自分を発見してハッとしました。
 そうです、私はいつの間にか、世に言うマゾヒストになっていたのです。
 では、せっかくの機会ですから、この際、今まで心の奥深く秘めていた、私のあの、めくる
めくような東京での体験を、お話ししましょう。
 私の名前は、田村良平……。
 郷里の高校を卒業後、念願の東京の大学に行けることになって、私はもう有頂天でした。
 家計はそう楽な方ではなかったのですが、たまたま、祖父の遺産が入ったのが幸いして、望
みが叶えられることになりました。
 東京の大学でさえあれば、たとえ二流の私立でも贅沢は言えません。
 たまたま幾つか受験した中で、たったひとつ受かったのが、外資系のノーマル大学だったの
です。……何でもノーマルと言うのは、英語で師範学校の意味があるとのことでした。
 私が下宿した界隈は学生街で、下町特有の気の置けない雰囲気に、若さとエネルギーが満ち
溢れていました。
 東京のことですから、大学の数も多く、学生目当ての下宿屋や食堂が並んでをり、種類も、
私が選んだ安い素人下宿から高級アパートまで様々でした。
 新学期も無我夢中の内に過ぎ、やがて二年目の夏を迎えようとしていた頃のことです。
 漸く東京にも慣れ、生活も板についてきたのは良いのですが、元来、内向的な性格のため、
ガールフレンドを作る才覚もなく、さりとて運動部に入るでもなく、青春の吐け口に困って、
毎日モヤモヤした気分でした。
 その日は、たまたま休講で授業が無く、時間を持て余して、ブラブラ近所を散歩していた時
のことです。
 私の下宿の近くの公園のベンチで、五月の柔かい日差を一杯に受けた後、行きつけの本屋の
角を曲って、人気の無い細い露地裏に歩を運んだ私の目に、鮮かなピンク色が飛び込んで来た
のです。
 それは、古びた竹垣に囲まれた中庭に干されていた洗濯物でした。
 白い肌着類の中に混って、女物のピンク色のパンティが干されてました。
 微風のなかで、それはまるで活きているように微かに震え、男心をそそります。
 私は、思わずカーッと頭に血が上るのを覚えました。
 その中庭に面した縁には雨戸が下ろされて人気が無く、竹垣の中程にある枝折戸には鍵も掛
かっていないのを見て取ると、私の胸は思わず早鐘の様に高鳴りました。
 あたりを素早く見回すと、意を決して枝折戸の掛金を外して中庭へ入ったのです。
 夢中で洗濯物に近寄ると、パンティを掴み、ポケットに入れました。
 そして、早足で通りへ出て本屋へ飛び込みました。
 適当に本を物色する態を装ったものゝ、なかなか動悸が治まりません。
 やっと落着きを取り戻した頃、後ろから突然肩を叩かれました。
 ドキッとして後を振向くと、見知らぬ長身の学生が立っています。
「君、ちよっと、そこまで一緒に来てくれないか」
 その男の厳しい顔付きに、思わず悪い予感で身体が震えました。
「君は一体誰だ。なんの用だ?」
 男はニヤリとすると、
「お前の、ポケットの中身に聞いてみるんだな。……俺は、あの家の二階から、ずっと見てい
たんだ」
 やはり予感は当たっていたのです。
 私は身体から血がスーッと引いていく思いで、その男の後ろについて本屋を出ました。
「さあ、一緒に警察に行くか。それとも、あの家に戻って、それを返して謝まるかい?」「も
「勿論、お返しして謝ります。……どうか、勘弁して下さい」
 彼は、何故かニヤリと笑みを浮べると、
「俺はあそこの、ただの下宿人さ。あの家の人に、直接謝まって許して貰うんだな。……でも
逃げるんじゃないぞ。俺が見張ってるからな」
 その男は私より背も高く、スポーツでもやっているのか、体格もがっちりしていて、到底、
