#45 転落の健康療法―女性専用人間便器 阿部譲二
社内の美貌の女性に魅せられた男が養子として婿入りすることになるが、その家には、健康療法として毎日女性の尿を飲み続けるべしという奇妙な家訓があった。彼は泣く泣く婚約中の彼女の尿を朝晩飲み続けるが、社内の噂になりバス旅行で女性たちの便器にされる。新婚旅行では尿を飲んでる男とセックスする気にならないと拒まれ舌奉仕奴隷にされる。 |
「イッキ、イッキ、イッキ、…………」
女子社員達が、一斉に囃す中で、特大ジョッキを傾けて、一気飲みを試みるK商事企画部の
若手、田島浩平。 数年前なら、どこのビヤホールでも、よく見掛けた風景である。
「ワーッ………やったわぁ」
ドーッと歓声が湧いた。
口の周りの泡を手で拭いながら、浩平は得意気に胸を反らせる。
「田島さーん、流石だわー。……ねえ、礼子、貴女も驚いたでしょう?」
傍らで見守っていた同じ部の田崎貴美代が、同意を求める様に話し掛けた相手は、総務部の
立花礼子である。
平凡な顔立の貴美子に較べ、男子社員の憧れの的である礼子の美貌は際立っていた。
「アラッ、別にどーってことないわ。田島さんの咽喉と胃袋が、異常に大きいってことは判る
けど……」
礼子は、醒めた口調で、はぐらかす。
「まあ、礼子ったら、……自分の親戚には意外に冷たいのね」
「親戚って言ったって、親同志が従兄弟だって言うだけよ。……別に血が繋がっている訳じゃ
ないわ」
礼子は、そっけない態度である。
田島浩平も気勢を削がれて、口数が少くなった。
彼には、礼子の冷たい態度の原因が想像出来る。
実は先週、礼子の父親である立花雄蔵から田島浩平に、意外な申し入れがあったのである。
地方でも指折りの資産家の当主である雄蔵は、一人娘の礼子を溺愛している。
しかし、礼子は、父親の昔風の考え方、……つまり、礼子に養子を取って家督を継がせたい
……との意向に、強く反対し続けていた。
養子の候補として、礼子にとって幼馴染みの田島浩平に白羽の矢が立ったのを知ると、無理
やり結婚させるなら家を出ると宣言したらしい。
一方、浩平としては、以前から礼子の美貌に、そしてそのグラマラスな姿態に魅せられっぱ
なしで、今度の養子縁組の申し入れは、願ったり叶ったりの話だった。
しかも雄蔵は、結納金の名目で、浩平の実家に多額の融資を申し出ている。
事業に失敗して多額の負債に苦しんでいる浩平の父としては、将に渡りに船の救いだった。
しかし、問題は、肝腎の礼子が首を縦に振らないことである。
根負けした雄蔵は、ひとつの妥協案を出した。
即ち、礼子は養子の浩平と結婚して、男の子が出来るまで我慢する。……浩平は、男の子が
出来たその時点で、その子に家督を譲って立花家の跡目とする。
もし、礼子がその時希望するなら、浩平との生活を解消して新しい伴侶のもとに嫁入りして
も良い。……と言うもので、礼子もしぶしぶ承諾した。
勿論、浩平としては大いに不満だったが、少くとも男の子が出来るまでは礼子を妻に出来、
しかも多額の結納金が入る。しかも、別れるとなると相当の手切金が期待出来た。
男の子はそう簡単に出来ないかも知れぬし、一緒に暮す間に愛情が芽生えて、礼子がそのま
ま妻の座にすわり続けてくれる希望もあった。
ただ、この養子縁組には、もうひとつ、浩平にとって大きな支障があったのである。
それは、立花家代々の奇妙な家訓である。
即ち、立花家の当主は、代々その寿命を全うするために、ある特殊な健康療法を実行するこ
とが義務付けられていた。
驚いたことに、それは毎日二回以上、女性の尿を飲み続けることに依って、無病息災で一生
健康が保てると言うのである。
そんな馬鹿な!……と、笑い飛ばしたい所だったが、浩平自身、最近の週刊誌で脅威の尿
療法……糖尿病、ガン、肝硬変が治った!≠ニ言う記事を読んだところである。
何とか、この立花家の養子としての義務を免除して貰おうと、浩平は、礼子の父の立花雄蔵
に食い下った。
「私は、どんなことをしても礼子さんと結婚したいんです。……その為には養子となることも
