#60   屈辱の生命保険                       阿部譲二

会社の庶務課長が生命保険勧誘のおばさんに机の上の書類の下にあったSM雑誌を見られ、Mの趣味を覚られてしまう。それを種に脅迫された課長は、おばさん達の性奴隷にされ、毎週末に女達の股間に舌奉仕させられる。更に、女は彼を完全に心服させるためと称し、毎朝アパートに呼びつけ男の舌を排便後のトイレットペーパーとして使うことにする。

「うるさいな。OO何度言ったら判るんだ。俺は生命保険は大嫌いさ。さあ、とっとと、
帰った帰った!」 宮島は、彼の机の上にオズオズと、生命保
険のパンフレットを差し出した桜田圭子に向かって、ズケズケと言い放った。
 女の顔がクシャッと泣き出しそうに歪む。 姥桜と言うのは可哀そうだが、三十の坂は
とっくに越している。 それでも、所謂、生保のおばさんの中で、
彼女が際立って若く見えるのは、その容姿のせいだろう。
 豊かな胸と、形の良いヒップの間がキュッと気持良くくびれて、腰から下の量感を強調
していた。 やゝ受け口で唇が厚く、丸顔で、張りのあ
る黒い大きな目をしている。 所謂、とり澄ました美人ではなく、気さく
で、しかし、どことなく官能的な雰囲気を持ったキュートな女だった。
 御多聞に洩れず、彼女も二年前に夫を亡くして以来、生命保険の外交員の仕事を始めた
のだが、他のおばさん£Bと違って、子供は無い。
 この器量とスタイルなら、再婚話は降る程ありそうだが、彼女はもう男はこりごり
と口ぐせの様に宣言して、周りに男を寄せ付けなかった。
 法人会社担当だが、業務成績の方は仕事熱心な割にパッとしない。
 それでも毎日の様に、必ず受持の会社を幾つか廻って、勧誘に精を出していた。
 宮島の会社は、圭子の受け持ちの中でも、一番大きく、彼女としては、こゝで成績をう
んと稼いでおくべきところだが、大の保険嫌いの宮島が庶務課長で、彼の許可なしには自
由に職場に出入り出来ない。 流石に宮島も、彼女の立入りを禁止はしな
かったが、業務の妨げにならない様にと、時間を昼休みに限った為、彼女が廻って来る時
には、席に居ない社員が多かった。 将を射んとすれば馬をOOの譬えで、圭子
は、考え抜いた挙句、当の宮島を何とか加入させて、彼の生保アレルギーを取り除こうと
したのである。 しかし、二・三回、繰返してアプローチし
たものゝ、その度に帰れ≠ニ言われては、取り付くしまもなかった。
 宮島重夫、四十五才。課長の中では、今や古参である。
 同期の連中は、とっくに、殆どが次長に昇進しており、中には部長に抜擢された者さえ
いる。 大学は出ているが、気が弱く、仕事に対す
る執着心が薄い。要するに出世に不可欠な、強引さと粘りに欠けるのである。
 五年前に妻に先立たれたが、子供は無く、後添えを薦めてくれる、世話好きな上司や、
縁戚も無い。 何となしに、気楽な独身生活に馴染んでい
る内に、ズルズルと五年が経ってしまったのである。
 中肉中背で、やゝ小ぶとりの宮島は、所謂スマートさに欠け、女性には持てないタイプ
である。 時折、ソープランドを訪れていたが、馴染
みのソープ嬢の誘いで、彼女の転職した先のSMクラブに足を踏み入れたのが発端で、以
来、まるで病み付きになってしまった。 最初は好奇心から、ソフトSとMをミック
スした初心者コースを選んでいたが、次第に潜在していたマゾの血が目覚め、Mプレーに
傾く様になる。 同時に、SM雑誌、それも男Mの専門誌を
愛読する様になったが、勿論これは彼の内に深く秘めた趣味である。
 小心な宮島は、彼のM性を他人に知られることを極度におそれ、雑誌も店頭で買わず、
偽名で定期購読を申し込み、毎月郵便局止めにして受け取っていた。
 爽かな五月が過ぎ、六月ともなると、時折夏のきざしを思わせるムッとする日が続く。
 宮島重夫はその頃、毎日、その月末に予定されている、年一回の株主総会の準備に追わ
れていた。 その日は、たまたま前の日が出張で、一日
留守にしていたため、机の上には書類が可成り溜っている。