私の争える相手ではありません。
 結局、その男の後に従って、シオシオと例の家に戻りました。
 庭と反対側にある玄関のガラス戸を開けると、そこは広い土間の付いた控えの間になってい
ます。
 奥から出て来たのは、ハッとするような美しい女性でした。
 年の頃は私と同じ二十才前後でしょうか、やや大柄な、白いワンピースに包まれた肉付きの
良い胸や腰が、私には眩しく写りました。
 丸顔で、目鼻立ちのはっきりした近代的な美人顔。……やゝ太い眉に黒目勝な大きな瞳が、
混血の女性などに良くあるエキゾチックな雰囲気をかもし出していました。
「アラ、正夫さん。……お客様なの?」
 その女性から親しげに正夫さんと呼ばれたその学生は、私の方を見やると、
「美代子さん、こいつがパンティ泥棒ですよ。……サー、早く盗んだものを出すんだ。そし
て、よく謝まるんだぞ」
 私はポケットから、モゾモゾとピンク色のパンティを取り出し、そっと上りかまちに置き
ました。
「本当に済みませんでした。ついフラフラとして手が出てしまって……ほんの出来心だったん
です。……どうか許して下さい」
 深々と頭を下げた私に、決めつけるように、艶のあるアルトが浴びせられます。
「アラ、あなた本当に出来心かしら? この頃、このあたりで、しきりにパンティが盗まれ
るそうよ。……あなたが、その犯人じゃなという証拠があるかしら?」
「そうか、お前は、常習犯だったのか。……それじゃ話が別だ。……さあ、これから警察へ行
こう。……これで、お前は、学校の方も退学処分だな。きっと新聞にも出るぞ」
 警察∞退学≠サれに新聞≠ニいった言葉は、私にとって、ガンと頭を殴られたような
ショックでした。
 不名誉な噂が郷里まで届くかと思うと、私の頭は混乱し、思考能力を無くしてしまった様に
オロオロするばかりでした。
「そ、そんなことは決してあるません。……本当に初めてなんです。私を信じて下さい。ど、
どうか、どうか警察だけは、勘弁して下さい!」
 私は、土間にペタリと座り込んで、必死の思いで嘆願を続けました。
「私が悪かったのは認めます。謝まります。で、ですから許して下さい。……な、なんでもし
ますから……本当です。本当になんでもします!」
 その学生、正夫と、下宿の娘の美代子は、私の言葉を聞いて、顔を見合わせ、ニヤリと笑っ
た様に見えました。
「その言葉に嘘はないんだろうな。……本当に何でもするんだな」
 許してもらえそうな期待に胸をふるわせ、私は大きく頷いきました。
「それじゃ、学生証を出せ。……それから、そこへ犬みたいに四つ這いになるんだ」
 言われるまゝに土間に這ったみじめな私の頭越しに、二人の会話が交わされます。
「フーン、名前は田村良平ですって。……ノーマル大の二年生かぁ。……おかしいわぁ、見た
目は正常な学生なのに、実はノーマル≠カゃなくてアブノーマル≠ネのね。フフフ」
「アブノーマルと言うより、変態と言った方がピッタリさ。……学生のくせに女のパンティ
を盗むなんて、男の風上にも置けぬ奴だ。……警察に渡すのを勘弁してやるんだったら、代り
に、うんと懲らしめてやらなくっちゃあ。……何か、良いアイディアはないかい?」
「ソーネ、うんと恥ずかしい目に合わせるのはどうかしら。……そうだわ、今後、二度とパン
ティーを盗まない様にするのには、女のパンティはもう見るのもいやだって心境にさせるの
が一番よ」
「そんなうまいテがあるかな? そうだ、こういうのはどうかな。……つまり、こいつにうん
と汚れた女のパンティを、たっぷり舐めさせるんだ。それも、我々の目の前でさ。……そし
