043-#43転落のアリバイ(奴隷犬への凋落)(後編)
阿部譲二
二年前に妻を亡くした作家の男が愛人の殺人事件に巻き込まれそうになり、グラマーな美女の姪にアリバイへの協力を頼む。彼女は承知したものの条件があると宣言。警察の疑いが晴れた後、再び現れた彼女は彼に舌奉仕を要求し、小水まで飲ます。しかもそれ以来、彼女が発行した「奴隷使用券」を持参して彼を訪れ、舌奉仕を要求する女性が急増した。 |
十歳下の若い女子大生の姪、藤島京子に、殺人事件の
アリバイを頼んだばかりに、作家の萩原浩一はその本性
を暴かれて、彼女の奴隷に転落してしまった。
ホテルに篭って雑誌の原稿を書き上げた萩原は、再び
自分のマンションでのひとり暮しに戻ったが、それは、
最早、以前の様な平穏無事な生活ではなかった。
最低週に一回は京子がやって来て、彼女のセックスへ
の舌奉仕を求める。それも、ことごとに、浩一に奴隷と
しての屈従を強いるやり方だった。
「私ね、ついこの間まで、お前を叔父様と呼んで、永年
の間、年長の親戚として付合ってたでしょう。……だか
ら、先ず、お前が私の奴隷だというイメージを、しっか
り頭に叩き込みたいの。……それには、それ相応の行為
……と言うより儀式が要るのよ。……お前が、私の前に
這いつくばって足の裏を舐めたり、お尻の下でもがきな
がら舌奉仕するのを見てると、今やお前は、私の意志の
まゝに翻弄される奴隷だって、実感出来るの」
「……………………」
「お前だってさ、こうやって私に辱められ嬲られて初め
て、私を今までの姪じゃなくって、自分に君臨する主人
として認識するんじゃなくって?……フフフッ」
ソファーに身を沈めた京子は、目の前の床に跪く浩一
の顔を足裏で撫でながら嘲笑する。
女の足を顔に受ける浩一は、唇を固く結び、表情には
口惜しさが溢れていた。
普段は快活で優しい京子に、こうした粘液質な意地悪
さがあるとは、全く意外である。
しかし、鼠を嬲る猫が次第に熱中して行く様に、京子
も、浩一をこうして目の前に跪かせ四つ這いにさせて、
言葉で散々嘲弄している内に、次第に欲情して来る様子
だった。
京子の足の踵が浩一の頚の後ろに掛かり、グイとその
顔を自分の股間に引き寄せる。
スカートの下で開く白いパンティー。
そして、それに包まれたふくよかな会陰が目の前に迫
ると、浩一の嗅覚を、饐えた女の性臭が鋭く刺激した。
生理が近いとみえて、パンティーにはクレバスに沿っ
て黄色い泌みがベットリと浮き出している。
京子の踵が彼の鼻をその部分にピッタリと押し付け、
そのムーッとする異臭を存分に嗅がせて、浩一の理性を
痺れさせた。
それは、網に掛かった虫に、蜘蛛が毒液を注射して身
体の自由を奪うのに似ている。
浩一を女の性具に落す序曲として、先ず、男の本能に
潜む自尊心や羞恥心を麻痺させる必要があった。
「お舐め。……何時もの様に心をこめて奉仕するのよ」
浩一の顔を撫でる様にしてパンティーがめくられ、濃
い目の恥毛にガードされたクレバスの柔肉が、湿りを帯
びて彼の唇に触れた。
京子の好むクリトリスへの刺激には段階がある。
最初は、舌の先で軽く転がす様に舐め、次第に強さを
増すと同時に下からゆっくりと舐め上げる。
気分が高まり、ネバネバした陰液が分秘され出した時
分に、わざとじらす様に横のラビアに舌を移し、暫くし
て頃合をみて再びクリトリスに戻る。
今度はその部分を包み込む様にして、一気に舐め込み
頂点をめざす。そして、達した後はアヌスに舌を移し、
暫くの間、菊座を刺激しながら、膣から流れ出る陰液を
啜るのである。
これを少なくとも三回は繰り返させられる。
場合によっては、ベッドに場所を移して、延々と奉仕
の続行を要求された。
勿論、奴隷には正常な性行為は許されず、唯ひたすら
奉仕に徹する様に命令される。
浩一にとって、京子に、こうした細かいテクニックを
仕込まれること自体、屈辱以外の何ものでもなかった。
「そう、そこよ。……ウウン、そうじゃないわ。もっと
弱くするのよ。……違うったら。こいつ!」