 しかも出張先で一泊して、そこから早朝の列車で帰って来たので、今朝は少し遅れて出
社していた。 所が、会社に着いた途端に、部長が主催の
緊急会議に呼び出された。 慌てゝ、詰め込んだ鞄の中味を机の上にぶ
ちまけると、昨日出張先から持ち帰った資料の中から、必要なものを急いでピックアップ
し、会議の部屋に急ぐ。 会議が長引いたので、彼が席に戻った時に
は、もう昼休みも半ば過ぎていた。 社員達は殆どが昼食へ行き、部屋はガラン
としている。 机の上にぶちまけた書類を手早く整理しか
けた宮島は、思わずハッとした。 書類の下から、例のSM雑誌が出て来たの
である。 昨日の朝、出張に行く途中で郵便局へ立寄
って受取り、昨夜、出張先のホテルで読み耽った後、鞄の底に突っ込んでおいた筈のもの
だった。 宮島は思わず周囲を見回したが、あたりに
は誰も居ない。机の上も先程席を離れた時のまゝの様である。
 ホッとして、雑誌を再び鞄の奥深くしまい込んだ。
 それから一週間程経った、或る日のことである。
 昼食から帰って見ると、机の上にピンク色の封筒が置いてあった。不審に思って中を見
ると、桜田圭子からの手紙である。折り入ってお話ししたいことがあるので、
夕刻に、近くの喫茶店でお会いたい≠ニあって、場所の地図が添えてあった。
またか、しつこいな!=@宮島は、心の中で舌打ちをした。
 彼女から、又もや生命保険への加入を懇願されるのは明かだった。
 余程すっぽかそうと思ったが、これ以上つき纏われるよりも、この際きっぱりと、これ
以上薦めると、会社はの出入りを差し止めるぞ、と宣言して諦めさせる方が良いと判断し
て、指定された場所へ赴いた。 店の内部は、照明を絞って、各テーブルの
上に置かれた蝋燭の光を浮き上らせ、ロマンチックな効果を狙っている。
 目をこらしてあたりを見ると、圭子が奥の席で手を上げているのが判った。
 近付いて見ると、いつも会社で見掛ける彼女とは、まるで別人の様である。
 昼間の地味なスーツの代りに、襞の多い紫色の衣装に身を包み、大きく開いた胸元を、
二重になった艶のある真珠のネックレスが、効果的に飾っている。
 宮島は気勢を削がれ、何となく圧倒される思いで、彼女の向いの席に着いた。
 客もまばらで、甘いムードミュージックが低く流れている。
「どうもお呼び立てしまして。OOわざわざお越し頂いて嬉しいわ」
 圭子の声には、幾分コケティッシュなひびきさえあった。             
「困るな。話があるなら、昼間会社の方へ来た時に願いたいな」
 宮島の口調も、心なしか柔ぐ。「それは判っていますけど、OO今日は、私
から課長さんに、少しプライベートなお話がありますの」
「と言うことは、又、保険に入ってくれと言うのじゃないんですか」
「今日は、保険の話は抜きですのよ」 圭子はニッコリ笑った。頬の笑窪が魅力的
である。「実は、この本を見て頂こうと思って買って
来ましたの」 女は言葉を継ぎながら、横の手提げの中か
ら、雑誌を取り出して宮島の前に置いた。 それを見た宮島の顔が、サッと変る。
 例のSM雑誌だったのである。「これと同じものを、先日、課長さんの机の
上で見かけたもんですから、私も買って見たんです。そしたらOOウフフ、女にいじめら
れる男の話ばかり!」 圭子はニヤニヤ笑いながら、宮島の顔を覗
き込む様にして、反応を確かめる。 一方、彼の方は、顔を赤くしてうつ向いた
まゝである。「このページを見て頂けます?」
 女の白い指が雑誌をパラパラとめくって、赤く線が引いてある個所を、彼の目の前に拡
げた。「課長さんの机の上の本の中に、赤い線を引
いてある文章を見付けたもんですから、私も同じ様にしてみたんですの。OO課長さん、
この個所が特にお気に入りなんですのねOOフフフ、読んでさし上げましょうか?」
「OOOO」「ホラ、いゝですか?OO女の丸く大きな
尻が、顔の上にのしかゝり臭気が鼻を突く。男は命じられるまゝ女の汚れたアヌスを舐め