て、その味と、その恥ずかしさを、骨身に泌み込むまで覚え込ますんだ」
「マアーッ、面白そうだわ。……パンティ泥棒にふさわしい罰だこと!」
 思いも掛けぬ成行きに、私の胸は大きく騒ぎ、四つん這いの身を支える手足が震えました。
「じゃあ、すぐに始めようか。……美代子さん、いま穿いているパンティを脱ぐんだ」
「アラッ、私のを舐めさせるの? 恥ずかしいわー」
「なに言ってるんだ。君のしかないじゃないか。……判ってるくせに」
「フフッ、そうね。でも可哀そうみたい」
 頭の上で衣擦れの音がします。
「顔を上げるのよ。……ホラ、あなたの好きなパンティよ」
「いゝか、しっかり舐めるんだぞ」
 四つん這いのまゝ顔を上げると、目の前に白いパンティが差出されました。
 それが、ゆっくりと美代子の手で裏返され、うっすらと黄ばんだ個所と、帯状のやゝ褐色の
部分が現われます。
その後ろに、彼女の大きな瞳が、いたずらっぽくキラキラ光っていました。
「舐める前に匂いを嗅ぐのよ。……ホラ、この茶色の部分がアヌスの当たった所よ」
 その部分が、美代子の手で私の鼻孔に押し付けられたのです。
 プーンと異臭が鼻の奥を突き、屈辱感で目が眩みました。
「フフフッ、いかが?……今度は前の方よ。このところ、澱物が多いから匂うでしょう?……
クックックッ」
 ツンとくる刺激臭が鼻を襲います。
「サー、口を開けて!」
 命ぜられるまゝに開いた口に、パンティの、その汚れた部分が押し込まれました。
「さ、しっかりお口の中で洗濯するのよ。……唾液を出して、歯で軽く噛んで!……そう、そ
うよ。あとはおつゆを吸うのよ」
 恥ずかしさで顔を真っ赤にして、言われるまゝににします。
 ズ、ズーッと音を立てゝ、汚れた汁を吸い込みました。
「いゝわ。その調子よ。それを繰り返すの。……コレ、上を向いて! どんな顔して舐めてる
か私達にしっかり見せるのよ。フフフ、さぞ恥ずかしいでしょうね。……どんな味がするの?
おいしい?……アラアラ、涙が出てきたわぁ。……フフッ、パンティ泥棒の罰がどんなもの
か思い知った?」
 パッと、突然、涙にかすんだ目の前に光るものが走り、それが暫く間を置いて、二、三回、
繰返されました。
 屈辱に痺れた頭に、それが、写真のフラッシュだと判ったのは暫くしてからでした。
「どうだい。これで証拠写真も出来たぞ。……お前が我々の命令に背いたら、これをお前の学
校に貼り出してやるからな」
「アラ、それより、この人の家族の所へ送った方が効果的よ。女の前で四つん這いになって、
パンティを舐めている写真を見たら、みんな呆れるわよ」
 新たな涙が私の頬を伝います。
「大丈夫よ。ちゃんと私達の命令を聞いていたら、そんな事しないから。……サー、しっかり
清めるのよ」
 何回、口の中での揉み洗いを繰り返したでしょうか。
 やがて、最初、塩っぽかった味が、ほとんど消えてきました。
 随分長い時間が経ったような気がしましたが、正味では三十分位だったかもしれません。
「もういいんじゃない? あんまりしゃぶると、……フフフ、擦り切れちゃうわ」
 美代子は、彼の口から、ズルズルと唾液で濡れたパンティを引き出すと、宙にかざして見
ます。
「あらまぁ。すっかりきれいになったわ。……洗濯機じゃ、とてもこんなには出来ないわね。
……じゃあ、今日はこれで勘弁して上げる。……明日から毎日、今頃の時間に来るのよ。夕方
になると父が帰ってくるから、遅くても四時頃までにきてね」
「あ、あすからって、一体どう言うことですか?……こんな恥ずかしい罰を受けたんだから、
もう放免してくれるんでしょう?」
