#31転落の養子縁組           阿部譲二

資産家の美人娘の婿養子になった男が新婚初夜に女と口論になり、体力に勝る新妻の尻に組み敷かれて股間への舌奉仕を強制される。子作りは後にしたいと言われセックスも許されず、妻の二人の妹達にも馬鹿にされる。精液検査の結果、精子の活力が弱く種馬失格の烙印を押された男は、女中達の舌奴隷に格下げされ、妻やその妹達の便器として使われる。

「では、これにて柿沼家より佐藤家への結納おさめも、無事、お開きとさせて頂きます。
何卒幾久しく宜しくお頼み申します」 仲人夫妻が、玄関でゆっくりと一礼して立
去ると佐藤清治は、ホッとして横の正装した叔父夫妻と顔を見合わせた。
 皆が漸く緊張から開放されて、顔を和ませている。
「叔父さん、叔母さん。……遠い所を、わざわざ有難うございました。式の時には、また
宜しくお願いします] 清治は二人に向かって丁寧に頭を下げた。
「なんの、なんの」 田舎育ちの陽気な叔母が、打消す様に目の
前で手を振って見せた。「うちらは、清治さんの親代りだもん。必要
な時は何時でも言ってくれりゃ、どこへでも行くけん」
 実直さだけが取り柄の叔父が、続いて相槌を打った。
「そうとも、遠慮はいらん。……でもな、わしは、今度の縁組が、どうも気になってな。
……勿論、お前さえ良けりゃ問題無いんやがいくら両親がおらんというても、お前が養子
に行くというのが、ひっかかるんや」 心配気な叔父の顔を、清治は努めて明るく
見返した。「大丈夫ですよ。……相手は何代も続いた旧
家で、地方では指折りの資産家だし、第一、相手側の女性は、美人でしっかりものときて
いる。……僕には、過ぎた良縁ですよ」 清治の言葉に嘘は無かった。
 一流大学の経済学部を、先月トップで卒業したばかりの彼が、突然、九分通り内定して
いた就職先を断ってまで、柿沼家の養子に入る決心をしたのは、その莫大な資産だけでは
なくて、相手の女性、啓子の美貌にすっかり魅せられたためだった。
 彼の卒業論文の指導教官から、この話が持ち込まれた時には、正直いって清治には全く
その気が無かったのである。「君い、そう言わずに相手に会ってみろよ。
きっと気に入るぜ。……先方は、俺の郷里の旧家で、子孫の繁栄のために、是非とも一流
大学の優秀な学生をと望んでいるんだ。……俺が若かったら、自分で申し込みたい位の良
い話だぞ」 教授の熱心な勧めもあったが、見せられた
相手の女性の写真が、オヤと思うほどの美人だったからである。
 会ってみて、すっかり気に入ったのは言うまでもない。
 しかし、勿論問題もあった。 育ちのせいか、彼女の態度が何となく横柄
で、人を見下したようなところがあり、口のきき方も高飛車で、時折、下男に接するよう
な素振りを見せた事である。 どうやら、敬子は彼を対等の人格と認めて
をらず、まるでペットでも買う時のように、清治を冷たく値踏みしているようだった。
 それは、明らかに、柿沼家に於ける養子の地位が、如何に低いものかを暗示している。
 普段の清治なら、そして普通の神経の持主なら、到底我慢ならないものだった。
 日本人としても、小男の部類に入る清治に較べて、敬子は大柄で背も彼より高い。
 しかし、彼女の日本人ばなれしたグラマーな姿態は、あたりにムンムンと女の魅力を発
散して、勉学一筋の禁欲生活を続けて来た清治を文字通り悩殺した。
 要するに目が眩んだのである。 彼女の豊かな胸、そして腰のくびれから圧
倒的なボリュームのあるヒップにかけての微妙なカーブは、清治の男性をいたく刺激し、
その晩、オナニーに走らせたほどだった。(ナーニ、結婚してしまえば、女は変るもん
だ。……それに、あの態度だって、夫の教育次第で改まるさ!)
 自分に無理に言い聞かせるようにして、不安な気持を抑えると、早速翌日、紹介してく
れた教授に承諾の意志を伝えたのである。 柿沼啓子は、四人姉妹の長女として生れ、
父が早世してからは、女手ひとつで家業を守る男勝りの母のもとで、我侭一杯に育った。
 女子短大を昨年卒業し、現在、稽古ごとに明け暮れる毎日だが、学生時代はスポーツ万
能でその恵まれた体格と優れた運動神経とでバレー部の選手として活躍したものだった。
 三人の妹達は、ふたつ年下の葉子が大学に在学中。
 その下の松子と竹子が双子で、高校二年生である。
 共に姉ほどではないが、それぞれに個性豊かな美人だった。
 柿沼家は、代々高級和菓子の製造元として全国的に有名なしにせである。
 元々、地元の藩主の御用を勤める格式のある家柄だった。
 和菓子といっても、所謂生菓子ではなく、茶の湯や冠婚葬祭に古くから用いられる、日
持のする干菓子が対象である。 もっとも、啓子の父母の代になると、実際
の菓子製造は三つの分家に任せ、総本家としてそれを買い上げて全国の小売店へ卸す、販
売の仕事だけを取り扱うようになっていた。 従って、現在の柿沼家の広大な家屋の中に
ある製造作業場所は、今では分家よりの納品を改めて、格納する倉庫になっている。
 あまり嵩張らない茶菓子ではあったが、全国への集配ストックともなると結構スペース
をとり、管理と出納の仕事には、常時十人を超す若い女中が携わっていた。
 本来ならば、女子従業員といったところだが、昔からのしきたりもあって、土地の若い
女達は、結婚前の格好の働き口として、むしろ、好んで家事見習いの女中兼用の形で就職
するのである。 もっとも、柿沼家の方にも女中兼用として
雇う分には、給料も低く抑えられるとの計算がある。
 一見、前時代的な雇用形態ではあるが、これも、いわば、昔流の企業経営の知恵のひと
つであった。 今夜から挙式までの三ヵ月間、清治が啓子
と会ったのは、たった二回、それも柿沼家の中の大勢の目のある中で、肩を張っての逢う
瀬だった。 啓子の横柄な態度は相変らずだったが、彼
女の母、彼の姑になる貞江の如何にも気難かしそうな言動が幾分気になった。
 それ以上に清治の気分を憂鬱にしたのは、啓子の妹達の礼儀をわきまえぬ態度だった。
 如何に本家の令嬢達とはいえ、仮にも姉の夫になる清治に対し、まるで召使いに対する
ような口のきき方をするのである。 しかも、傍にいる貞江や啓子も、一向にそ
れをたしなめようとしない。(いずれは、結婚して家を出て行く女達だ。
……気にすることは無い) 清治はその度に心の中でそう繰返して我慢
したものゝ、改めて、この家に於ける養子の身分の低さを思い知らされたのだった。
 そして、結婚式の当日である。 格式張った式次第や、盛大な披露宴も、清
治にとってまるで夢心地のうちに終った。 夕刻、慌ただしく新婚旅行へ旅立った二人
は、その晩地方の鄙びた温泉宿で初夜を迎えた。