厭いません。……でも、毎日、女性の尿を飲むと言うのは、どうしても納得出来ないんです。
……先日の週刊誌に、尿療法のことが書いてありましたが、あれは、あくまで自分の尿を飲む
ケースで……」
ムキになって主張する浩平を、雄蔵が首を振りながら遮った。
「そりゃ、自分のでも効果はあるさ。……現に、わしは妻に先立たれて以来、自分の尿を毎日
飲み続けておる」
「じゃあ、それ迄は奥さんのを……」
「その通り。……まさか、よその女に飲ませてくれと頼むわけにもいかんしな」
「じ、じゃあ、……ぼ、ぼくの場合は、毎日、礼子さんのを……」
「そうだ。礼子にも、ちゃんと申し渡してある。……君も読んだかも知れんが、人間の尿の中
には、ガンに対する抗腫瘍性物質・プロスタグランジンが含まれている。これに、男性の成人
病に有効な女性ホルモンが加わった女性の尿を飲むことこそ、男にとって最高の健康療法なの
さ。……中国の有名な古典傷寒論≠ノは尿を使った処方が記されているし、日本でも時宗の
開祖・一遍上人が民衆の病気治療に自分の尿を分け与えた記録がある。……昔からの言伝えで
尿を毎日飲んでいる人は、意外に多いんだよ」
「で、でも……僕は、……どうも抵抗があって……」
「どうしても飲めないと言うのなら、この養子縁組の話は無かったことにしてくれ。……私も
立花家の当主として、家訓を守る義務がある。それが、莫大な資産を残してくれた祖先への、
せめてもの恩返しなんだ」
てこでも動かぬ雄蔵の態度に、とうとう浩平は、礼子との婚約と引き替えに、彼女の尿を飲
むことを約束させられてしまった。
それから約一ケ月後、仲人に伴われた立花清造と礼子が、田島浩平の下宿を訪れた。
華かな振袖で盛装した礼子は、道行く人が振り返る程美しく、浩平も思わず見とれる程だっ
た。
浩平と、郷里から出て来た父とが一緒に一行を迎え、下宿先から借りた離れで結納の授受が
行われる。
勿論、養子となる田島家が結納を受ける立場だった。
縁起物で飾られた型通りの重ね盆に、数々の引出物が用意されていたが、結納金と書かれた
熨斗紙を開いた浩平の父は、支度料に添えられた可成りの額の約束小切手を見て、思わずそれ
を押し戴いた。
最後に立花清造が取り出し、浩平の前に差し出したのは、紫の袱紗に包んだ品だった。
浩平が開けると、何とビールのジョッキである。
怪訝な顔の浩平に、清造は重々しく宣言した。
「立花家に代々伝わる家訓に従って、今度、当主となられる浩一君に、当家の健康療法の秘薬
を、この場でこのジョッキを使って飲んで頂く。……よろしいな」
流石に仰天した浩一にはお構い無く、礼子が横から手を伸ばしてそのジョッキを取り、席を
立った。
暫くして現われた礼子は、黄金の液体をなみなみと湛えたジョッキを浩一の前に置く。
「花婿の浩一君は、ビールの一気飲みが得意と、礼子から聞いています。……どうか、それを
一気に飲んで頂きたい」
清造に促されてジョッキを握った浩平の手は、微かに震えていた。
色は、まるでビールそっくりで、僅かに泡まで浮いているが、生暖かい湯気からプーンと尿
の臭いが漂う。
明らかに、礼子が排泄したばかりの尿だった。
それも、びっくりする程多く、色も濃い。
恐らく、礼子としても、朝から我慢して溜めていたものに相違なかった。
浩平は、皆の視線を感じながら、目も眩む思いでそのジョッキを口に当て、思い切って飲み
始めた。
やや苦みを帯びた塩っぽい味で、生臭い臭いが吐気を誘う。
当の礼子の前で、その小水を飲む恥ずかしさに、浩平は思わず顔が火照った。
「クックックッ……」
と正面の礼子が含み笑いをしながら、おかしそうに身を捩るのが目に入り、浩平の顔は一段
と赤味を帯びた。
礼子に笑われ、軽蔑されているのが判り、目が眩む。
しかし、得意の一気飲みの要領で、その液体はゴクリゴクリと浩平の咽喉を通り胃に送られ
て行った。
その日以降、結婚式の日まで、浩平は毎日朝と晩の二回、立花家へ礼子の小水を飲みに訪れ
る様、申し渡されたのである。