清めた。ÅOO課長さん、あなた、ひよっとしたら、この男と同じ目に会いたいんじゃあ
りません?」「い、いやOOそれは、別にOO」
 宮島は、しどろもどろだった。「これを見て私、判ったんです。宮島課長さ
んは、いやらしい変態で、しかも女にいじめられて喜ぶマゾだって!」
「そ、それは誤解だ。その本は、たまたま人に借りたもんで、赤線もその人が書き入れた
んだ」「そんなことありませんわ。私、実は調べた
んですもの。OOこの一週間、課長さんの帰りを毎日尾行してみたら、昨夜、SMクラブ
へ立寄るところを確認したんです。それも、男M専門のクラブへね」
 圭子の言葉には確信に溢れていた。宮島も屈服せざるを得ない。
「わ、わかったOOで、でも、これはOO」「判ってるわ。これは秘密にして欲しいって
言うんでしょう」 圭子が、すかさず先回りする。
 宮島は黙って頷いた。「いゝわ。でも、交換条件があるの」
「あのぉ、保険のことなら、改めて何とか考えてOO」
「そうね、それもあるわね。でも、私の条件は少し違うの。OOねえ、私、考えたんだけ
ど、あなたは、女にいじめられて喜ぶ、人に言えない趣味がある。そして私はOO私は別
に男をいじめたいとは思わないけど、好奇心はあるの」
 圭子は再び笑窪を作りながら、宮島を見詰めて、ニッと笑った。
「あ、あのOO僕は別にあなたにいじめて欲しいとはOO」
「あなたがどう思おうと関係ないわOOでもね、課長さん。あなたの大切な秘密を守りた
かったら、何でも私の言いなりになるしかない。その位は判るでしょう」
「そ、それじゃOO交換条件と言ったって、そんなに無制限に言うことをきかされるんだ
ったら、無条件降伏じゃないか」「そう、良い言葉を御存知ね。私の条件は、
あなたの無条件降伏なの」「OOOO」 宮島はウッと、一瞬、言葉を失った。
 多少魅力があると言っても、所詮は中年の女保険外交員である。
 こんな女に自由にされる位なら、例え秘密がバレたってOO。
 考え込む宮島の心を計った様に、圭子は言葉を続けた。
「無条件降伏がおいやなら、私も考えがあるわ。今迄、散々あなたには嫌な目に会わされ
て来たんですもの。あなたの恥ずかしい趣味を、会社中にひろめてあげる。それだけじゃ
なくって、あなたの学校の同期生や郷里の人達にも知れる様にするわOOいかが? 変態
課長さん!」 その言葉は、宮島の心に文字通りグサリと
止めを刺した。 がっくりと首を垂れた彼の頭上で、圭子の
勝ち誇った声。「じゃあ、いゝわね。これから、あなたは私
の命令に何でも服従するのよ。ウフフ」 それから数日後の日曜日、宮島は桜田圭子
に突然、電話で呼び出され、彼女のアパートを訪れた。
この間の約束を実行して頂くわ。今日は私のアパートで、たっぷり可愛がってあげる。
期待していらっしゃい。フフフ=@受話器の中で響いた女の含み笑いが、未だ
耳に残っている。 一体何をされるのか、不安に胸を揺すられ
ながら、入口のベルを押した。 ドアが開き、圭子の顔が覗く。
 中へ入り、靴を脱ぎかけると、奥の部屋から賑やかな女達の話声が流れて来た。
 ドキッとして思わず圭子の顔を振り仰ぐ。「心配しなくても良いのよ。みんな私の友達
で、保険の外交をしている、未亡人の人達ばかり。私の言いなりに成るあなたを見に、集
まったのよ」「そ、それはOO」 約束が違うOOと言いたかったが、考えて
みると、圭子と二人だけと考えたのは、彼の思い込みにすぎない。
 どうともなれと、覚悟を決めて奥の部屋に入った。
 広いリビングルームの中央を空けて、周囲にソファーが寄せられ、五人の女が思い思い
に腰掛けている。 話がピタリと止まり、宮島に全員の視線が
集中した。 圧倒される思いで、彼はオズオズと部屋の
中央に進んだなり、その場で立ち竦んでしまった。
 女達は、すべて三・四十代の中年で、何となくギラギラと脂切ったタイプが多い。
 夫を亡くして、女盛りの身を持て余している、好奇心一杯の女達に違いなかった。
「そこで着物を脱いで、裸に成って頂戴! パンツも取って、真っぱだかになるのよ」