京子は、四つ這いで懸命に奉仕する浩一の背を、手に
持った革鞭で打ち据える。
ズキーンと背筋を走る痛みをこらえながら、休まず舌
を動かす彼の目には、何時しか涙が溢れていた。
女に鞭打たれながら、その股間への舌奉仕を仕込まれ
る。……それは、男にとって耐え難い屈辱である。
こうして数ケ月が経つと、二人の間で、京子の態度は
目にみえて横柄になり、反面、浩一のそれは、めっきり
卑屈になって行った。
銀座のバーのホステス、マリが殺害された事件は、そ
の頃には世間からは、すっかり忘れられていたが、警察
での捜査は依然続行されているとみえ、萩原浩一の許へ
も、追加の証言を求める刑事の訪問があった。
彼のその夜のアリバイに、疑いを持たれている様子は
一切無かったが、何となく無気味である。
マリの馴染み客のひとりとして、犯人が逮捕されるま
では、彼のアリバイを証言してくれる京子にすがって、
類の及ぶのを避けるしかなかった。
そうした浩一の弱味につけ込む様に、彼に対する京子
の要求は、次第にエスカレートして行く。
或る日のこと、萩原のマンションを訪れた、見知らぬ
三人の女子学生があった。
京子のクラスメートと名乗る三人を居間に招じ入れた
浩一は、彼女等がそれぞれ手にしたチケットなるものを
見せられて、文字通り仰天した。
年末に良く見掛けるパーティー券に似た体裁で、色付
きの厚手の紙にワープロで打たれた表題文字には、まず
奴隷使用券≠ニある。
続いて、このチケットの持参者は、藤島京子の所有
である萩原浩一を、約一時間、奴隷として自由に使用す
ることが出来る≠ニあった。
その下に註記として、もしトラブルがあった場合は
次の電話番号に連絡のこと≠ニある。
もしやと萩原が、震える指でその番号をダイヤルする
と、京子が電話口に出た。
「アーラ、もう客がそちらへ行ったの?……フフフッ、
驚いた?……そう、そのチケットは私が作って発行した
のよ。勿論、お金を頂いたわ。……だから、そのチケッ
トの所持者は、言わばお前のお客様よ。……粗相の無い
様に、奉仕しなさい」
「で、でも……そ、そんな、無茶な……」
「何が無茶よ。……奴隷の分際で、主人の私に反抗しよ
うって言うの?」
「でも、あんまり突然で……」
「ちゃんと予告しておいたじゃないの。……ホラ、お前
のアリバイに協力する最後の条件、それがこの奴隷使用
券よ。……今更、いやだとは言わせないわよ!」
受話器の中から流れる京子の声には、有無を言わせぬ
強い調子がこもっていた。
ことの余りに意外な展開に茫然として、女子学生達の
前に戻った浩一に、三人は次々と話し掛ける。
「話はついたの?……そう、それじゃこの奴隷使用券を
使っていゝのね」
「格好つけて、電話までしてさ。……あんた、京子の奴
隷なんだろう?」
「高いお金出してチケット買ったんだから、たっぷりと
サービスしてよネ」
初対面の女達は、気後れもせず、口々にズケズケと言
い放った。
一方、京子以外の女性に奉仕することなど、これまで
考えもしなかった浩一は、この場に及んでもふん切りが
つかない。
座ったまゝ黙りこくっている浩一を、女達はじれった
そうに見やりながら、口火を切った。
「どうしたんだい?……そうか、奴隷には命令が必要な
んだね。……ソラ、そこの床に手を付いて、四つん這い
になって御覧!」
「ホーラ、やればちゃんと出来るじゃないか。……そこ
で、三辺回ってワンと言って御覧」
「そうそう、それからチンチンして!……プーッ、あん
た、本当に犬そっくりだよ」
彼女等に言われるまゝに犬真似をする浩一に、一人が
噴き出すと、続いて女達の爆笑が浴びせられた。
浩一の顔は真赤である。
「じゃあ、順番を決めようか。……そうだ、面白いやり
かたがあるわ」
女達は、お互いに耳打ちをすると、クスクス笑いなが
ら、一斉に腰を浮かしてパンティーを脱ぐ。
ひとりが、三人分のパンティーを集めて、ひと塊りに
すると、ポンと浩一の目の前の床に抛った。
「あんたに順番を決めさせてやるよ。……ソラ、その中
から最初の人を選びな。……バーカ、お前、犬だろう?
