#11 1987/SM学園騒動始末(学生運動の果て)
                                   阿部譲二

大学内での宗教活動の対立から、相手の派閥グループに監禁されたリーダーの男が、去勢されたうえに手足の腱を切られ四つん這いでしか歩けなくされる。男の妻も捕らえられ、毎晩舞台の上のショーで黒人の男に犯される。男は相手の派閥リーダーの夫妻のセックスに毎夜舌奉仕させられ、果てはSMショーの舞台で黒人やストリッパー達の慰み者にされる。


 都心から少し外れた郊外にS大の文学部が移転して来て以来、既に十年余の歳月が経っ
ている。その後、教養学部と政治経済学部それに農学部が加わり、学生の数も千人を越え
ていた。
ひなびた田園風景は昔のまゝだが、緑のキャンパスの中に茶色の煉瓦造りを模した校舎が
点在し、正門の正面には未だ壁の色も真新しい講堂と時計台がある。
元々下町の一角を占めていたこの大学が移転に踏み切ったのは、医学部と工学部の拡張で
手狭に成ったのと、校舎の老朽化が甚だしかったためである。
地価の高騰のおかげで一部の敷地を処分しただけで、数倍の面積の替地を郊外に所得する
ことが出来たし、公立大学の限られた予算の範囲内ではあったが、元の残った敷地には立
派な医療施設と工学部の実験設備が設けられていた。
 この大学は、元来伝統的に学生運動が盛んで、成田空港建設の折には大勢の学生が地元
民支援に繰り出されたものだった。
ただ学内の急進派の主導権争いが幾つかのセクトを生み、やがて成田の騒動が治まると目
標を失った学生運動家達は、セクト間の抗争に神経を集中する様に成る。
そして約一年前に、急進派の筆頭、自称"中核派"のアジトを新興の"革正派"が襲撃し
て多数の重傷者を出して以来、険悪な雰囲気が漂っていた。
医学部の学生を中心に工学部の親派を加えた中核派は、自ら学生の手によるアングラ劇団
を組織し、下町の古い劇場にアジトを持っていた。元々ストリップの公演を続けている商
業劇場で、きわどい出し物で人気のあった所だが、劇場主の息子の荒木宏一がS大の医学
部学生でしかも中核派のリ―ダ―ということもあって、彼等学生のアングラ劇・・・セッ
クスを絡めた判り難い思想劇が多かったが・・・をストリップの合間に上演して目新しさ
を出していた。これが存外に当って、以来、中核派の演劇活動は今や同党派の活動資金源
として欠かせぬものと成っていたのである。こうした活動を学生運動の堕落ときめつけ、
攻撃の火の手を上げたのが、革命正道派、略して革正派と称する一派で、文学部講師の遠
山敏男をリ―ダ―として郊外の新キャンパスにある文学部図書館内の空室に拠点を置いて
いた。
遠山敏男、二十七才、は西欧革命思想史が専門で、独特の革命理論を持ち、そのラジカル
な主張と人を引きつける雄弁とで、急進思想を持つ学生達の信望を集めていた。
昨年春、講師に任命されるや、かねて恋仲だった同じ文学部の学生、政代と結婚し夫婦で
学生運動に没入していた。
下ぶくれのキュ―トな顔をした男好きのする美人で、背は高い方ではないが豊かな胸と大
きく張ったヒップが腰のくびれで強調され、中々のグラマ―である。
結婚直後の中核派攻撃の折には、政代も皆と同じ六角棒をかかえて参加し、見張役を務め
たのである。
襲撃は革正派の一方的な勝利に終り、不意を突かれた中核派の連中は、女子学生も含めて
完膚無き迄に六角棒で叩きのめされ、数人の入院治療者まで出した程だった。
アジトの劇場に出演していたストリッパ―が数人、とばっちりで軽傷を負ったのは全った
くのハプニングだったが、夏枯れでニュ―スの種に困っていたジャ―ナリズムに書き立て
られ、世間の注目を集めた。警察の介入もあって学内は騒然としたが、夜間の文字通り闇
討で結局犯人の検挙には至らず、事件はうやむやと成った。
しかし収まらないのは中核派の連中で、殊に右大腿部骨折の重傷を受けた荒木宏一の無念
さは、ひとしおだった。
しかも彼には、その後、軽くびっこを引く後遺症が残ったばかりか、入院のため中間テス
トが受けられず、外科医の国家試験も一年延期せざるを得なかったのである。
彼は暗闇の中で、遠山の"天ちゅうだ、覚悟しろ!"と言う声をはっきり聞いており、警
察の取調べでも主張したが、用心深い遠山の予め用意したアリバイを突き崩せず、涙を飲
んだのだった。
別室で寝ていた三人の女子学生も起出して来た所を、手心を加える事無く叩き伏せられ、
うち一人は頬に傷痕を残す重症だった。しかも、それが荒木宏一の婚約者、山元節子だっ
たから、彼としては革正派に執ようなまでの根深い恨みを抱くこととなったのである。
 以来、中核派は衰退の一途を辿り、狙い通り革正派の全盛と成る。リ―ダ―の遠山は得
意の絶頂にあった。
五月のメ―デ―を控え、大講堂で行なわれた学生運動春の決起大会で熱弁を揮った後、遠
山敏男は暗くなった夜道を一人で家路についていた。事件以来、報復を恐れて必ず何人か
連れ立って行動する事にしていた遠山だったが、一年余も経った今では全ったく警戒心を
解いていた。
先程の聴衆の熱烈な反応を思い起すと興奮が蘇り顔がほてる。
いつもの様に、彼の住むアパ―トの横手の空地を横切るため、通りの裏側に出た時の事で
ある。暗闇から、パラパラッと数名の足音と共に学生服の男達が、彼の行手に立ちふさが
った。
街灯を背にして浮んだシルエットからは誰とも判別がつきかねたが、聞き覚えのある荒木
宏一の野太い声が敏男の耳を打った。
「オイ、久し振りだな!・・・・・一寸そこ迄、顔を貸して貰おうか」
〔しまった!〕
 遠山は心の中で舌打ちした。
後を振り向くと、そこにも数人の黒い人影がある。逃げるのが無理と判って、彼は度胸を
据えた。
「何のつもりか知らんが乱暴はよせ。手を出すなら警察を呼ぶぞ!」
「フフフ、呼んで貰おうじゃないか。巡視の警官なら三十分も前に戻って行ったぜ・・・
・・でも、ここでお前に手を出そうってんじゃないんだ。おとなしく俺達に付いて来れば
いいのさ」
 かすかなエンジンの音と共に、一台の車が横に止まった。遠山敏男は背をこずかれなが
ら、その車の中に押し込まれた。両側を二人の男が占め、敏男の両腕をひとつ宛抱え込む
様にして自由を奪う。
車は滑る様に町の中心へ向かい、中核派のアジトがある下町のストリップ劇場の裏口に着
いた。舞台裏の地下には幾つかの小部屋があり、出演者の着付けや出番待ちの控室、裏方
の休憩所等が並んでいる。
その一番奥まった部屋が中核派の溜り場に当てられていた。
昨年の襲撃に懲りてか、ドアは小窓付きの真新しい頑丈な作りに改造されている。