 しかし、その夜は、清治が予想だにしなかった展開が待ち構えていたのである。
 二人きりの始めての食事で、清治は漸く、昼間の緊張感からい開放されて、くつろいだ
楽しい気分に浸ることが出来た。 向いの啓子も、地酒にホンノリ頬を染め、
申し分なく美しかったし、湯浴上りの浴衣の間からこぼれる胸元も、うっすらとピンクに
色付き、男心を誘うに十分だった。 宿の女中が食事の後を片付け、床を敷いて
いる間、広縁に置かれた椅子にくつろいで、二人で食後のデザートとコーヒーを味わう。
 しかし、もはや清治にとっては、間もなく目の前の豊満な女体を抱く期待に頭が一杯で
コーヒーの味どころではない。 固くなった股間を、覚られぬように抑える
のに懸命だった。 女中が去った後、入り口をロックして戻っ
て来た清治に向かって、啓子は煙草を手に椅子に座ったまま、顎をしゃくって目の前の畳
を指した。「そこにお座りなさい。ちゃんと正座するの
よ。……そう、それで、御挨拶は?」 何のことか分らず、啓子の前に正座した清
治は、思わずポカンとする。「挨拶って……いったい、どんな……」
「馬鹿ねえ。床入りの時に花嫁が挨拶するでしょう。……ふつつかものですが、末永く宜
敷くお願いしますってね。養子の場合は、逆に花婿がするものよ」
 啓子は、煙草の煙をフーッと吐くと、彼の目の前で高く足を組んだ。
 女の足の裏が、彼の顔に触れんばかりに近付く。
「で、でも、……そ、そんな、……男が挨拶するなんて……」
「アラ、私達の場合は、男と女の立場が逆転してるのよ。……その証拠に私はこれから、
清治さんのことをお前≠チて呼ぶわよ。そして名前も清治≠チて呼び捨てにするわ。
……清治は私のこと奥様≠ニか啓子様≠チて呼んで頂戴。……それから、私には常に
敬語を使うこと。いいわね」 彼は、カーッと頭に血が上るのを覚えた。
「そ、そんな馬鹿な! いくら養子だからって…あ、あんまりじゃないか。……僕は、
絶対に自分のやり方でやるからな! お前は妻なんだぞ。それを忘れるな!」
 途端に、ピシャッと大きな音を立てゝ彼の頬が鳴った。
 椅子に座っている啓子が、身を乗り出していきなり、清治の頬を平手打ちにしたのであ
る。「お黙り! 養子のくせに。……私に向かっ
て失礼なことを言うと罰を与えるわよ。……ホラッ、こうよ。分った?」
 平手打ちに続いて、啓子は清治の顔を足で蹴る。
 不意を打たれて後ろへ転がった彼は、完全に逆上して起上りざま彼女に掴みかかった。
 しかし、相手が悪い。 もともと体力に自信の無い清治である。
 女とはいえ、大柄で、しかもバレーで鍛えた啓子に勝てるわけがなかったのである。
 暫く揉み合った後、組み敷かれたのは清治の方だった。
 男の胸に跨がった啓子は、勝ち誇った眼差しで清治を見下ろす。
「私に逆らったらどんな目に合うか、これからたっぷりお前に教えてやるわ。……フフフ
覚悟おし!」 啓子は、膝で彼の両手を抑え込みながら、
腰を左右にひねるようにして、彼の胸の上をにじりながら前進する。
 股間で咽喉を扼し、太股で男の顔を挟み込む姿勢で、もう一度彼の顔を覗き込み、白い
歯を見せてニッと笑った。 唇を震わせる男の目に、怯えの色を見て取
ると、嘲笑を浴びせながら腰を浮かし、ゆっくりと清治の顔を尻に敷く。
 ムーッと悲鳴に似た呻き声が、女の尻に塞がれて、くぐもった響きを立てた。
「お前は養子、柿沼家では、単なる種付け馬なんだからね。……思い上がらないように、
これからは毎日こうしてお前の顔を尻に敷いてやることにするわ。……ウフフッ、この臭
いをよく覚えるんだよ」 顔にかかる重圧に呼吸を塞がれながら、清
治はかろうじて彼女の尻割れに沿って流入する僅かな空気を、むさぼるように力を込めて
吸った。 彼女は下着を替えなかったとみえ、淡い尻
臭が彼の鼻をうつ。 男の身でありながら、女に組み敷かれ、尻
臭まで嗅がされる……その屈辱に甘んじなければならぬ無念さ、そして我が身の情けなさ
が清治の胸を満たし、目蓋を熱くした。 暫くして腰を上げた敬子は、椅子に戻って
再び煙草に火を付ける。 のろのろと身を起した清治に、彼女の声が
被さった。「さあ、もう一度、御挨拶のやり直しよ。…
…今度は私が教えるから、はっきりと復唱しなさい」
 それは、まるで屈辱を絵に描いたような光景だった。
 敬子の座る椅子の前にひれ伏して、口移しに屈従の誓いをさせられるのである。
 気も狂わんばかりの口惜しさが、清治の胸をかきむしった。
「わ、わたしは、養子として……敬子様の御命令には、な、なんでも従います。……私が
自分の身分をわきまえるように、ど、どうか毎日、私の顔をお尻に敷いて下さい」
 どもりながら言い終えた清治の顔は、恥ずかしさに紅潮している。
 こうして男の屈服を確認した上で、敬子は更に追い打ちを掛けた。
「私ね、子供を作るのは少し後にしたいの。だから、お前と今過ぐにセックスする必要は
ないのよ。……当分は、お前の舌を使って楽しむことにするわ。私の言う通りに心を込め
て奉仕しなさい」 そして、その晩、哀れにも清治は、敬子の
股間に顔を挟まれ、延々と舌奉仕を強制されたのである。
 初めての経験で戸惑う清治を、敬子は、その髪を掴んでコントロールする。
 身体を硬直させ、豊かな太股で彼の顔を締め上げるようにして頂点に達した後も、彼に
今度はアヌスを舐めさせながら、その余韻を楽しむのである。
 そして、次の波に向かっての高まりを迎えると、再び彼の顔をクレバスに擦り付けた。
 女のクレバスはまだしも、そのアヌスを吸わされた時は、さすがに清治も情けなさに、
胸が潰れる思いだった。 こうして、新婚初夜は、清治の一方的な屈
服で終始した。 疲れ果てて、女の股間に顔を当てたまま眠
りに落ちた彼に、翌朝、敬子は奉仕の続きを命じる。
 それも、小用を足して、その後をろくに拭かずに床に戻ってからのことである。
 プーンと尿臭が鼻をつく股間に顔を押し付けられた清治は、舌を動かしながら、思わず
嗚咽を洩らすのだった。 朝食の後も、彼女は、新聞を見ながらゆっ
くりと用を足してから清治の顔に跨がった。 パンティー越しではあったが、糞臭の残る
アヌスを鼻孔に押し付けられ、清治の無念さは例えようがない。
 テレビの朝のドラマを見終える間、彼女は彼の顔の上に尻を据えて動かなかった。
 それからというものは、新婚旅行の間、敬子は、清治をその身分にふさわしく℃d込
むと称して、彼に数々の屈従を強いた。 少しでも対等の口をきくと、言葉遣いが悪
いと言って、顔を平手打ちにする。 そして、人目の無いことを確かめると、と
ころ構わず彼の顔を尻に敷いた。「清治、お前の顔は貧相で頬骨が狭いわね。