口でやるんだよ。口で!」
四つ這いになって、三枚のうちのひとつを口にくわえ
た浩一に、次の指示がとぶ。
「その臭いをよく嗅いで。……そうそう。……今度は、
私達のおしもを嗅いで、それが誰のか当てるんだよ。…
…クックックッ」
女達のおかしそうな笑い声。
それは、浩一にとって、文字通り血が煮えたぎるほど
の屈辱だった。
目も眩む思いで、パンティーを鼻に当てゝ股間の当た
る部分の臭いを嗅ぐ。
そしてノロノロと女達の傍に這い寄り、そのスカート
の中に顔を入れた。
「キャーッ。……こいつ、ヘンターイ!」
けたたましい女の声に、皆の笑いが一斉に弾ける。
女は両足をソファーに上げて大きく股を開くと、浩一
の髪を掴んで、その顔を股間に押し当てた。
「オーオー、可哀そうに。臭いにおいを嗅がされて……
よかったら舐めてもいゝんだよ。フフフッ」
「アラ、舐めさせるのは、後のお楽しみよ。……今は、
におい専門。サアよく嗅ぐのよ。……クンクンってね」
頭の上から、浩一を嘲弄する女達の声が降る。
パンティーを脱いだ後の女のクレバスからムッと性臭
が鼻を突き、縮れた天然の繊維が彼の目を覆った。
口惜しさを懸命に抑え、心を鎮めながら、先程のパン
ティーとにおいを比較する。
その屈辱の儀式が、外の二人の女達についても、同様
に繰返された。
「こ、このパンティーは……この方の……ものだと思い
ます……」
微かなにおいの差を何とか感知して、浩一は、先程の
パンティーをくわえて、女のひとりの前に四つ這いで歩
み寄る。
「アラーその通りだわ。……あんた、犬の素質充分よ。
……御褒美上げるから、口を開けて!」
浩一は、素直にパンティーを床に落して、四つ這いの
まゝ上を向いて口を開けた。
その上に覆い被さる様に近付いた女の顔が、笑いなが
ら口をすぼめ、浩一の口の中へ、いきなりペッと大量の
唾を吐き込む。
生暖かい女の唾を口一杯に受け、浩一の顔が無念さに
ひきつった。
それを見守る女達の表情には、蔑みと侮りの色がはっ
きりと浮かんでいる。
それから三時間余り、寝室のベッドの上で、浩一は、
女達の股間に顔を挟まれ、ひとり一時間の割で、ひたす
ら舌奉仕を強いられたのである。
その翌日、彼のマンションを訪れた京子に、浩一は、
涙ながらに訴えた。
「ひ、ひどいじゃないか。……京子さんに対してなら、
ぼ、ぼくは奴隷にされたっていい。……で、でも、外の
女達に、あんな目に会わされるなんて……ぼくは、口惜
しくって昨晩一睡も出来なかった!」
京子は、いきなり目の前にうずくまる浩一の顔に足の
裏を当て、ぐいと蹴る。
無様に後へひっくり返る浩一。
その上から京子の声が、厳しく響いた。
「甘えるんじゃないよ。……奴隷っていうのはね、主人
の命令には絶対服従。それも無条件でよ。……私が命令
すれば、相手がよその女だろうが男だろうが、お前は、
どんなことでもするのよ」
「………………」
「お前が、今みたいな口を私にきくところを見ると、未
だ奴隷になり切ってないようね。……いいわ。いずれは
と思っていたんだけど、この機会にはっきりさせるわ」
京子は、何時もの様に浩一を組敷くと、その顔の上に
尻を据えた。
何時の間にかパンティーは脱ぎ捨てられている。
「バカ! 誰が舌奉仕を始めろと言ったの?」
反射的に、舌をクレバスに這わせようとした浩一を、
京子は厳しくたしなめた。
「それは後回しよ。……今日はね、お前に奴隷の身分を
はっきり認識させてやるわ。……ホラ、口を開けて!」
京子は、浩一の口に局部を当てがうや、ゆっくりと筋
肉を弛緩させた。
彼女の意志を、おぼろげに読み取った浩一は、一瞬、
パニック状態に陥ったが、男の顎にしっかりと重心を
掛けた京子の股間は微動だにしない。
浩一が心の中で、祈る様にまさか≠ニ思い続ける内
に、京子の股間からは、臭気のある汚水が男の口中に注
がれ始めた。
「飲みなさい!……こぼさない様に全部飲むのよ」
京子の叱咤につられて、浩一の咽喉が大きく開く。
ゴクリと音を立てゝ、汚水が彼の胃の腑に吸い込まれ
た瞬間、京子の表情に満足の色が浮かんだ。
汚水の流れはその後も続き、浩一の咽喉は鳴りっぱな
しになる。
女の小水を飲まされる屈辱が、実感としてドーッと波
の様に高まって浩一の心に押し寄せたのは、すべてを飲
