#48転落の留学生(後編……Falling Student abroad)
阿部譲二
日本から中近東に留学して考古学を専攻していた男がイスラエルとシリアの紛争に巻き込まれ投獄される。報復のためイスラエルの女兵士達に連日嬲り者にされ舌をトイレットペーパーとして使われ舌奉仕を強制される。日本大使館に訴えて国際問題にするとの抗議が災いしてサウジアラビヤのハーレムの奴隷に売られ、サルタンの性奴隷に落とされる。 |
中東のシリアの大学に留学して考古学を専攻していた島野光彦、
二十四才は、イスラエルとシリアの交換学生十五名の中に入れられ
て、イスラエルの旧都テルアビブで研究中、両国間の紛争に巻き込
まれてしまう。
パスポート不所持の彼は、日本人であることを証明出来ず、シリ
ア人としてイスラエル女性兵士の報復を受けることになり、二週間
の間、犬の様に兵舎に繋がれて、様々な屈辱を味あわされた。
ボトムキスに始まる辱めは、女性性器に対する舌奉仕、そして、
トイレットペーパー代りに舌で女性兵士達の局所を清めるオゾマし
い作業に発展する。
更に、犬の首輪を嵌められ、兵舎のトイレの入口に四つ這いで繋
がれた島野は、一時間に最低一回の割で、彼女等の小水を口にさせ
られたのである。
反抗して男根を踏み潰された学生を目のあたりにして、恐怖に駈
られた島野は、極度の屈辱に身を震なせながら、彼女等に蹂躙され
るのだった。
まるで二年にも感じられた約束の二週間が、明日で終るという日
の夕方のことである。
突然、四つ這いのまゝ本部の一室に連行された彼の前に、見覚え
のある係官が姿を見せた。
忘れもせぬ、島野が、自分は日本人だと訴えて、日本大使館宛の
書簡を託した相手である。
驚いたことに、漸く今になって、彼の訴えが認められて明日の朝
に、彼の身柄を日本大使館に引き渡すことになったという。
カーッとなった島野は、二週間の期間が明日で満了する今となっ
ては、全てが手遅れであること。……そして、この二週間で彼が受
けた筆舌に尽し難い苦難に対し、日本大使館からイスラエル政府に
厳重に抗議して、その責任者を処罰してもらうことになろう。……
といった意味のことを、顔を真っ赤にして怒鳴った。
予想外の島野の剣幕に驚いた係官は、狼狽して彼を宥めようとし
たが、効果の無いことを覚ると、上司と相談すると言ってアタフタ
と席を外した。
その晩、本部の一室に泊められた島野は、衣服を着けることを許
され、女兵士達へのオゾマしい奉仕からも解放されて、久し振りで
自由を満喫する。
翌朝、ひとり兵員輸送車に乗せられた彼は、埃っぽい未舗装路を
一路、日本大使館へ向かった。
所が、もうそろそろテルアビブの街が見えても良いと思われる頃
になっても、車の前方には荒れはてた平原が広がるばかりである。
不安に駈られた島野が、運転手に確めようとしても、運転席との
間のガラス窓は固定されていて、声も届かなかった。
そう言えば、日本大使館に身柄を渡すにしては、彼の頚に付けら
れた首輪も鎖もそのまゝで、如何にも不自然である。
自分で首輪を外そうと試みてみたが、鎖共々錠が掛けられていて
ビクともしなかった。
それに兵員輸送車のコンパートメントは、現金輸送車に似た密室
構造である。そして後方のドアは、外からしか開かぬ構造になって
いて、脱出も不可能だった。
どうとでもなれ!……と諦めて、床に寝そべってまどろむ内に、