 圭子の声である。 心なしか、トーンが厳しく、命令調に成っ
ている。「サァー、これから男性ストリップの始まり
始まりぃ!」 誰かがおどけて言うと、ドッと笑いが弾け
る。座の雰囲気が一斉に活気を帯びた。 圭子が、レコードを掛け、ホットなバック
ミュージックが流れる。 覚悟したとは言うものゝ、女達の好奇の視
線の元で素裸に成るのは辛かった。 顔を真っ赤にして、一枚一枚脱ぎ捨て、遂
にパンツ一枚になる。 女達が固唾を飲む中で、宮島は目をつぶる
思いで最後のものを取った。恥ずかしさで、顔が火照り耳が真っ赤である。
 パチパチパチと、周囲で意味の無い拍手が起った。
 パッと部屋の隅に置かれたライトが点き、ジーッと低い音を立てゝ、ビデオカメラが廻
り出した。 予期せぬことに狼狽した宮島は、思わず両
手で前を隠そうとした。 圭子が、すかさず声を掛ける。
「手でそれを持って、立たせなさい。そして皆が良く見える様に、仰向けに寝てオナニー
をするのよ」 流石に宮島は、全身の血が逆流する様なシ
ョックを覚えた。 唇を震わせながら立竦む。
「約束を忘れたの? 何でも言うことをきくんでしょう?」
 圭子の催促に、しぶしぶ仰向けになって、股間のものをまさぐる。
 しかし、周囲の女達の目と、自分の置かれているみじめな状態を考えると、それはグニ
ャリと萎えたまゝだった。「しょうがないわね。ホラ、これでも嗅ぎな
さい!」 圭子の声と共に、彼女の手から、未だ肌の
温もりのあるパンティーがポンと投げられ、その股間の部分を下にして、フワリと彼の顔
を覆った。 ムッと、濃厚な女の性臭が鼻を突き、頭が
クラクラッとする。 同時に、彼の男のシンボルが一挙に硬くな
った。フーッ≠ニ周囲で女達の溜息が洩れる。
 視界が遮られている気楽さもあって、宮島はオナニーに専念する。
 今や、女達に見られていると言う意識も、完全に消えていた。
 途中でパンティーが顔から除かれ、皆が彼の表情を覗き込んでいる気配だったが、彼は
醒めることなく頂点を迎えた。 ワーッという女達の黄色い歓声を聞きなが
ら、腰をヒクヒクと痙攣させて、精液を上に飛ばす。
 それが我が身に落ちて、胸のあたりを一面に濡らした。
 放出が終ると、宮島は途端に、耐え難い恥ずかしさに襲われ、穴があったら入りたい心
境である。「迫力あったワー。私すっかり興奮して催し
ちゃったぁー」 誰かが、オクターブの高い、頓狂な声を出
した。「この男とセックスの本番は駄目よ。第一、
この位の年に成ると、男は一旦出した後は、暫く役に立たないわ」
 と、圭子。「ね、ねえ。この男、何でも言うこときくん
でしょう? 私達のセックスに舌で奉仕させましょうよ」
 横手に座っていた太った女が提案する。 圭子がすぐに応じた。
「グッド・アイディアね。OOじゃあ、私が主催者の特権を行使して、最初にこの男の舌
を使うわ」 放心した様に、仰向けに横たわっていた宮
島の顔の上に、圭子が突然跨がった。 ぐっと女の体重が掛かって、アッと言う間
もなく、彼の唇には柔肉のマスクが、しっかりと嵌められる。
 中年女の饐えた性臭が、ツーンと鼻の奥を刺激した。
「舐めるのよ! 舌と唇を使ってね。OOOアラッ、言うことをきけないの? じゃあ、
さっきのオナニーシーンのビデオを、会社に送っても良いのね」
 女達の見ている前で、圭子に顔に跨がられ舌奉仕を強制される。それは、考えただけで
気の狂いそうな屈辱だった。 しかし、弱味を握られた身には、屈服の途
しか残されていない。 目頭を熱くしながら、宮島は女の尻の下で
舌を動かし始めた。「そうそう、中々上手じゃないの。休まず、
しっかり舐めるのよ」 彼の顔の上で、女の腰が微妙にくねる。
 もう既に、ベットリと湿りを帯びた圭子のクレバスが彼の顔をにじり、唇をめくって、
次から次と湧き出して来る蜜を、彼の口中に流しこんだ。
 身体を支える女の手が、彼の頭をまさぐり髪の毛をムズと掴む。
 丁度、裸馬に跨がった騎手が馬のたてがみを掴む様に、圭子は両手で男の髪を握りしめ
