#05屈辱の人間便器 阿部譲二作

競馬で勤め先の銀行の帳簿に穴を開けた男が、サラ金の罠に嵌って会員制のSMクラブで女性の玩具にされることになる。しかし、条件として女性の排泄物を口にする訓練を受けることになり、三人の女性トレーナーを紹介される。朝・昼・晩と一日三回小水を飲みに彼女等を訪問。ところが晩のトレーナーは夫婦で、ついでにセックスの舌奴隷にされる。

ライセンス
 抜ける程青い五月の空に、さわやかな薫風の舞う或日の午後、此処は都内とは言え場末の三流サラ金のカウンターである。
 一流銀行のエリート社員を以て任ずる中原道夫二十五歳、は先程から係の女の子と押し問答を続けている。
「だから、責任者に会わせてくれと言っているんじゃないか! 君みたいな女の子じゃあ話にならんよ」
「女だって馬鹿にしないで! わたしだってここの貸出担当社員なんだから。所長は外出中で、帰りは何時になるか誰もわからないのよ。何だったら気のすむ様に、そこでお待ちになったら?」
 丸顔の、がっちりした体格のその女の子は、明らかにスポーツで日焼けした小麦色の肌に、いかにも気の強そうな太い眉と、黒目がちの大きな瞳の仲々の美人だった。
「勤務中なんだ、何とか頼むよ。所長じゃなくてもいいんだ。誰か話の判る男の人はいないのかね?」
「だから私がお話を聞きますって言っているでしょう。女性蔑視もいいところだわ! 覚えてらっしやい」
 彼女がふくれっつらで言いかえした時に、後ろのドアから、中年の目付の説い男が入って来た。
「あっ、所長、丁度よかったわ。このお客さんが、どうしても所長にって、お待ちです」
 応接室に通された道夫は、しぶい顔の所長を懸命にかきくどいた。
「そんな事情なんで、もう一ヶ月、返済を待って欲しいんです。いざとなったら、田舎の不動産を処分する手段だってあるし、こちらに迷惑はかけませんから」
 ひと通り、黙って話を聞き終えた所長は「失礼」と言って立ち上がると、ドアの所から、「ちょっと、山本さん。中原道夫さんのファイルを持って来てくれたまえ」
 先程の女の子が届けた分厚いファイルを繰りながら、所長は彼の方に向き直ると、
「中原さん、私共は固い商売が身上でしてね。高額の融資先の状況は、興信所から調べさせるんですよ。あなたの郷里には資産なんかない。それでも八百万円もの現金をお貸ししたのは、あなたが一流銀行勤務のエリートだからですよ」
 所長は、じっと道夫の目を覗き込む様にして続けた。
「でもね、この報告では、あなたはこの一年競馬場通いで、可成の金を会社から持ち出している様ですね。あの八百万円は、その穴埋めと言った所ですかな。と言うことは、返済の当ては全くない。違いますか?」
 道夫はヒヤリとして、背筋が寒くなるのを覚えた。
 まさに図星である。先月の会計監査を、とりあえずサラ金の借金で乗り切ったものの、当てにしていた先輩からの融資を断られ、万策つきていたのである。
 うなだれた彼をじろりと見下ろすと、所長は話を続けた。
「私共としては、返済していただけない以上、対抗手段を取るしかない。あなたの場合は、勤務先の銀行に掛け合わせて貰いますよ。規模は違っても同じ金融業仲間だ。この世界の仁義と言ったものもある筈ですからな」
「そ、それだけは勘弁して下さい。私の将来が滅茶滅茶になってしまう」
 唇をふるわせる彼に、冷たい視線を浴びせると、所長は、
「それも身から出た錆と言ぅもんですよ。まあ、あんたは若いんだから、またいちから出直すんですな」
「いや、で、でも、何とか……月賦にして貰ったら、必ず返しますから。会社にさえ黙って貰えるのだったら、どんなことでもしますから。お願いです」
 道夫は必死である。
「月賦と言ったって、あなたの月給とボーナスを丸々貰っても、利子がやっとですよ。まさか霞を食って活きるわけじゃなし、それとも何か副業のあてでもあるんですかね」
「副業と言っても、僕に出来ることはたかがしれてますが、何か夜の水商売でも探して見ます。もうけになるんだったら、ホストクラブででも働いてみせます」
 所長の目が心なしかキラッと光った。
「ほぉう、ホストクラブね。しかしこの世界も兢争がはげしくて、ひと通りのことじゃ成功しないそうですよ。でもね、あなたが死んだ気になってうんと身を落としてもいいって言うんだったら、心当りがないでもありませんがね」
「な、なんでしょうか? この借金を返せるんだったら、どんなことでもやって見ます。教えて下さい」
 わらをもつかむ思いで身を乗りだす。
「言って上げても良いんですがね。実はこれは秘密クラブの仕事なんで、外へ漏れるとあちこちに迷惑がかかるんですよ。……いや、決して法律にふれる様なことじゃないんですが、何しろ特殊なグループの人達の集りなんでね」
「是非、是非共教えて下さい。秘密は絶対に漏らしません。約束します。必ずです」
「と言われても、あなたはここで借りた金を返すという約束を、破ろうとしているんですよ。でも、まあ信用するとして、あなたは本当にどんなはれんちなことでも我慢する覚悟がありますか?」
 さぐる様な所長の目をはねかえす様に、
「ここまで来ればぜいたくは言いません。お願いします」
「じゃあ言いますがね。本当に内緒ですよ」
 所長は一応念を押したものの、どうやら獲物を追いつめた狩人さながら、してやったりの表情だが、動転している道夫には窺い知る由もない。
「実はね、そこは会員制のSMクラブなんですよ。SやMのホステスは豊富なんだが、最近は女性客が増えてね、相手をする男のホスト、それもMの男が足りないんです。君にもし女のおもちゃになる覚悟さえあれば、此処で毎晩七時から十一時まで、二年間働くことで借金は棒引きと言ぅことにしてあげてもいい」
「毎晩四時間ですね。でも、女のおもちゃって、どんなことをされるんですか?」
「それはお客さん次第さ。でも、ホストはどんな無理な要求でも、イヤとは言えないんだ。ただ、体を傷つけることは禁止だから安心していい」
 言葉使いが何時の間にかぞんざいになっている。
「でも、ひとつ条件がある。それはね、驚くかも知れないが、女性の排せつ物を口にして貰う。つまり、唾、たん、それに小水を飲むこと。まあ、大の方は最初は無理だが、これも三ヶ月たったら口にして貰う。でも心配しなくてもいいんだ。ちゃんと少しずつ仕込んで貰えるからね」
 流石に道夫の顔は蒼白になっていた。
「そ、そんな馬鹿な! 僕がそんなこと、出来ると思うんですか? 僕はそんな変態じゃありませんよ。見損わないで下さい」
「誤解しない様にして欲しいな。こっちは親切で言っているんだよ。いやなら結構、明日、銀行の方へ伺いますからな」
「ちょ、ちょっと待って下さい。それは困る。何とか他の方法を考えて頂けませんか?何でもしますから」
「他には無いな。何でもすると言いながら、選りごのみする様じゃ見込みなしだ。さあ、帰った、帰った」
「じゃあ、せめて、せめて二、三日考えさせて下さい」
 道夫の懸命な表情をじろりと一瞥すると、
「そんなに待つわけにはいかないな。明日の朝八時、これが最後のチャンスだよ」
 所長はこう言いすてると、もう用はないといったそぶりで席を立った。
 すごすごと事務所を出た道夫の頭はほとんど錯乱状態だった。
"女の排泄せつ物を口にするんだって! そんな屈辱的なことが出来るもんか。しかし何か考えなくっちゃ"
 心はあせりで満たされるものの、これという当ても浮かばない。銀行に帰ると、道夫は早速早退を申し出た。
 傍目にも土気色の顔色で、心配した主任はすぐ医者へ行く様に勧めてくれた。