しかも二重になっていて、中からかんぬきが掛けられる構造になっていた。
 男達は遠山敏男をそこへ連れ込むとドアを締める。暗い地下の廊下を通って来た目に、
明るい照明が眩しかった。
部屋は思ったより広々としていて、中央をカ―テンで仕切ってある。厚手のじゅうたんが
敷き詰めてあり、中央にはソファ―のセットが置かれ、壁際にはベッドも幾つか並べられ
てあった。
遠山敏男は手荒く床に突き飛ばされ、ソファ―にくつろいだ荒木宏一の前に引き据えられ
た。
「久し振りだな、遠山。さっきの演説は聞かせて貰ったぜ。・・・・・中々派手にやって
るじゃないか」
「・・・・・・・」
「俺達中核派もな、お前のお蔭でこの一年、鳴かず飛ばずだったが、漸く再建の目処が着
いてな・・・・・それについては、お前にも協力して貰いたいんだ」
 荒木宏一は、床に正座させられた遠山をじいっと見下ろした。
遠山敏男は顔を上げて、キッと荒木をにらみつける。
「俺に頼む事があるなら、堂々と正面からやって来たらどうなんだ。こんな闇打ちで俺の
協力が得られるとでも思ってるのか!」
 遠山の言葉をまるで予期していたかの様に荒木はニヤニヤ笑いながら煙草をくゆらす。
「お前にやって貰うのは簡単な事さ。この声明書にサインして、一年、いや二年程行方を
くらまして欲しいんだ」
 荒木の突き付けた書類は、ワ―プロで作成した一枚の声明書である。それには一年前の
中核派襲撃事件の犯人が革正派だった事を認め、しかも自分の指導理念に誤りがあったの
に気付いたので、ここに革正派を解散し、自分は責任を取って暫く世を捨てるとの趣旨だ
った。
「フン、俺がこんなもんにサインするとでも思ったのか? お前もこの一年で随分もうろ
くしたもんだな」
「そう言うと思ったよ。しかしお前は協力するさ。・・・・・しかも、どうかサインさせ
て下さいって、額を床に擦り付けて俺に頼む事に成るのさ」
 余りに自信ありげな荒木の態度に、遠山はふと不安の念に駈られた。
その揺れる心を見すかした様に、荒木は横の男達に向かって顎をしゃくった。
部屋を仕切っているカ―テンが開けられ、遠山の不安が的中した。
そこには壁に鎖で手足を大の字に固定された全裸の女がいた。・・・・・遠山の妻、政代
の変り果てた姿だったのである。
口はガムテ―プで塞がれていたが、涙で濡れた目が必死に敏男に救いを求めている。
白い肌が明るい照明の下で浮上がり、大きく開かれた跨間の陰りが、心なしか微かに震え
ていた。
「き、貴様等は・・・・・一体、何て事をするんだ。ひ、卑怯だぞ! これが学生運動家
のする事か!」
 立ち上がって駈け寄ろうとする遠山を周囲の男達が遮った。
「オイ、遠山。汚い手を使ったのは、お前の方が先だぜ。・・・・・まあ、闇討ちも誘拐
も五十歩百歩さ。諦めて俺達に協力するんだな」
 荒木の言葉には、計算され尽くした冷やゝかな調子があった。
遠山は床に投げ捨てた声明書を拾い上げて、今一度目を通してみた。
「駄目だ。これは仲間に対する裏切り行為になる。警察だって黙っているまいし、第一、
俺の信念を偽るわけにはいかん」
「ほう、そうかい。じゃあ、お前はかみさんより仲間や自分の信念の方が大事だって言う
んだな」
「・・・・・・・」
「判ったよ。中々御立派なもんだ。・・・・それじゃあ、この女は俺達の好きにさせて貰
うぜ。フッフッフッ」
 荒木は政代の傍に近付くと、大きく開かれた跨間に指を触れた。政代は身をよじらせる
が、壁に手足を固定した鎖がかすかに音を立てたにすぎない。
「なあ、聞いての通りだ。お前の亭主は不人情な奴だぜ。でも、代りに俺達がたっぷり可
愛がってやるからな」
 ニヤニヤ笑いながら、荒木はゆっくりとズボンを脱ぎブリ―フを取ると、吃立したいち
物を政代の跨間に当てがった。
男達に腕を仰えられながら、思わず叫び声を上げる遠山の方をチラッと見やりながら、荒
木は立ったまま一気に挿入する。
政代は顔を横に反むけたまま、ガムテ―プの下でうめき声を立て、眉根を寄せ目を閉じて
耐えた。
荒木の腰が緩やかに上下し、政代の豊満な太腿の付根を突上げる度に、女の尻が壁をペタ
リペタリと叩く音がして、それがいかにも隠微にあたりに響く。
ピッチが次第に早まって来たかと思うと、又再びゆったりしたリズムに戻り、それが何回
となく繰返された。
その内、政代の表情が次第に緩み、うっとりした陶酔の色さえ浮かんでくる。
得意げに皆の方を振り返った荒木は、血走った遠山の目を見ると、ニヤリと笑い、最後の
仕上げにかゝった。
腰をひときわ早いピッチで動かすと、政代の豊かな乳房が上下に揺れる。
やがて、荒木の背が硬直し、政代の胸を抱きかかえたまま果てた。終った後、腰がピクリ
ピクリと余韻を楽しむ様にけいれんするのを見ても、彼の満足度を察する事が出来る。
やがて、彼がゆっくりと腰を引いて結合を解くと、政代の露なクレバスの上に見る見る白
濁した液が湧き出してきた。
その一部がツ―と彼女の内股を伝って、そこにぬめぬめと光る筋を作る。
「オイ、そいつをここへ連れて来い。俺のジュ―スを飲ましてやるんだ」
 荒木の声に応じて、遠山は二人の男に両腕を取られたまま引きずられ、政代の跨間に顔
が触れんばかりに間近く引き据えられた。
プ―ンと生臭い香りが鼻を突く。
「ホラ、しっかり吸い取るんだ。横に垂れた分もな。少しでも残ると俺の子供が出来る事
になるぜ。フッフッフッ・・・・・おや、飲めないって云うのか?」
 固く唇を結んだ遠山の表情を見て取ると、荒木は彼の鼻先にナイフを当てがった。
それは彼の目の前で威圧する様にキラリと冷たく光る。
「別にお前の顔を切ろうってんじゃないぜ。お前があくまで飲まないなら、これで、かみ
さんの大事な所を少し宛刻むんだ。今度は赤いミックスジュ―スになるだろうな。・・・
・・ソラ、いいか、良く見てろよ」
「や、止めろ! 止めて呉れ。・・・・・判った。

「別にお前の顔を切ろうってんじゃないぜ。お前があくまで飲まないなら、これで、かみ
さんの大事な所を少し宛刻むんだ。今度は赤いミックスジュ―スになるだろうな。・・・
・・ソラ、いいか、良く見てろよ」
「や、止めろ! 止めて呉れ。・・・・・判った」
 屈服した遠山が政代の秘肉に口を寄せ、ズズッと音を立てて溢れる液を吸い取る様を、
荒木は勝誇った表情で見下ろした。
そして何を思ったか政代の尻から指を入れ、クレバスの下部をぐっと引き下げる。とたん
にFが開いて、Eしい量のザ―メンが政代の体内から遠山の口中へ流れ込んだ。
遠山の咽喉がゴクリゴクリと鳴る。
「クックックッ、どうだ旨いか? よくその味を覚えておくんだな」
 荒木の軽蔑を込めた言葉を耳にしながら、生臭いザ―メンを飲み下す遠山の頬に悔し涙