「オイオイ、何を勘違いしてるんだ。さっき骨身に泌みるまで罰を与えるって言っておいただ
ろう。……一回ぐらいで、身に泌みる筈がないじゃないか」
「あなた、警察や新聞が恐いんでしょう?……それに、例の写真を配られるのも困るんでしょ
う?……それなら、私達の言いなりになるしか仕方ないわね」
 美代子の言う通りでした。
 弱味を握られた私は、文字通り、二人の言いなりになるしかなかったのです。
 スゴスゴと下宿に帰る私の足取りは重く、頭の中は生まれて初めての屈辱に、火の様に燃え
ていました。
 しばらくしてから、あの場面を思い起すと、あの二人に黙って嬲られた自分が、何とも情け
なく血が逆流する思いです。                             
 しかし、写真まで撮られた今となっては逆らうすべもなく、ひと晩、悶々と眠れぬ夜を過ご
し、翌日の午後、再びその家を訪れた時は、私はもう諦めの境地でした。
 そして、ニヤニヤ笑いながら奥から出て来た二人の前に、私は自ら進んで土間に四つん這い
になりました。
「アラアラ、今日は態度が良いこと。まるで犬そっくりだわ。……そうだ、お前、そこでチン
チンして見せて御覧」
 美代子の意地の悪い言葉に、さすがに私も従い兼ねて、モジモジしていると、
「何だ。昨日のことをもう忘れたのか。……命令を聞かないと、どんなことになるか判ってい
るんだろうな」
 正男が、横から高飛車に決めつます。
 私は恥ずかしさを必死でこらえて、身を起こし、犬のチンチンの格好を真似ました。
 プーッと美代子が吹き出し、正男と二人でゲラゲラ笑い転げます。
 私は、再び頭がカーッと火照るのを覚え、思わず目を伏せてうつむきました。
「顔を上げて、こっちを見るのよ。とってもいゝ格好だわ。パンティ泥棒には、お似合よ。
……今日は、その姿勢で舐めなさい」
 美代子は、スカートの中に手を入れると、パンティを脱ぎ、昨日と同じように私の目の前
で裏返しました。
 黄色と茶色の染みがひときわ濃く、生臭い臭いがプーンと漂います。
「フフフ、どおお? 今日はお前のために、トイレの後を拭かずに、今まで我慢してやったの
よ」
 あとは、昨日の繰返しです。ただ、臭いも味も一段と濃く、二人にからかわれながら、たっ
ぷり辱められました。
 それからの日々は、私にとって、精神的な拷問に掛けられている様なものでした。
 短時間とは言うものゝ、二人の軽蔑に満ちた視線を浴び、四つん這いになっての屈辱の行為
に、毎日、目の眩むほどの情けない思いを味わいました。
 ちょうど一週間たった日のことです。
 月のものが近いとかで、澱物がひときわ多くベッタリと着いた部分を延々と舐めさせられた
後、私は初めて、玄関の控えの間に上がる様に言われました。
「私ね。この頃、軽い痔が出て困ってるの。お医者さんは、手術するほどのことはないから、
清潔にして毎日軽いマッサージをする様にって言うんだけど、まさか指でこするわけにもいか
ないんで、弱っているのよ」
 美代子の言葉を引き取る様にして、正男が続けます。
「そこで、ものは相談だが、お前が、美代子さんのその部分を、舌でマッサージする役を引き
受けて欲しいんだ。……この一週間で、そこの味にはすっかりおなじみになった筈だからな。
フッフッフッ」
 私は、文字通り仰天しました。
 或いは、これで許してもらえるのかと、淡い期待を抱いただけに、ショックもひとしおだっ
たのです。
「舌でマッサージするって……そ、それじゃ私が、こともあろうに、美代子さんのアヌスを舐