そして、私は、人より骨盤が広いの。……初めて会った時、お前の顔の巾は私の尻骨の間
にピッタリはまるサイズだと直感したわ。……やっぱり思った通りよ。とっても尻の敷き
心地が良いの。……お前の顔と私のお尻はぴったり合うように出来てるんだわ。クックッ
クッ」 彼女の度重なる嘲笑に耐えかねて、二度、
三度と掴みかかってみたものの、体力の差はいかんともし難く、哀れにも逆に抑え込まれ
てしまう。 そして、必らず罰を与えられた。
「そこへ正座して、私の足蹴りを顔で受けるのよ。……蹴られる瞬間は目と口を閉じるこ
と。いいわね。……行くわよ」 椅子に腰掛けた敬子の前の床に正座させら
れた清治の顔を、彼女の足が襲った。 さすがに鼻は避けて、彼の両の頬を女の足
裏が交互に打つ。 手を後ろについて支えるが、蹴られる度に
清治の身体が大きく後ろへのけぞった。 身体を起して態勢を整えたところへ、又、
次の一撃が来る。 痛みもさることながら、女に、しかも新婚
の妻に顔を足蹴にされる口惜しさは、例えようがない。
 こうして、敬子に完膚なきまでに征服された清治は、十日間のハネムーンが終った時に
は、すっかり卑屈な態度が身につき、柿沼家の養子と言うより、敬子の召使いとしての扱
いを甘んじて受けるようになっていた。「ただいまぁ! お母さん、私、いま帰った
わよ」 柿沼家の玄関の車寄せにハイヤーを乗り付
けた敬子は、声を張り上げながら、ガラリと引戸を開けると、靴を投げるように脱ぎ捨て
て奥へ駈け込む。 残された清治は、慌てて出迎えに走り出た
女中達に荷物を任せて、後に続いた。 柿沼家の居間は、十二畳の広間を洋式に改
造し、絨緞を敷き詰め、ソファーセットを配した近代的なレイアウトになっている。
 丁度、そこには午後のお茶の時間で、姑の貞江を中心に、葉子、竹子、松子の四人が顔
を揃えていた。「アラ、お帰りなさい。……さっぱり連絡が
無いから心配していたのよ。……旅行はどうだったの? 楽しかった?」
 貞江は清治を全く無視して、敬子に話し掛ける。
「敬子姉さん、お土産、待ってたのよ」 松子が、はしゃいだ声音で続けた。
「お土産はトランクの中よ。……それより、お母さん、そして、みんなにも旅行の成果を
見せるわ。……清治、こっちへ来てそこへお座り」
 敬子は顎をしゃくって、部屋の隅でモジモジしていた彼に、ソファーで囲まれた中央の
床を差す。「そう。……そこへ正座して皆に御挨拶する
のよ。さっき車の中で教えた通り、言いなさい。……ホラ、未だ頭が高いわよ」
 思わず口ごもる清治を、貞江が促した。「どうしたの? 敬子に何をされたの?」
「敬子様に……養子の身分を……充分、教え込まれました」
 さすがに、思い出すと、ドッと口惜しさが込み上げ、唇を噛んで顔を伏せる。
「ネ、ネエ。いったい、どんな教え方をされたの?」
 次女の葉子が、横から身を乗り出した。「そ、それは……」
 思わず絶句した清治は、助けを求めるように敬子の顔を仰ぎ見る。
「フフフ、恥ずかしくて、とても口では言えないのね。……いいわ、みんなの前で実演し
て見せて上げる」 ツカツカと清治の傍へ寄った啓子は、足を
上げて、狼狽する清治の肩を蹴った。 横へ崩れるように仰向けに転がった男の顔
を跨ぐと、そのまま腰を下ろして、清治の顔をピタリと尻に敷く。
 そして、その姿勢で、これ見よがしに、尻を左右に揺すった。
 その動きにつれて、彼の顔はグラグラと絨緞の上を転がる。
「ウー、ムムーッ……ウーッ」 呻き声と共に、啓子の尻の下で身もだえす
る清治の有様は、哀れと言うより滑稽ですらあった。
 周囲では、一斉にクスクス笑いが広がる。 漸く、啓子の尻から解放された清治は、顔
を伏せ、皆の前にひれ伏した姿勢に戻った。 二人だけの時ならともかく、こうして家族
の面前で、あからさまに辱められるとは、思ってもみないことである。
 無念さに、肩が小刻みに震えていた。「ネエー、清治兄さん、どんな顔してるの?
……見せてよー」 三女の竹子が、絨緞に膝を付き、ニヤニヤ
笑いながら清治の顔を覗き込む。 松子とは双子だけあって、声までそっくり
だった。「アラ、竹ちゃん。無理して、この男を兄
さん≠チて呼ばなくっていいのよ。清治≠チて呼び捨てにして頂戴。……ホラ、清治、
顔を上げて御覧。……アラアラ、真っ赤じゃないの。ウフッ、よっぽど恥ずかしいのね」
 啓子の声音には、征服した男に対する気安さと軽蔑が込められている。
 姑の貞江が、改まった口調で彼を呼んだ。「清治。お前は啓子の婿であると同時に、こ
の柿沼家の養子なんだからね。……と言うことは柿沼家の家族全員に、養子としての礼を
尽くすんだよ。だから、ここにいる皆の言い付けには背かないこと。……いいね」
「で、でも、いくら何でも、自分の妻の妹達にまで敬語を使うのは……」
「それは、お前が、柿沼家の養子の身分を本当に理解していないからさ。……法律では、
養子は家族の一員かもしれないけど、ここでは、それは啓子がお前の子を身ごもってから
のこと。……それまでは、召使いと同じ扱いをするからね。……食事も、台所で女中達と
一緒に食べるんだよ」 それは、清治にとって、啓子に征服された
ことに次ぐ大きなショックだった。 昔の農村では、嫁がセックスを伴う無給の
女中の身分だったと言うが、この柿沼家での清治も、男と女の違いこそあれ、同様の扱い
である。 いや、むしろ召使いの方が、いつでも止め
る自由があるだけ命令を拒否し易いともいえた。
 ともあれ、こうして、柿沼家に於ける清治の屈辱に満ちた生活が始まったのである。
 啓子は、その気になると、人目があろうが無かろうが、平気で清治の顔を尻に敷いた。
 それは、今や清治に養子の身分を教えるためと言うより、彼の屈服を通じて自分への隷
属を確かめる儀式のようなものだった。 清治にとって辛かったのは、その光景を目
のあたりにして以来、女中達が次第に清治を主人扱いしなくなり、目に見えて軽蔑を露わ
にした態度を取るようになったことである。 姑の貞江が言った通り、三度の食事も家族
とではなく、女中達と台所の板の間に座ってとらされた。
 しかも、その前に、家族の食事の給仕として侍らされた挙句、その残飯をあてがわれた
のである。 柿沼家の台所は、奉公人の休息の場を兼ね
て、広いスペースの板の間になっている。 主人の家族達の食事が終ると、女中達は板
の上に茣蓙を広げ、折り畳み式の机を出して食事にかかる。
 十人を越す数なので、清治に与えられた場所はその末席で、茣蓙がきれて板がむき出し
になっていた。 冷たい板の上に正座する清治の前には、食
べ散らした啓子や妹達の皿が置かれる。 御飯や汁も、彼女達が行儀悪く食べ残した
冷えたものだった。 貞江の指示で、清治はそれを残らず奇麗に