が光った。
「さあ、もういいだろう。次の番だ。・・・・・お前達、遠慮せずに順番にたっぷり可愛
がってやるんだ」
 途端に十人近い男達が、舌なめずりしながら政代の身体へ殺到する。
「ま、待ってくれ。・・・・・サ、サインする。サインするから、・・・・・こ、これ以
上は勘弁してくれ」
 遠山の悲鳴に似た言葉が涙に詰まった。
「そこの声明書を持って来い。・・・・・・オイ、遠山。いいんだな。お前は自発的にサ
インを望むんだな?」
 荒木の念押しに、遠山はがっくりとGく。声明書にペンを走らす遠山の、分秘液にまみ
れた顔が、無念さに歪んでいた。
「そら、次はこの書類だ。・・・・・これが革正派の解散届、これがその控。そしてこれ
がお前の休職届けとその控が三通さ。それに今回の事は一切警察沙汰にしない旨の念書と
その控だ」
 遠山は差出された各種の書類の内容を確かめる余裕も与えられず、次々と機械的にサイ
ンをさせられた。
「よし、これで済んだ。じゃあ、これからお前には暫く眠って貰うからな」
 首筋にチクリと軽い痛みがして、ものの五分もせぬ内に、遠山は深い眠りに陥った。
外科医の卵である荒木に麻酔剤を注射されたのである。
遠山が崩れる様に足元の床に横たわり、意識を失うと、荒木はニヤリと笑みを浮べて一同
の方を振返った。
「オイ、お前達、旦那がお休みの間に女を慰めてやってもいいぜ。俺は見なかった事にす
るからな」
 猛り切った一物をかかえて、お預けを食っていた男達は、歓声を上げて我勝ちに政代に
かぶりつく。
「ひぇー、や、止めてぇー。や、約束が違うでしょう。あなた達、人間じゃないわ」
「うるさいぞ。俺達は一年前の恨みを晴らすんだ。お前も亭主と一諸に殴り込みに参加し
てたそうじゃないか」
「そうだ、その通りだ。亭主の分迄償いをするんだぞ」
 先を争うもみ合いから抜け出した男が、先ず政代に抱きついた。唇を奪いながら腰を擦
り合せ、下から突き上げる様に挿入する。
政代のHき声に合わせる様に、男の尻が弧を描いた。
それが、あっけない程早く終ると、続いて待兼ねていた学生が政代の裸身にむしゃぶり突
いた。
男達が身体を揺する度に、彼女の手足を壁に繋ぐ鎖が音を立て、手足にIめられた輪が擦
れて皮膚が真赤になり、血こそ流れぬものの見るからに痛々しい。
分秘液にまみれ、色濃く紅潮した跨間も無残だった。
凌辱が長時間に亘って果し無く繰返され、全員が終った時には、哀れにも政代は意識すら
定かでなかった。
               ・・・・・・・・・・
 遠山敏男が長い眠りの後、完全に意識を取り戻したのはたのは、それから一ケ月後、S
大付属病院のベッドの上でだった。
何度か目覚めかけては注射を打たれ、又深い眠りに落込む繰返しが何週間も続いた後の事
である。栄養はすべて点滴で補給され、植物人間さながらの生活を送らされていた。
遠山の脳裏にもうっすらと、何回となく目覚めかけては又暗黒の世界へ戻されだ記憶が残
っている。
全身が鉛の様に重く、しかも手足に、そして跨間に微かな鈍い痛みが感じられた。
「やっと気が付いた様だな。もう眠らなくても大丈夫だ。・・・・・手術の後もすっかり
塞がったからな」
 荒木宏一の声である。
遠山の頭の中には漸く記憶が鮮明に戻って来た。政代の縛られた姿、それに荒木に味わさ
れた屈辱、そして無理遣させられたサイン・・・・・すべては、この病室とは別世界の出
来事に思えた。
ベッドの横でニヤニヤ笑いながら立っている荒木だけが、あの時の場面に繋がる存在だっ
たのである。
「政代、・・・・・政代はどうした? 無事か? 無事ならどうしてここへ来ない?」
 ベッドの上へ身を起そうとした遠山は、力なく床に落込む。
「まあ、無理をするなって。政代は俺達が預かって、毎日働いているさ」
「働いているって・・・・一体なんの事だ」「まあ、その中に判るさ。・・・・・それよ
り、お前、この女を覚えているだろう。お前達の襲撃で顔を傷物にされた山元節子さ。今
じゃ俺の妻だ」
 荒木の傍に立っていた頬に傷のある派手な顔立の女が、ベッドに近付いた。
「学生の頃お前のゼミナ―ルにいた節子よ。お前のお蔭で女の命を傷物にされたのよ。あ
とでたっぷりお返しをするから覚えてらっしゃい。・・・・・それより、面白い事がある
のよ。これが何か判る?」
 ニヤニヤ笑いながら遠山の方に差出した節子の手の中には、ガラスの容器の中にアルコ
―ル漬けにした肉片が見えた。
「フフフ、これはね、お前のペニスよ。お前はもう男じゃなくなったのよ」
 悪寒が遠山の背を走った。震える手をブリ―フの中へ差込んで跨間をまさぐる。
無い!・・・・・無いのである。陰毛の下には突起物は無く、その代り彼の手に触ったの
は柔らかいクレバス・・・・・そう、まぎれもない女性の性器だった。
遠山の全身には脂汗が湧き、余りのショックに顔がカ―ッと火照った。
「フフフ、判った? お前は性転換手術を受けたのよ。結果は大成功。傷痕も塞がって、
もう退院しても良いそうよ」
「それにな、ハッハッハッ、お前のその部分は女そっくりに整形されたんだ。それも外観
だけじゃないぜ。・・・・・・勿論子供は生めないが、ちゃんと人工Fまで作ってあるか
ら、女としてのセックスも可能だそうだ。もっとも、性感帯は移植出来ないそうだから男
を楽しますだけの一方通行だがな」
 ニヤニヤ笑いながら楽しげに説明する荒木の顔は、決定的な勝利を手にした喜びで輝い
ていた。
「人権じゅうりんだ! いや、これは重大な犯罪行為だ。・・・・・け、警察に訴えてお
前を監獄に・・・・・ぶち込んでやる」
 遠山は荒木に掴みかかろうとするが身体がきかない。その声は涙で詰まり、顔は涙でく
しゃくしゃになった。
「残念ながら、この手術は全く合法的なんだぜ。ホラ、これがお前のサインした手術の同
意書さ。・・・・・ソレ、お前が声明書と一諸にサインしたあの書類の中にこれがあった
のさ」
「卑怯者! ペテン師! どうするか覚えていろ。この身体が回復したら、お前をこ、殺
してやる!」
 狂乱してわめく遠山に向かって、荒木はとどめを刺す様に続けた。
「ところが、お前の身体は元には戻らんのだよ。フフフッ、お前の手足の関節の部分で、
Jと靭帯を少し宛切除してあるんだ。だからお前は今後立って歩く事は出来ない身体なん
だ。・・・・・フフフ、心配しなくてもいいさ。その代り、犬の様に四つ這いで歩ける様
に跨関節の回りは手をつけてないからな」
 遠山は余りの事に今や呆然とするばかりである。しかし、荒木に対する怒りはつのる一
方だった。
「あ、悪魔! 覚えていろ! か、必ず復讐してやるからな」