めるんじゃないですか?……そ、そんな……第一、男が、女の尻の穴を舐めるなて、非常識極
まる話ですよ!」
「アラ、そうかしら?……じゃあ、男が女のパンティを盗んだり、その罰に、汚れたパンテ
ィーを舐めさせられたりするのは非常識じゃないとでも言うの?……ねえ、正男さん」
「美代子さんの言う通りだ。……結局、お前は俺達の言いなりになるしかないのさ。……それ
とも、警察へ行って、恥をかいて退学になるかい?……新聞にも出るだろうし、あの恥ずかし
い写真も親戚中に配られるんだからな」
 正男の言葉は、冷たい水を頭から浴びせ掛ける様に、興奮の余り一瞬忘れていた、あの忌ま
わしい事実を私に思い出させました。
 顔色を変えて押し黙ってしまった私を見やり、美代子は勝誇った笑みを浮べて続けます。
「判ったでしょう。……じゃあ、いゝわね。マッサージは、一日最低三回。時間は毎回十分位
でいゝわ。それから、毎朝父が出かけてから、私がトイレを済ませた後、お前の舌でトイレッ
トペーパーの代りもするのよ。紙で拭くと痛いんですもの。……いゝこと!」
「………………」
「ア、そうそう。肝腎な事を忘れていたわ。……お前はね、今日から、この二階へ引越してく
るのよ。正男さんの部屋の隣の六畳が空いてるからね。……部屋代はマッサージ料と棒引きで
タダにして上げるわ」
 それは鳥が飛び立つような≠ニ言う表現がぴったりする、慌しい引越しでした。
 びっくり顔の家主に、適当に言い繕って、即刻下宿を引き払い、借物の手押し車に僅かな全
財産を積んで、美代子の家の二階に移ったのは、それから二、三時間後でした。
 丁度帰宅した彼女の父親に挨拶に行くと、
「やあ、あなたが正男君の友人ですか。……なにね、娘から一週間程前に、こゝへ移りたい人
があるってお聞きして、お待ちしてたんですよ。何せ、父ひとり娘ひとりの暮しで、それに私
が昼間勤めに出てるもんだから、行き届かない所もあると思いますが、よろしく頼みます」
 一週間前と言えば、私がパンティを盗んだのを見つけられた頃に当ります。
 その頃から話を聞いていたと言う父親の言葉に、軽い不審の念が頭をかすめました。
 しかし、詮索する気力も無く、荷物を運び上げると早速整理に掛かります。
 暫くして、美代子が様子を見に来ました。
「いらっしゃい。アラ、もう片付いた様ね。父がお風呂に入っている間に、フフフ、マッサー
ジの筆おろしをしましょう。……正夫さん、そんな所に立っていないで、中へ入って立ち合っ
てよ」
 正夫がニヤニヤ笑いながら入って来ると、美代子は、いたずらっぽい目付で私の顔を見据え
ました。
「覚悟は出来てるわね。……じゃあ、そこへ仰向きに寝て頂戴。……そうよ。目を開けていて
もいゝわよ。マッサージのお礼に、目の保養をさせて上げる」
 その場で、仰向けに畳の上に寝た私の顔を大きく跨いで、美代子の瞳がジーッと上から見下
ろします。
 たくし上げた紺のスカートの裾から、白い太腿がこぼれ、あのピンク色のパンティが覗き
ました。
「分った? お前の盗もうとしたパンティよ。お情けに穿いてあげたの。……初めての経験
の、いゝ記念になるわね」
 美代子はゆっくりと腰を下ろします。
 鮮かなピンク色が、みるみる目の前に迫り、豊かなヒップが視界一杯に広がって、私を圧倒
しました。
 美代子の股間が私の顔面を捉え、ジワリと圧力か掛かります。
 懸命に呼吸すると、汚れたパンティでおなじみの、あの饐えた臭いが鼻孔を衝きました。
 女の尻に顔を敷かれている惨めさを改めて意識して、屈辱感がどっと押し寄せ、目の前が熱
くなります。
「どおお? たんのうした? じゃあ、そろそろ本番行くわよ!」