平らげるように言われている。 歯型の付いた蒲鉾の切れ端や、明らかに、
いったん口に入れてから吐き出したすじ肉の塊り等を、ためらいながら口にする清治を、
女中達は呆れ顔でジロジロ眺め、時にはクスクスと軽蔑の笑いを浴びせた。
 その度に、情けなさに胸が締め付けられ、目蓋がジーンと熱くなるのだった。
 せめて夜だけでも、啓子と正常な夫婦の営みが出来るのだったら、救いもある。
 しかし、啓子は、依然として清治に身を許さなかったばかりか、新婚旅行で味を占めた
彼の舌の奉仕を毎晩要求した。 夫婦の寝室と居間は、母屋と廊下続きの離
れにある。 畳の香りも新しい八畳の寝室には、女中が
夕刻になると床をとりに来るが、啓子は、夫婦の寝床を横に並べてではなく、縦にふたつ
続けて敷かせた。 そして、清治の枕を自分の足元に来るよう
に置かせたのである。 つまり彼女の欲する時に、何時でも直ぐさ
ま清治の顔を股間に引き寄せるためだった。 毎晩のように、啓子は、床に入った清治の
頭を蹴って合図をする。 そして、裾から這い上がって来る清治の髪
を掴んで、その頭を股間に挟むのである。 ふたつ並べた床の敷きかたに、最初は、怪
訝そうな表情を浮べていた女中達だったが、ある日、啓子が清治の顔を股間に挟んだまま
昼近くまで寝過しているところを目撃して、漸くその意味を覚った。
 そして、清治に対する女中達の軽蔑の度合は、一段と深まったのである。
 女中でさえそんな有様だから、清治の小姑に当たる啓子の妹達がどんな態度をとったか
は、想像に難くない。 彼女等は、皆その軽蔑をはっきり態度に現
わにして、遠慮なく清治に君臨した。 特に、未だ高校生で、家に居ることの多い
松子と竹子は、自分達の雑用に清治を顎でこき使い、暇潰しに彼をからかい、辱める。
「ネエ、清治、お前、この頃、啓子姉さんのパンティー洗ってるんだって? ウフフ、顔
が赤くなったわよ。……今日から、私達のも洗うのよ。ホラ、お礼を言ったらどお?」
「お前、今まで何回位、姉さんのお尻に顔を敷かれたの? 旅行から帰って一ケ月になる
から毎日三回として、そろそろ百回を越すんじゃない?……どおお、臭いは覚えた?……
私達のと嗅ぎ分けられる? アラ、情けなさそうな顔だこと! クックックッ」
 次女の葉子の場合は、遠くの大学へ通学してをり、しかも連日テニス部の練習があるた
め、帰宅時間が遅く、清治と顔を合わせる機会が比較的少かった。
 それでも、週末には自宅の庭にあるテニスコートに女友達を呼ぶことが多く、きまって
清治に飲物をコートまで運ばせた。「ネエ、葉子。この人、あなたの姉さんの御
主人なんでしょう。あなたにまで名前を呼び捨てにされて、顎でこき使われて……これじ
ゃ、まるで召使いじゃないの?」 友達の質問に、葉子はニヤニヤ笑いながら
彼の方を見やる。「清治、お前から答えて御覧!」
「………………」「答えられないの? いいわ。じゃあ私が説
明してあげる。……その代り、答えられなかった罰に、そこへ四つ這いになって犬の真似
をするのよ。……フフッ、そう、そうよ。まあ、いい恰好だこと!」
 葉子の前で、ぶざまに犬真似をする清治の恰好に、一同がプーッと噴き出した。
「こいつね。姉さんの種馬養子なのよ。姉さんにこいつの子供が出来たら、初めて家族の
一員に昇格するの。……それまでは、柿沼家の家族全員の召使いよ」
「判ったわ。昔、奥女中に殿様のお手が付いて懐妊したら、初めて側室に昇格したと同じ
理屈ね」「そうそう。でも、啓子姉さんは、未だ今す
ぐには子供を作る気は無いらしいの」「と言うことは、未だお手付きにはなってい
ないのね? じゃあ、当分召使いのまゝってわけかぁ。可哀ソー」
「お手は付いてないけど、こいつ、毎晩お口を付けさせられてるようよ」
「お口を付けさせるって……一体どんなことなの?」
「フフフ、それはね。啓子姉さんの畠を毎晩口で耕やしているってこと。……でも、肝腎
の種は、中々蒔かせて貰えないようよ」「ヘーッ、みじめねぇ。それでも男かしら。
……ネエ、お前、オチンチン付いてるの? ちょっと、見せて御覧」
 女達の間で一斉に笑いが弾けた。 こうして、二ヶ月近くが経った或る日のこ
とである。 清治は、貞江に呼ばれて、居間の床にかし
こまっていた。 召使い待遇のため、ソファーには座らせて
貰えないのである。 啓子をはじめ、休日で家に居た葉子、それ
に松子と竹子も顔を揃えていた。 貞江と啓子の態度に、何やらいつもと違う
シリアスの雰囲気が漂い、清治も緊張する。 口を切ったのは貞江だった。
「清治、新婚旅行から帰った時、病院でお前の身体の精密検査をした時のことを覚えてい
るだろう。……その診断結果が送られて来たんだよ。……ホラ、これ。目を通して御覧」
 貞江は、封の切った分厚い封筒をポンと清治の膝の上にほおった。
「もっと後の方だよ。……そう、その黄色のページ。……そこをよく呼んで御覧」
 清治の目にまず飛び込んで来たのは、そこの表に書き込まれた数字と記号である。
 勿論、何のことかさっぱり判らなかったがその下の診断書件の欄を読んでハッとした。
 それは、彼が、そこで初めて受けた精液検査の結果についての診断だったのである。
精子の数が異常に少く、しかもその精子の活力が弱いため、PH値の高い液の中では、
その活動が停止してしまう。従って、女性を妊娠させることは不可能
 茫然とする清治に、貞江の声。「判ったかい。お前は種無しだったんだよ。
まさかと思ったけど、やっぱり念のため、精液検査をしといて良かったわ。……でも、残
念なのは結婚式の前に、これが判らなかったこと」
「で、でも、あの時は疲れていて……お、お願いです。精子が無いわけじゃないんだ。…
…も、もう一度検査を受けさせて下さい!」「無駄だよ。……私は昨日、病院へ行って先
生に色々聞いて来たんだ。身体のコンディションで精子の数が減ることがありませんかっ
てね……でも、お前の精子は、そこに書いてある様に先天的に活力が弱くて、殺菌力のあ
るPH値の高い女性の分秘液の中では、生存出来ないんですって。……諦めるんだね」
 がっくり頷垂れた清治の耳に、啓子の悲鳴に似た金切り声が響いた。
「ひ、ひどいわ。まるで、詐欺だわ。……私の体面はどうなるのよ。どうやって埋合わせ
をしてくれるの?」 更に、妹の葉子が激しい口調でそれに続い
た。「この男が悪いのよ。みんなでこいつに責任
を取らせましょう。……そう、事故で死んだことにすればいいわ。そうすれば、姉さんも
体面を気にせずに再婚出来るわ」 清治は、思わず背筋に冷たいものが走るの
を覚えた。 貞江が、さすがに年の功で、落着いた口調