秘密クラブ
 眠れぬ夜を過した道夫は、真っ赤な目をこすりながら、翌朝サラ金の事務所の戸をくぐった。カウンターの後ろから、昨日の確か山本と呼ばれていた女の子が、荒々しい彼の足音にびっくりして立ち上がった。
 彼の蒼白な顔を看てとると、何故か思わせぶりな笑みを浮かべて近寄って来た。
「いらっしゃい。所長は、お待ちしていてよ」
 昨日の応接間に通され、身を固くして浅く椅子に腰を掛ける。
「やあ、お早よう」
 だみ声に似た、野太い声音で彼に呼び掛けると、所長は前のソファに、どっかりと腰を下ろした。彼の赤く血走った目を、ちらっと見やると、ゆっくり時間をとって煙草に火をつける。
「結論は出たのかね? 大分迷った様だが、君もふんぎりをつけなくつちゃな。言っとくが君が首を縦に振らなけりや、これから一緒に君の銀行に行くことにしているんだよ」
 有無を言わせぬ口調は、中原道夫の心の中に残っていたはかない望みを、泡の様に消失させてしまった。
「あのお……昨日の提案を……受けさせて頂きます」
 思い切って声を出して、そのまゝがっくり首を垂れる。
 フウーッと煙を宙に吐き出すと、所長はニンマリとかすかな笑みを浮かべた。
「それじゃ、女のおもちゃになる決心がついたんだな」
「は、はい」
「毎日、女にしょんべんを飲まされるんだぞ。それでもいいんだな」
「それは……判ってます」
 情け容赦のない念押しに、咽喉から声を絞り出す様にして答えると、道夫の目はジーンと熱くなる。
「オーイ、山本さん。契約書を持ってきてくれ」
所長はドア越しに声を張り上げた
「うん、これでいい。山本君も一緒に立ち合うんだ」
 書類を渡して戻ろうとする彼女を、自分の傍に座らせると、所長は道夫の前に"契約書"と表紙に印刷された文書を差し出した。
「良く続みなさい。それから、この山本君がこれからは君の係だ。彼女のごきげんを損じない様にするんだな。ワハハハ」
 何がおかしいのか、最後は彼を揶揄する様な高笑いである。ぴくり、と肩を動かし、その意味を判じかねるまま、契約書に視線を落とした。
 無念さにうっすらと涙がにじみ、文字がぼやける。あわてて目をしばたいて、注意を集中する。内容は、中原道夫と当のクラブ経営者との間の二年契約として、一日四時間の勤務が義務付けてある。
 しかし勤務の内容は書かれておらず、ただ、経営者の指定する者に緒対服従、というのが明記されていた。
 次の頁に目を移すと道夫は、
「あの、この〔資格〕の所にある便器ライセンスA級というのは何でしょうか?」
「ああ、それか。山本さん、君から説明してやんなさい」
「私からで、いいんですの?」
 一応、道夫に聞かせる様に確認すると、
「私、山本英子といいます。これから、中原さんのお世話をする役ですので、宜しく」
「それでと……その便器ライセンスというのわね、フフフ、A、B、C、の三つのクラスに分れているの。もっとも、このSMクラブチェーンのお店だけに通用するライセンスです」
 黒目勝ちの大きな瞳で、彼のオドオドした目を見据えながら続ける。
「一番初歩のレベルはC級。これは異性、つまり中原さんの場合は、女性の排便のあとを舌で清めるの。B級は更に進んで、女性のお小水を直接全量飲むレベル。ただし、A級はこれに大便が加わるのよ。従ってA級のライセンスを持っているということは、女性の完全な便器として、奉仕出来ると言う証明になるの」
「でも……僕は……とてもA級なんか……せめてC級なら……」
 うら若い彼女の口から聞く露骨な表現にとまどいながら、道夫はどもりどもりつぶやく。
「心配しなくてもいいのよ。最初の三ヶ月はB級ライセンスをとっていればいいの。その間にA級をとればいいんだから」
「ライセンスをとるって一体具体的にどうするんですか?」
 道夫の問に、英子は所長と顔を見合わせてニヤリと笑うと、
「B級のライセンスをとるには、クラブの指定した三人のトレーナーに毎日一回ずつ、つまり毎日合計三回お小水をのませて貰うこと。これを三十日間、一日も休まずに続けると、資格を与えられるのよ。A級も同じこと。ただしA級だと、大の方も全量ってことになるから、これは一日一回で良いかわりに、三カ月続ける必要があるわけなの」
「言って置きますけどね、中原さんの三人のトレーナーの内の一人は、私なの。フ、フ、フ」
 含み笑いする彼女に見つめられて、道夫はみるみる赤くなった。
「あとの二人は、出来るだけ君の下宿の傍に選んであるわ。一人は女子大生で二十一歳、もう一人は家庭の主婦で二十七歳よ」
「…………」
「ちょっと、うつむいてばかりいないで、顔を上げて聞きなさい。あらっ、涙なんか流して。でも、無理ないわね。これから毎日、私のお尻の下でオシッコをのまされるんだから、さぞ口惜しいでしょうね」

 英子の見下す様な視線に耐えかねて、道夫は再び顔を伏せる。あたりが涙でぼやけ、屈辱感で気が遠くなる思いである。
「それじゃ、此処に署名捺印するんだ」
 所長の野太い声に、催眠術にかけられた様に道夫はペンをとる。控を含めて三通の契約書に署名して印をつくと、流石に悩みがふっ切れて、居直った心境である。
「一通はクラブで、一通はこの事務所に保管して置くからな。これは君の控だ。良く読んでおくんだな」
 所長は立ち上がると、大きく伸びをした。
「じゃあ、あとはこの山本さんに良く仕込んで貰えよ」
 英子と二人で残された道夫は、恐る恐る口を切った。
「あの……そのトレーナーの人には、何時会うんですか?」
 英子は答える代りに煙草を取り出し、指に挟むと顎をしゃくつた。
 きれいなウェーブのかかった髪が揺れ、彼を見下げる様に高慢そうな視線が、冷たく彼に注がれる。
「何してんの。火をつけたらどうなの。私もトレーナーの一人だってこと、忘れちゃだめよ。ライセンスだって、私のお情けがなくっちゃ取れないんだから」
 道夫は、慌ててテーブルの上のマッチをつかんだ。口惜しさに手がブルブル震えている。
「女子大生のトレーナーには、昼休みに紹介して上げる。もう一人の人妻は、夕方家に連れてって会わせて上げるから、六時に後で連絡する所に来るのよ」
「じゃあ、その時にまた来ます」
 立ち上がろうとする道夫を手で制すると、英子は、
「あなた、何か感ちがいしているんじゃないの? 君はもう、契約書にサインしたのよ。と、言うことは、今日から私のお小水を飲まないと、ライセンスが取れないのよ」
「今日から……ですって?」
 道夫は、思わず息をのむ。
「当り前じゃない? 今日も今日、それもたった今、ここで、これから私のお小水を飲むのよ」
「…………」
「そうそう、君に作法を教えなくっちゃね。そこに這いつくばって、私に(どうか、お小水を飲ませて下さい)って頼むのよ」
「そ、そんなことは、契約書に書いてないじゃないか! 君は、僕に何か恨みでもあるのかい?」
「アラアラ、えらそうな口をきくこと。昨日此処へ来た時とそっくりね。いいわ、二度とそんな態度がとれない様に仕込んで上げる」
 英子は煙草の煙をゆっくりと吐きだすと、人を馬鹿にした様な薄笑いを浮べて、彼の目をじっと見つめる。
 もともと目鼻立のはっきりした美人顔だが、日焼した肌に薄化粧が良くのって、冷たい感じはするが仲々魅力的である。
「私を怒らすと、為にならないわよ。この契約でも、こちらからは何時でも破棄出来る事になっているんだから。何なら、また所長さんを呼んで一緒に君の銀行へ行って貰おうかしら」
「…………」
「どうやら判った様ね。フフフ。じゃあ、そこに犬みたいに四つん這いになってごらん」
 英子は顎をしゃくって目の前の床を指す。
若い女になぶられる口惜しさに、目もくらむ思いだが、それでも諦めて床に這う。
下のカラータイルが、ズボンを通して膝に冷たく、みじめさを増幅する。
 彼女の膝を組んだ足先のハイヒールが、彼の顔に振れんばかりのところで、彼を嘲笑う様にかすかに揺れていた。
 と、足がスーと伸びて、ハイヒールの先が彼の顎をぐいとしゃくり上げる。顔が上向きになり、薄笑いを浮べて見下ろしている英子と視線が合った。
 何か汚いものでも見る様な冷たい眼差しに、軽蔑の光を読みとると、道夫は思わず目を閉じる。自尻から、涙がツーと流れる。
「目を開けて、こっちをちゃんと見るのよ!そうそう。……じゃあお前のお願いを言ってごらん。それから、自分の身分をわきまえて、ちゃんと敬語を便うのよ」
 足が組みかえられると、今度は額に靴がポンと乗せられ、尖ったヒールの先がトントンと彼の唇を突く。
「ホラ、ホラ、ホラ! 口が聞けなくなったの? それとも、いつまでもこうしてなぶられたいの?」
 道夫は、口中にたまった唾をゴクリと飲み下した。これまでの男の誇、衿持といった意地も一緒に飲みこんで、今や、女に憐みを乞う立場に転落した身を、自分自身に言い聞かせる。
 眉間に押し当てられた彼女の靴底で、視界が奪われ、みじめさがひとしおである。
「ど、どうか……お小水を頂かして下さい」
「聞こえないわ。もっと口を大きくあけて、はっきり言ってごらん」
「どうか、……あっ!」
 彼の唇に触れんばかりに迫っていた、尖っ