「クックッ、それもどうかな? お前の女房・・・・・フフッ、もっともお前はもう男じ
ゃないんだから女房とは言えないがな・・・・・政代が現在俺達、中核派の奴隷になって
いる様に、お前もこれからはこの節子に奴隷として仕込んで貰うんだな」
「そうよ。うんとなぶり物にして、復讐なんて二度と考えない様な、柔順な奴隷にして上
げるわ。・・・・・ホホホ、楽しみだこと」
               ・・・・・・・・・・
 遠山の退院は、彼が意識を取り戻したその日の夕方、慌ただしく行なわれた。
半ば裸同然の姿で寝かされていた彼は、薄汚れた白衣を羽織っただけで、荒木と病院の助
手に支えられ、と言うより引きずられる様にして荒木の車に移された。
Jを切られた膝には全く力が入らず、同様に肘や手首もぶらぶらしたままである。
それに寝ている時は気ずかなかったが、両耳の下の顎の付け根が、口を動かす度に何かチ
クチクする。
車の中でしきりに口を開け閉めしながら、けげんそうな顔をしている遠山を見て、横に座
った節子がクスリと笑った。
「判った? そこも手術したのよ。お前に噛み付かれると困るもんね。フフフ」
 運転中の荒木が愉快そうに続ける。
「俺達に抜かりは無いさ。節子は歯を全部抜けと言ったんだが、流動食以外は駄目に成る
し、第一、俺達の残飯を食べさす楽しみが無くなるもんな。・・・・・柔らかいものなら
何とか潰せる程度の力は残してあるから、心配無用さ」
 車が例のストリップ劇場の裏口に滑り込むと、連絡を受けていたと見え、待構えていた
男達が遠山を担ぐ様にして劇場の二階にある照明室に連れ込んだ。
床に手荒く投げ出された彼は、何とか立ち上ろうともがいては見たが、手足に全く力が入
らず、その度にがま蛙の様にうつ向けにへたり込んでしまう。
「判った? お前はもう二度と立ち上がれなくなっているのよ。でも四つ這いにはなれる
筈だから試して見なさい。・・・・・そうそう、ホラ、ちゃんと出来るでしょう。そのま
ま前に這って御覧。フフフ、ほんとに犬そっくりだこと!」
節子の嘲笑を浴びながら歯噛みする思いで、のろのろと這い出した遠山の尻を、彼女が軽
くポンと蹴った。
力の入らない両肘を突っ張って辛うじて支えていた状態がぐらっと前へ傾き、そのまま突
んのめる形で顔を床に擦り付けてしまう。 「おうおう、情けないのう! 女にケツを蹴
られただけで、床にキッスとはな」
 荒木がやゆすると、周囲からクスクス笑いが起った。いつの間にか舞台裏から上がって
来たストリッパ―達が、室内の模様を覗き込んでいたのである。
「ついでに、お前の変り果てた部分を皆に見て貰おうね」
 節子は、突んのめったまま高く掲げた彼の尻から手荒にブリ―フをむしり取った。
「股を大きく開いて御覧。そうそう・・・・・・誰か、そこの懐中電灯を取って頂戴。・
・・・・ね、どう見ても女の部分でしょう!ホ―ラ」
節子は御丁寧にも局部を照らしながら、女性のラビアそっくりに作られた肉ひだを押分け
て見せる。と、節子の人差指がつるりと奥へ深く差し込まれた。
突然襲った違和感に、遠山の下肢がピクリとけいれんした。
「これが人工Fよ。まあまあ、締め付ける事も出来るんだわ・・・・・あきれたもんね」
「アラッ、私にも触らせてー」
「ちょっと! 私が先よ」
 黄色い声が湧き起り、戸口に居た五ー六人のストリッパ―達が、一斉に部屋の中にちん
入して来た。
懸命に身体を揺すって逃がれ様とする遠山の首を節子がぐいと踏付けると、さながらピン
で床に止められた昆虫の様に見動きが出来なくなる。
ストリッパ―達が代る代る、遠山の跨間に造形された穴に指を差し入れる度毎に、彼の腰
がピクリと震え、反射的に指を締め付けるのだった。
「アラ―、不思議ね。これだけ締まれば男は喜ぶわよ。妊娠する心配も無いしさ。きっと
皆のお役に立つわ」
「フフフ、でもね。私はこの男を先ず上の口で女性を楽しませる道具に仕込むつもりよ。
・・・・・アラ、いやだ! こいつ、もう男じゃなかったんだわ。ねえ、お前、そうだわ
ね!」
 節子は首を踏んでいる足を緩めて遠山の顔を覗き込む。重ね重ねの屈辱に彼の咽喉から
ウッウッとおえつが漏れ、見る見る床が涙で濡れて行った。
「オイ、そんなに締りがいいのなら俺がひとつ試してやるか」
 荒木がニヤニヤしながら近付いてきた。
「ものは順番だ。先ず、お前の口で俺の物を役に立つ様にするんだ。・・・・・ソ―ラ、
しっかり@めろ!」
 荒木は遠山の髪を掴むとぐいと自分の跨間へ引き寄せ、一物を取り出すと彼の口に当て
がった。
必死に口を閉ざす遠山の抵抗も、手術で顎の力がすっかり弱められているため役に立たな
い。
節子が側から手を添えて、彼の下顎を引下げる様にすると、易々と荒木のものの侵入を許
してしまった。
遂に諦めて命じられるままに舌を使う遠山の顔が、流石に極度の悔しさで歪み、新たな涙
が頬を濡らしている。
やがて膨張して固さを増した荒木の一物が、四つ這いにさせられた遠山の跨間のクレバス
に後から当てがわれた。
女達の好奇の視線の中で、荒木の腰が揺れ、ピストン運動が始まったかと思うと、間もな
く達してしまう。
「本当だ。これだけ締りが強けりゃ一級品だぜ。本物の女でも十人に一人って所かな」
 ゆっくりと身体を離しながら荒木がつぶやいた。
「残念ながらそっちの方は暫くお預けよ。こいつには、これから当分、女のセックスに舌
で奉仕するテクニックを徹底的に仕込むんだから」
 節子の宣言する様な声が、屈辱に震える遠山の耳に雷の様に響いた。
 去勢されたうえに、手足のJを切られて四つ這いでしか歩けなくなった遠山敏男に対す
るいたぶりは、下町のストリップ劇場の照明室で延々と続けられた。
「これはお前の為に用意した首輪よ。・・・・・ホ―ラ、良く似合うわ! ソレ、こっち
へおいで」
 節子の手で、遠山の首に革製の犬の首輪がIめられ、それに繋がれた鎖を彼女がぐっと
引くと、遠山はよろけながら彼女の足元に近付く。
「フフフ・・・・・まるで犬そっくりね」
 椅子に座った節子はやおら足を上げ、足元の遠山の顔面に素足を当てると、ぐっと踏み
にじった。
首の鎖をたぐられているので、懸命に顔を背けても彼女の足は避けられず、薄汚れた足の
裏が彼の鼻をひしゃげ、唇を擦る。
たまりかねて、彼は両手で彼女の足に掴みかかろうとしたが、Jを切られた手足は関節が
ブラブラしてまるで力が入らない。
彼女が笑いながら、もう一方の足で彼の肩を踏み付けると、情けない事に簡単に床に這い
つくばってしまった。
「どうしたの? 私に抵抗しても無駄なことが判ったかしら。・・・・・・でも、お前は