で皆をなだめた。「この男といずれ離縁するとしても、少し冷
却期間を於いた方が良いわ。啓子の体面を考えると、次の相手との結婚式は、少なくとも
一年は後にしないとね。……啓子がこの男に身を許さなかったのが、不幸中の幸いだよ」
 松子が、傍の竹子と顔を見合わせて頷く。「ねえ、お母さん。それでも啓子姉さんは初
婚に失敗したという烙印を押されるわ。……それも、この憎い清治のためよ。さっき葉子
姉さんが言ったように、こいつに責任を取らせましょうよ」
「勿論、清治には、たっぷり罰を与えるわ。……でも、命は助けてやらないとね」
 比較的冷静なのは貞江だけで、娘達は程度の差こそあれ、全員興奮している。
 中でも、当の被害者である啓子は、先程のヒステリックな状態が続いていた。
「こいつ、八裂きにしてもあきたりないわ。私のお尻の下で窒息させてやろうかしら」
 吐き出す様な啓子の言葉には、如何にも真実味があった。
 清治は、恐怖に身を震わせながら、彼女の足元に身を伏せる。
「お、お願いです。わ、私は知らなかったんです。……ど、どんの罰でも受けますから、
ど、どうか、命は助けて下さい」 清治の肩は、見た目にも判るほど、ワナワ
ナと震えている。「この意気地無し! いいわ。命を助けてや
る代りに、うんと辱めてやる。……生きているのが情けなくなって、最後は気が狂うまで
いたぶってやるわ。覚悟しなさい!」 しかし、その時は、命を失う恐怖から救わ
れてホッとした清治の耳に、その啓子の宣言は、まるでひとごとの様に虚ろに響いただけ
である。 清治が、この家に於ける自分の身に、決定
的な変化が起ったのを覚るのに、そう時間は掛からなかった。
 その日の夕刻、家族に加えて、女中達全員を居間に熱めた貞江は、清治を中央に引据え
る。「皆に伝えておくけれど、この男は、重大な
不都合があって、この際、処分することにしたからね。……世間への体面もあって、籍を
今すぐ抜くわけにはいかないけれども、この家では、奉公人より下の身分に落します。…
…具体的に、この男をこれからどう扱うかを啓子から説明するから、皆も協力して頂戴」
 ソファーの後ろに経って貞江の説明を聞く十数名の女中達は、思いがけない言葉に、互
いに顔を見合わせた。 啓子が、ソファーからゆっくり立ち上がる
と、絨緞の上に正座して頷垂れている清治に近付く。
 そして、背後から、手に持ったものを彼の頚に巻き付けた。
 黒い鞣し皮製の犬の首輪である。 それが、昨年死んだ啓子の愛犬のものであ
ることは、女中達の目にも明らかだった。 啓子の指が、首輪の端を束ね、そこに小さ
な南京錠を通してカチャリと鎖を固定する。 錠を解かない限り、首輪も鎖も、清治の頚
から外れない仕組だった。「これでいいわ。……みんな、見ての通り、
この家では、この男を人間として扱わないことにするの。……犬なみ、いえ、犬よりも下
にしよいかなぁ。どお、清治? ウフフ」「………………」
「お前はね、今日から女中達の残飯を食べるのよ。それも、土間で四つん這いになって、
犬のお椀に顔を突っ込んでね。……それから今後は人間並みに立って歩くことは許さない
からね。……そう、いつでも四つん這いよ。クックックッ」
 啓子は、鎖をグイと前へ引いた。 たまらずその場で四つ這いに成る清治。
 そこには、養子の身分から、更に転落した清治の哀れな人間犬の姿が、女中達の目の前
に曝されていた。 その晩、啓子は、物置から、以前愛犬の食
器に使っていた埃まみれの大きなプラスチックの椀を取り出して来た。
 清治が懸命に洗っても、中々汚れが取れない。
 そこへ、女中達の残飯が放り込まれた。 物珍しげな一同の視線のもとで、四つ這い
になってその椀に首を突っ込もうとした清治を、啓子が押し留める。
「ちょっと、待って! 私が、お味を付けてあげるわ」
 土間に降り立った啓子は、椀を引き寄せると、それを跨いで腰を下す。
 清治の顔を見つめてニヤリと笑うと、腰を揺すって、パンティーをたくし上げ、いきな
り残飯の上に放尿した。 ジャーッと派手な音がする。
 用を足し終った啓子は、恥ずかしげもなく清治の顔の前に白い尻をつき付けた。
「さあ、お前の舌で、あとを清めるんだよ」 毎晩、股間に舌奉仕させている気安さもあ
るが、皆の前で彼を辱めることに、啓子は、一種の快感を覚え始めたようである。
 屈辱にカッと顔を紅潮させながら、清治は女の尻に顔を当てがうようにして、その股間
に舌を伸ばす。 プーンとアンモニアの臭いが、尻臭に混じ
って鼻を打った。 クレバスを舌でなぞるようにして、付着す
る汚水を吸い取る。 自然に鼻がアヌスに密着した。
 そして、それを待っていたかのように、啓子は派手な音を立てて放屁した。
 まともに、それを鼻孔に受けた清治は、脳髄が痺れるような刺激を受けて、その場にへ
たり込む。「どうしたの? 未だ清めが終っていないん
でしょう? 早く続けるのよ」 ヨロヨロと再び膝立ちになって、女の尻に
鼻を当てた途端、次の放屁を浴びせられ、大きく後ろにのけぞった。
 周囲の女達のクスクス笑いが、ドッと爆笑に変る。
 余りの口惜しさと恥ずかしさに清治の目は赤く潤み、啓子の白い尻が涙でボーッと霞ん
だ。「さあ、もういいから、食事をお上がり。…
…一滴も残さないように平らげるんだよ!」 啓子の言葉で、椀の中に顔を向けた清治は
フッと息を飲んだ。 黄色の小水が一面に残飯を覆い、所々に泡
を浮べている。 吐気を催すほどの不潔感を懸命に抑えなが
ら、そこへ口をつけて、ズズーッと吸い込んだ。
 ゴクリと音を立てて、生臭いしっこい尿の味が、口の中から咽喉に広がる。
 水面に顔を出した残飯を何回も舌で掬うようにして口に入れ、噛みしめた。
 ピチャピチャと大きな音を立てて、汚物を口にする清治に、周囲からさげすみの視線が
注がれる。「ほんとに、犬そっくりね!」
「こんな汚ないものを食べられるなんて、人間じゃないわ!」
 松子と竹子が、口々に嘆声を上げた。 葉子は、軽蔑よりむしろ好奇心に駈られて
見つめている。「清治。どんな顔して、啓子姉さんのオシッ
コ漬けを食べてるの? ちょっと顔を上げて見せて御覧」
 葉子に言われて、上を振り向いた清治の顔は、汚水でテカテカに濡れ光っていた。
「マア、汚ない! 不潔だわ」 覗き込むように顔を寄せていた葉子も、さ
すがに蔑みに表情を変え、反射的にペッと彼の顔へ唾を吐き掛けた。
 途端に、清治の顔が屈辱に歪む。 しかし、抗議する気力も無く、ガックリと
頷垂れると、再び椀の中で音を立て始めた。「ねえ、啓子姉さん。こいつ、明日から私達
のトイレットペーパーの役目をさせましょうよ。……さっき、姉さんに、おならを引っ掛
けられながら舌で前を清めていたでしょう。……あの作業が、この男には似合ってるわ。