養子の身で断ることも出来ず、朝出勤前に立花家へ寄り、礼子の目の前で例のジョッキで尿
を飲み、一緒に出勤する。そして、夕食後、再び立花家を訪れ、就寝前の礼子の尿を飲む毎日
が続いた。
尿は新鮮なものでなければ効果が無いと言われ、礼子は何時も浩平の顔を見てからトイレに
入る。
それでも朝は玄関から入れてくれるが、晩は勝手口から忍んで来る様に言われ、台所の土間
で待たされた。
時には、礼子はもう寝巻に着換えたからと言って姿を見せず、三人いる女中のひとりに尿を
満たしたジョッキを持たせてよこした。
ニヤニヤ笑う若い女中達の前で汚水を飲まされる浩平は、屈辱感で身が震える思いだった。
二ケ月程経ち、式を一ケ月後に控える頃になると、流石に尿を飲むことに対する抵抗感はや
っと薄れたものゝ尿を飲むことを他人に見られたり、知られたりすることに対する恥ずかしさ
は、一向に消えなかった。
「ネ、ネエ。……私、聞いちゃったぁ」
「そうよ、田島君の秘密、……礼子が教えてくれたわ」
「さすが、一気飲みの田島君ね!」
浩平と同じ企画部の田崎貴美子と、その同僚の女子社員達が二人、退社途中の彼に追い付い
て来て、口々に話し掛けて来た。
「礼子さんが?……まさか?」
流石に絶句する浩平。
「お茶、おごんなさいよ。……誰にも言わないから」
貴美子に言われて、近くの喫茶店に入った浩平は、三人の女子社員から質問責めに合った。
「ネエ、オシッコって、一体どんな味がするの?」
「田島君、女のオシッコ飲まされて恥ずかしくない?」
「きたないって思ったことないの?」
矢継早やの問いに、浩平は顔を赤くして口ごもる。
「そ、それは……少し塩辛くって。……それに、健康療法なんだから、別に悪いことしている
わけでもなし、恥ずかしがることないさ」
「じゃあ、私達のオシッコも飲めるわね」
貴美子が、きめつける様に言う。
「と、とんでもない。……君達も知ってる様に、礼子さんと僕とは結婚するんだよ。……愛す
る人のものだからこそ飲めるんだ。……君達のものなんか、汚なくって、飲めるもんか!」
いささか憤然と答える浩平に、三人の女は意味ありげに顔を見合わせた。
「じゃあ、教えて上げる。……貴方の飲んでるオシッコは、礼子のばかりじゃないのよ。……
礼子が、自分からそう言ったわ。……晩は、何時も、女中達のを混ぜて飲ませるって」
貴美子の言葉に、浩平はまるで頭をガンと殴られる思いだった。
成程、そう言われれば思い当るのである。
畜生、そうか、どうりで晩は量が多いと思ってた。……それに、女中達の、あの軽蔑し切っ
た目。あれは、知らずに自分達の尿を飲んでる俺を嘲笑っていたんだ!
浩平は、心の中で歯切しりせんばかりだった。
「アラ、顔色が良くないわね。……女中達のオシッコまで飲まされていたことが判って、さぞ
口惜しいでしょうね。……でも、この秘密を黙っていて欲しかったら、今ここで、私達のオシ
ッコを飲むことね」
「そうよ。毎晩、女中のオシッコを飲んでいながら、私達のを汚ないだなんて、失礼しちゃう
わ」
「そう、その通りよ。……お詫びのしるしに、私達にお願いしなさい。どうか皆さんのオシッ
コを飲ませて下さいってね。クックックッ」
三人の言葉に、浩平の顔は更に蒼白になった。
結局、その後、ビヤホールへ行き、三人の女がジョッキを傾むけるのを、傍で見守らされる
羽目になった。
「田島君は、水も飲んじゃ駄目よ」
「そう、あとで、私達の身体を通ったオイシーいビールを飲むんだからね」
それから暫くして、トイレにこっそり特大ジョッキを持ち込んだ女達が、なみなみと尿を湛
えたそれを、身体で隠す様にして戻ってくる。
人目の無い隅のテーブルで、女達の好奇の視線を浴びながら、ジョッキを傾むける浩平の目
には、口惜し涙が浮かんでいた。
「イッキ、イッキ、イッキ……」
女達の囃し声は何時もと変らないが、彼の飲んでいるのは、彼女等の汚水なのである。
「フーン、何とか全部飲んだけど、随分飲み難そうだったわね。……ホラ、顔が真赤よ」