もう男じゃないんだから、女の私にこうしてなぶられても恥ずかしがる事はないのよ。・
・・・・それにしても哀れなもんね。これが革正派の遠山敏男委員長のなれの果てかぁ・
・・・・ねえお前、私に犬にされて悔しくないの?・・・・・・ホ―ラ、涙が出て来た。
やっぱり悔しいのね。いい気味だわ。クックックッ」
 節子の足に翻弄され、流石にこみ上げる悔しさに遠山の頬が涙に濡れる。
「そら、お@め! お前の舌で私の足の裏や足指を清めるんだよ。・・・・・そうそう、
それが犬の第一課さ。そのうちに、フフフ、もっと汚ない所を@めさせてやるよ」
 節子の黒ずんだぽってりした足の指が、彼の唇を割り、口の中に押し込まれる。
苦い、そして塩辛い屈辱の味が、遠山の脳裏に被征服者としての己れの立場を焼付けるの
だった。
「オイ、もう直ぐ開演だぞ。そいつに、この覗き窓から舞台を見せてやれ。・・・・・・
きっと面白いぞ」
 照明機の傍に立って、節子になぶられる遠山の様をニヤニヤ笑いながら見つめていた荒
木が声を掛けた。
「そうね。どんな顔するか見ものだわね」
 節子に首の鎖を引かれて窓際に這い寄った遠山は、膝で身体を支え、辛うじて窓から首
を覗かせた。
直ぐ目の下に、客席に突出した円形の舞台が照明の中に浮き上がっている。
ビ―トの効いた音楽に合わせて、先程迄照明室で遠山を取り囲んでいたストリッパ―達が
次々と登場して来た。
オ―プニングの全員の顔見せが終ると、舞台が暗転する。
突然、暗闇の中から、ピシッピシッと床を打つ鞭の音がしたかと思うと、上半身を赤い縄
で縛られた裸の女が、よろめきながらスポットライトを浴びて登場した。
乱れた髪の陰から、目を閉じ歯を食いしばった凄艶な顔が覗く。
白い全裸の肌に真っ赤な縄がライトに映え、縄目の食い込む紅潮した肌が痛々しかった。
さらに、その長く延びた縄尻を握り、黒革の衣装を身に纏ったエキゾチックな風貌の女が
続いた。
深いブ―ツを穿き、片手に鞭を持っている。そして、縄尻を引かれて舞台の中央で崩れ落
ちる様に倒れた全裸の女の背に、最初の一撃が振り下ろされた。 悲鳴を上げて逃げまど
う女に、容赦なく鞭の雨が振り注ぐ。
みるみる女の背に、そして尻に赤い条痕が浮き上る所から見ても、一切手加減が加えられ
てない事が判る。
「オイ、あの裸の女が誰だか判るか?・・・・・フフフ、よく見てみろ。自分のかみさん
を忘れた訳じゃあるまい」
 荒木の言葉に、遠山は思わずハッとして目をこらした。表情こそ見るかげもなくやつれ
切ってはいるものの、それは遠山の妻、政代に外ならなかった。
「お前のかみさんはな、ああして毎日、舞台の上でなぶり物になってるのさ。・・・・・
まあ、じっくり見ておくんだ。お前もいずれ同じ運命を辿る身だからな」
 そのうち舞台の上には、鞭を持った女に代って、ブリ―フ一枚の背の高い筋骨隆々とし
た黒人の男が登場した。
這う様にして逃げる政代を後から抱きかかえるや、両腿をぐいと開かせて秘所を露わにし
たまま、これをかぶり付きの観客に見せて回った。観客のうちには、手を伸ばして政代の
秘部に指を触れる者もいる。
ラテン風のドラムと打楽器が入った音楽が始まり、男は政代を床に下ろすと、おもむろに
ブリ―フを脱いだ。ぼっ起した巨大な男根が天を突き、ライトを受けて黒光りしている。
黒人の男は政代を四つ這いにさせると尻を高くかかげさせ、膝を着いた姿勢で怒張をクレ
バスに当てがい、一気に挿入した。
「ひゃーあ」
 と政代の悲鳴に似た叫声が響く。
照明室から見下ろしている遠山の全身がぴくりと震え、Hき声が洩れた。
黒人の男はおもむろに腰を大きくくねらせ、それに合わせて政代の背が前後に揺れる。
やがて動きが早まり、男の腰が政代の尻に続けさまに打ちつけられ出すと、深く挿入され
た男根が見え隠れして観客の興奮を誘った。政代の口から喘ぎ声が、そしてそれが明かに
快感を示す所謂、よがり声に変って行く。
男の腰の動きが頂点に達すると、政代は最早なりふり構わず首を振って、獣の様に咽喉の
奥から叫び声を立てた。
上から見ている遠山の握りしめたこぶしが、ブルブルふるえている。
間もなく、ひと際大きく絶叫して政代がぐったりするや、黒人の動きも止まった。
引き抜かれた男根は分泌液にまぶされて鈍く光ってはいたが、未だ硬さを保っている。
しかし政代の跨間からは、おびただしい量の白濁した液が流れ出し、男が既に射精した事
を物語っていた。
固唾を呑んで見守っていた観客が、フ―ッと吐息をつき、まばらな拍手が起った。
黒人は観客に大きく一礼すると、政代を軽がると抱上げて退場した。
「こっちへおいで。かみさんに対面させて上げるわ」
 節子に鎖を牽かれた遠山は、エレベ―タ―で一気に舞台裏へ下りた。
華やかな舞台の照明と対照的に、薄暗い電気の灯された廊下を通って、小部屋の並ぶ奈落
に出た。
出演者の控えの間に入ると、鏡の前でメ―キャップを落している先程の黒人が居た。
その尻に、仰向けに寝かされた政代の上半身が組み敷かれている。
良く見ると、彼女はその胸に座った黒人の男根を舌で清めさせられているのだった。
椿入者にチラと一瞥をくれただけで、黒人は何事も無かった様に鏡に目を戻す。
四つ這いのまま、政代の足元へ牽かれて行った遠山は、サンダルを脱いだ節子の足で、軽
く立膝した政代の跨間へ顔を押込まれた。
「ホラ、懐かしい処と御対面だよ。・・・・・・ソレ、何をぐずぐずしてるんだい。そこ
をお前の舌で清めるんだよ。フフフ」
 すぐ目の前に拡がったピンク色の肉ひだが白濁した男の精液にまみれ、プ―ンと強い性
臭が鼻を突く。
跨間に割込んで来る遠山の顔に、気配を察した政代が苦しげに身もだえし尻を揺すった。
途端に、Fの奥から搾り出された新たなミルクが、クレバス一面に湧き出して来る。
「そら、お@め! すっかりお前の舌で吸い取るんだよ」
 節子の足が遠山の後頭部に掛けられ、彼の顔面は政代の秘肉に押し付けられた。
〔ウウッ〕と、思わずHき声を洩らしたものの、観念した遠山の舌が政代の跨間を這う迄
そう時間はかからなかった。
ズズッ、と音を立てて男のミルクが遠山の口に、そして胃のふに送り込まれる。
意外に多いその量に、彼の咽喉がゴクリと音を立てた。
「どうだい、おいしいかい? 自分のかみさんの、それも犯された後始末をさせられるな
んて、とても人間が出来る事じゃないね」
 節子の軽蔑と嫌悪に満ちた口調に、遠山の顔が歪む。荒木がさらに追打を掛けた。
「明日からはな、それを毎日、舞台の上でやって貰おうじゃないか。女の跨間から湧き出
すミックスジュ―スを、旨そうに飲み干す変態。それも去勢されたおとこ女。・・・・・
こいつぁ受けるぜ」