……でも、おならは、そう都合良く出ないから、代りに私達の汚れたアヌスを嗅ぎながら
清めさせるの。……勿論、最後にアヌスの汚れも舐め取らせるのよ」
「ウフッ、葉子も中々言うじゃないの。……でも、名案だわ。……じゃあ、こうしましょ
う。朝の私達姉妹のトイレの後始末を、今の葉子の案通り、こいつにやらせるの。……そ
れだけじゃ面白くないから、日中は、女中達全員のトイレットペーパーとして奉仕させる
のよ。……いかが?」 啓子の提案に、女中達の間にクスクス笑い
が小波のように広がった。 松子が、勢い込んで口を挟む。
「ね、ねえ。私や竹ちゃんのお友達にも、使わせていいかしら? きっと、みんなスゴー
く興味を持つと思うんだ」「勿論、いいわ。……葉子のテニス友達にも
使って貰ったらどうかしら。……でもね、皆がビックリして、こいつに同情するといけな
いから、あくまで、この男に自発的にお願いさせるのはどうかしら?」
 啓子の返事は、さすがに長女だけあって、説得力がある。
 葉子が、早速、同意を示すように頷いた。「そうだわ。こいつに、こう言わせるのよ。
私は生まれつき変態で、女性のトイレの後の汚れを舌で清めるのが夢なんです。……ど
うか皆さん、私を助けると思って、私の舌を使って下さい≠チてね」
 葉子が、清治の声色を使って、如何にも哀れっぽく言う。
 そのおかしさに、先ず啓子がプーッと噴き出すと、一斉に笑いが全員に拡がった。
 ひとしきり笑いが途切れると、皆の会話を聞きながらやっと椀の中の食事を終えた清治
の、低い途切れ途切れの嗚咽が、一同の耳に入った。
 啓子が、足を伸ばして、頷垂れた清治の頭を蹴る。
「男のくせに、メソメソするんじゃないよ!……今の葉子の声色を聞いたろう。練習のた
めにあれを、お前の口から言って御覧。……さあ早く!」
 清治は、咽喉から絞り出すように、その屈辱の科白を口ごもりながら復唱する。
 如何にも言い難そうな、その声色は、却って真実味を持って響いた。
「オー、そうかそうか、お前は変態だったんだね。可哀そうに! 心配しなくってもいい
んだよ。明日からは、みんなのおしもを味あわせてやるからね」
 竹子が、おどけた調子で合槌を打つ。 再び爆笑の渦が起った。
 その晩、何時ものように啓子の寝室に呼ばれた清治は、布団が一組しか敷かれてないの
に気付いた。「今晩から、お前は女中部屋で寝るんだよ。
でも、ここでの舌奉仕は今迄通り続けさせるからね。……ただし、今夜からは、お前は犬
として奉仕するんだから、少しやり方を変えるわよ」
 啓子は、布団の上に横たわると、清治の首の鎖を手に握り、先ず足の裏を舐めるように
彼に命じた。 薄汚れた女の足の裏は、苦く辛い。
 足指の間にはプンと異臭がこもっていた。 もともと風呂嫌いの啓子は、毎朝シャワー
を浴びるのが常で、日本式の風呂に入ることは、時々しかない。
 しかし、これ迄は、清治に舌奉仕させる場合は、その前に、必ずシャワーで身体を清め
ていた。 だが、今や事情は一変し、啓子への清治の
舌奉仕には、彼女の身体の汚れを清める作業が加わったのである。
 舌で下半身を舐め清めさせた後、汚れた股間に首を埋めて舌を動かす清治を見つめなが
ら、啓子は彼の顔にペッと唾を吐き掛けた。 無念そうに顔を歪める清治を、ニヤニヤ笑
いながら見下ろし、口に唾が溜るのを待って再び、ペッと吐き掛ける。
 今や啓子は、清治に舌奉仕させることで、快楽を得るだけでなく、彼に屈辱を強い、辱
めを与えることを目的としていた。 必要以上に延々とアヌスを舐めさせ、吸わ
せたのも、その現われだった。 漸く頂点に達した啓子は、清治の顔を邪険
に蹴り、女中部屋へ行くように命じる。 鎖を引きずりながら、四つ這いで母屋の女
中部屋に向かう清治の胸は、啓子に終始、犬として嬲られ、辱められた口惜しさで一杯だ
った。 しかし、女中部屋には、それ以上の屈辱が
待ち構えていたのである。 夜の後片付けを終え、寝床を敷き終った女
中達は、部屋の隅に置かれたテレビの前に集まって深夜番組を楽しんでいた。
 六畳間を三つ続けて作られた女中部屋は、十八畳の大広間とは言え、十二名の女中達が
全員の寝床を敷くとさすがに手狭に見える。 四つ這いのまゝ戸を開けて中に入った清治
の鼻に、若い女達のむれた体臭がムッと迫って来て、思わず圧倒された。
「遅かったじゃないか。……お前に挨拶させるために、みんな、風呂に入らずに待ってい
たんだよ!」 一番年嵩の女中が、ズケズケと声を張り上
げた。 つい今朝までは、この家の養子として下に
見ていた使用人に、お前呼ばわりをされた途端、転落の悲哀がグッと身に泌みる。
 手招きされるまゝに、四つ這いで近付くと当然のことながら、皆、これ迄の顔馴染みの
気の良い女中達に見えた。 清治としても、彼女等を、急に自分より上
の存在として見る気持にはなれない。 それが、彼に何となく、なれなれしい態度
を取らせた。「急に、こんなことになって……でも、みん
な、これからも宜しく……」 四つ這いの自分のみじめさを意識して、彼
としては精一杯の挨拶だった。「そんな挨拶は、人間のすることだよ。……
さ、早く、犬の挨拶をおし!」 頭ごなしに言われて、ドギマギする清治を
見て、女中達は、ニヤニヤ笑っている。 横で寝そべりながらテレビを見ていた女中
が、ゴロリと仰向けになり、膝を立て大きく股を開いた。
 彼の目の前で女のスカートがめくれ、白いパンティーに包まれた股間がこぼれる。
 それはドキッとする程淫靡な姿態だった。 清治の股間のものが、ぐっと硬直する。
 女の視線は、それを見逃さなかった。「お前、未だ人間並にさかるんだね。……で
も、お前はこの家では犬になったんだろう?……知ってるよ。犬として、啓子お嬢様に、
今の時間まで使われていたくせに! 今夜は私達も、お前を犬として使ってやるよ。……
フフフ、勿論、お前の息子じゃなくって、舌をだよ!」
 余りのことに茫然とした清治を見て、先程の年嵩の女中が、おかしそうに続ける。
「心配しなくても良いよ。お前の舌が擦り切れないように、毎晩、交代で三人が使うこと
にしたんだから。……それより、私達、お前の犬の挨拶を受けて、早くお風呂に入りたい
んだよ。……ウフッ、未だ判らないのかい。犬は舌で挨拶するだろう? 人間の身体をペ
ロペロ舐めてさ。……お前には私達の汚れたお股がお似合だよ。……サア、早くおし!」
 何と言うことだろうか。 これからは、女中達にまで、毎晩舌奉仕さ
せられるのである。 そればかりか、挨拶として、彼女等全員の
汚れた股間を舐めさせられるとは! 四つ這いになった清治の全身が、おこりに