 スッと尻が上がり、目の前でパンティがめくられると、真っ白な大きな桃の様な尻が現れ
ました。
 中央の黒い翳りに縁取られたクレバスは、私が初めて見るグロテスクなものでした。
 僅かに尻が動いて彼女の顔が覗き、私を見下ろします。
 傍に正夫の顔も見えました。
「ホラ、涙を流してるわ。……何だか可哀そうね」
「気にしないでいゝさ。すべて、計画通りに行ったじゃないか。パンティ泥棒には、当然の
報いだよ」
 正夫の計画通り≠ニ言う表現に引っ掛かるものを感じたものゝ、その意味を深く考える時
間もありません。
「そうね、情無用ね。行くわよ……」
 再び尻が落下し、今度は裸のアヌスが、私の唇に押しつけれます。
「サー、どうしたの? しっかり、舌でマッサージするのよ」
 ヌメヌメした粘膜が唇をにじり、鼻孔に軽く当てられている女のクレバスからは、むせる様
な香りが放出され、私の頭の芯を痺れさせます。
 夢中で舌を出し、命ぜられるまゝにその粘膜を舐め始めました。
「いゝわぁ、上手よ。もうちょっと強く、そう、その調子よ。……今度は、お汁を吸って!」
 襞に溜った粘液を、チューッと音を立てゝ吸い取ると、アヌスの襞に付着していた滓が溶け
て、口中に渋い、そして塩っぽい臭味が広がります。
 若い女性の尻に顔を敷かれて……こともあろうにアヌスを舐めさせられている……そんな自
分を改めて意識し、私は情けなさに身の震える思いでした。
 しかし、繰り返し繰り返し、舌と唇で彼女の菊座を舐め、吸わされている内に、思わず時間
を忘れ、一種の陶酔に浸って夢中で奉仕を続ける。
「もういゝわ。……お前、随分熱心ね。舐めるのが、よっぽど性に合ってるんだわ。これから
毎日、必ず何回か使ってやるからね。……そら、今度は前の方も清めなさい!」
 尻が動き、押しつけられたクレバスを舌で舐め上げると、アンモニヤの臭いに酸味が混り、
ねっとりとした舌ざわりの分秘物が口に入ります。
 その内、ようやく彼女の尻が上がり、解放されました。
「何時まで寝てるの? アラ、顔中ベトベトね。臭いわよ。……下へ行って、顔を洗ってらっ
しゃい」
 茫然として、横たわったまゝになっていた私は、彼女の言葉にハッと夢から醒める思いで、
身を起しました。
 顔を洗い、何回も、うがいをしたものゝ、美代子の尻に蹂躙された心の傷は、たやすく流せ
るものではありません。
 部屋に戻った私は、美代子と正夫の前に正座させられました。
「私達の計画のこと、もう話してやっていゝかしら?」
「そうだな。これだけ嬲られて、おとなしくなってるんだから、話した方が諦めがつくかも知
れないな」
 二人の意味有り気な会話の後、美代子が、ニヤニヤしながら私に向き直りました。
「実はね、お前が盗んだパンティね、あれは餌だったの。……フフフ、正夫さんのアイディ
アで、罠を掛けたのよ」
「美代子さんが痔の気があるんで、便器からお湯の出てくる、……ホラ、あのウオシュレット
とか言うのを買いたいって相談を受けたのさ。それも排便の後だけじゃなくって、毎月何回か
お湯でマッサージすると言うんだ。調べて見ると随分高いのさ。……それで、たまたま立ち読
みしていたSM雑誌からヒントを得たんだ」
「正男さんの話だと、女にいじめられて興奮するマゾの男なら、命令すれば私のお尻だって舐
める筈だと言うのよ。……でも、まさか広告を出して募集するわけにもいかないでしょう。…
…ところがマゾ男なら、必ず、女のパンティを欲しがるはずだと言うので、試してみたの。
……そしたら、大成功。……お前は、自分はマゾじゃないって言うかもしれないけれど、今の