 黒人の男が化粧落しを終えたと見えて、政代の胸から腰を上げた。未だ硬さを半ば残し
ている巨根の先から政代の唇にかけて、ツ―と唾液が糸を引く。
黒人が部屋を出て行った後、続いて身を起した政代は、先程の荒木や節子の会話から、己
れの跨間に顔を埋めている男が夫である事を薄々と察していたらしい。
「あなた、破廉恥な真似は止めて!」
 政代の叫ぶ様な悲痛な声に、遠山の全身がピクリと震えた。舌の動きは止めたものの、
後頭部に当てられた節子の足に逆らって顔を上げる力が無い。
「フフフッ、とんだ格好で奥様と御対面ね。恥ずかしくって顔がまともに見られないんで
しょう。・・・・・ホ―ラ、ホラ、ホラ」
 節子の足が遠山の頭をしごき、その顔を政代の跨間に擦りつけた。
「お願い、止めて!」
 政代は足を曲げ、遠山の肩を蹴る様にして辛うじて彼から身体を離した。べったりと、
一面に粘液で覆われた遠山の顔が現われる。ぐいと節子の手の鎖が引かれ、首輪をIめら
れた遠山の身体が起されて、政代と向かい合う形に成った。
咎める様な眼差で遠山を見据える政代の厳しい表情が、哀れな彼の有様を見て緩み、懐か
しさと情けなさの混じった泣顔に変った。
「おい、切角の御対面だ。二人だけの水入らずにしてやろうぜ」
 荒木宏一が声を掛け、節子も含め一同が部屋の外へ出た。
 残されて、がらんとなった部屋の床に座ったまま、お互いに向い合って見つめ合う二人
の瞳には、万感の想いが篭っていた。
久し振りの対面である。とは云っても実質は一ケ月しか経っていなかったが、その間に起
った様々の出来事が二人の運命をすっかり変えていた。幸せだった二人だけの以前の生活
の記憶は、さながら遠い昔の事の様に、暗い霧の中に閉じ込められてしまっていた。
政代の視線が、無造作に拡げられたままの遠山の跨間に据えられ、次第に彼女の顔に不審
そうな表情が浮ぶ。
「あなた、一体、やつらに何をされたの? さっき誰かが言っていたけど、あなたまさか
・・・・・」
「そ、そうなんだ。俺は去勢されたんだよ、政代。もう男じゃないんだ・・・・・」
 がっくりとうつむいた遠山の傍へにじり寄った政代は、彼の跨間に手を掛けた。
「見せて! 私に良く見せて頂戴!」
 叫ぶ様に言うと、ぐいと彼の腰を手前に引く。たまらず後ろへ背を倒すと、彼の跨間が
彼女の目の前に剥き出しになった。
政代は思わずハッと息を飲む。
「まあー・・・・・これは女のものだわ。・・・・・あなた、本当に女にされたのね・・
・・・なんてひどい!」
 政代の目には、みるみる涙が浮んだ。
「それだけじゃないんだ。手足の関節のJを切られてしまったんで、俺は・・・・・もう
二度と立って歩けないんだ。・・・・・犬みたいに這うしかないのさ」
 自嘲する様な遠山の言葉に、政代はショックの余り口も聞けない。
暫くしてから涙声でつぶやいた。
「私だって、もう昔の身体じゃないわ。・・・・・毎日、舞台であの黒人に犯されるだけ
じゃなく、中核派の若い男達に、朝晩ひっきりなしにおもちゃにされるのよ。・・・・・
あなたが、きっと助けに来てくれると信じてたから、今まで耐えてきたのに・・・・・」
 くるりと後ろ向きになって号泣する政代の白いうなじに、ほつれた黒髪がからみ、裸の
肩が震えるのが痛ましかった。
「泣いたって何もならんぞ。どんな時でも希望を捨てずに機会を待つんだ!」
 咽喉の奥から絞り出す様に叱Mする遠山の声には、永年学生運動の闘士として鍛えた力
強さがあった。
 突然、ドアが開き荒木宏一が声を掛ける。「さあ、もういいだろう。二人共、明日から
は毎日舞台で共演出来るんだ。今晩はそれぞれ、お勤めがあるからな。・・・・・オイ、
女は何時もの様に、中核派の溜り場で皆で可愛がってやれ。・・・・・こいつの方は、節
子がたっぷりなぶり者にするそうだ」
 政代が荒木の部下にひったてられて去った後、遠山の方は節子に鎖を引かれて、すごす
ごと四つ這いで従う。
「ねえ、お前、自分の奥さんが若い連中の溜り場で、一体どんな目に会ってるか見たくな
い?・・・・・フフフ、一寸、寄って見ようかね」
 中核派の溜り場は、出演者控室から更に奥の廊下の突当りにある。一ケ月前、二人が誘
拐されて来た時、最初に連れ込まれた部屋だった。
節子に曳かれて遠山がドアの所から覗き込んだ時には、もう政代は数人の学生に取囲まれ
ていた。
一人が、仰向きに寝かされた政代の大きく開いた下肢を肩にかつぐ様にして挿入し、ピス
トン運動の最中だった。
もう一人は政代の顔を跨ぐ姿勢で、彼女の口に努張を押し込んでいる。
苦しそうにHく政代の声を後に、遠山は節子の手の鎖に曳かれるまま、エレベ―タ―で荒
木夫妻の居住している一番上のフロア―へ上って行った。
廊下の両側に、マンション形式の居住区が幾つか設けられていて、二人は南側の一角に、
可成りの広さの新居を構えている。
節子は夫と腕を組んで部屋に入ると、豪華な内装のリビングル―ムを通って、広い寝室へ
進んだ。
二人の後から、みじめにも犬の様に四つ這いで従う遠山は、全く無視されている。
寝室は薄いベ―ジュ色で統一され、落着いた雰囲気が漂っていた。 キングサイズのベッ
ドが窓際を占め、反対側の壁には作り付けの衣装戸棚と並んで化粧机が置かれている。 
そして横手のドアからタイル張りの浴室が覗いていた。
「お前はこれから毎晩、この寝室で私達のセックスに奉仕するのよ。・・・・・そう、夫
婦のセックス奴隷として、たっぷり仕込んで上げるわ。いいこと? クックックッ」
 ベッドの端に腰掛けて、足元の遠山を見下して宣言する節子の表情は、勝誇った満足感
に溢れていた。
浴室からは、荒木が浴槽に湯を張る音が聞こえてくる。
「ちゃんと敬語を使いなさい。私のことは奥様、荒木のことは旦那様と呼ぶのよ。・・・
・・判ったわね!」
 無気力に頷く遠山の前で、節子はおもむろに服を脱いだ。肉付きの良い白い裸身が現わ
れる。
「ホラ、私のお尻をお@め!」
 腰骨の張った形の良いヒップが、彼の顔の前に突き付けられた。
ぐっと込み上げる屈辱感を抑えながら、遠山は白い双球に舌を伸ばした。
「ばかぁー、くすぐったいじゃないの。・・・・・第一@める場所が違うわよ!」
「・・・・・・・」
「判らないの? 一番汚い所をお前の舌で清めるのよ! ・・・・・そう、そこよ。フフ
フ、おいしい? そんな不潔な所を@めさせられて悔しくない?」
 彼女の言葉は、彼の心を思うがままにいたぶり、もてあそびそして傷付けて行った。
 涙のにじんだ彼の顔を満足げに見やって浴室に入った節子は、何を思ったか、直ぐに何
やら白いものを片手に戻って来た。そして、もう一方の手でベッドの上に脱ぎ捨てた自分