かかったようにブルブルと震えた。 そして、思わず、そのまゝ戸口の方へジリ
ジリと後ずさりして行く。 と、目の前の股を拡げた女の足が、前に伸
びた彼の首輪の鎖をたぐり、グイと引いた。 その周囲にいた女達も手を添える。
 清治の首は、女の白いパンティーに包まれた股間めがけて、ズルズルと引き寄せられて
行った。 そして、遂に、女のたくましい太股が彼の
頭を捉える。 パンティーに覆われた柔かいクレバスが、
彼の顔面に押しつけられたかと思うと、女の身体が反転し、その尻に男の顔を敷く形にな
った。 ムーッと女の尻臭が、そして、むせるよう
な性臭が彼の鼻孔を襲う。 女のパンティーが彼の顔面を擦るようにし
て取り去られ、じっとり湿った柔肉が清治の唇を抑えた。
「ホラ、お尻の穴だよ。しっかりお舐め!」 女の声に、ハッとして舌を出したものの、
無念さに腸が千切れる思いである。 しかし、その、おぞましい味が口中に拡が
ると、ふっ切れたように舌と唇が動いた。 女の命ずるままに、股間を舌で舐め上げ、
襞の間に付着する恥垢を吸い取る。 酸っぱい味が咽喉を刺した。
 最初の、まるで焼火箸を当てられたような屈辱感が、次第に、持続する鈍痛に似た屈服
感に形を変える。 顔の上に跨がるポッテリした尻の重みが、
女に完全に征服されている自分を実感させ、それが、彼の心に諦めと忍従を植え付けて行
った。 最初の女中が尻を上げて風呂に立つと、す
かさず、次の女が跨がってくる。 それが、次々と続いた。
 新しい臭いと味が、その度に、清治に激しい屈辱感を蘇えらせるが、間もなく新たな屈
服へと導かれる。……その繰返しであった。 一番最後に自分の番になった小ぶとりの女
中は、彼の首を跨いで腰を下ろしたものの、清治の顔の上でパンティーを脱ぐ手に、幾分
ためらいを見せた。「私、生理が始まったところだから、お風呂
は止めておくわ。……でもせっかくだからお尻の方だけでも舐めなさい」
 唇の上に括約筋の蕾が押し付けられると同時に、彼の鼻の上には女の股間に当てられた
綿花のパッドが触れる。 その途端、強い異臭が鼻孔に流れ込んだ。
「そうだ、お前は明日から私達のトイレの後を舐めるんだったわね。……だったら、私の
アンネだって清められるはずだわ。……ホラここの汚れを吸い取って御覧」
 目の前でパッドが外され、赤く染まったクレバスが露出する。
 女の指が糸をたぐって、膣に挿入されていたタンポンを引き出した。
 同時に、赤い汚液がポタポタと清治の口中に落ちる。
 その生臭い異臭に、彼は思わず吐気を催した。
 それをグッとこらえて、肉襞を吸うと、膣からドッと汚液が出て彼の口腔を満たす。
 ゴクンと咽喉を鳴らして飲み込むと、塩辛い苦味が咽喉を焼いた。
 思わず、清治の咽喉から、くぐもった呻き声が洩れる。
「ちょっとちょっと、みんな、見てご覧よ! こいつ、アンネを飲まされてるんだよ」
 風呂を済ませて部屋へ戻って来ていた最初の数人が寄って来て、女の股間から覗く清治
の顔を見下ろす。「最低の男だね。とっても人間とは思えない
わ! そうだ、こいつ、犬だったんだわ」「犬だって、こんなことしないわ。……これ
じゃ犬以下よ!」「さっき迄は、少し可哀そうだと思ってたけ
ど、ここまで落ちたんじゃ救いようがないわね。……遠慮無く舌奉仕させようーっと」
 女達の嘲けりを耳にすると、改めて自分の行為が如何におざましいものか意識され、情
けなさに胸が痛んだ。 その晩は、言われた通り三人の女中の股間
にたっぷりと舌奉仕させられた後、女中達の寝床の足元に座布団を並べ、古毛布をかぶっ
て眠りについた。 翌朝、女中達に頭を蹴られて目を覚ます。
「下のお嬢様達は学校へ行かれるから、朝が早いわ。……直ぐにトイレへ行って、お待ち
してるのよ」 四つ這いのまゝ女中に首の鎖を引かれて、
母屋のトイレへ、それも汚辱の奉仕に急ぐ。 その時の清治のみじめな気持は、言葉では
尽くせぬものがあった。 柿沼家のトイレは、母屋の主人家族用のも
のと、使用人用のものとが分れている。 それに、離れの啓子用は、独立して別に設
けてあった。 古い建築で、殆どの部屋が和室だったが、
トイレは水洗に改造されている。 広いタイル張りの洗面スペースの奥に、洋
式便器のトイレが二つ並んでいた。 女中は鎖をトイレの前の柱に結ぶと、
「じゃあ、しっかりね。フフフ」 と笑って去る。
 その内、清治の四つ這いの掌と膝に、タイルの冷たさが伝わって来た。
 一番先に飛び込んで来たのは、通学距離の長い葉子である。
 柱に繋がれている清治を見て、ニヤリと笑うと、そのままトイレへ入った。
 派手な音を立てて排便した後、扉が開く。 便器に腰掛けたまま、葉子が手招きした。
 鎖を引きずって傍へ寄ると、便器に頭を向けて仰向けに寝るように命じられる。
「いいこと。舌と唇で奇麗にするのよ。……そして、良く味わいなさい。これが、お前に
ふさわしいお仕事だってこと忘れずにね」 スベスベした白い尻が便器から滑り下り、
清治の顔に迫った。 褐色の糊がベッタリ付いた蕾が、彼の鼻に
触れんばかりの距離位置に留まる。 そして、強い糞臭が漂った。
 その臭気を嗅ぎながら、顎を持ち上げて唇を秘肉に当て、クレバスに滴る水分を吸い取
った後、舌を割れ目に添ってなぞりながら、丁寧に清める。
「いいわよぉ。臭いと味の二重奏は如何が?……私のアイディアも捨てたもんじゃないて
しょう。クックックッ」 やはり葉子に嘲けられると、恥ずかしさが
身に泌みる。「今度は後ろの方よ。……私、以前、痔の手
術をして以来、とっても汚れるようになったの。お前は、これから朝は勿論のこと、その
度に舐めて清めるのよ」 生まれて初めて口にする便の味であった。
 昨日の女中達のアヌスの味とは、比較にならぬほど濃厚である。
 そして、それは同時に屈服と屈辱の味でもあった。
 葉子が去って五分もせぬ内に、松子と竹子が、パジャマ姿で続いて用を足しに来る。
 二人共、とても高校生とは思えぬ発達したヒップであり、クレバスの襞の深みも姉達に
劣らぬ成熟ぶりだった。 松子に続いて、竹子の肉襞を清めていた時
である。 突然、目の前の蕾が息付いて震える。
 大量のガスが清治の鼻を襲った。「お前に、おならを嗅がせた二番目の女、そ
れが私ね。……フフッ、啓子姉さんのと較べて、どお?」
 不思議なことに、竹子の明るさが、却って清治の屈辱感をそそった。
 それから間もなく離れの啓子が目覚める。 清治は、女中達の残飯を入れた椀を前に、
トイレの前に控えさせられていた。 大きな欠伸をしながら、啓子は先ず椀の中
に放尿する。 そして、便器に座ると、清治をその前に仰
向けに寝かせ、彼の顔を足の裏で踏んだ。「昨日の晩は、女中達に嬲って貰ったかい?