たヒールが、ぐつと口中に押し込まれたのである。
「フフフ。思い知った? 良くなめてきれいにしなさい」
 額に押し当てられた靴底を支点にして、かかとが揺れ、ヒールが彼の口腔をじゅうりんする。
「どお? 私の靴底の味は。どうせ、お前の口の中はこれから毎日、女のお小水で汚れるのよ。フフフ……お前、泣いてるのね」
 口のなかに拡がる、ザラザラした屈辱の味が咽喉を焼く。
「今度はこっちよ」
 足が組み替えられ、新たな汚れが口中に押し込まれた。四つん這いのまま、辱めが続けられる。
「いいわ、私の便器にして上げる。顔を洗って口をすすいでらっしゃい。私って、汚れた便器はきらいよ。お尻が汚れちゃうもの、フフフ」
 涙と靴底の汚れで黒ずんだ彼の顔を見下ろしながら、英子はおかしそうに笑った。
 逃げる様に応接室を出て、洗面所にかけこむ。
 鏡に写る自分のみじめな顔を見ると、どっと口惜しさがこみ上げてきた。顔と口を清めて、重い足を引きずり英子の前に戻る。
「そこへ、仰向けに寝るのよ」
 煙草を片手に、彼女が顎をしゃくる。
 言われた通りに、床に長々と横たわった彼の首を彼女が大きく跨いだ。上から見下ろす彼女のキラキラ光る大きな目に圧倒されて、思わず目を閉じる。
「目を開けるのよ。そして、自分のみじめさを頭の奥に焼き付けなさい。ホラ、スカート覗きをさせてあげる」
 彼女が前に移動して顔の上に立つと、スカートの裾が拡がって彼の視線を包み、白い二本の円柱の根元に薄いピンクのパンティがのぞく。
「フフフ、行くわよ。覚悟はいいこと?」
 ゆっくりと腰が下ろされ、円柱が左右に分かれると、パンティに包まれた良く発達した英子のヒップが迫る。
 それが目の前でピタッと止まると、スカートの据がめくられ、英子の顔が覗き込んだ。
「どお? 便器にする前に匂いを嗅がしてあげる。ちゃんと覚えなさい」
 ピンク色の中央に、黄褐色の汚れが割れ目にそって走り、不潔感を誘う。その部分がスッと落下して、道夫の鼻孔を包んだ。
 ムッとする臭気が、突然鼻の奥を突き、脳天がしびれる。ピクリ、と全身がけいれんするが、顔面は英子の股間にピッタリと捉えられている。そのうち呼吸が困難になって来て、もがくと尻圧がゆるみ、息をつくと又重みが加わる。

「判った? お前は私に完全に征服されているのよ。さあ、今度はお尻の方よ」
 腰が前の方へ少し移動し、汚れのひときわ広がった部分が鼻孔に当てがわれる。一味違った饐えた尻臭が道夫の屈辱感を深め、やりきれない思いがつき上げる。
「さあ、そろそろ本番よ。口を大きく開けて、そのまゝでいるのよ」
 腰が上がったと思ぅと、パンティがスルッとめくられ、白い尻が目の前で躍り、黒い陰りがアッと言ぅ間に彼の口を捉える。
 英子は尻を微妙にくねらせて位置を修正すると、軽く重みをかける。
「クックックッ、いかが? 女のおしっこを飲まされる気分は。男として最低の行為ね。恥を知りなさい、恥を!」
 思わず息を呑んで、その時を待つ道夫の脳裏には、口惜しさと屈辱の思いが渦まく」
 やがて、ポタポタと、口中に生暖かい汚水が滴下すると、すぐにチョロチョロとした流れに変わる。独特の臭みと、塩っぱい苦味が、口一杯に広がり、無念の涙が鼻筋を伝わる。
ゴクリ、ゴクリと汚水を飲み込むが、後から後から際限なく湧き上がってくる。
 出し方を加減してコントロールしてるとみえて、勢いが増して来ると流れが一時止まり、また流れ出す。
「あらあら、いくらでも出るわ。随分溜っていたんだわ。しつかり飲むのよ。こぼしちゃだめよ」
 息をつく間もなく飲みこむうちに、胃の方も一杯になって来て、もうこれ以上無理かと思われた頃、ようやく流れが止まった。
「ウフッ。とうとう便器に成り下がったわね。あと、きれいにするのよ。舌を出して、そうそう」
 柔らかいひだ肉を舌の先でかき分け、残った滴を唇で吸い取る。と、彼女の腰が突然前に動き、アヌスが唇に押し当てられた。
「ついでにアヌスも清めなさい。ホレ、どうしたの?」
 双球が頬を圧し、ピンクの括約筋が唇をこすって屈辱の奉仕をうながす。
 こみ上げる抵抗感をぐつと押さえ、舌と唇

で清めを始めた。付着していた槽が、ピリッとした苦みを口中に広げる。
「もっと強くねぶって、そうそう、今度は吸い込んでごらん」
 女に言われるまゝに、菊座を強く吸うと途端に、プスッとガスが口中に送り込まれた。
思わず(アッ)と叫んだが、尻に押しつぶされて声にならない。
「あら失礼。お前があんまり吸うからよ。でも折角だから、もう一度正式にアンコールして上げるわね」
 尻がわずかに前にずれて、アヌスが鼻孔を捉える。プスッ、とガスが今度はまともに、鼻の中に注入され、異臭と屈辱で脳髄が焼ける様な衝撃を受けた。
 全身にけいれんが走り、首をひねって逃げ様とするが、彼女の尻はがっちりと彼の顔面を捉えて離さない。
「もうひとつ、おまけよ」
 再度の注入が行なわれ、あわれにも道夫は、一瞬、彼女の尻の下で軽い失神に似たショックを味わったのである。
しばらく、たっぷりと余韻を味あわせた後、漸く彼の顔面から尻を上げた。
「さあ、そこへ這いつくばって、お礼を言うのよ」

 これまでの人生で初めての、このおぞましい辱めは、彼、中原道夫を完全に打ちのめした。最早、英子は彼にとって、単なるOLではなく、征服者であり、女主人である。
 四つん這いで、彼女の足もとにいざり寄った彼の姿は、主人の前にかしこまる犬のそれであった。
「お、お小水、…どうも有難うご座いました」
「これ、頭が高いよ!」
 英子のハイヒールが、道夫の前頭部をぐっと踏みつける。彼の額が床に押しつけられ、冷たいタイルの感触が、改めて道夫に転落した自分を認識させた。