の下着を拾い上げ、彼の傍に近寄った。
「ホラ! これは今迄穿いていた私のパンテイ―、そしてこれは主人のブリ―フよ。・・
・・・よく見て御覧・・・・・どおぉ、両方共随分汚れてるでしょう? 私達がお風呂に
入ってる間に、この汚れてる所をお前の舌で@めて清めておくのよ。これは命令よ、判っ
たわね!・・・・・・男と女で、クックッ、臭いとお味がどう違うか良く研究なさい」
 節子に渡された二人の下穿きは、その跨間の部分が汚れで黄褐色に変色している。
顔に近付けるとプ―ンと異臭が鼻を突いた。込み上げる悔しさと不潔感で、思わず手がブ
ルブル震える。
目をつぶって、節子のパンテイ―を顔に押当て、その汚れた部分を思い切って口に含んで
見た。唾で布地を濡らし、歯で軽く噛み、舌で汚れを吸いとる。酸味の勝った塩辛い味が
口中一杯に拡がった。
いくら振り払っても、節子のその部分のイメ―ジが瞼に浮び、彼女の勝誇った表情がそれ
にダブる。そして彼の脳裏には、決定的な敗北感が焼付けられて行った。
荒木宏一のブリ―フは、下痢でもしているのか、明らかに便のLと覚しき褐色の糊がべっ
とり付着している。一際強い悪臭に耐えながら口中に含むと、刺す様な苦味が舌を包み、
屈辱感に加えて生理的な嫌悪感で、ぐっと吐気が込み上げて来た。
胃が軽くけいれんし、それを懸命に抑えると思わずウッとHき声が出る。
「フフフッ、大分苦しそうね。これも身から出た錆ね。まあ、いい気味だわ!」
 気付かぬ内に、風呂上りの二人が目の前に立っている。
「ざま見やがれ! 俺達の汚ねえパンツを@めさせられて、自分の身分が判ったろう」
「これからは、お前は私達のおしも専用の奴隷に成るんだよ。私達の身体から出る分泌物
と排C物の臭いと味は全て覚えること、いいわね」
 黙ってGづく遠山の頬にツ―と無念の涙が伝った。
「さあ、おいで。私達のベッドでの奴隷の作法を教えてやるからね」
 首の鎖がたぐられ、彼は二人の抱き合うベッドの裾に引き据えられた。
「私達の足の裏をお@め! お前の為に洗わないでおいたんだよ。フフフ」
 薄汚れた二人の足の裏が、遠山を嘲笑うかの様に彼の目の前で揺れる。
「オイ、くすぐったいぞ。俺はもういいから家内のを@めろ」
 節子のぽってりした足は指の付根が敏感に感ずるらしく、その部分が繰返し彼の唇に押
付けられた。
二人が抱き合ったままディ―プキッスを始めると、節子の足の裏は彼の顔面の上で微妙に
くねり出した。
やがて彼の首の鎖がぐいと手荒に引かれる。ベッドの裾から這い上った途端、彼女の手が
髪を鷲掴みにして彼の顔面を自分の尻に押付けた。
「アヌスを@めるのよ。早く!」
 夫の身体の上へのしかかる様にして唇を合わせる節子の尻割れに、ぴたりと顔を押付け
てアヌスの粘膜を軽く吸う様にして@める。その態度は、既に己れの意志を失って女主人
の命ずるままに操られる柔順な奴隷のそれに外ならなかった。
クックックッと、上の方で節子の洩らした満足そうな含み笑いは、男を完全に征服した事
を確信するN慢な宣言とも取れる。
「今度は私のプッシ―ちゃんを@めるのよ」 節子は足を上げて遠山の横腹を蹴り、彼の
身体を反転させると、彼の首を跨間に深く挟み込んだ。
柔かいクレバスに顔面を捉えられ、一瞬、呼吸が止まったものの、首を反らせて辛うじて
鼻孔からの空気を確保する。
舌と唇を最大限に使って、既にじっとり湿りを帯びている割目を@め回した。
それを何分間続けただろうか、舌の付根に痛みを覚え始めた頃、彼の頭に荒木の腰が乗し
かかって来たかと思うと、荒木の怒張が顔面に触れた。
同時に、節子の身体が仰向けに成る。
「オイ、顔を下に沈めて、横から二人の結合部を@めるんだ!」
 遠山は顔を節子の尻の下へずらして、荒木のシンボルを彼女のクレバスに迎え入れると
同時に、胴体を時計の針の様に回して、二人の身体の下へ横から頭を差し込んだ形を取っ
た。舌を懸命に延ばして、緩やかにピストン運動を繰返す挿入部を@め続ける。
「もっと強くお@め! そう、その調子さ。舌を休めるんじゃないよ。・・・・フフフ、
どおぉ? キンタマを切られたあげく、私達のセックス奴隷に成り下った気分はいかが?
自分のした事の報いを思い知った?」
「オイ、何とか言って見ろ。・・・・・そうか、@めながらじゃ言葉にならねえな。・・
・・・俺達はな、そうさな、気分は最高、と言ったとこさ。ハハハ」
 二人の身体の下から、とぎれとぎれに、咽喉から絞り出す様な悲痛な泣声が洩れた。
「フフフ、この場に及んでも、未だ未練たらしく泣くところを見ると、よっぽど悔しいの
ね。・・・・・ああ胸がス―ッとするわ」
 涙と二人の分泌液にまみれた遠山の頬に、男の陰嚢がピタッピタッと当った。
そのピッチが次第に早まると、二人の口から喘ぎ声が洩れ、気分の高まりが知れる。
「ああー、あなた。いいわぁー・・・・・でも未だよ、未だ駄目よ」
 しかし、そこで男の動きが頂点に達し、ピタリと止まる。ヒクヒクとけいれんが男の跨
間から遠山の頬に伝わった。
「あーあ、もう少しだったのに・・・・・」 節子の残念そうな声。
「御免々々。でも後は奴隷に続けさせろよ」「ウフッ、それはグッドアイディアだわ」
「その前に、後始末させなくっちゃな」
 荒木はゆっくり身を起すと、そっと肉棒を途中迄引き抜いた。そのままの姿勢で、節子
の尻に頬を寄せてだらりと舌を出したままでいる遠山の顔を見下ろす。
「フッフッ、いいざまだぜ。・・・・ホラ、奴隷の御馳走だ。さっきの黒人のと味を較べ
て見な。但し、少しでもこぼすと承知しないぞ!」
 荒木が腰を僅に後へ引くと、遠山の目の前に濡れそぼった肉棒の先端が露出し、節子の
跨間からツ―と糸を引きながら、だらりと垂れ下がる。
プ―ンと強い性臭が漂い、彼女のワギナからは見る見る白濁した分泌液が湧き出し、尻割
れを伝って流れ落ちた。
あわてて唇を寄せ、ズズッと音を立てて吸い取る。
「オイ、こっちも清めるんだ」
 荒木のペニスの先が彼の口に押込まれた。「ウフッ、仲々しゃぶり方が巧いぜ。・・・
・・明日からは昼間のうちはな、お前のかみさんを助けて、うちの若い連中をお前の上の
口と下の穴で楽しませるんだぞ。いいな」
 そのうち、待ちかねた節子が声を掛ける。「どうしたの? ぐずぐずしてないで、早く
私の方にかかりなさい。お前が下手くそだから、この人が我慢出来なかったのよ。・・・
・・責任を取って、今夜は一晩中私のおしもを@め続けるのよ」
 遠山の首を改めてがっちり跨間に挟み直した彼女は、彼の髪をしっかりと両手で掴み、
果しない舌奉仕を強いるのだった。
 翌朝、節子の跨間で目覚めた遠山は睡眠不足で目は腫れぼったく、その舌は昨夜の酷使