……ちゃんと、一部始終を報告して御覧」 清治が、ポツリポツリと先夜の屈辱を語る
と、啓子は満足そうに笑った。「フフフ、そうかい。女中にメンスまで飲ま
されたのかい。……私の時は、お前の顔をパッド代りにして一晩中吸わせるからね。楽し
みにしておいで」 やがて、清治の顔に跨がった啓子は、清め
の最後に、アヌスを彼の唇にグッと押し付けて、ウーンとばかりいきんだ。
 間もなく、啓子の蕾から唇を割って柔かい塊りが彼の口中に排出される。
 清治にとって、予想だにしなかった、突然の出来事だった。
「アラ、やっぱり少し残っていたのね。……これは、お前へのプレゼントよ。そのまま口
の中に入れておいて、時間を掛けて溶かして味わいなさい。……すっかり溶ける前に、女
中達に見て貰うのよ。啓子様から、こんなプレゼントを頂きましたってね。……みんな、
きっと大笑いするわよ」 ヌルッとした感触のそれは、清治の口中で
異様な味と臭気を醸し出す。 まさに汚辱のプレゼントだった。
 その清治の顔は、血色を失って土気色を帯び、唇はワナワナと震えていた。
 生きながらにして女の便器にされた挙句、これから女中達の前で、生恥を曝すのだから
無理もない。 そして、恐れていた通り、彼は、女中達の
ゲラゲラ笑う中で、無念の涙を流す仕儀となったのである。
 笑いがひとしきり収まると、女中達は口々に清治を嘲けり、いたぶり始める。
「飴玉みたいに、そんな汚ないものをしゃぶらされて! お前とうとう、そこまで落ちた
んだねぇ。……よう見せて御覧。……アラ、臭い! よく我慢出来るね」
「お前は、種も無いし、意久地も無いんだねえ。……男のくせに、啓子お嬢様に犬にされ
た挙句、そんなものまで口にさせられるなんて、少しは恥をお知りよ!」
「ホラ、お前の朝御飯に掛けたスープが冷めてる。……私達のを混ぜて温めて上げるよ」
 女中の一人が椀の上に跨がって放尿した。 もう一人が、それに続く。
 椀になみなみと汚水が溢れ、泡の間に残飯が浮き沈みし、見ただけで吐気を催す光景で
あった。 皆の前で、それに口をつけさせられ、ゴク
リゴクリと飲み干す清治の姿は、もはや、正常な神経の人間とは言えなかった。
 こうして始まった清治の屈辱と転落の生活は、坂を転げ落ちる車輪のように、とめどな
く下へ下へと落ちて行く。 一ケ月が過ぎる頃には、清治の性格は、文
字通り一変し、卑屈さを絵に書いたような、オドオドした態度が身についていた。
「清治、今日はお前に、私からの素敵なプレゼントがあるのよ。……アラ、どうして震え
るの?」 朝のトイレの後、清治の顔に跨がった啓子
は、アヌスに当てられた清治の唇の震えを、敏感に感じ取った。
「プッ、そうかぁ。あの時のプレゼントと勘違いした訳ね。……違うのよ。お前もきっと
喜ぶわ。……後で、女中達の前で披露して上げるからね」
 それから暫くして、台所に集まった女中達の前で、啓子は、もったいぶって、持参した
紙箱を開ける。 丁度学校も春休みで、松子に竹子、それに
葉子までが顔を揃えている。「ホーラ、これよ」
 啓子が取り出したのは、透明のプラスチックの漏戸である。皆の怪訝な顔を見渡して、
啓子が説明を加えた。「これはね、清治にフレッシュな私達のお水
を飲ませるために道具なのよ。私が実演して見せるわ。……ホラ、清治、この口をくわえ
なさい」 啓子は、四つ這いの清治に上を向かせて漏
戸を口に押し込む。 そして、ニヤニヤ笑いながら、一同を見渡
して、おもむろにパンティーを押し下げ、その漏戸を股間に挟んだ。
 漏戸が、スッポリとスカートの中に隠れ、その口をくわえる清治の顔が、丁度下からス
カートの中を覗くような形になる。 皆が息を飲む中で、チョロチョロと黄色の
汚水が漏戸を伝って清治の口中に注がれた。 ゴクリと大きく咽喉を鳴らして汚水を飲み
込む清治の顔が、屈辱に歪む。「こうすれば、誰でも気軽にこいつの口を便
器代りに使えるでしょう。勿論、慣れたら直接口で受けさせればいいんだけど、お客さん
はそうは行かないし、……これだと男の立小便感覚で庭でも廊下でも使えるわ」
 啓子のスカートの下で、黄色の汚水を飲み続ける清治の顔を覗き込みながら、葉子が大
きく頷いた。「そうね、移動トイレだわ。……私、テニス
コートにこいつを繋いで、皆で使うことにするわ」
「それもいいわね。この漏戸には紐をつけて清治の首に掛けておくことにするから、皆で
遠慮無く使って頂戴。……今から、この男は婦人専用トイレに生まれ変ったのよ!」
 漸く汚水を飲み終えた清治の耳に、勝ち誇った啓子の声が、彼の新しい転落を高らかに
告げるのだった。                 (完)
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SMスピリッツ 1988年 6月
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2010/05/17