昼のトレ−ナー
 勤務先の銀行に遅れて出社した彼は、ほとんど仕事も手につかなかった。
 悪夢の様な今朝の屈辱が、繰り返し想起され、口惜しさが噴き出して来る。
 昨日の早退以来の彼の青い顔に、心配した主任が勧めるまま、近くの医者を訪れたものの、勿論体は異常なく、そうこうしている内に届休みになる。
重い足を引きずって、指定された場所へ急いだ。都内も場末のこの界隈には、町工場や学校が多い。銀行の裏手の、歩いて五分位の所に私立の短期大学がある。
その正門で英子と落ちあう約束である。
「中原さぁん。此処よ。こっちへ来てぇ」
 門柱の傍で、ぼんやり立っていた道夫のうつろな目に、黄色のワンピースの英子が、キヤンパスの芝生の方から手を振っているのが写った。
近づくと傍にもう一人、紺の上着に白いスリーブの女子大生がいる。
「こちら、石田敬子さん。私の高校時代の同級生、君のお昼のトレーナーよ」
「それから、そちらは、フフフ、私達のべ、ん、き。名前は中原道夫よ」
「今日は。私、敬子。君のこと何んて呼ぼうかしら?」
 英子ほどではないが、薄っすらと日焼けした健康そうな肌に、やや面長な顔立の、平凡だが親しみの持てそうな女である。
「フフフ、まさか(便器さん)って呼ぶわけにはいかないわね」
 英子が、そばから意地悪く割って入る。
「まさかぁ。でも、英子はどう呼ぶの?」
 切れ長な目が涼しげで、何となく清々しい雰囲気を漂わしている。
「そうね。皆の前では、(中原君)。私達だけの時は、(お前)って呼ぶわ」
「じゃあ、私も同じ。ところで、お前、余り時間がないんでしょう?」
「は、はい、昼休みは一時間あるんですが、食事も未だですから」
「あらっ。私達は済ましたわよ。いいわ、すぐ使って上げる。こっちへいらっしゃい」
 校舎の裏手に回ると、そこは一面の花壇である。
その奥に、こんもりとした植込みが続いていて、人影も見えない。
「さあ、ここがいいわ。そこへ寝なさい」
 植込みの間の草の上に、仰向けに横たわった道夫の顔の傍へ、二人が立つ。
「何だか可哀そうね。でも、この人も昨年の男と同じ様に、ライセンスを取ってコールボーイで稼ぐんでしょう」
「そうじゃないの。こいつは、うちの所長に惜金が返せなくって、身を落とすの。一ヶ月したら、秘密クラブのSMショーに出されて、毎晩なぶられるのよ」
「あらぁ、そうだったの。道理でしょんぼりしてたわけね。いけない、もよおして来たわ。お話は後にして、先に済ますわね」
 敬子の紺のスカートが、パッと広がると、白いパンティがちらっと目に入る。と、すぐにそれがくるっとめくられ、白い尻が落下して来た。
「あらっ、敬子、あなた、逆に跨がるのね」
 英子が言う様に、敬子は道夫の足許の方を向いてしゃがみ込んだのである。
「私はこの方がいいの。だって出る方向が少し後ろ向きなの」
 道夫は口を敬子の部分が捉えると同時に、敬子の双球が彼の顔面に押しつけられ、呼吸を奪う。懸命に首を上に向け、尻割れから辛うじて空気を吸込む。
鼻孔がアヌスに触れ、ツーンと異臭が鼻に泌みた。
「行くわよ。いいこと」
 ハッと緊張する道夫の口腔に、チョロチョロと汚水が注がれ、量も加速度的に増える。
今朝の英子の味より薄いが、臭みはひとしおで、ゴクリ、ゴクリと懸命に飲んだ。
 二度目だということもあって、多少余裕が出来たことが、かえって道夫にその味や香、そして女の便器にされているという意識を感じさせ、屈辱感はひとしおである。
「さあ、終ったわ。きれいにしてね」
 舌でまさぐる様に雫を吸いとって行くと、ねっとりしたのり状の澱ものが口に入った。
酸味の強いその味に、思わず(ウッ)と声が出る。
「どうしたの?」
 スカートをまくつてのぞき込んだ敬子は道夫の舌の先に目を疑らした。
「あら、失礼。アンネが終わった所だったの。でも君の口が便器なら、君の舌はさしずめトイレットぺ−バー。何を拭かされたって文句はない筈よ。さあ頭張って拭いて頂戴。ついでに、ウフッ、うしろの方もお願いね」
 自分の転落した渕の深さを思い知らされる様な気がして、情なさに顔がカッとほてったが、泣く泣く清めを続ける。
 敬子がやっと尻を上げると、続いて英子が彼の顔を跨いだ。
「私まで、もよおしちゃったわ。お前のお昼御飯は私達のスープで充分よ。さあ続けで飲めるわね」
「で、でも一日一回で良かった筈です」
 悲痛な道夫の抗議には耳もかさず、英子の股間が彼の口を捉える。
「何よ、便器のくせに。私の言うことを聞かなけりゃ、ライセンスが取れないのを忘れたの?」
 敬子の尿で半ば満たされた胃に、英子の分を必死で送り込む。尻の下で、ゴクリ、ゴクリと道夫が咽喉を鳴らすのを聞きながら、
「こいつ、昨日、私にとても失礼なことを言ったのよ、それで今朝ね、うちの事務所の応接室で筆卸しの時、うんと辱めてやったの。これからも、うんとなぶりぬいて私の完全な奴隷にしてやる」
「まあ、可哀そうに。ところで、この人、一ヶ月でB級ライセンスを取るんだったら、英子と私と、それからもう一人トレーナーが要るんじゃないの?」
「今晩、こいつを連れて行く所がそうよ。ほら、例の奥さん。覚えているでしょう」
「あらぁー、あの人なの、そりや益々可哀そうよ。この男、なぶりものにされるわよ」
「そうね。コレ! しつかり清めるのよ」
 英子の尻の下で聞く、おぞましい已のさだめに、思わず彼の目頭が熱くなった。

奴隷奉公
 その日の午後も、陰鬱な気分のうちに過ぎる。朝に続いて、昼休みに受けた屈辱は、道夫の心を文字通りズタズタにしてしまった。
何度か洗面所で顔を洗い、うがいをしたが、二人の女に飲まされた小水の味は何時までも舌に残り、無理やり嗅がされた尻臭は鼻の奥から消えなかった。
 それよりも、道夫の心を暗くするのは、これから先、彼を待ち受けている様々な辱めである。
(二年、たった二年の辛抱だ。それで借金もなくなるし、すべてうまく行くんだ)
 道夫は自分に言い聞かせる様に、繰りかえし心の中でつぶやいた。
退社時間がアッという間に来る。彼は英子との待ち合わせの場所へ急いだ。
 彼の下宿から、ものゝ五分とかからぬ高級住宅街の喫茶店で、コーヒーをすすりながら英子を待つ。約束の六時を少し回った頃、彼女が現れた。
「待った? ちょっと買物に寄ってたの」
 彼の前に腰を下ろした彼女は、柔らかな店の照明の中で、ひときわあでやかだった。
 注文のオレンジジュースを、一口ごくりと飲むと、英子はニヤニヤ笑いながら、
「君、余りコーヒー飲まない様にしたら? 