彼は何時しか深い眠りに落ちてしまった。
「オイ、起きろ! 着いたぞ!」
声と同時に身体を揺すられ、眠い目を擦りながら身を起すと、あ
たりは既に夕闇に包まれている。
後で判ったことだが、車は既に国境を越えて、遥かサウジアラビ
アの領土内に入っていたのだった。
助手席に座っていた兵士に促されて、車から降り立つと、そこは
明々と照明された巨大な宮殿の前であった。
「こ、こゝは何処だ!…こりゃ何かの間違いじゃないか?……僕は
日本大使館へ送られる筈なんだ!」
島野の喚き声には一切とりあわず、兵士は島野の頚の鎖を掴むと
強引に宮殿の中へ彼を曳き入れた。
屈強の警備兵で守られた門を潜ると、そこには多数の篝火で照ら
された広大な中庭が広がっている。
鎖を曳かれながら正面の建物の中に入り、幾つもの扉をこえて、
やっと行き着いた先は、目も眩むばかりの豊富な色彩が溢れた大広
間だった。
広間の中央には、大きな噴水が照明に照らされて華かに浮き上り
周囲に配置された豪華な調度品とマッチして、まるで夢の様な雰囲
気を醸し出している。
そう、それは、あのアラビアンナイトに出て来る宮殿のイメージ
そっくりだった。
広間に通じる幾つかの小部屋のひとつに入ると、そこは居心地の
良さそうな寝室兼居間になっていて、歳の頃、二十代半ばの若い女
が島野達を出迎える。
兵士は、その女に鎖の端を渡すと、島野に向かって服を脱ぐ様に
命じた。
事情がさっぱり判らず、胸も潰れんばかりの不安に駈られている
島野は、それどころではない。第一、見知らぬ若い女性……それも
可成りの美人……の前で裸になることなど出来る筈もなかった。
兵士の方を振り返って、抗議しかけた時である。
背後でピシッと音がして、途端に背中に焼け火箸を当てられた様
な痛みが走った。
びっくりして振り向くと、女が鞭を振りかざしている。
ピシッ、と今度は頚から胸にかけて第二撃が加えられた。
薄い衣服の上からだが、それは骨身にこたえる痛さである。
「脱ぎなさい!……言われた通りにするのよ」
女の声が凛と響く。
動転した島野は、慌てゝ衣服を脱ぎ素裸になった。
兵士は、女から渡された革手錠で島野の両手を後手に拘束すると
一礼して部屋から出て行った。
「こゝでは、お前の身分は奴隷=c…大金を出して買ったんだか
ら、面倒を掛けない様におとなしくするんだよ!」
鞭を片手に下げた女の顔は、ボーッと上気して、うっとりする程
なまめかしい。
「な、なんだって!……奴隷だとか、金で買ったとか……そりゃ、
一体何のことだ!」
島野の頭は、文字通り混乱の極に達していた。
「イスラエルの奴隷商人から、正規の手続きを踏んでお前を手に入
れたんだから、文句を言われる筋合は無いよ。……ホラ、これが、
売渡し証書さ。そして、もう一枚のこれが、お前を十年間の懲役に
処し重労働に服役させると言う判決書。……イスラエル軍部の軍事
法廷が発行した公文書だから、この国でも有効さ。……もっとも、
この国では重労働の代りに、十年間お前を奴隷として使うことにな
るけどね」
女の説明で、島野は初めて自分が容易ならぬ罠に陥れられたこと
に気付いた。
あのイスラエルの係官は、島野が、政府に掛け合って責任者を処
罰してもらうと言い張ったため、累が身に及ぶことを恐れる余り、
島野を陥れて十年の懲役刑を課し、その口を封じようとしたのに違
いなかった。
それにしても、この異郷で十年間も奴隷として使われるとは!