「どうだったの、私達のビールの味は?」
「そんな汚ないもの、良く飲んだわね。呆れたわ!」
口々に嘲ける女達に返す言葉も無く、浩平は力無く頷垂れるばかりだった。
その晩、何時もの様に立花家を訪れた浩平は、礼子を呼んで強くなじった。
「何言ってるのよ。……そりゃ、貴美子達に喋ったのは私が悪かったかも知れないけど、女中
達のを混ぜたのは理由があるわ。それは、私のだけだと量が余りに少ないからよ。……つまり
貴方の健康療法の効果を最大にするために、女中達に協力させたのよ」
「で、でも、それならそうと……」
「アラ、知ってたら飲まなかったって言うの?……大体養子の分際で、さっきの口のきき方っ
てなに!……私を罪人扱いして……失礼極まりないわ。……いゝわ、婚約を解消して、貴方の
健康療法のことも社内中に知らせることにするわ!」
憤然と反撃する礼子に、浩平は青くなって全面降伏するしかなかった。
「これからは、毎晩、貴方が来るまで我慢して待つのは止めにするわ。……朝はともかく、今
晩から夜は女中達のを飲むのよ。……貴方だって貴美子達のを飲んだところを見ると、必ずし
も私のじゃなきゃ駄目ってことでもなさそうね。フフフッ」
浩平が健康療法として女性の尿を飲んでいるとの噂は貴美子達の口から、瞬く間に、社内に
広がった。
最初は、いたたまれぬ思いだった浩平も、居直った気持で、噂を成可く気に掛けない様に努
めた。
そして、待ちに待った結婚式。……それも無事終り、新婚旅行に旅立った二人は観光地の温
泉旅館で初夜を迎えたのである。
その夜、床入り前に居ずまいを直した礼子は、浩平にとって全く意外なことを言い出した。
「私ね、暫く子供を作りたくないの。……と言うことは貴方と正常なセックスをする気が無い
ってこと」
呆気にとられた浩平に向かって、礼子は話を続ける。
「判るでしょう。……女心ってものがあるわ。……朝晩自分のオシッコを飲んでる男と、セッ
クスする気になると思って?」
「………………」
「それに、オシッコの飲み方も、今日からは変るのよ。……つまり、今迄は容器を使ってたけ
ど、あれは教育期間だけ。今日からは本式に、直かに飲むのよ」
礼子は、ひと息入れてお茶を啜る。
「尿療法の効果はね、尿が空気に触れると半減するんですって。……つまり、尿が酸化して変
質するらしいの。……だから、父は何時も母にゴム管を用意させて、それから直かに飲んだそ
うよ。でも、ゴム管なんて私はイヤ。……一寸試してみたけど、痛いし、第一、出ないのよ。
それに、父は嫁入りして来た母に強制出来たけど、貴方は養子ですものね。……だから、私は
貴方の顔に跨がって直かに飲ませる方法を取るわ。……文句無いわね」
決め付ける様な礼子の口調だった。
黙って頷垂れる浩平。
「じゃあ、早速、実行よ!」
燃える様な緋牡丹模様の布団の掛かった新床の傍で、仰向けに寝かされた浩平の足の方を向
いて、その顔を跨いだ礼子は、おもむろに腰を下ろす。
「口を開けて!……あら、何か言いたいの?」
局部を男の口に当てがい掛けた礼子は、呻く様な浩平の声に、尻を浮かしたまゝ彼の顔を覗
き込む。
「あ、あのアヌスが……僕の鼻に……」
浩平の哀れな声に、礼子はプッと噴き出した。
「アラ、良いじゃないの。……飲みながら、そこの臭いを嗅ぐなんて。それで私に益々頭が上
らなくなるわね。……後で、ついでにそこも舐めて頂戴。ホント、養子にふさわしい行為だと
思わない?……クックックッ」
屈辱に歪む浩平の顔をにじる様に尻に敷いた礼子は、股の筋肉を緩めて、男の口中に汚水を
注入し始めた。
「これで貴方……アラ、お前で沢山ね……お前は、私の便器になったのよ。……これからは私
の尿は全部、こうやって飲ませるわ。勿論会社でも、それも皆の前でよ。……そうだ、飲尿健
康法って、沢山飲む程良いそうよ。私だけじゃなくって女中達や、貴美子達のも、こうやって
飲ませて上げる。……これは、命令よ!」
礼子の尻の下で異臭にまみれながら汚水を飲む浩平の耳に、礼子の言葉が突き刺さる。