あとで、フフフ、お前にふさわしい飲物が待っているんだから」
 如何にも軽蔑し切った英子の視線に、彼は赤くなって、力なくうなだれた。
「ふうん。少しは恥と言ぅものを知っているのね。いいわ、その方がなぷり甲斐があると言うもんだわ。明日の朝は七時に私のアパートへいらっしやい。寝起きの、うんと味の濃いやつを、御馳走してあげるから」
 それから間もなく、二人は、深い植込みに囲まれた広壮な邸宅の前に立っていた。石に彫られた表札には、「沢田」とある。
「此処がそうよ。ここの奥さんは、元、銀座で働いていたそうだけど、たまたま妻に死なれた大金持に見初められて、後妻に納まったと言うわけ。今でもホステス時代の男への恨みが忘れられず、男をなぶりものにするのが趣味だそうよ」
 英子は道夫に説明しながら、玄閑のベルを押す。扉のインターホンで何やら応答していたが、(じゃ、また明日ね)と道夫を一人残して立ち去って行った。
 昔の武家屋敷を思わせる、いかめしい大きな木製の扉の内側で足音が響き、その端に設けられた潜り戸が開いて、若い女が顔をのぞかせた。
「お入んなさい。奥さまがお待ちかねよ」
 お手伝いと思われるその女は、年の頃は二十前であろうか、小柄ながら、がっしりした腰周りに浅ぐろい肌、如何にも田舎娘といったタイプである。健康そうな艶のよい丸顔に、やや細めの眉と厚い唇が、いかにも肉感的な感じをあたえる。
「此処から上がって頂戴。奥様の前では床に正座するんですよ」
 勝手口に靴を脱ぐと、彼女の後ろに従って奥へ入る。不安が 一杯で、足が震える思いがあった。かなり大きな家と見え、何度も廊下を折れて、漸く応接間に辿りつく。
「此処で待つのよ。今のうちに、着物を脱いで裸になっておきなさい」
「な、なんだって? どうして裸なんかになるんだ。僕が此処に来たのは……」
「此処に来たのは、フフフ、奥様になぶられるためでしょう? ちゃんと連絡が来てるんだから」
「そ、そうじゃないんだ。僕はただ……」
「いいのよ。恥ずかしがらなくつても。私も一緒に手助けする事もあるんだから。でも、何か言い分があるんだったら、奥様に直接言って頂戴」
 彼女が出て行った後、取残された道夫は、悪い予感そのままの思わぬ展開に、益々不安に駈られた。
 広い部屋の中央にはシャンデリアが輝き、ふっくらした毛足の長いじゅうたんに、豪華な応接セットがまばゆいばかりである。
「いらっしゃい。待たせたかしら?」
 突然、奥のドアが開いて、大柄な派手な顔立の女が入って来た。
 くりの深い紫のブラウスからは、豊かな白い胸が覗き、紺のスカートに包まれた形の良いヒップ、すらりと伸びた長い足は、家庭の主帰というよりも、職業モデルで通りそうである。元銀座の一流ホステスというのも、充分うなずけるグラマーな姿態だった。
「あら、裸になっておく様に言っておいたでしょう。さあ、すぐ着物を脱いでそこへ四つん這いになるのよ」
 響きの良いアルトで、高圧的に命じる。
「あの、僕、いや私は、此処へは奥様の、あの、お……お小水を頂きに来ただけなんです」
 道夫は、しどろもどろになりながら、顔を赤くして、それでも懸命に訴えた。
「何を寝呆けてんのよ。私のオシッコを飲むって事は、とりもなおさず私の奴隷に成るっていう事じゃないの。どこが違うのさ」
「でも……契約では、飲むだけで、後のことは何も……」
 彼女は、じれったそうに舌打ちをした。
「うるさいわね。そんなに言うなら、自分で契約した相手の男に直接電話して、確かめたらいいでしょう。そら、そこの電話の傍のメモに番号が書いてあるわよ」
 震える指でダイヤルを廻す。幸い、所長が電話口に出た。
「あの、中原です。私、今、沢田さんのお宅に伺っているんですが、どうも話が違うんです。こちらでは私を、その、奴隷にするって言うんです。私はそんな契約をした覚えはありませんよ」
「何を言ってるんだ。トレーナーの言う事には、一切背かないって書いてあったのを忘れたのかね。それに、そこの奥さんはな、例のSMクラブの常連で、御主人はそこの有力なスポンサーの一人なんだ。一寸でも御機嫌を損じて見ろ。おまえはすぐにも銀行を首にされるぞ」
 所長のダミ声が無情に響く。道夫は力なく受話器を置いた。
「どおお、分かった? 奴、隷、さん!」
ニヤニヤ笑いながら、わざと、一語一語ゆっくりと、彼を言い聞かせる様に言う。
「私は沢田絹代。私の事は、いつも奥様っ呼ぶのよ。それから、この子の名前は、春。お春様って呼びなさい」
 何時の間にか、部屋の入口に先程のお手伝いの女の子が、薄笑いを浮べて立っている。
すごすごと部屋の片隅へ行き、服を脱ぎかけると、
「パンツもとるのよ。生まれたまゝの姿になりなさい」
 覆いかぶせる様に、冷たい女の声。
 裸の肌に、部屋の空気が急に、ひんやりと感じられる。二人の女の探る様な視線に、無防備な自分が気恥ずかしく、うつむいたまゝ、そろそろと絹代の前へ近ずくと、そのまま四つん這いになった。
「うふふ。顔を上げて、こちらを見るのよ」
 それでも、うなだれたまゝの彼の後ろにお春が近寄り、背中に足をかけると彼の髪を掴み、ぐいと首を後ろに引く。
「奴隷のくせに! 奥様の命令に背くとひどいわよ」
「お仕置してあげる。口を大きく開けて」
 絹代の言うがまゝに口をひらく。
 彼女は大きく咽喉を鳴らすと、ニヤニヤしながら顔を近ずける。玉虫色に彩られた唇を半開きにして、舌を軽く出して見せた。細かく泡立った唾の上に青味を帯びたねっとりとした痰が拡がっている。
 彼のおびえた瞳を見据えてニヤリと笑みを浮かべると、網代は口をすぼめ、ペッとそれを彼の口腔に吐きこんだ。
(ううっ)と思わず道夫の口からうめき声が洩れる。
「飲み込む前に、良く味わいなさい。うふふ……、甘いの? それとも辛いの? それとも苦いかしら? フーン、何も言えないのかい。コレッ!」
 絹代の素足が、まともに道夫の顔面を踏みつける。
覚悟していたとはいえ、重ね重ねの屈辱に、目尻からツーと涙が糸を引く。
「あらっ、もう泣いてるわ。私ね、泣き虫は嫌いなの。泣いている男を見ると、もっともっといじめたくなるのよ。ソラッ、お春の痰も飲むのよ。そして私のと味を比べるの」
 ぐんと絹代の足裏が道夫の顔を押し、思わずよろける。
あわてて後ろのお春の方に向き直り、目をつぶって口を開ける。
「馬鹿ぁ。お前から這いつくばってお春にお願いするのよ」
「あ……あのぉ……お春様の……た、痰を飲ませて下さい」
 思いきって言ってはみたものの、流石にあまりのみじめさに、声が震える。
「フーン、この変態男!」
 軽蔑をあらわにして、お春は絹代に習って咽喉を鳴らし、たっぷりとした塊を勢いよく道夫の咽喉に吐きこむ。
「ホラッ。奥様のと比べてお味はどうなの? ウフッ。どちらがおいしいの?」
 田舎娘のお春にまでなぶられて、悔しさに道夫は目がくらんだ。もうやけ気味にお春の痰を舌の上で転がして味わう。ピリッと塩っぽい味が、ぬめっとした感触と共に不潔感をそそり、みじめさを倍加する。
「お春さまの方が、少し塩辛い様です」
「フーン。すると私のは甘いってわけなの? いいわ。じゃあ、これを舐めてごらん」
 絹代の足のかかとが道夫の唇をにじる。舌を出して舐めると苦みがピリッと舌を刺す。
「その調子よ。しつかり舐めてきれいにしなさい」
 絹代は足の裏を彼の顔に押しあてたまゝ、ゆっくりとソファに腰を下ろした。
 四つん這いのまま、女の足を舐め続ける道夫の首に、お春が犬の首輪をはめる。
続いてその手が彼の股間をまさぐった。
 ピクリ、と反射的に大腿を合わせる。
「コレッ、股を開いて! そのまゝおとなしくしてるのよ」
 道夫の男のもののに根元に、何やら紐の様なものが結びつけられた。
「さあ、あとでまた、たっぷり舐めさせるから、お馬になるのよ」
 絹代は彼の背にどっかり腰をすえる。
「さ、歩いて。そっちじゃないったら、こちらよ。そうそう。そこに鏡があるでしょう。そこで止まって」
 絹代のぽってりした尻を背に感じながら、彼はよたよた這い進んで、部屋の奥の壁に掛けられた大きな姿見に向かいあった。
「ほら、顔を上げてお前のみじめな姿を良く見るのよ。ウフフ、どおお?」
 彼女の勝ち誇った顔が幾分上気し、鏡の中であでやかに笑っている。その股の下に首輪をはめられたみじめな彼の顔がしょんぼりと写っていた。
「面白いもの見せてあげる。ほら、君の股の間を見てごらん」
 そこには彼の男の物がだらんと下がっている。その根元には、帯の様な輪が嵌められていた。
「わかる? そこにも小さな首輪が付けてあるのよ。ほら、ウフフ、こうすると感じるでしょう」
 絹代の手に握られた細い鎖が引かれると、それがピクリと動き、その部分がブラブラ揺れた。同時に、軽い痛みに似た奇妙な感覚が走る。
「ねえ、良く見て。面白いでしょう。ほら、ほら、ほら」
 彼女の指のままに、そのブラブラが激しくなり、やがてその部分が突然硬直し始めた。
「あらあら。君も、気分が出てきた様ね。フフフ、現金なものだわね。こうして女の私になぶられていても、男はすぐこうなるんだから。どおお、恥ずかしくないの?」
 続いて、絹代を背に乗せて、部屋をぐるぐる廻らされる。
今度はお春が後ろの細い鎖を持って従い、時々それを軽く引く。
その度に彼の硬直したものがピクピク反応し、二人の女の笑いをそそった。
「さあ、今度は奉仕して頂戴。私を何回も良い気特にさせたら、ご褒美に私のお水を飲まして上げるからね」
 絹代は、クッションのきいたソファに深々と身を沈めると、首輪をぐいと引き、彼の顔面を股間に引き寄せた。
 レースの縁取りのある、如何にも高価そうな黒のパンティを彼の面前で脱ぐと、プンとクレパスの異臭が漂う。黒々とした蔑みに囲まれて息ずいているピンク色の肉ひだの中心が、粘液に濡れてヌメヌメと光っている。
「どうしたの、フフフ、さ、早く」
 彼女の足のかかとが道夫の後頭部に当てられ、彼の首をぐつと引き寄せる。
 顔がビクッとクレバスに密着し、口の周りに肉ひだのマスクが被せられる。
 あわてて舌を動かすと、ねっとりした液が口に入り、独特の臭みが口腔一杯に拡がった。
「そうよ、その調子よ。そう、そこをもっと強く。ううん、もっとよ」
 後頭部に当てられた絹代のかかとに力がこめられ、彼の唇を強く肉ひだに押しつける。
女の意のままにコントロールされ、奉仕させられるみじめさ、それに、熱帯の花に似た強い花芯の香りに道夫の頭はしびれ、絹代の命ずるままに夢中で舌を動かした。
 そのうち最初の高まりが来て、彼女の大腿が彼の頬を締め付ける。
「お汁をすって、それから暫くアヌスをねぶりなさい」
 ズズーッと音を立てて分泌液を吸いこむ。
すると、彼女の手が彼の頭を下に押し込み、同時に彼女の腰が前にずらされて、彼の顔に彼女の尻がピ夕リと当てられた。
 女にアヌスを舐めさせられるという屈辱的な行為を続けるうちに、再び首が上に引き上げられクレバスへの舌奉仕を命じられる。
何回もの繰り返しに、舌の付根に鈍い痛みを覚え、舌全体が痺れた頃、漸く彼女も満足したと見え腰を起した。