島野は泣くに泣けぬ思いだった。
日本大使館が駄目なら、せめて最寄の警察に連絡して、冤罪を晴
らす機会を与えて欲しいと懇願したが、女は本気でとり合おうとも
せず冷たく首を振るばかりである。
哀れにも島野は、到々この宮殿で奴隷としての生活を送る羽目に
なってしまった。
サウジアラビアの各地には、今でも昔からの豪族が宮殿を構え、
信じられぬ程の豪勢な生活を送っている。
蓄積された巨大な富に飽かせて建てられた宮殿は、文字通り贅の
限りを尽くした豪華なものだった。
昔からの一夫多妻制度は未だに健在で、これ等の宮殿には、必ず
サルタンと呼ばれる君主とその子息達のために、多数の女達を擁す
る広大なハーレムが設けられていた。
島野が連れ込まれた所は、実は、そのハーレムであり、彼を鞭打
った女は、サルタンの息子の第一夫人だったのである。
老齢のサルタンの後継者である息子の第一夫人と言えば、ハーレ
ムでは権勢並ぶ者の無い実力者であり、事実上ハーレムを取り仕切
る立場にある。
島野は、彼女の奴隷として、奴隷に相応しい所作を身に着けるた
め、彼女自らの調教を受けることとなった。
依然として彼は、鎖の付いた首輪を嵌められた全裸の姿で、両手
は革手錠でしっかりと後手に拘束されている。
犬の様に首の鎖を曳かれ、女主人に裸の背や尻を鞭打たれながら
の調教は、島野にとってイスラエルの女兵士に依る辱めに匹敵する
苦行であった。
ただ苦行と言っても、肉体的な重労働を課せられる訳ではない。
人間性を剥奪して、奴隷に相応しい卑屈さと、下等動物並の賎し
さを心の底に植え付けるため、毎日、繰り返し繰り返し卑しめられ
るのである。
最初に仕込まれたのが、女主人の尻臭を嗅ぎ分ける芸だった。
多くの女の召使い達の前で、女主人の前に跪き、笑いながら突き
出された豊満な尻に自ら進んで顔を押し当てる。
召使いの女達のクスクス笑いを耳にしながら、無念さを押し殺し
てパンティーに包まれた尻割れに鼻を突込み、饐えた尻臭を嗅ぎ、
その臭いを頭に刻み込む作業は、彼の男としての誇りを打ち砕き、
軽蔑すべき卑しい奴隷としての身分を、痛い程その心に焼き付けた
のだった。
その後で、召使いの女達のひとりひとりに、土下座して尻臭を嗅
がせて貰い、女主人のそれとの違いを覚えねばならない。
軽蔑を露わにして尻を向ける女達……そして、時にはガスをまと
もに吸わされ、手足を震わせて口惜しがる島野に浴びせられる女達
の爆笑……それは、彼の心を文字通りズタズタに切り刻んだ。
アラブの女達は一日に一回、就寝前に水浴するが、伝統的に石鹸
は使わない。
ただでさえ体臭の強い民族が、高温多湿の環境で過すのである。
しかも、永年の習慣で、トイレの後は軽く紙を押し当てて局部の
汚れを拭うだけだった。
その饐えた尻臭は、女の性臭とミックスして、思わず頭がクラク
ラする程強烈である。
それだけに、女達の尻臭の個人差を嗅ぎ分けるには、島野にとっ
て可成の努力と時間を要した。
しかし、気の遠くなる程の屈辱の繰返しと、鞭の痛さを散々味わ
った後、彼は漸くこの恥ずべき芸を身に付けたのだった。
客の前で、女主人に強制されてこの芸を披露する彼に、皆から嘲
笑が浴びせられ、軽蔑の視線が突刺さる。
卑しめぬかれた島野の心には、それが、最早自分の身分に当然の
ことと思える様に成っていた。
そして、女主人の調教は、次の段階に進む。
島野が次に命じられたのは、彼女のトイレの後を舌で清めること
だった。
このオゾマシい作業は、島野にとってイスラエルの女兵士達に、
短期間ではあるが既に経験させられたことである。
しかし、こゝでは、前と比較にならぬ程、時間を掛け心を込めた
丁寧な舌遣いが要求された。
それだけに、よりじっくりと屈辱感を満喫させられ、奴隷の身分
への転落を実感させられるのだった。
女のポッテリした豊満な臀部を顔の上に押し頂き、不潔感に苛ま