み終った後、京子の軽蔑の視線を浴び、舌での後始末を
命ぜられた時だった。
ピチャッピチャッと音を立てゝ動く男の舌が、何時し
か、女のセックスへの奉仕に移行して行く。
浩一の顔の上で、トローっとした粘液を分秘し始めた
女のクレバスが、勝誇った様に、彼の顔の上に何度も何
度も押付けられ、無言の内に彼の転落を宣言していた。
それ以来、浩一は、京子のペットとしてのセックス奴
隷の役割に加えて、その隷属の度合を高めるため、彼女
の便器として卑しめられる様になる。
もう二度と奴隷使用券≠ニ題するチケットへの苦情
は言えなくなり、京子の発行する、そのチケットを持っ
て浩一のマンションを訪れる客には、絶対服従を強いら
れた。
しかも、そのチケットの枚数は次第に増加し、その内
容も、便器として使用可≠ニか鞭打ち可≠ニか註釈
が付く様になる。
その内、浩一にとって、その人格が決定的に破壊され
る程のダメージを受ける日がやって来たのである。
或る晩、何時になく晩い時間に、浩一のマンションの
ベルが鳴った。
ドアを開けた彼の前に、京子が若い男を伴なって立っ
ている。怪訝な顔の浩一に、京子はデートの帰りだと説
明した。
しかし、浩一を仰天させたことには、京子が、自分達
はラブホテルへ行く代りに、こゝへ来たと言い、そして
あろうことか、浩一に自分達のセックスの慰み物として
奉仕しろと命じたのである。
「こいつはね、私の奴隷。……昔は私の叔父だったけど
今では私のオシッコだって飲むのよ。……勿論、私の命
令には、どんなことでも絶対服従するわ」
京子は、誇らしげに男に言う。
男はニヤニヤ笑いながら、京子にヒソヒソと囁いた。
京子も、それを聞いてニヤッと笑う。
浩一の胸に悪い予感が走った。
「浩一、お前、この人に奴隷として認めて貰うために、
何か、うんと軽蔑される様なことをやって御覧。……そ
う、私達の前でお前が生恥を曝す様なことがいゝわ」
「………………」
「そうだわ。お前、この人のおしもを舌で清めなさい。
……勿論、前も後ろもよ。……ホレ、跪いてお願いする
のよ。クックックッ」
それは、残酷な命令だった。
京子の目の前で、そのボーイフレンドの前に跪いて、
汚辱の行為を懇願するのである。
浩一は、激しい屈辱で目が眩んだ。
「ど、どうか……お、おしもを舐めさせて……下さい」
きれぎれに咽喉の奥からやっと声が出る。
男はズボンを脱いでブリーフ一枚になると、浩一の前
に立った。
「ホラ、舐めたかったら、まずこの臭いを嗅いでみな。
……それから、お前の歯でこの下穿きを脱がすんだ」
男は、浩一の方に尻を向ける。
口惜しさに身体をブルブル震わせながら、浩一はやっ
とのことで、その尻割れに顔を当てた。
ツーンと悪臭が鼻に入る。
「ホラ、今度はこっちよ。……においを較べて御覧」
横から京子がパンティーに包まれた尻を突き出す。
言われるまゝに、浩一は、今度は京子の尻を嗅いだ。
「こいつは傑作だ。……オイ、今度は味を較べるんだ。
……ソラ、早くしろ!」
二人の下穿きをやっとのことで歯で引き下すと、浩一
は、今度は二人の股間に交互に舌を這わせて汚れを舐め
とる。
「オイ、二人のケツの味を較べてみろ。……そう、そう
だ。……どうだ、味の違いが判るか? フフフ」
「浩一、どうなの?……私達にこうして嬲られて口惜し
い? クックックッ」
やがて、二人は抱き合ったまゝ浩一の顔を尻に敷いて
セックスに入った。
そして、命じられるまゝに、その二人の結合する性器
の部分を懸命に舐め続ける浩一。
彼は、その後、奴隷として二人の行為の後始末を舌で
させられる。そして、最後に仰向けのまゝプラスチック
の漏戸を口にくわえさせられた。
その漏戸の中に、二人は抱き合ったまゝ同時に放尿す
る。そのミックス・ジュースを咽喉を鳴らして飲む浩一
に、二人の軽蔑の笑いが浴びせられるのだった。
(完)
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1990年7月スピリッツ7,8月号
(スレイブ通信42号に再掲載)
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2010/07/31