て、腰を激しく前後に揺すり始めた。 宮島の舌が、鼻が、そして顔全体が、さな
がら洗濯板の様に女の股間で擦られ、思う存分に蹂躙される。
 膣から溢れた分秘液が顔全体に拡がって、潤滑剤の役目をすると同時に、圭子の腰の動
きにつれて、ピチャッピチャッと淫ぴな音を立てた。
 やがて、宮島の顔の上の動きが頂点に達して、ピタリと止まると、女の太股の痙攣が彼
の頬を震わせる。 同時に、頭の上で、アーッと低く叫ぶ様な
圭子の声。 彼女はオルガスムスを迎えた後、暫く彼の
顔面に腰を据えたまゝ余韻を楽しむ。 その尻の下では、女の体重を顔に受けた宮
島が、辛うじて呼吸を確保しながら、女に完膚無きまでに蹂躙された我が身を意識して、
この上なくみじめな思いに浸っていた。 暫くしてやっと圭子が腰を上げると、周囲
で見守る女達の視線が、一斉に宮島の顔に集まる。
 そしてそれは、さながらパックでもした様に、艶のある濃い粘液でベットリと一面に覆
われていた。「アラーッ、すごいおつゆ。流石ね!」
「これが、女に征服された男の顔ね。OOO面白いじゃない」
「フーン。これが課長と呼ばれた男の成れの果てかぁ。哀れなもんね」
 女達は、口々に感想を洩らした。 それを耳にすると、暫し忘れていた屈辱感
と悔しさが、ドッと宮島の胸に込み上げて来る。
「お次は私よ。OOねえ、濡れタオル貸してくださらない?」
 横から熱っぽい目で見積めていた女が、タオルで彼の顔から粘液を拭き取る間も惜しげ
に、直ぐに跨がって来た。 彼の顔の上に一旦腰を降ろした後、尻を少
し浮かしてパンティーを脱ぐ。 圭子よりも厚みのある、ぼってりした秘肉
が、彼の唇をこずく様に顔に重なり、奉仕を強いた。
 どれだけ時間が経っただろうか。最後の女が彼の顔の上で、背をのけ反らせた時には、
六人の女への奉仕を終えた宮島の唇は、だるく痺れ、舌の付根が腫れて、そこには鈍い痛
みさえ残った。「皆さん、お気に召した様だから、これから
毎週、こゝでお前を使うことにするわ。OOフフッ、お前は、私達のセックス奴隷。いゝ
わね!」 今や言葉遣いまで彼を見下げる様に変った
圭子の念押しに、宮島は返す言葉も無く、黙って頷くしかなかった。
 それから、早くも約二ケ月が過ぎた頃のことであった。
 宮島の女達への奉仕も、回を重ねるに従って、もう何年も前からのことの様に日常化し
てしまっている。 しかも、女達のメンバーは、最初の六名か
ら倍に増え、今や十二名に達していた。 そして週末は、土曜日のグループと日曜日
のグループの二組に分かれ、宮島は、圭子のアパートに泊り込みで、連日奉仕させられた
のである。 土曜の晩は、最初の組が帰った後、彼は圭
子の専用として使われる。 時には、彼女の飽く無き欲望の流れに巻き
込まれ、女の股間に顔を挟まれたまゝ一夜を過ごすことさえあった。
 それにしても、一旦、女に征服されると、こうまで意気地が無くなるのかと、不思議に
思われる程、宮島の女達への態度は急激に卑屈になって行った。
 会社では、部下の手前、何とか体面を取り繕ってはいるが、いったん圭子と二人だけに
なると、彼女は突然、女主人に変身する。 今や彼女は、彼の会社では何時でもフリー
パスで、自由に保険契約の勧誘が出来るし、宮島自身も、彼女の命令で多額の生命保険に
加入させられていた。 宮島は庶務課長の職務がら、幹部の呼び出
しに備えて、昼食時は外出せず、店屋ものを取って食べるのが習慣である。
 その昼食は、何時も庶務課の応接室に用意されていた。
 殆どの社員が地下の食堂か、社外の食べ物屋へ外出した後、独りでゆっくりと応接室の
ソファーにくつろいで、雑誌や新聞を読みながら食事をするのが、宮島のひそかな楽しみ
になっている。 ところが、圭子は時折その応接室に現われ
て、彼の食事を横取りするのである。 女主人の命令とあれば、従わぬわけにはい
かない。そんな時、結局彼は、圭子の食べ残しで我慢させられることになる。
 しかも圭子は食事の後、応接室の戸をロックさせ、長椅子に寝そべって、宮島に腰を揉