「ご苦労さま。それじゃ、ご褒美上げる」
 絹代は、彼の首を仰向けのまゝ股にしっかりと挟んで、仁王立ちになる。
「さあ、口を大きく開けるのよ。零したら承知しないから」
 そのまゝの姿勢で、ポタポタと滴が咽喉に落ち始めたかと思うと、チョロチョロとした流れに変わる。
懸命に喉を鳴らして飲むが、後から後から絶え間なく汚水が口中に注がれた。
 臭味を帯びたしつこい味で、昼間の若い二人のものより飲みにくい。何より、股間から覗く彼の目を、じっと見下ろし続ける彼女の軽蔑しきった視線に、狂おしいほどの屈辱感を呼び起されるのだった。
気だるそうな欠伸を洩らして絹代が奥へ入ると、道夫は、お春と二人だけで応接間に残された。ぐったりして床にへたりこんだ道夫に対し、お春は先程からの淫びな情景にすっかり興奮し切って、目を赤くしている。
「さあ、今度は私の番よ。奥様と同じ様に奉仕して頂戴」
 お春の手にした鎖がぐいとたぐられ、彼は思わず前へのめり四つん這いになる。今度はもうひとつの細い鎖が、ツンツンと引かれ、その度に身もだえする彼の様子を、お春は面白がって眺めている。
「ど、どうか許して下さい。舌がし、しびれてしまって。又この次に、か、必ず奉仕しますから」
 お春は、じれったそうに舌打ちすると、足を上げて彼の横腹を蹴る。そして、不様に仰向けに転がった道夫の顔の上に素早く跨がった。パンティがまくられ、丸々した、はち切れそうな尻が彼の顔面に圧しつけられる。
むっとする臭気が鼻を襲い、一瞬気が遠くなる思いだった。
「舌が使えないんなら、唇があるでしょう。さ、しっかり吸うのよ」
 じっとり濡れたクレバスを懸命に首を動かして唇で擦る。しかし、すぐ疲れて動きが鈍った。お春は、もどかしそうに尻を揺すり始め、そのうち激しく彼の顔面を尻で擦り出した。唇がめくれ、鼻の部分にクリトリスが繰返し押し付けられる。
あわれにも道夫の顔は、お春の尻にじゅうりんされ、さながら卸金の様に使用されたのである。
 やがて、お春はゆっくりと彼の顔から尻を上げた。
「ごくろうさん。明日から毎晩こうして使ってやるからね。遅れない様に来るのよ」
 自分が完全に征服した男に対する軽蔑と、見下し切った態度が、お春の口調にはっきりと表われていた。

学 園 惨 華
 夜道を社員寮に戻る道夫の足取りは、重苦しかった。
べとべとした二人の女の粘液が夜風で乾燥して、顔がこわばって来ている。
 絹代のみならず、小娘のお春にまでなぶられた悔しさ、情けなさ、それに屈辱に満ちた今日一日のみじめさが、少しずつ込み上げてきて道夫の胸をかきむしり、横になっても中々寝つかれなかった。
 カーテンの隙間から射し込む朝の光に、ハッとして身を起す。あわてて着替えると、朝食を取る暇も無く飛び出していた。
 陽光に溢れた爽やかな五月の朝も、彼にとっては昨日に続く苦行の日の始まりである。
 英子のアパートに着いたのは、約束の七時ギリギリだった。息をはずませている彼をネグリジェ姿の彼女がものうげに招じ入れた。
「靴を脱がないで。そのまゝそこへ横になりなさい」
 上がり口のところで仰向けになった道夫の顔をネグリジェの裾が撫でると、水玉のパンティをずり下げながら白い尻が落下してくる。
黒い茂みが鼻を軽く押さえ、大きく開いた彼の口に肉ひだの境轡がかまされる。
 すぐに、チョロチョロと汚水が口中に注がれ始めた。
思ったより濃厚な塩辛い苦味が咽喉を焼き、思わずグッと吐き気が込み上げる。
 流量が増え、懸命に飲み乾すが、あとから

あとから湧き出て来て彼の胃を満たす。
 流れが弱まり、ほっとすると又、ひとしきり勢いをとり戻して続く。
胃が大きく膨らみもうこれ以上無理かと思った頃、漸く流れが止まった。
命ぜられるまゝに舌と唇で跡を清めると、尻が揺れ、じっとり湿ったアヌスが鼻を押す。
尻臭がツンと鼻を衝き、みじめさの意識がよみがえる。
「今日はこの臭いを忘れない様に、お前の顔に擦り込んで上げる」
 英子の尻がみそすり状に彼の顔面を擦り、アヌスのしめりが彼の鼻や頬、それに額にまで塗りつけられた。
「そのまゝ出勤するのよ。少しは恥ずかしい思いをするといいわ」
 英子の辱めで真っ赤に上気した顔に、汚れをつけたまゝ外へ出る。銀行に着くまでの二十分程の道程が、今日程長く感じた事はなかった。小走りに急ぐと、臭いゲップがたて続けに出る。
 銀行の門をくぐると、すぐその足で洗面所へ飛びこんだ。顔をゴシゴシとこするが、一たん与えられた汚れは心に焼き付けられて忘れようがない。
 机に向かっても中々落ち着きが取り戻せず、周りの女子社員に話しかけられると、オドオドしたり、必要以上に丁寧な言葉使いをして笑われたりした。
 困ったことに彼女等のヒップがやたらと気になり、スカートに包まれた、はち切れそうな双球の割目が目の前にちらつく。その度に昨日から今朝にかけての屈辱が呼び起された。
 昼になると、三々五々食事に向かう同僚と別れ、昨日と同じキャンパス裏手の花壇に急いだ。人気の無い裏庭を過ぎ、植込の蔭に足を踏み入れた途端彼はハッとして立ち止った。
昨日、彼が辱めを受けた芝生の上で、見知らぬ三人の女子大生が円坐になって談笑している。彼を見て、その中の一人が手招きした。
「中原道夫さんでしよう? 私達、石田敬子のクラスメート。ここであなたをお待ちしてたのよ。敬子はすぐ来るわよ」
(敬子の友達がどうしてここに? もしかしたら……)
 彼の心中に、みるみる真黒い疑いの雲が湧き、悪い予感が拡がる。
「ぼんやり立ってないで座ったら? あら、顔が青いわよ。何か心配事?」
 三人は顔を見合わせてニヤニヤ笑った。
「君の心配している通りよ。私達、敬子からみんな聞いてしまったのよ」
「だから、今日は皆で見物に来たの。男のくせに女の便器にされるなんて、変態もいいところだわ」
「変態というより、豚よ。女の排泄物を口にするんですもの」
 三人は口々に彼に話しかけた。それぞれに軽蔑し切った口調が感じられる。
「私達ね、今日は見るだけだけど、そのうち協力して上げてもいいのよ」
「協力って……一体どうするんですか?」
 道夫は不安気に問い返す。
「判ってるくせに! 私達も君を便器として使って上げるということよ」
「そ、そんな必要はないんです。敬子さんだけで十分です」
「あらっ、そんな筈はないわ。他の人にも使われているくせに。ちゃんと知ってるのよ」
「で、でも、そ、それは、資格を取る為で、本当にあなた達には使って頂かなくつてもいいんです」
「いいわ。私達の好意を無にする気ね。それなら覚悟があるわ。君の勤め先にいる私の友達にみんな話すわよ。ホラ、出納係の井上良子よ。知ってるでしょう」
 それは彼にとって青天のへきれきだった。
勤め先まで知られている事もさることながら、あのおしゃべりの井上良子がこの事を知ったら、それは考えるだけで背筋に悪寒が走る思いだった。
「お願いです。どうか、どうか秘密にして下さい。なんでもしますから。本当です」
 彼のあわて振りに、三人はクスクス笑い出した。
「大丈夫よ。私達の言う事を聞けば、黙ってて上げるわ。でも君、本当に私達のオシッコを飲める? きっと臭くて、まずいわよ。フフフ」
 女達になぶられる悔しさに、さすがに彼も目が眩む思いである。
その時、漸く敬子が姿を見せた。
「ごめんごめん。待たせたかしら? あら、お前ももう来てたのね」
「ひどいじゃないですか。私の事を皆にしゃべるなんて。秘密を守る約束だった筈でしょう。一体どうしてくれるんですか」
 道夫のせい一杯の抗議も、敬子には通じない。かえって彼女を刺激しただけだった。
「あら、そんな約束した覚えないわ。第一、お前にそんな口をきく権利は無いのよ。フン、何よ、女の便器のくせに、そのえらそうな態度は何? 私のお尻の下で汚れをペロペロ舐めたのを忘れたの? お前なんかね、女のおしもを舐めるしか能が無いのよ。今から化けの皮をはがして上げる。フフフ、さあ、そこへ寝るのよ」
 皆の前での明らさまな辱めに、道夫は頭に血が上がり唇がブルブル震える。
「さあさあ、豚男の便器ショーの始まり始まりィ」
 一人がおどけて言うと、ドッと笑いがはじける。
無念の思いをかみしめながら、彼は皆の中央に横たわった。
 敬子がニヤニヤしながら彼の顔を跨ぐ。
英子の時とは逆に、彼の足許の方を向いたま