私のお尻の舐めっぷりを見たら、マゾの素質充分よ。……いいこと、たった今から、私の奴隷
になりなさい! そのうち、私になぶられるのがお前の喜びになるまで、うんと仕込んであげ
るわ」
 二人の話は、私にとって気の遠くなる様な強烈なショックでした。
 何と言うことでしょう。私は、二人の仕掛けた罠に掛かった哀れな犠牲者だったのです。
 しかし、もう逃れるすべの無いことは、私にも良く判りました。
 思わず手を前について、がっくり首を垂れると、涙がポロポロ流れました。
 こうしてその日から、美代子の思いのまゝになる奴隷としての、私の新しい生活が始まった
のです。
 ところで、その翌日、初めて彼女のトイレットペーパー役をさせられた時の口惜しさ、情け
なさは今でも忘れません。
 まず、洋式便器に座った彼女の前に四つん這いにされ、足の裏を舐めさせられたのです。
「どおお? お味は如何が? アラ、しょっぱいの、フフフ。……でも、もうじきもっと違っ
た味を経験するのよ。……アラッ、顔が真っ赤よ。やっぱり恥ずかしいのね。無理ないわぁ、
男のくせに、女のトイレの後を、それも舌で清めさせられるんですものね。……サー、終った
わ。そこへ仰向けに寝るのよ」
 洗面所に通ずる戸を開けてスペースを拡げると、私はタイル張りの狭い空間に、便器を股に
挟む様にして、仰向けにさせられます。
 胸の動悸が早鐘の様に打っていました。
 便器から腰を上げ、股を開き気味に中腰になって私の顔を跨いだ美代子は、意地悪げな笑み
を含んだ表情で、軽蔑の光を湛えた眼差を私に注ぎます。
 彼女の腰がスッと降り、尻が、私の目の前でピタリと止まりました。
 クレバスにべったりと褐色の糊が付着しているのが見え、プンと異臭が鼻を突きます。
「お前が口にするものを良く見ておくのよ。フフフ、お前は私の豚になるの。……ホラ、舌を
出して、まず前の方から清めるの!」
 クレバスが、ぐっと唇に迫ります。
 懸命に延ばした舌に、強い塩気を含んだ汚水にまみれた肉襞が触れました。
 表面を拭う様に舌を動かすと同時に、唇をすぼめてチューっと吸います。
 と、尻が前に移動し、今度は黄金色の糊が舌先にまとい付き、ピリッと刺激のある味が舌を
刺しました。それが溶けて、口中一杯に強い澁味と苦味を拡げました。
 フフフ、と美代子の満足げな笑い声が耳に入り、忘れていた屈辱感を呼び起します。
 不潔感を必死でこらえて、糊を舌で拭い取り、口中で溶かして飲込みました。
 やがて、周囲が清められ、ピンク色のアヌスが姿を見せると、今まで浮かされていた尻が、
じわりと私の顔面に押し付けられ、昨日と同様の舌マッサージを強要します。
 こうして完全に美代子に征服された私は、それから卒業するまでの三年近い月日を、通学の
傍ら美代子の奴隷として過ごしたのです。
 気まぐれな美代子は、彼が机に向かっている時でも、そっと近ずくと髪を掴んで後へ引き倒
し顔に跨がります。
 また、やがてアヌスだけでなく、クレバスへの舌奉仕も要求される様になり、顔中が美代子
の粘液にまみれる毎日が続きました。
 今は遠くなった、あの刺激と屈辱に満ちた日々……それは私の脳裏に、まだ昨日の事の様に
焼き付いているのです。
(完)
-----------------------------------------------------------
1984年10月スピリッツ増刊号
(スレイブ通信10号に再掲載)
-----------------------------------------------------------

2010/08/17