「終ったら、後を舐めて!……そうそう、アヌスもね。……その舌の感じ、いいわよ。ついで
に舐め続けて私を天国の気分にして頂戴!」
向きを変えて浩平の頭を股間に深く挟み込んだ礼子は、そのまゝ新床の中に倒れ込み、男の
髪を鷲掴みにすると腰をくねらせて、舌奉仕の続行を強要する。
汚辱にむせびながらも激しく動かす浩平の舌の音が、ピチャピチャと何時迄も何時迄も続く
のだった。
やがて新婚旅行から帰り、型通り親戚に挨拶廻りを済ませた二人は、翌週から会社での勤務
に戻った。
所謂、共働きだが、別に生活が苦しい訳ではない。
広大な屋敷に住み、三人の女中を使う身分に、何不自由がある筈も無かった。
礼子が、家庭に引き篭るのを嫌い、会社生活を続けたいと言えば、養子の立場にある浩平に
は反対出来ない。
しかも、礼子は、宣言通り会社でも、人目を構わず家庭におけると同様の屈従を浩平に強い
彼は毎日、文字通り生恥を曝す毎日だった。
人前で、お前≠ニ呼び捨てにされるのは未だ序の口で、彼にとって死ぬ程辛いのは、例の
健康療法を第三者の前で強制されることである。
流石に、こればかりは公衆の面前でとはいかないが、人目を遮るものも無い女子トイレの片
隅で、冷たい床に寝かされた浩平の顔の上に、おもむろに跨がる礼子……そして、その周囲に
は何時も、同僚の女子社員達が好奇心に駈られて群がっていた。
「アラーッ、田島君……じゃなかった立花君、可哀そうみたい。……これじゃ、まるで礼子の
便器ね!」
「ホラー、見て見て……彼ったら、お尻の穴まで舐めさせられてるわ。……ミジメー!」
そして、用を済ませて立ち去る礼子。……その後に残されて、床から身を起す浩平に、女達
のからかい半分の意地悪い質問が、そして蔑みの言葉が投げ掛けられる。
「奥さんに毎日オシッコ飲まされて、少しは健康のたしになって?……フフフ、これじゃ礼子
に永久に頭が上らないわね」
「ネ、ネエ。……きみぃ、今でも、女中の分も飲んでるの?……貴美子達のも飲んだってね。
足らなかったら、私の分を上げようかぁ……クックックッ」
「アラッ、臭いゲップだこと!……そうだわ、君の胃袋は、今や、女の小便袋になり下がった
んだもんね」
屈辱に顔を赤らめて、スゴスゴと女子トイレを出る浩平の姿は、尻尾を巻いて逃げる負犬そ
っくりだった。
礼子の所属する総務部と浩平のいる企画部は、隣り合せに位置している。
それぞれ四十人前後の部員を抱えているが、女性が圧倒的多数の総務部に対し、企画部はそ
の逆である。
両者のバランスをとる意味もあって、レクリエーションの催しなど、両方の部が合同で行う
のが慣例だった。
田島浩平、改め立花浩平と机を並べている田崎貴美代は、礼子と同期の親友同志で、カウン
ター越しに声を掛け合って行動を共にすることが多い。
昼時に、社員食堂へ行く時も必ず一緒だった。
結婚以来、浩平は礼子に言われて、お供よろしく二人の後に従って食堂へ行く。
他の女子社員達が二人に加わることもあり、賑やかに談笑する一団の後を追って食堂に入る
と、一同が給食の列に並ぶ間に、皆の席を確保しお茶を入れて並べておくのが、彼の役目だっ
た。
何のことは無い。……まるで礼子の召使いである。
しかも、食堂へ行く途中で、礼子はトイレに立寄ることが多かった。
後を振り向いて、彼に向かって顎をしゃくると、礼子を先頭に一団が揃ってトイレに入る。
その時間帯は、化粧直しをする者を含め、女子トイレはきまって満員だった。
肩身の狭い思いで礼子に従う浩平は、皆の目を避けながら、自ら隅のタイルの上へ仰向けに
横たわる。
そして、礼子の尻が落下して来るのを待つのだった。
「浩平君、これは君の食前酒みたいなものね。……きっと消化に良いわよ。フフフ」
田崎貴美代が、からかう様に言う。女子トイレの中で小波の様に蔑み笑いが走った。
汚辱に満ちた新婚生活も、半年を過ぎる頃には一種の落着きの様なものが出て来る。
換言すれば、浩平が漸く屈辱の生活に慣れ、礼子の従順な召使いとして定着したのだった。