ま腰を下ろし、彼の顔面の寸前でパンティをめくると、そのまゝ尻を落とす。
 と、誰かの手が道夫のズボンのチャックを下ろし、彼の一物を引き出した。思わず身をよじって逆らおうとしたが、足を抑えられていて動きが取れない。勿論、顔面は敬子の尻に抑えられたまゝである。
 突然、敬子のスカートの後ろがめくられる。
彼女の尻の端から辛うじて目だけ出している彼の顔を、女達が笑いながら覗き込んだ。
「あらあら、みじめなもんね。ホラ、見て御覧なさい。敬子のアヌスが丁度鼻の穴に当てられてるわ、きっと臭いでしょうね」
「男もこうなったら終いね。敬子、未だ出ないの?」
「もうすぐよ。ほら、出るわ」
 チョロチョロと、そしてやがて少し勢いを増して、例の如く口中に彼女の小水が注がれる。ゴクリゴクリと飲み込むのにも慣れ、余裕が出来たのは良いが、その分、自分の情けない行為を意識するため、屈辱感はつのる一方である。
「ほら、涙を出して飲んでるわよ。さぞ口惜しいでしょうね」
 その時、彼の足を抑えていた一人が、すっ頓狂な声を出した。
「見てえー。ほらー、早く早くうー」
 何と言う事だろうか、敬子の汚水を飲まされながら、彼の一物は大きく硬化して天を指している。敬子を含め四人の女がゲラゲラ笑い出した。
「いやだわ、この男、敬子のオシッコ飲まされて気分出してるじゃないの」
「いやらしい。やっぱり、こいつ変態よ」
 誰かが、彼のその部分を靴の先で突つく。
はち切れそうな怒張はたまらず噴出した。
 キヤーッと嬌声が響き、続いてゲラゲラと笑い声が一斉に起る。
 舌で丁寧に後始末をして、漸く敬子の尻から開放された道夫は起き上がると、真っ赤になりながら、あわてて前を繕った。
べっとりと汚れた部分を、とりあえずズボンに押し込む。
チャックを上げて、逃げる様に皆の前から去ろうとすると、敬子に呼び止められた。
「お前、私にお礼を言うのを忘れちゃだめじゃないの。それに皆にも、わざわざ見に来て頂いて有難うございましたって、一人一人土下座して廻るのよ」
「そうよ。敬子の言う通りにしなさい。そしてその時にはね、明日からは皆様の、フフフ、共同便器にして頂きたいと思います、どうか宜しく、と言って廻るのよ」
 それは、道夫にとって残酷な命令だった。
しかし、もう、あらがう事の無駄を悟った彼は、素直に彼女等の前に屈服する。
 不様に地面に這いつくばった姿勢で嘲笑の渦のうちに、言われた通り繰り返して廻った。
一人が、足許の彼の首を踏みつける。堰を切った様に皆が彼の頭を、そして仰向けにされて顔面をハイヒールでじゅうりんした。
 女達になぶられている内に昼休みが過ぎ、昨日に続いて又、食事抜きで仕事に戻ったものゝ、繰り返し無念さがこみ上げて来て、その度に目蓋が熱くなった。
 ただ、女達の前で敬子の尻に敷かれ、尻臭を嗅がされながら小水を飲まされ、しかも一物を引き出されて見世物にされている、言わば屈辱の頂点での、あの、めくるめく感情の高まり、そして女達の嘲笑の中での噴出は、どう考えても、我ながら不思議でたまらなかった。