ませることが多かった。 その日も彼女は、宮島に色々注文をつけな
がら、彼の慣れない手付きでの指圧を受けていた。
「ねえ、私、お前に折り入って話があるの」 圭子は、少し改まった口調で宮島に話し掛
けた。「お前のこの頃の態度を見ていると、慣れの
せいか、いやいや命令に従っている様子が、露骨に出てるわよ。OO週に一回顔を合せて
奉仕するだけじゃ、私達に完全に心服出来ないのも無理はないわね」
「OOOO」「そこで、私、考えたの。OO私が毎日お前
を仕込めば、お前だって態度が変るわ。OOフフフ、なーに、その顔! 大丈夫よ。私だ
って、お前に毎日舌奉仕をさせる程タフじゃなくってよ。それに、お前はもう、舌で女の
セックスに奉仕するのには慣れた筈よ。OOこれからのお前に必要なのは、新しい刺激。
それも、私に完全に屈服する様な刺激が要るのよ」
「で、でも、私は、今でもOO」「ダメよ、今のまゝじゃ。OO私にとって、
昔のお前は、憎い仇敵だったわ。そんなお前に思い知らせる丁度良い仕事があるの。OO
明日からね、毎朝、会社への出社の途中で、私のアパートに寄りなさい。お前の舌を私の
トイレットペーパーの代りに使って上げる。フフッ、どおお? 悔しい?」
 それは、宮島にとって、頭をいきなりガンと殴られた様な衝撃だった。
 これ迄の週一回の舌奉仕に加えて、今度は毎日、それも圭子のトイレットペーパー役と
言うおぞましい仕事を強制されるのである。 ジーンと瞼が熱くなって、悔し涙がツーっ
と頬を伝う。 ニヤニヤ笑いながら彼の顔を見守る圭子の
顔が、涙でボーッとぼやけた。 その翌朝、圭子のアパートを訪れた宮島は
便器に腰掛けて用を足す圭子の足元で、トイレの床に、仰向けに寝かされていた。
 これから始まる辱めの序曲の様に、圭子の足裏が彼の顔の上に当てられる。
 女の足裏を顔に受ける宮島の耳に、彼女の派手な排泄音が聞こえていた。
「サー、お前の出番よ。心を込めて清めなさい。先ず、前の方からよ」
 圭子の尻が、便器からゆっくりと彼の顔の上へ移動する。プンと独特の臭いが鼻を刺し
て、濡れそぼったクレバスが、やんわりと彼の唇に押し付けられた。
 覚悟していたとは言え、無念の思いが宮島の胸を満たす。
 勇を鼓して舌を伸ばし、襞に溜った汚水を拭い、唇で吸い取って行った。
「サー、今度は後ろの方をお願い。OO私、三ケ月程前に痔の手術をしたの。そのせいで
汚れが一面に拡がって、拭き取り難いのよ。お前の舌を使おうと思ったのも、それがヒン
トだったわ。フフフ」 彼の目の前に迫る女の尻割れには、成程、
ベットリと褐色の糊がまぶされ、異臭を放っていた。
 予想を遥かに超える汚れに、宮島は屈辱の思いに身を震わせながら、不潔感と戦いつゝ
舌を伸ばす。 ピリッと刺す様な、それでいて、しつこい
その味は、彼の口中一杯に拡がって、咽喉を焼き、そこに、永久に消えることのない屈辱
の焼印を残して行った。 糊の塊りを舌で掬って口中に移して行くと
やがて、薄茶色の菊座が現れる。 ウーンと女がいきむと、その括約筋が開い
て舌の先を吸い込んだ。「どおお? お味は如何が? 毎朝、これを
味わって、私の忠実な奴隷になるのよ」 圭子の揶揄する様な言葉には、優越感に裏
付けされた驕慢さが現れている。 元々、想像の世界から始まって、SMクラ
ブで女にいじめられる体験を重ねた宮島にとって、気に染まぬ相手とは言え、グラマーな
女性に徹底的に征服されたのである。 極度の屈辱感が、めくるめく恍惚感に転じ
る迄、そう時間は掛からなかった。 毎朝圭子の尻の下で、トイレットペーパー
役を勤めるうちに、宮島は圭子の狙い通り、彼女の柔順な奴隷として仕込まれて行く運命
から、最早、逃げることは出来なかったのである。                 
                 (完)
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1988年1月スレイブ通信6号に掲載


2010/04/04