その頃、会社では恒例の秋のレクリエーションとして一泊旅行が計画されていた。
三連休の週末を利用して、東北の温泉地までバスで行き、一泊したうえ、翌朝から近くの紅
葉の名所へ半日のハイキングの後、再びバスで帰って来る。そして、残る一日は、各自ゆっく
り自宅で静養すると言うのが、大略のシナリオだった。
例によって、企画部と総務部の合同行事として進められたが、企画部の男性陣の主張で、ハ
イキングと並行して有志によるゴルフコンペが加わった為、二日目の行事が、女性はハイキン
グ、男性はゴルフと真二つに分れることになってしまった。
ともあれ、幸い快晴に恵まれ、二台のバスに分乗した一行は、高速道路を一路北に向かう。
通路にゴルフバッグを積んだ一台は、勢い男性陣が占め、もう一台が女性達に占められると
いう偏った分布にはなったが、それはそれで、車内は何れも解放感に溢れた雰囲気に満ち満ち
ていた。
唯一の例外は、浩平だった。
礼子の命令で女性陣の中に入れられた彼は、女達の醸し出す華かな雰囲気にも馴染めず、女
の中の黒一点という違和感に肩身の狭い思いである。
それは、男の身で女子トイレの中に連れ込まれ、礼子に屈辱の飲尿を強いられる毎日の延長
とも言えた。
彼の思いと裏腹に、車内ではマイクが廻され、歌が全員の合唱に拡がっている。
ひとくぎりついた所で、菓子とジュースの詰め合せの紙箱が配られ、あちこちでガサガサ音
がし出すと共に、お喋りの方も盛んになって来た。
その時、中程の席に座っていた田崎貴美代が、中腰になって後を振り向き、最後尾の席に独
りで座っている浩平に声を掛ける。
「立花君、栄養ドリンクのお時間よ。……貴方の奥様が、いまそちらへ行くから、用意して頂
戴って!」
到々、彼の恐れていたことが現実になったのである。
バスの中で、それと察した女達の笑いが爆発した。
「そうだぁ、このバスには礼子さん専用のトイレが付いてたんだわ!」
誰かが剽軽な声を出すと、またひとしきりドーッと笑いが弾ける。
屈辱に身を震わせながら、通路に横たわった彼の顔の上に、礼子の尻が遠慮会釈無く据えら
れ、バスの振動でそれが細かく揺れながら、汚水を彼の口に送り込んだ。
何時もの様に、局部だけでなくアヌスまで舌で清めさせたあと礼子は席に戻ったが、全員の
視線が浩平のみじめな顔に集中する。
「立花くーん。……御馳走様って言ったらぁー」
前の方から野次が飛び、またまた笑いの渦である。
それも、陰に篭もった蔑み笑いで、明らさまに彼を馬鹿にした調子が込められていた。
しかし、また歌が始まると雰囲気が変り、浩平は再び皆から無視される立場に戻る。
その時、バスの外では変事が起りつゝあった。
只でさえ交通量の多い連休の初日である。
それが、可成り前方で起った交通事故のために、渋滞し始めたからたまらない。
バスの速度が急速に落ち、ノロノロどころか、発進停止を繰り返し出す様になると、高速道
路は二車線とも、数キロに亘ってギッシリと車の列で埋め尽くされた。
本来なら、とうに最初の休憩所に到着している時間だが、この調子では何時のことかも知れ
ない。
バスの中の女性達から溜息が洩れ出し、そのうち、何人かが落着かぬ風情でソワソワし出し
た。
明らかに、尿意を催して来たのである。
前後の車からは、ちらほらと車から降り立つ男性の姿が見え出し、恥ずかし気も無く道路の
ガードレール越しに立小便を始める者が増えた。
生憎、付近に人家も無く、道路自体が高架になっている為、道から下へ降りることすら出来
ない。
遂にたまりかねた女達の中から、礼子に向かって声が掛かった。
「ネー、礼子さん。お願いだから、貴女のトイレを私にも使わして頂けないかしら?」
それは、後ろで聞耳を立てゝいる浩平にとって、心臓が停まる程のショックだった。
まさか……まさか……と胸をドキドキさせて固唾を飲む浩平の耳に、非情な礼子の返事が聞
こえる。
「いゝわよ。こんな状況ですもの。彼も判ってくれる筈よ。……遠慮無く皆で使って頂戴」
途端に数人の女達が立ち上り、われ先にと後部座席の浩平のところへ押し掛けた。