 初出演の晩
 その夜、沢田家の門の前に立った彼は、一瞬、ドキリとした。昨夜と異なり、大きく内側に開け放たれた門扉の奥に、豪華な庭園が灯火に明々と照らされ、ざわめきの音が聞こえて来る。明らかに来客中の気配だった。
 暫くためらった末、意を決して門をくぐる。
昨夜の勝手口に廻って扉を開け、そっと覗き込んだ。女中のお春が目敏く気が付き、中へ紹じ入れる。
「急なお客さまなのよ。こっちへおいで」
 お春に連れて来られた所は、二階の北側にある広いベッドルームである。大きなキングサイズのダプルベッドが据えられ、燃える様なえんじ色のじゅうたんが拡がっている。
 壁際には、高価なチーク材のドレッサーに三面鏡が置かれ、ベッドの横手には作り付けの豪華なクロゼット、それに奥にはバスルームが見える。
「さあ、裸になるのよ。さ、早く」
 お春にせきたてられるまゝに、部屋の隅で服を脱ぎ、彼女の前に正座する。お春の手で首輪がはめられ、カチッと音がして鎖が付けられた。
「両手を後へ廻すのよ」
 今度は後ろで手錠が掛けられる。
「これで良しと。あ、いけない。忘れる所だったわ。さ、中腰にたって股を開くのよ」
 お春の手が道夫の股間をまさぐり、彼のシンボルの根元に、昨夜の、あの細い鎖つきの小さな革の輪がはめられる。
「さ、こっちへ来て。うふっ、とても良い格好よ」
 お春の手に握られた二本の鎖にあやつられ、彼は中腰のまゝヨタヨタと部屋の隅へと曳かれ、そこの金具に繋がれる。お春は手早くその隅に細いロープを張った。
「一寸待ってね」
 部屋を慌ただしく出て行ったお春は何やら手にしてすぐ戻って来た。
「ホラ、これ何だか判る? 奥様のパンティよ。フフッ、ほーら、こんなに汚れてる。それからこっちは旦那様のブリーフ。これもすごい汚れでしょう。おお臭い!」
 お春は大袈裟に鼻を摘んで見せ、パンティを裏返して汚れた部分を表に出すと洗濯ばさみでロープに吊るす。ブリーフも同様にすると、ニヤニヤ笑いながら道夫を見つめた。
「さあ、お客様が帰るまでに、この汚れを舐めて奇麗にするのよ。今夜は、旦那様と奥様のお二人でなぶって下さるそうだから、前もって臭いと味を良く覚えて置くといいわ」
「それから、うふっ。これはおまけよ」
 お春はスカートをたくし上げると、素早くパンティを脱ぎ、これも裏返してロープに吊るした薄いピンクの生地に、黄色い汚れがべったり拡がり、少し離れた彼の所にも異臭が漂う。
「あーら、これも相当な物ね。私、生理が近いんで今朝から澱物が多いのよ。我慢しなさい。これが三つ共、すっかり奇麗になっていなかったら、罰として、うふふ、アンネを直接飲ますわよ」
 笑いながらお春が出て行った後、道夫は呆然としてへたり込んでいた。思いもかけぬ辛い恥ずかしい作業に、目が涙で霞んだが、お春の(罰にアンネを飲ます)のぞーつとする言葉を思いだし、慌てて汚れ物に近づく。
手錠を嵌められて動きが不自由だが、幸いロープが低く張ってあるため、じゅうたんにへたり込んだまゝで汚れ物に口が届く。
 むっとする臭いを我慢しながら、先ず絹代の白いパンティーに取りかかった。
 汚れた部分を口に含み、唾で湿して軽く噛む。そして汚れを吸い、目をつぶってぐっと飲み込む。酸味のある苦さが口に拡がり、情けなさが一段と増した。
男もののブリーフには、流石に抵抗感が強かったが、これも半ばやけくそで、目をつぶって口にする。
 最後に残ったお春のパンティは、臭いといゝ、味といゝ、思わず吐き気を催す程で、中々汚れが落ちず、舐める程にお春の局部に顔をじゅうりんされた昨夜の辱めが目に浮かんで涙がこぼれた。
「あらまあー。奴隷振りが何とも見事に身に着いたものね」
「女のパンティを舐めるなんて、こいつは本当の変態だな」
 突然、後ろから声がして、彼はビクッと身を震わせた。
夢中でパンティを舐めている内に、絹代とその夫が後ろに立って見ていたのである。
「もうその位で良いわよ。さ、こっちへいらっしやい。ほれ、逆らうと痛いわよ」
 首の鎖が、そして続いて股間の鎖が絹代の手でツンツンと引かれ、道夫はヨタヨタと膝でにじり歩きしてベッドの方へ近寄る。
「こいつぁいい。女のお前に、こんなに辱められりゃ、もう男の資格は無いな。今夜はうんとなぶってやるか。じゃ俺は風呂に入るからな」
「一寸待ってよ。こいつには汚れてる所を舐めさすんだから。お風呂は後回しよ」
「へえー。可哀そうに、まるで豚並みだな」
 絹代は足を上げて道夫の顔を軽く蹴る。
 後手に手錠を掛けられている彼が仰向けに倒れると、顔の上に跨がって舌奉仕を命じた。
ツンと鼻を衝く異臭をこらえ、唇に押しつけられたアヌスを舐め清める。尻がずらされ、じっとりと潤った花芯が中心に据えられた。
懸命に舌と唇を使っての作業が続き、やがて彼の顔が溢れた蜜でぺとべとになった頃、スッと尻が上がった。
「さあ、ベッドに上がるのよ。あ、そうだ。忘れてたわ。お前、主人のおしもを舌で清めなさい。うふっ、汚れてるわよー。そう、前も後ろもよ。ホレ、ここよ。しつかりね」
 絹代は、さすがに尻込する彼の髪を掴んで、その首を、ベッドの上で横になって煙草を吸っている主人の股間に引き寄せる。
「オイ、先にケツの穴だ。フン、情けない奴だな。今度は前をやれ。そうだ」
 道夫の口の中でそれはみるみる膨れ上がる。
「もういいだろう。今度は横から女房の尻の下に顔を入れるんだ」
 仰向けになって立膝した絹代に、男の身休が覆い被さり、彼女の尻に顔を当てた道夫の、文字通り眼前で挿入が始まった。
「何してんの。しっかり舐めるのよ」
 絹代の声に、彼は慌てて舌を廷ばし、激しく出入りする結合部を舐め出した。屈辱の念が繰り返し込み上げるが、自由を奪われた身には逆らうすべもない。
やがて、動きが止まりピクピクと小刻みなけいれんの後、肉棒が引き抜かれた。
むっとする強い臭いと共に、花芯からみるみる白濁した液が湧き出し、尻割れを伝って道夫の唇に入る。
「こぼさない様に吸うのよ。早く!」
 披女の命ずるままに、そのねっとりした液をチューと吸った。ごくりと喉が鳴る。
薄い味だが、独特の臭味があって、所謂、青臭い味である。
 絹代は起き上がると彼を床に跪かせ、ベッドに腰掛けたまま、彼の顔を股間に挟んだ。
「舌の先を入れて、全部吸い取るのよ。少しでも残っていたら承知しないからね」
 かなり時間をかけて、言われるまゝに懸命に吸った。
「いいわ。口直しの御褒美よ。こぼさない様に大きく口を開けるのよ」
 後手掟で床に跪かされた、みじめな姿勢の彼の口に、チョロチョロと汚水が注がれる。
ゴクリゴクリと喉を鳴らして、屈辱の味を飲み込む彼の目から涙が糸を引いた。
 すべてが終り、漸く許されて部屋を出た彼の前に、お春が立ちふさがった。
 部屋を出る時渡された、あの三人の下ばきをそっと差し出す。
ひとつひとつ拡げて、明かりにかざして調べていたお春が、ニヤリと笑って彼を振り返った。
「私のパンティが、半分しか舐めてないわね。それと、偶然かしら。私、今しがたアンネになったのよ。約束を果たして貰うわね」
 彼は一瞬、気が遠くなる思いだった。背筋がぞーっとして思わずその場にへたり込み、土下座して懇顧する。
「ど、どうか、それだけはお許し下さい」
「駄目よ。男らしくあきらめるのね。ウフッ、お前みたいな意気地無しは、もともと男とは言えなかったわね」
 お春は目の前の道夫を蹴り倒して、素早く顔に跨がった。
生臭い臭いが顔を覆い、お春の局部が口にぴったり当てられる。
お春がいきむと、ジューツとばかりアンネの液が注入された。
うっとうなる程辛い濃厚な液が咽喉を焼き、胃のふをかき回す。
吐き気がこみ上げるが、お春の尻ががっちりと彼の口を塞いでいる。
三十分余りもそのまゝ尻に欺かれ、いやという程、繰り返し彼女のアンネを味わされた。
その後は昨夜の繰り返しで、お春のオナニーが彼の顔をおろし金にして続けられる。
ただし今夜は彼の顔は真っ赤に染められた。
 べとつく顔を夜風になぶらせながら、夢遊病者の様な足取りで帰りを急ぐ道夫の頭は、考える力を失い、しびれたまゝである。
 それからというものは、こうして、来る日も来る日も、道夫にとって生まれて初めての辛い日々が続いたのである。
 連日、朝、昼、晩と、休みなく、繰り返し女達に辱められ、道夫は性格まで一変した様に思えた。いや、そうではなく、或いは彼の隠れていた本当の性格が、開発されたのかも知れなかった。
つまり、不思議な事に、女達になぶられるのが段々苦痛でなくなり、時折、性的な興奮さえ感ずる様になって来たのである。
一ヶ月たって、漸く念願のB級ライセンスを手にした時には、もう道夫は完全なMの性格を備えていた。
そして……今夜は、都心からそう遠くない場所にある秘密クラブで、道夫のSMショー初出演の晩である。
 相手は三十歳のプロのS女性で、出番が来る迄の間も、寸暇を惜しんで彼の顔をその大きな尻の下に敷いている。
 キリッとしたエキゾチックな顔立ちのグラマーで、仲々の美人だった。
 実は道夫が彼女に会ったのほ今朝の事なのである。
日曜の事とて、朝からリハーサルに呼ばれた彼は、早速彼女に掴まって生まれて初めてプロ女性の調教を受けた。
片時の休みも無くなぶりぬかれて、彼はいささかグロッキーだった。
食事の代りに今朝から何回となく彼女の小水を、しかも色々な姿勢で飲まされ、少しでも零すと、尻や背を鞭で打たれた。
生まれて初めての鞭の味は、彼を震え上がらせるのに充分な威力を秘めている。
 彼女の足の裏や、汚れたアヌスもいやという程味あわされたし、クレバスへの舌奉仕も繰り返し強制された。
一日の内に、道夫は彼女の完全な奴隷に仕込まれてしまっていた。
 開演のベルが鳴り、道夫は彼女を背に乗せて、四つん這いのまゝステージに出て行く。
ギラギラしたスポットライトが、裸の道夫に、そして彼に跨がった黒いコスチュームの彼女に当てられ、観客の拍手が耳を聾するばかりだった。
 司会者のナレーションに合わせて、足舐め顔面騎乗、鞭打ちなどのおなじみのSMプレーが、次々と繰り拡げられる。中でも、彼女を背に乗せたまゝ、観客席の間を巡り、多数の女性客から次々と唾や痰を口中に吐き込まれた時には、流石に彼も屈辱で目が眩んだ。
 そして、クライマックスが来た。
「次は、哀れM男が彼女の便器にされます。小水のみならず、大の方も生まれて初めて口にさせられる、このM男の苦悶と法悦の表情を御注目下さい」
 時代がかった司会者の節回しを合図に、彼女が彼の顔に跨がる。スポットライトがその部分に当てられ、彼女は観客に見える様に、僅かに尻を上げた。
ポタポタと滴が落ち始めそれが、チョロチョロと流れになるさまが、そしてそれが彼の口中に吸い込まれて行く摸様がライトにキラキラと照らし出される。
 漸く流れが止まり、彼の舌が伸びて後始末する様を観客にたっぷり見せつけると、彼女の尻が動き、アヌスが彼の唇の、ほんの少し上に据えられた。
「いいこと。本番行くわよ」
 彼女が小声でささやく。
 覚悟していたといえ、文字通り生まれて初めての経験に彼の胸は早鐘を打つ様に高鳴る。
大きく開けた彼の口に、やがて、太い彼女の黄金が落ちて行った。
強烈な異臭もさる事ながら、思ったより大きなボリュームに、彼は慌てて口に入った分をとりあえず飲み込もうとした。
刺す様な苦みが喉を焼き、胸が大きく波打って、一旦、胃に収まったそれが、猛烈な吐き気と共に逆流しそうになる。
 道夫の様子を見守っていた彼女が、すかさず尻をぐっと彼の口に押し付け、蓋をした。
 時折、ガスも混えて次々と道夫の口中に排泄される彼女の黄金を、彼はライトの中で、苦しみと屈辱のエクスタシーの内に、涙を流しながら飲み込んで行く。
 観客から湧き上がった嵐の様な拍手が耳に届き、人間便器としての門出を、そして、これからのMとしての「さだめ」を彼の心深く刻み込んだのだった。       (完)
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2010/06/01