されつゝ異臭漂うクレバスに舌を這わせながら、島野は心から自分
の悲運を呪わざるを得ない。
女主人の満足するまで時間を掛けて仕込まれた島野は、やがて、
ハーレムの住人である他の女達、そして遂には使用人である女中達
にまで、その舌をトイレットペーパーとして使われる様になった。
どこの国でも、女性の心の奥のどこかには、弱者をいたぶる残忍
さが蛇の様に潜んでいると見える。
エキゾチックなグラマー揃いのアラブの女達も例外ではない。
島野が屈辱に身を震わせているのを見て取ると、彼の顔の上で、
これ見よがしに尻を押し開き、アヌスの奥深く舌先を差し込んで、
残滓を清める様に命じる。
時には、その瞬間を見計らって力み、舌を差し伸べる男の口の中
へ、直腸に残っていた最後の塊りを送り込む女さえあった。
思わず洩らす彼の悲鳴を押し殺す様に、女の尻が彼の顔を圧し、
島野の意識を汚辱の底に沈めてしまう。
そして、最後には、みじめに穢された彼の顔をシゲシゲと覗き込
んで、蔑みの嘲笑を浴びせるのだった。
際限無く続く汚辱の毎日。
そして、島野の心からは人間らしさが消え、辱めを当然のことと
して受入れる様になる。……そして、身も心も賎しい奴隷として、
改造されて行ったのである。
「お前、この頃、すっかり変ったね。……フフフ、卑しい奴隷根性
がすっかり身に泌み込んだのさ。……そろそろ、お前を私達の夜の
慰み物にする時が来た様だね」
女主人は、足元に這いつくばう島野に冷たい視線を当てながら、
低く呟いた。
島野の皮手錠で拘束された手首と両肩が、未知の新たな調教を予
感して、恐怖にブルッと震える。
しかし、最早彼には女主人に反抗する気力すら無かった。
アラブの王族の男達は、ハーレムに多くの女を囲うだけあって、
性豪が多い。……と言うより、血縁の子孫を増やして一族の勢力を
伸ばすためには、セックスに強いことが必須とされていた。
食事からして、精力の付く料理が主体である。
ホルモンを多量に含む鹿の睾丸や、スッポンの生血を常食とする
アラブの若い王族達は、一種の義務として日夜セックスに励んだの
だった。
それだけに、セックスを円滑にし、刺激を新たにするために、行
為の補助役として奴隷を使うことは公然の事実だったのである。
補助役と言っても、勿論、人格が認められる訳では無い。
あくまでも道具として、その舌でシモの刺激をさせるのである。
哀れにも、島野はその夜から、女主人とサルタンの息子とのセッ
クスの道具として使われることになった。
前戯として抱き合って唇を重ねる二人の股間で、男と女の性器を
舌で刺激して興奮を高めるのが序の口である。
やがて、彼の顔の上で挿入が行われ、ピストン運動が始まると、
島野はその結合部に唇を寄せ、舌の刺激を続ける。
男根を吸い込む女陰の縁から洩れるネバネバした粘液は、寝床を
汚さぬ様にすべて吸い取らねばならなかった。
そして、男の腰が痙攣しながらの射精。
結合を解く二人の局所からは、ドーッと精液が流れ出す。
それを、一滴たりとも残さぬ様に吸い取らされる時のみじめさ!
二人の身体の下で、島野の目は、到々男女のセックスのシモ奴隷
にまで落された無念さで真っ赤に充血していた。
その後も、女主人の股間にしっかりと顔を挟まれ、延々と長時間
にわたる後戯の舌奉仕が続く。
その内に、再び高まりを見せた男のものを吸わされ、女の身体が
覆い被さって、セカンドラウンドが始まるのだった。
合間には、トイレ代りに二人の小水まで飲まされる始末である。
こうして奈落の底に落された島野の地獄の生活が、転落の人生が
何時果てるとも無く続くのだった。
(完)
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1991年6月スピリッツ6,7月号
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2010/07/14