で付根が腫れ上がっていた。
彼に奉仕させながら熟睡した節子は上機嫌で朝食の支度にかかる。
犬の様に四つ這いのまま、夫婦の残飯を食べさせられた後、彼は節子に鎖を引かれて、地
下の中核派の溜り場へ連れて行かれた。
頑丈な二重扉を開けると、煙草の煙りに混って生臭い男の匂いが鼻を突いた。
朝から詰めかけた学生達が、車座になってポ―カ―に興じている。その中央には、しわく
ちゃの札や小銭が無造作に積まれていた。
一同の視線は、節子に曳かれて室内に入ってきた四つ這いの男へ、一斉に集まった。
首輪をIめられた全裸の姿に、好奇の目が注がれる。
一瞬、静まりかえった室内に、奥の間から、女のHき声がとぎれとぎれに伝わって来た。
節子はそれにはお構いなく、一同の前に遠山を引き出す。
「皆に紹介するわ。これが先月解散した革正派の元委員長、遠山敏男のなれの果てよ」
 学生達の間から一斉にどよめきが起った。「こいつの股の間をよく見て頂戴。・・・・
・・これ、ここへ仰向けに成って足を開くのよ・・・・・そう、それでいいわ。・・・・
・・見て判る様に、こいつは性転換手術を受けて今や女性の性器を持ってるの。しかも、
ちゃんと穴があって締りも抜群よ。・・・・・・昨日、うちの主人が試したら、女でも十
人に一人の名器だそうよ。それに、こいつの舌は私が昨夜使って、これも保証付き。・・
・・・そして奥の部屋で皆の慰安婦にされているのは、実はこいつの奥さん。・・・・・
これから毎日、午前中はここで奥さんの助っ人役を勤めるそうだから、皆せいぜい可愛が
ってやってね」
 学生の間のざわめきはやがてクスクス笑いに変った。
「でも、こいつの口を使って、がぶりとやられたら困るな」
 一同の中から陽気な笑いがはじけた。
「それが大丈夫、手足と顎のJを手術してあるから、立って歩く事も、物を噛み切る事も
出来ないのよ。安心して使って頂戴」
 鎖を学生の手に渡して、節子が立ち去った後、遠山は学生達に囲まれて、なぶり者にな
った。皆が代わる代わる彼の跨間に手を這わせ、指を人造のFに指し込んで笑い興じる。
それは昨日の照明室でのストリッパ―達の遠慮勝ちのタッチと異なり、無遠慮な荒々しい
もてあそび方だった。
果ては、奥の間に引き込まれ、そこで学生達に犯され続けている政代と対面させられた。
政代の目の前で、四つ這いの姿勢で学生の男根を口に含まされ、バックからもう一人に人
工Fを犯される・・・・・それは昨夜の屈辱とは異質のおぞましい経験だった。
 午後に成ると、迎えに来た節子に曳かれて地下の廊下を辿り、今度はストリッパ―達の
控室に放り込まれた。
そこで、次々に出勤して来るストリッパ―達に夕方五時の開演迄、リハ―サルの合間を縫
って、代わる代わるなぶられたのである。
昨日の照明室での経験から、すっかり遠山を馬鹿にし切ったストリッパ―達は、Jを切ら
れた彼の非力さを、そして去勢された跨間に作られた人工の女性器を種に、彼を笑い者に
したのである。
「ホレホレ、こちらへおいで。私とレスリングごっこしようよ。・・・・・あれまあ、な
んて弱いんでしょう。ホラ、私のお尻に顔を敷かれて悔しくないの?」
「お前の息子がチョンぎられた痕を見てやろうじゃないの。ホレ、もっとお尻を高く上げ
るんだよ! フ―ン、情けない姿にされたんだね。でも良く出来てるよ。こうなった上は
女性ホルモンを毎日注射して、女に成り切る事だね」
「ね、ねえ。女性ホルモン注射って、とっても高いんだそうだよ。私の女性ホルモンを只
で譲ってやるよ。・・・・・そう、私のオシッコを飲むのさ。何? いらないって? 人
の好意を無駄にするなんて許せないわ。無理遣りにでも飲ませてやる。・・・・・こら、
逃げるんじゃない! フフフ」
 顔色を変えて逃げ惑う彼は、簡単にその若い女に捕まり、顔面を尻に敷かれた。懸命に
口を閉すが、顎をぐいと押開けられ、クレバスをピタリと当てがわれる。
屈辱に歪む彼の表情をニヤニヤ笑いながら見下ろし、女は彼の口中にじょびじょびと汚水
を注ぎ込んだ。ごくりごくりと彼の咽喉が鳴る。情なさに目に涙が溢れて頬を伝った。
「フフフッ、これから毎日飲ましてやるからね。でも、一日三回飲まなくっちゃ効果が無
いよ。・・・・・いいわ、朝の分は私から節子さんに頼んで上げる。晩は・・・・・そう
だわ、お前の奥さんのを飲むといいわ。どうせもう夫婦じゃないんだもんね。きっと、お
前は自分の奥さんからも馬鹿にされる様に成るよ。クックックッ、ざまないわね」
 そして、午後五時の開演の時が来た。
生々しいSMショ―の評判が人気を呼び、客席は満員とは行かぬ迄も可成の入りである。
今夜、ライトを浴びて登場したのは、黒皮の衣装の女に縄尻を取られた政代だけではなか
った。首輪の鎖を同じ女の手に握られ、鞭で追い立てられながら四つ這いで政代の後を追
う、遠山の哀れな姿がそこにあった。
しかし、女の手でピシッ、ピシッと音を立てて二人の背へ交互に打下ろされる鞭への二人
の反応は、まるで対照的だった。
崩れる様に床に倒れ込んで、歯を食い縛って鞭の痛みに耐える政代に較べて、悲鳴を上げ
て、舞台の上を逃げ惑う遠山の不様な姿は、観客の失笑を買った。
果ては、黒皮のブ―ツに首筋を踏み付けられて、身動きの出来ない彼の背に、尻に、女の
鞭が容赦なく降り注ぐ。
見る見る赤い条痕が皮膚を彩り、女に哀れみを乞う遠山の声が、次第に泣声に変った。
一際高いシンバルの響きと共に登場した黒人に、政代が例の如く犯されている間、黒皮の
ズボンを脱ぎ捨てて遠山の顔に跨がった女は自分の跨間の柔肉を、彼の顔へぐいぐいと擦
り付けて気分を出す。
最後のクライマックスは、早いテンポの伴奏に乗って、仰向けに寝かされた遠山の目前に
その巨根をかざす様にして、胸にどっかと跨がった黒人が、政代を引き寄せて向い合った
まま挿入を開始した時だった。
政代の尻にまともに顔を敷かれ、挿入の律動を顔面で受けさせられる。その屈辱感は、顔
の上で揺れる政代の尻の動きが早まるにつれて果てしなく高まり、彼の意識を一種の陶酔
の域に誘い込んで行った。
やがて、おびただしいザ―メンが彼の唇を濡らし、口中を流れ、胃のふを満たす。
観客の拍手を遠くに聞きながら、遠山は政代の尻の下で、転落の淵深く沈んで行く我身を
かすんで行く意識の底で捉えていた。
〔完〕
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1986年2月スナイパー2,3月号
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2010/06/23