先頭の女が顎をしゃくって彼に床へ寝ろと合図する。
その横柄な態度には、彼に対する蔑みがアリアリと現れていた。
ワナワナと身体を震わせながら、身を固くして無言の抵抗を示す浩平。
そこへ、礼子の声が飛んだ。
「サー早く、みんなの御用を勤めるのよ。……これは、私の命令よ!」
ガックリと頷垂れた彼の足を、女達が数人掛かりで掴み、通路に引き出すと、先頭の女が彼
の肩を蹴る。
仰向けに倒れた彼の顔に、女の尻が被さった。
「諦めてサッサと飲むのよ。……何さ、たかが女の便器のくせに!」
いらだたしげに男の口を股間でまさぐる女の尻割れが浩平の鼻をにじり、じっとりと湿った
アヌスが異臭を彼の鼻孔に送り込む。
余りの情けなさ、無念さに、浩平の目は涙で霞んだ。
しかし、習い性となった今では、彼の咽喉は汚水の奔流を一滴も外へ零すこと無く、一気飲
みの要領で自動的に胃の腑へ飲み下すのだった。
息をつく暇も無く、次の女性の股間が彼の顔を覆う。そして、汚辱の奉仕が繰返された。
五人目を終えて、漸く一息入れた彼は、礼子の許しを得て車外に降り立ち、膀胱を空にする
と同時に、胸が苦しくなる程沢山胃に溜った汚水を吐き出した。
しかし、バスに戻った彼を待っていたのは、果てるとも無い凌辱の連続である。
次々と彼の顔を跨ぐ女達の態度には、彼に対する同情のカケラも無く、ひたすら便器として
彼を使うことに徹していた。
しかも、何人かは、礼子の真似をして、彼の唇にアヌスを押し付け清めを強いたのである。
浩平の胃の容量が如何に大きいと言っても、四、五人分もの女性の尿を飲まされれば、息苦
しい程胃が膨らんで来る。
その度に車外に降りて咽喉に指を入れ、汚水を吐き出す彼に、同情ならぬ軽蔑の目が注がれ
た。
そして、遂に、彼の口中に小水を注ぎ込んだ女性の数は二十人を越えたのである。
この日を境にして、会社で、女子社員の浩平を見る目が、ガラリと変ってしまった。
これ迄は、単に健康療法としての飲尿を、偶々屈辱的な姿勢で強制される気の毒な人として
浩平を哀れみの目で見る者も可成あったが、それ以来、彼は、女性の公衆便器に転落した男と
して常に嘲けられ、蔑まれる立場になったのである。
先ず、彼に対する口のきき方が変った。
彼より年下の入社して間の無い女子社員にすら、お前と呼び掛けられ、横柄に命令される。
それに反発しようものなら、きまって、
「何さ、便器のくせに! お前なんか、女のオシッコを黙って飲んでればいゝのさ。……サア
そこへ仰向けにおなり。お前の身分を教えてやるから」
と言う答が返って来る。
現実に、そのまゝ寄ってたかって女子トイレに引きずり込まれ、小水を飲まされた挙句、生
意気な口をきいた罰として、女の股間の汚れを、繰返し執拗に顔に擦り込まれたことさえあっ
た。
そして口惜し涙を流しながら身を起す浩平は、顔に、ペッと唾まで吐き掛けられ、
ホレ、思い知ったわね!≠ニ嘲けられる。
弱い者いじめとなると、途端に陰湿な底意地の悪さを剥き出しにする女達に、こうして嬲ら
れる日が続いた。
しかし、浩平にとって、予想だにしない更に大きな屈辱の日が、遂にやって来たのである。
その日……それは、偶々彼の誕生日に当っていた。
礼子が、わざとその日を選んだのは明らかである。
浩平を従えて、いつもより早く帰宅した礼子は、何時に無く彼に優しかった。
「今日はネ、お誕生日のお祝いに、お前の一生忘れられない経験をさせて上げるわ。……フフ
フ、今は内緒よ」
意味ありげに含み笑いをしながら、礼子は浩平を寝室に誘った。
もしや、今日こそ彼女は、夫婦としてのセックスを許してくれる気になったのではなかろう
か……と、浩平の胸は期待にときめく。
「一寸の間、目隠くしさせて。……そう、それから、手を後へ廻してみて。……そうよ。……
アッ、動かないで頂戴!」
絨緞の上に座った浩平の背に、後から抱きつく様に、しなだれ掛かった礼子の手が、浩平の
後に廻した両手を掴む。
そして、手首にヒヤリと金属の触れる感触がしたかと思うと、カチャリと音がして、彼の両
手は後手に拘束されてしまった。
「心配しないで! おもちゃの手錠を嵌めただけよ。……暴れないで私の思い通りになって貰
うための、そう、一種のオマジナイなの」
戸惑う浩平の耳に、そっと囁き掛ける礼子の甘い吐息が、優しく掛かる。
と、スーッと礼子の身体が離れた。
「で、でも……こ、これは、一体……」
不安に駈られて、思わず口ごもる浩平の問には、最早返事がない。
「クックックッ…………」
「フッフッフッ…………」
正面から聞こえる忍び笑いが、どうやら、礼子一人のものでないことに気付いて、浩平は愕
然とした。
「もういゝわ。……目隠しを取って上げる」
目を覆っていた布がハラリと落ち、視野が戻った。
驚いたことに、目の前のベッドに腰掛けて彼を見下ろしている礼子の傍らに、顔見知りの男
がいる。
それは、浩平の後輩に当たる高田だった。
二人とも、さも面白そうにニヤニヤ笑っている。
「びっくりした? 高田さんと私はね、昔からの恋人同志なの。……お前との結婚話が出た時
には、二人で駈けおちする計画までしてたのよ。……でも、家を出たら、立花家の財産は相続
出来ない。といって、高田さんを養子にすると、私のオシッコを飲んで貰う羽目になる。……
困っていた時に、お前が現われたの」
「………………」
「覚えているでしょう? 私に男の子が出来たら、その子を相続人にして、私は自由になれる
と言う約束だったわね。……でも、まさか、自分の便器になり下った男とセックスする訳にも
行かないわ。……だから、高田さんを呼んだの。……お前は、あくまで私の便器。そして、高
田さんは私の恋人で、セックスの相手。……判ったわね。フフフ」
礼子の言葉に、ただ茫然とするばかりの浩平。
「お前は、私との正常なセックスに憧れてるわね。……そして、今日はお前の誕生日。……だ
から、今日は特別に高田さんがお前の代理として、ここで私とセックスするの。……お前は、
自分が高田さんになったつもりで、見守るといゝわ。……でも、後始末は、便器であるお前の
役目。お前の舌と唇で、私達のおしもの汚れを清め、口でジュースを吸うのよ。……いゝわね
命令よ!」
それは、浩平にとって残酷な命令だった。
目も虚ろに、むつまじく抱き合う二人を眺める。
そして、夢にまで見た礼子とのセックスが、他の男の身体で実現するのを、指をくわえて見
守るのだった。
「一回戦は終りよ。……さ、ボヤボヤしてないで、ここへ来て、お前の勤めを果すのよ!」
後手錠の身で、よろけながらベッドに近付いた浩平の髪を礼子の手が掴み、その頭を、抱き
合った二人の股間へと引き込んだ。
浩平の口に、二人の結合部分が押し付けられ、彼の顔を擦りながら男根が引き抜かれた後の
バギナから、どっと生臭い二人のミックス・ジュースが溢れ出して来る。
それを、音を立てて吸い、咽喉を鳴らして飲み込む浩平。
その目からは無念の涙が、とめどなく流れた。
「高田さんはね、私が、お前に情を移さないかと心配してるの。……だから、私に言うの。…
…もっともっと、お前を穢せってね。……どう言う意味か判る?……フフフ、言って上げよう
か。……それはね、オシッコだけじゃなくって、大の方も食べさせろって言うこと!」
礼子に髪を掴まれて、二人の局部を舐め清めさせられている浩平の身体が、これを聞いて、
ブルッと震えた。
「私は、いくら何でも可哀そうだと反対したのよ。……でも、とうとう説得されちゃったわ。
……ただ、せめてお前の誕生日まで待つことを許して貰ったの。……さっき、お前に手錠を嵌
めたのは、反抗出来ない様にするためよ。……明日の朝、お前を、高田さんの目の前で私の完
全な便器にして上げる!」
浩平の身体の震えが大きくなり、彼の意識は、次第にめくるめく屈辱の淵に深く沈んで行く
のだった。(完)
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(SMスピリッツ1990年11月,12月)
2010/05/05